真夏の出来事 Head Above Water (1996)

Murder just became a water sport.
Cameron Diaz in Head Above Water
Cameron Diaz as Nathalie in Head Above Water

真夏の出来事(1996年)
“真夏の出来事”といっても平山三紀(みき)の1971年のヒット曲とはなんの関係もありません。
Jim Wilson(ジム・ウィルソン)が制作及び監督デビューしたHBO(ケーブルTV)サスペンス映画ですが1993年のノルウエー映画のリメイクです。 Jim Carrey(ジム・キャリー)の「Mask(マスク)」でデビューしたCameron Diaz(キャメロン・ディアス)の初主演映画です。 ジム・ウィルソンはKevin Costner(ケヴィン・コスナー)主演で1992年に「The Bodyguard(ボディガード)」や1990年の「Dances with Wolves(ダンス・ウィズ・ウルブズ)」や1997年の「The Postman(ポストマン)」のプロデュ-サーとして知られています。

「真夏の出来事」を観た人は魅せられて結婚してしまった判事のようにキャメロン・ディアスを好きになる!
麻薬中毒で被告席に座ったキャメロン・ディアスが演じる可愛い子ちゃんのナタリーにゾッコンとなって彼女を救ったHarvey Keitel(ハーヴェイ・カイテル)が演じる新妻の倍も年が違う判事さまが、新婚生活を離れ島のナタリーの別荘で過ごしている時に突然やって来たのがナタリーちゃんが麻薬に溺れていた時期の恋人でした。 その元カレのケントの突然の死をめぐるミステリー、というか、これはもうブラック・コメディです。

そう、もう死んじゃった人はどうでもいいの、自分が一番大事!
それにしてもお互いに疑い合う夫婦、最後まではっきりしないそれぞれの心情、そして真実は? ケントの死は殺人なの?それとも病死? ナタリーちゃんとは幼馴染みだという別荘の管理人ランスも怪しくみえなくもないし。 ちなみにランスを演じるのは1992年に「リバー・ランズ・スルー・イット」でブラッド・ピットの兄役を演じたCraig Sheffer(クレイグ・シェイファー)です。
果たして計画的だったのか? ハプニングは何? 離れ小島の別荘にランスと判事夫妻とたった3人という少ない登場人物の中でも謎だらけ、死人と警官意外は犯人の可能性有り! しかしこの警官、キャメロンちゃんを助けたけれど飲んでる飲料水は死んだご主人が飲んでたのと同じみたい? うむ。
分別のある著名な判事のジョージが保身のためどんどん狂っていく様がスゴイ! コメディとは言えどもかなりブラック! ナタリーが元彼の死体を押し込んだ床上の椅子に判事が座った時のボキッという音がリアルで不気味。 それをひきずり出してバラバラにした死体を埋め込んだ外階段のコンクリートも怖い!

Harvey Keitel
自分の年齢の半分という若い可愛い子ちゃんにメロメロになった色ボケ判事を演じたハーヴェイ・カイテルはただの爺ではなくて、とってもすごいのです。 「真夏の出来事」の前の1995年には文芸的な人生模様を描いた「Smoke(スモーク)」でWilliam Hurt(ウィリアム・ハート)と共演したハーヴェイ・カイテルは、なんたって「Kill Bill(キルビル)」のQuentin Tarantino(クエンティン・タランティーノ)が監督した1991年の「Reservoir Dogs(レザボアドッグス)」や「From Dusk Till Dawn(フロム・ダスク・ティル・ドーン)」とかスプラッター映画で注目されたAbel Ferrara(アベル・フェラーラ)が監督した1992年の「Bad Lieutenant(バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト)で悪の権化のようなハードな役柄を演じて話題になりました。 この映画「バッド・ルーテナント」はスパイスガールズのMelanie Brown(メラニー・ブラウン)と結婚したStephen Belafonte(スティーヴン・ベラフォンテ)が2009年に制作してNicolas Cage(ニコラス・ケイジ)主演でリメイクされています。 1997年の「アサシン」でカイテルが演じた不気味な始末屋ビクターは非業の死を遂げましたが、私が初めてハーヴェイ・カイテルを観たのは37歳のカイテルが売春婦のポン引きを演じた1976年の「Taxi Driver(タクシー・ドライバー)」でした。 Bernard Herrmann(バーナード・ハーマン)の音楽にTom Scott((トム・スコット)のアルト・サックスをフィーチャーしたテーマ曲が印象的でした。

