Bruce Willis as Tom Hardy and Sarah Jessica Parker as Jo
スリー・リバーズ(1993年)
River Rescue-5221 Police Boat
ピッツバーグ出身のRowdy Herrington(ローディ・へリントン)が監督したモーターボートでの水上アクションが話題のサスペンス映画です。 連続殺人犯を追うピッツバーグ市警察殺人課の刑事であるTom Hardy(トム・ハーディ)にBruce Willis(ブルース・ウィリス)、そして刑事から河岸警備隊員に降格されたトム・ハーディの初の女性相棒として送り込まれた美人捜査官ジョーにSarah Jessica Parker(サラ・ジェシカ・パーカー)です。 ブルース・ウイリスの役名はトム・ハーディですが、2010年の「Inception(インセプション )」で偽装師イームスを演じ、2012年の「Lawless(欲望のバージニア)」に次男のフォレスト・ボンデュラント役を演じたのが実在の俳優トム・ハーディです。 2001年の「ブラックホーク・ダウン」くらいから日本で知られ、2015年から二代目マッドマックス、今や「ヴェノム」でエイリアンに寄生される男で人気です。
さて、主人公トム・ハーディの叔父のニック・ディテロ警部を演じたDennis Farina(デニス・ファリナ)は1995年にジョン・トラボルタ主演の「Get Shorty(ゲット・ショーティ)」に出演しチリ・パーマーを追いかけるヤクザを演じていますが、2004年の「Paparazzi(パパラッチ)」では渋いバートン刑事を演じました。この後も「プライベート・ライアン 」や「スナッチ 」など有名な映画にたくさん出演しています。
スリー・リバーズのちょっとあらすじ
映画の冒頭に二種類のパトカーが交互に映し出される「スリー・リバーズ」はアメリカ南部ペンシルバニア州の三本の河川が合流するスリー・リバーズ・シティと呼ばれるPittsburgh(ピッツバーグ)を舞台に、曽祖父(ひいひい)爺さんから五代も続いた警官一家の物語です。 同じ一家だがイタリア系の叔父のニック・ディテロ警部の息子で従兄のジミー・ディテロの過剰暴力捜査において爆弾発言(犯人は警官)をして証人となったアイルランド系のトム・ハーディ(ブルース・ウィリス)はある5人の女の連続殺人犯の追跡に同行した殺人課主任警部である父親が包囲網を突破した犯人に鬱たれて死亡してしまいニック叔父が主任となります。(このシーンのカーチェイスはスタント満載で緊迫感あり) この事件の誤認逮捕にトム(トミー)が実況証拠から父を撃ったのが警官だと主張したことなど署内ではタブーとされていることを敢えてしたからと刑事を止めることになるのです。 1991年の”赤ずきん事件”と呼ばれる金髪グラマーを狙った猟奇連続殺人事件の過剰捜査で暴力沙汰を起こし有罪になったジミー・ディテロは裁判に出廷せず、父親のニックの説得にも「刑事は豚箱に行かない!」と全く耳を貸さない。 やけになったか気が触れたかで、かって自分の母親が身投げしたと同じ川に飛び込んでしまうのです。 駆けつけるも相棒の身投げを目の当たりにしたのに阻止できなかったトム・ハーディはショックを受けすっかり落ち込んでしまいます。
☆この精神不安定なジミー・ディテロ役は「Devil In A Blue Dress(青いドレスの女)」や「Black Hawk Down(ブラックホーク・ダウン)」に出演したTom Sizemore(トム・サイズモア)が演じます。
ここからが本編、それから二年後のこと、ジミーの自殺後に町を出て行った弟のダニーが帰って来てトムは正しかったと告げた。 ピッツバーグ市殺人課の刑事からダサい半ズボンのリバーレスキュー隊(河岸警備隊)に左遷され、ボートで猫ちゃん相手に生活するトム・ハーディの周辺で、再びスリー・リバーズ殺人事件という猟奇殺人事件が続発します。 そんな時、美人警備員のジョー・クリスマン(実はエミリー・ハーパー)がトムの相棒となります。(これがなかなかの切れ者) 1991年、今回はなんと、被害者の女性たちはいずれもトム・ハーディの元交際相手でした。 2年前と同じく殺人予告の電話では轡をはめられた女性のうめき声に「赤頭巾ちゃん」の曲が流され、ロープで絞殺された女性たちは”川”に投げ込まれたという「ポーリッシュ・ヒルの絞殺魔」が再発します。
ショットガン(モスバーグ 500 マリン)で犯人を追うトム・ハーディ元刑事は犯人探しにさんざん試行錯誤した結果、意外な事実にたどり着きます。 地図を広げて犯行範囲を絞っていくと、なんと身近な場所が。 冒頭でも話題にしたスタンド・バイ・ミー風の写真、かって従兄弟たち三人と過ごしたあの山荘Detillo’s Roost(ディテロの寝ぐら)が焦点に! 取り急ぎ山荘へ行ってみると、(「ここはネタバレ 反転」と当初は文字色をホワイトに変更したところまずいことにウエブ検索すると表示されてしまうのでこの文章の最後に移動してみた) 後ろから何者かにやられたトムとトムに呼ばれたと言って入って来た従弟のダニーとスタンガンで誘拐されたジョーの3人は椅子に縛られます。 足元を走るラジコンのパトカーでトムが気がつくと、なんとそこでトム・ハーディは信じられない者を見たのです。 トムの拳銃で殺しのゲームを始める犯人、危うしジョー!と思った時、従兄弟の父親である叔父ニックもやって来て制止しますが、ここで驚くべきトムの父の死の真相も犯人によって暴かれます。
☆映画の公開前にトークショーでジミー役のRobert Pastorelli(ロバート・パストレリ)が既に口を滑らせたそうですが、一応ネタバレにつき、ここを反転 それとは知らずにトムと父親が追っていた連続殺人犯人であり、その後に橋から身投げして死んだはずの従兄のジミーが生きてた! ジミーをかばってトムの父親を撃ってしまったニックの犯行だった。 イタリアの父子の絆が切れた時狂気は止まらない!
手錠のままの追跡、ラストのカーチェイスならぬボートレースと橋上での死闘が迫力あり。(口中にスタンガンはえぐい)
「スリー・リバーズ」の冒頭のシーンには、縛られて床に転がり恐怖のうめき声をあげる美女の足元を走り回るラジコン・パトカーの映像と、殺人予告テーマ曲の「赤頭巾ちゃん」が流れる。 Owoooooooo!
「Striking Distance(スリー・リバーズ)」の迫力満点の予告編です。
Striking Distance Trailer – Imdb.com(宣伝はSkip ADをクリック、残虐シーンがレイトR/成人向けだとか)
☆「スリー・リバーズ」の原題(タイトル)になっている”Striking Distance”とは攻撃範囲(すぐに犯行に及べる距離)のことだとか。 どうして日本語のタイトルが「スリー・リバース」かというと、映画の製作中の仮タイトルが「Three Rivers」だったからで、「ストライキング・ディスタンス」とするよりは日本で分かり易いからでしょう。
ところで、元水上警察で現在殺人課の刑事と新米美人刑事が猟奇連続殺人事件を解明する映画には2004年の「Twisted(ツイステッド)」がありますがこのミステリ映画では撲殺された被害者は全部飲酒癖があり飲むと記憶が途切れる女刑事の一夜限りの相手でした。(偶然か意図的か、タバコを押し付けた手の甲、首の十字の切り傷…)
Bruce Willis: He’s a guy’s guy.
1988年の「Die Hard(ダイ・ハード)」シリーズでお馴染みのアクション・スターのブルース・ウィリスはドイツ系のアメリカ俳優で、「ダイ・ハード」の前年の1987年に「Striptease(素顔のままで)」や「Ghost(ゴースト ニューヨークの幻)」などに出演したDemi Moore(デミ・ムーア)と結婚して話題となりました。(13年後の離婚もさらに話題となりました) 数多くの映画出演に加え、「アリー・myラブ」のシーズン2や「フレンズ」のシーズン6などの人気テレビ番組のゲストとしても出演しています。 ブルース兄貴は「スリーリバース」の前、1992年に愉快なファンタジー「永遠(とわ)に美しく…」や「パルプフィクション」でコメディ映画に出演したと思えば、1992年の「L’Amant(愛人/ラマン)のロリータちゃん”Jane March(ジェーン・マーチ)”と80年代のMickey Rourke(ミッキー・ローク)ばりに絡みまくってラジー賞を受賞した1994年のエロチック・ミステリー「Color of Night(薔薇の素顔)」など話題に事欠きません。(ちなみにプールの中でジェーンにパンツを下されたシーンではウィリスのボデイダブルで本物は大部分カット、テレビ放映ではこのシーンとシャワーシーンは全面カット!)