Billy Zane
ナタリーちゃんの元カレだったケントを演じたのがビリー・ゼインですが、1985年に「Back to the Future(バック・トゥ・ザ・フューチャー)」でパパをいじめるビフの取り巻き高校生マッチ役でラッキーなデビューをした後、1988年に「Dead Calm(デッド・カーム/戦慄の航海)」でニコール・キッドマンを暴行し発煙筒で爆死した異常者のヒューイを演じました。 1993年にはカート・ラッセルがワイアット・アープでヴァル・キルマーがドク・ホリデイを演じた「Tombstone(トゥームストーン)」に旅周りの座長ファビアン役で出演し、同年1993年のエロティックテレビドラマ「Lake Consequence: A man and two women(湖畔の欲望)」などの異色作品で活躍していました。 Hi, honey did you catch any fish? 「湖畔の欲望」ではマッチョでいい人役のビリーと絡むのは1990年の「Bird on Wire(バード・オン・ワイヤー)」でメル・ギブソンと共演したダイナマイト・ボデイのJoan Severance(ジョーン・セヴェランス)やMay Karasun(メイ・カラサン)で小虎の龍温泉(Bath-House-Dragon)での全裸Ménage à Trois(3P)シーン(吹き替えもあるとか)では嫉妬から火つけするほど超過激。 音楽はGeorge S. Clintonでラストのマイルス・デヴィスばりのトランペットが泣かせますが、サントラではドライブシーンで流れたGuitar Gable(ギター・ゲイブル)が歌う”Irene”(1956年)が好きです。 衝撃的なシーンでは”Hate St.”を演奏したロックのAnimal Bagのドラムが効果的。 「真夏の出来事」の後ビリー・ゼインは、1997年の「Titanic(タイタニック)」ではKate Winslet(ケイト・ウィンスレット)が演じたローズの婚約者のCaledon ‘Cal’ Hockley(資産家のキャルドン)役でしたが、2001年の「Zoolander(ズーランダー)」では坊主頭の本人役でカメオ出演しています。(It’s Walk-Off!) 2005年には禿げ上がったビリーは「Three(サバイバル・アイランド)」でタフな船員の若いマヌエルと無人島に先に漂着する超グラマーな妻のジェニファの夫ジャックを演じていますが何やら「タイタニック」の続きみたいで。 三角関係からくる嫉妬がマヌエルが邪険にした女の黒魔術も効果を発揮して死亡。 ジャック(ビリー)は悪くなんてない。惨めなだけ。

video「真夏の出来事」のトレーラーはHead Above Water Trailer – IMDb
Head Above Water Opening – YouTube

Head Above Water
Cameron Diaz and Harvey Keitel
Cameron Diaz as Nathalie and Harvey Keitel as George

「真夏の出来事」の原題「Head Above Water」→「keeping your head above water」のことで、なんとか生き残るっていう意味があるそうなんで、キャメロンちゃんがサバイバル成功! そう、人生は一度きり!

2000年に発売された「真夏の出来事」の日本語字幕版DVDですが現在は入手困難になっています。
Head Above Water with Cameron Diaz真夏の出来事 HEAD ABOVE WATER ジェネオン エンタテインメント


1997年発売の「真夏の出来事」の輸入版VHSです。
Head Above Water VHSHead Above Water (1996) VHS



head_vhs2.jpgHead Above Water (1996) VHS


「真夏の出来事」のオリジナルだという1993年のノルウエー作品の「Hodet over vannet」ではLene Elise Bergumが映画の半分をトップレスで出演だったとか、ひょっとして、キャメロン・ディアスも? ない、ない!

ノルウエー版では別荘の番人Bjørn(ビョルン)役で出演したMorten Abel(モーテン・エーベル)が歌うテーマ曲が当時ノルウエーではヒットしたそうです。
元々ロッカーだったモーテン・エーベルは1999年の”Here We Go Then, You And”と2001年の”I’ll Come Back And Love You Forever”のテックポップヒットで受賞しているノルウエーの人気ダンスロックグループでギターとヴォーカルを担当していて現在もますます大活躍です。

Head Above Water Soundtrack
「真夏の出来事」の音楽はChristopher Young(Chris Young/クリストファー・ヤング)の作曲でハリウッド映画の音楽を手掛けるPete Anthony指揮のオーケストラ演奏で映画公開当時はサントラのCDがリリースされたようですが現在は見つかりません。
サントラの収録曲目はThe Corpse Dance、Jubilee、Ska Doll、King Cadaver Crisp、 Methanol、Wolfmen、The Mind Mangler、Balancing、Greazy Gazebo、Tock-Tick-Tack、The Trouble With Kent、Dead Love、Cement Shoesの全13曲です。
映画「真夏の出来事」の冒頭で流れる曲はオランダのロックバンドのGolden earring(ゴールデン・イヤリング)が歌う”Sail On, Sailor”で、オリジナルは1973年にBeach Boys(ビーチ・ボーイズ)が「Holland」というアルバムに収録したそうです。 ”Sail On, Sailor”はアメリカの女性フォーク歌手のShawn Colvin(ショーン・コルヴィン)も歌っているらしい。 この他に映画で使用された曲はJames Brown(ジェームス・ブラウン)の”Please, please please”ですがこれらの曲はサントラには収録されていません。

クリストファー・ヤングは1995年に「Woodsman」のKevin Bacon(ケヴィン・ベーコン)が怪演した「Murder In The First(告発)」や2001年にJohn Travolta(ジョン・トラボルタ)の「Swordfish(ソードフィッシュ」)や「Bandits(バンディッツ)」などの音楽を手掛けています。

Audio-Visual Trivia内のキャメロン・ディアスの出演映画
イン・ハー・シューズ
マルコヴィッチの穴
マスク

Audio-Visual Trivia内のハーヴェイ・カイテルの出演映画
ライジング・サン
ビー・クール