ブルース・ウイリスが原案、製作総指揮が音楽家のRobert Kraft(ロバート・クラフト)が手掛けた1990年の「Hudson Hawk(ハドソンホーク)」で”トプカピ”みたいに盗賊を演じ、2001年の「Bandits(バンディッツ)」での銀行強盗や、Brian De Palma(ブライアン・デ・パルマ)が監督した1990年の「The Bonfire of the Vanities(虚栄のかがり火)」のようなアルコール依存症の新聞記者役や「The Jackal(ジャッカル)」で狂気の殺し屋などを演じました。 ウィリスはアル中の役柄も多々ありますが2006年の「16ブロック」では悪徳警官仲間だったデヴィッド・モースのご健闘のおかげか良い人間に変われました。(俺はただ良いことがしたかった…) ラストに流れる曲は300本のタイヤ泥棒転じて歌手となったBarry White(バリー・ホワイト)の”Can’t Get Enough of Your Love, Babe”です。 一方政府の暗号を解いた自閉症の少年を保護するFBI捜査官を演じた1998年の「Mercury Rising(マーキュリー・ライジング)」に続き驚愕のラストが待ち受ける1999年の「The Sixth Sense(シックス・センス)」では「A.I.」のHaley Joel Osment(ハーレイ・ジョエル・オスメント)が演じる少年の摩訶不思議な第六感(死人が見える)を治療せんと奮闘する精神科医を演じました。 「The Bonfire of the Vanities(虚栄のかがり火)」はトム・ハンクスが珍しく癖のあるエリートを演じた迫力のある人生ドラマでMelanie Griffith(メラニー・グリフィス)や、2006年に「Marie Antoinette(マリー・アントワネット)」や2010年公開の「All Good Things(幸せの行方…)」では実在の殺人疑惑の主人公の行方不明となった妻を演じることになるデビュー間もないKirsten Dunst(キルステン・ダンスト)も出演しています。(12歳で31歳のブラッドピットと棺で寝てキスをした少女は「ジュマンジ」を経て「スパイダーマン」のメリー・ジェーン・ワトソン役で有名に) そして映画「ハドソン・ホーク」ではニューオリンズのDr. John(ドクター・ジョン)が歌ったハドソン・ホークのテーマはブルース・ウイリスとロバート・クラフトと共同で作詞したものだそうです。
Bruce Willis Sings For The Troops
2003年に歌手としてのブルース・ウイリスが自分のロックバンドである”The Accelerator”を率いてイラクの砂漠で慰問演奏をしたそうです。
Sarah Jessica Parker
美人警備隊員のジョーを演じたサラ・ジェシカ・パーカーですが、1984年のケヴィン・ベーコンの「フットルース」を手始めに多くの作品に出演していますが、「スリー・リバーズ」の翌年にアンゴラ好きな女装趣味の主人公をジョニー・デップが演じた伝記映画「Ed Wood(エド・ウッド)」ではエド・ウッドの恋人で女優の馬面フラー(Do I really have a face like a horse?)を演じブラジャー姿になりました。 この後、1998年~2004年の米・TVシリーズ「Sex And The City(セックス・アンド・ザ・シティ)」が大ヒットし、そのTVシリーズではサラ・ジェシカ・パーカーのファッションが注目されました。 ですが「スリーリバース」でサラ・ジェシカ・パーカーを見ても「セックス・アンド・ザ・シティ」での大成功など全く想像だに致しませんでした。 ましてやこの18年後に”ハリウッドで最も稼いだ女優”としてAngelina Jolie(アンジェリーナ・ジョリー)と肩を並べるなど誰が想像出来たでしょう。(半分以上はサラ・ジェシカ・パーカーのブランドの香水の売り上げだそうですが、推定所得が3000万ドル!日本円で約27億円)
タフガイとして長期に渡り活躍してきたブルース・ウィリスですが2022年に67歳にして銀幕から引退することになりました。 2021年まで映画出演していますが私が最後に観たのは「シン・シティ」でした。
Striking Distance (1993) DVD
ページトップの画像は2010年に発売された「スリー・リバーズ」のBlu-rayですが、下記の画像は2009年発売ですが今後も入荷予定のある「スリー・リバーズ」のDVDです。 中古のDVDは価格にばらつきがあり数百円台から8000円台まで見つかります。
スリー・リバーズ STRIKING DISTANCE
Striking Distance Soundtrack (1993) OST
1993年にリリースされた「スリー・リバース」のサウンドトラックは現在見つかりません。
Brad Fiedel – Striking Distance Theme – YouTube
「スリー・リバース」の映画音楽を手がけたのは1984年の「ターミネーター」や1986年の「ビッグ・イージー」などで知られるシンセサイザー奏者のBrad Fiedel(ブラッド・フィーデル)で、挿入歌は”Lil’ RedE Riding Hood”をはじめ、Bob Seger(ボブ・シガー)の”Feel Like A Number”、Little Feat(リトル・フィート)の”Spider’s Blues (Might Need It Sometime)”と”Things Happen”ですが、映画のテーマ曲”Striking Distance”は1984年からArnold Schwarzenegger(アーノルド・シュワルツェネッガー)が主演した「The Terminator(ターミネーター)」シリーズを手掛けたBrad Fiedel(ブラッド・フィーデル)の作曲だそうです。 オリジナルスコアの”Striking Distance”はピア二ストでもあるMichael Kamen(マイケル・ケイメン)の”Die hard with a vengeance”やAlex Northの”Good Morning, Vietnam”などと共に20曲を収録した「Screen Theme 2」(Velvet Satin Disques VSD-5209)」300枚限定というコンピレーション・アルバムに収録されているそうです。
♪ 試聴はScreen Theme 2 – Soundtrack.net
Let’s not be L-7’s – Sam The Sham & The Pharoahs
映画「スリー・リバーズ」では重要な手がかりとなりそうなSam The Sham & The Pharoahs(サム・ザ・シャム & ファラオス)の”Lil’ Red Riding Hood(赤頭巾ちゃん気をつけて)”や70年代のデトロイト出身の庶民派ロックン・ローラーのBob Seger(ボブ・シーガー)が歌う”Feel Like a Number”も使用されています。
Lil’ Red Riding Hood by Sam The Sham and The Pharoahs
The killer likes to torture his victims to the tune of Sam the Sham & the Pharaohs’ great novelty hit “Lil’ Red Riding Hood”
“Lil’ Red Riding Hood(赤頭巾ちゃん)”は テキサス生まれのメキシコ人ミュージシャンであるサム・ザ・シャム&ファラオスの60年代の大ヒット曲です。
Owoooooooo! サム・ザ・シャム&ファラオスの”Lil’ Red Riding Hood”の歌詞はLil’ Red Riding Hood Lyrics – LyricsPlayground.com
サム・ザ・シャム&ファラオスを聴こう!
ファラオスのリーダーであるテキサス出身のサム・ザ・シャムは中東風衣装とターバン姿がユニークなロッカーです。 Domingo “Sam” Samudio(サム)が作った1965年の”Wooly Bully”は初の大ヒットでしたが、歌詞にスペイン語のカウント・ダウンを入れてメキシコと南西アメリカの融合音楽といわれるTex-Mex(テックス・メックス)の特徴を出した曲だそうです。 映画のサントラとしては1984年の「Splash(スプラッシュ)」、1987年の「Full Metal Jacket(フルメタル・ジャケット)」、1992年の「Night and the City(ナイト・アンド・ザ・シティ)」の冒頭などで使用されていますが2015年にジョナサン・デミが監督した「Ricki and the Flash(幸せをつかむ歌)」でロッキン・ママ役のメリル・ストリープがステージで歌ったのにはビックリ!
Dwight Yoakamもお好き?Wooly Bully- YouTube Owoooooooo!
Sam The Sham and the Pharaohs – Little Red Riding Hood – YouTube
Sam The Sham and the Pharaohs – Wooly Bully- YouTube
”Lil’ Red Riding Hood”がサントラに使用された映画には「Scream(スクリーム)」シリーズや1984年の「Nightmare On Elm Street(エルム街の悪夢)」のFreddyなどのキャラクター・クリエイターとして知られたWes Craven(ウェス・クレイヴン)が2005年に監督した「Cursed(カースド)」です。 人狼をテーマにしているストーリーなのでオープニングとエンディングにこの曲が流れますが、Bowling for Soup(ボウリング・フォー・スープ)のバージョンです。 テキサス出身のこのパンクバンドの”Lil’ Red Riding Hood”は映画「Cursed」のサントラに収録されていますが日本では入手不可。(Original Soundtrack Cursed – Amazon.com ASIN : B00G2I4JSI)
Pharaohization! The Best Of Sam The Sham & The Pharaohs
サム・ザ・シャム&ファラオスの”赤頭巾ちゃん”が収録されているCD
Pharaohization! The Best Of Sam The Sham & The Pharaohs (Sam the Sham & the Pharaohs / Rhino)
♪ 試聴はSam The Sham and the Pharaohs – Pharaohization! – Archive.org
Audio-Visual Trivia内でサラ・ジェシカ・パーカーが出演した映画
2006年の「Failure to Launch(恋するレシピ/理想のオトコの作り方)」
Audio-Visual Trivia内のブルース・ウィリス関連記事
ハーディガン刑事を演じた「シン・シティ」
2004年にカメオ出演した「オーシャンズ12 Ocean’s Twelve」
「ダイ・ハード」は「Let it snow! let it snow! let it snow!」
2001年にBilly Bob Thornton(ビリー・ボブ・ソーントン)と共演した「バンディッツ Bandits」
2006年にアライグマの声を担当したアニメの「森のリトルギャング Over the Hedge」