日米仏の大スターが顔を合わせる超異色西部劇の「レッド・サン」は「From Russia with Love(007 ロシアより愛をこめて」や「L’arbre de Noël(クリスマス・ツリー)」のTerence Young(テレンス・ヤング)が監督しました。 2003年まで五千円札の顔だったInazo Nitobe(新渡戸稲造)の「BUSHIDO,The Soul of Japan(武士道)」を熟読したテレンス・ヤングが、日本の武士と西部のガンマンの「男の友情物語」(buddy movie)を描きました。 1870年のアメリカ西部アリゾナを舞台に国境を越えた男の友情物語が繰り広げられます。 日本からホワイトハウスへの日本使節団の武士(黒田)を演じた世界のいや日本の三船敏郎(Toshiro Mifune)がアメリカの大統領に献上するはずの宝刀を取り戻そうと、列車強盗団の一味であるが三船敏郎の相棒となるCharles Bronson(チャールズ・ブロンソン)はAlain Delon(アラン・ドロン)が演じた列車強盗ゴーシュを、分け前の金貨を奪った裏切り者としてその盗賊一味をとっ捕まえようと、二人は目的が違い反発し合いながらも行動を共にし弥次喜多風に西部を旅します。
1960年に「Plein Soleil(太陽がいっぱい)」で一躍脚光を浴びたアラン・ドロンは1967年の「Le Samurai(サムライ)」で共演したNathalie Delon(ナタリー・ドロン)と結婚した後にハリウッドに渡ったこともありましたが成功ならず、この国際映画「レッドサン」で西部劇に挑戦しています。 テレンス・ヤング監督は「レッド・サン」の前年、1970年にフランス映画の「De la part des copains(Cold Sweat / 夜の訪問者、DVD画像はASIN: B000UMXBZ4)でジョー・マーチン役に、又「レッドサン」の後1972年に「The Valachi Papers(Cosa nostra / バラキ)」でもチャールズ・ブロンソンをラ・コーザ・ノストラ(伊マフィアの一つで犯罪集団)の実態をFBIに告白し病死するまで独房で生きた主役のジョー・バラキ役に起用しています。 そのチャールズ・ブロンソンは元妻のジル・アイランドが癌で死亡後、2003年に81歳で亡くなっています。
※ テレンス・ヤングも勉強した新渡戸稲造について書かれている人物 日本帝国時代 – ffortune.net
☆ (^-^); 用心棒の桑畑三十郎(続編の椿三十郎か)の三船敏郎が切りつける動画がトップページで思わず笑ちゃう公式サイトはあまりにも軽かったのか消滅しましたが現在はこちらの「三船敏郎オフィシャルサイト(Toshiro Mifune Official Website)
☆ Akira Kurosawa(黒澤明)監督の1949年の「Nora inu(野良犬)」では三船敏郎はコルト(拳銃)を盗まれた村上刑事を演じました。 「七人の侍」のようなコミカルな演技も多かった今は亡き三船敏郎は嘘か誠か、1977年にGeorge Lucas(ジョージ・ルーカス)が監督した「Star Wars(スター・ウォーズ)」でのBen Obi-Wan Kenobi(オビ=ワン・ケノービ)及びDarth Vader(ダース・ベイダー)役を蹴ったそうですがライトセーバーを振り回す三船のダースベイダーを見たかったと惜しむ声もあるようです。
さて、映画「レッド・サン」に華をそえる美人女優陣は、西部の娼婦館のマダムに、The Pink Panther(ピンクの豹)に出演した美女のCapucine(キャプシーヌ )、アラン・ドロンにぞっこんの娼婦には、”昔”ボンドガールのUrsula Andress(ウルスラ・アンドレス)です。
スイス生まれのウルスラ・アンドレス(昔はアシュラー・アンドレスと表記)はハリウッドで活動している時に自動車事故で急逝したJames Dean(ジェームス・ディーン)と交際した後、「All The Kings Men(オール・ザ・キングスメン)」(1949年) などに出演したJohn Derek(ジョン・デレク)と10年ほど結婚したことがありました。 1965年に「Les Tribulations d’un chinois en Chine(カトマンズの男)」で共演した既婚のJean Paul Belmondo(ジャン・ポール・ベルモンド)がメロメロになってかなり長いことパートナー関係にあったそうですが噂が広まり3人の子持ちだったベルモンド夫妻は1966年に離婚に至ったとか。 モテモテのウルスラはベルモンドの後にFabio Testi(ファビオ・テスティ)と数年間の交際があったりと恋の噂が絶えません。
ウルスラ・アンドレスの写真が見られるUrsula Andress Photos – AcePhotos.org どうです、セクシーでしょう?
馬上から、おフランス語で「メルシー」と叫んだり、飛んでる蚊を日本刀でタタッ切ったりと日本では見られない「世界の三船」が大活躍! え~と、蝿を切ったのは・・・武蔵か。
そうそう、マダム・キャプシーヌの娼婦館では、その三船がブロンドガールをありがたく頂戴つかまつってニンマリ!なんてシーンもあります。 本当に嬉しそうですな。
世界の三船と西部の男ブロンソン共演の「レッドサン」DVDですが現在はBlu-ray(ブルーレイ版)も販売されています。
ページトップの画像は日本で入手できる1998年輸入版(英語)ヴィンテージVHSですが、DVDもヴィンテージ価格で2004年発売の日本語字幕版「レッド・サン」があります。
レッド・サン
※ 2004年発売の日本語字幕版の「レッド・サン ニューマスター版 [DVD]」(ASIN: B000657R8M)もあります。
Soleil Rouge Soundtrack
「レッド・サン」のサウンドトラックは、1965年の映画「The Collector(コレクター)」の音楽を担当したMaurice Jarre(モーリス・ジャル 又はジャール)が作曲した無国籍ウェスタン音楽の傑作で、テーマ曲は拍子木(クラベス)が印象的な”Soleil Rouge”で琴を取り入れたエキゾチックな”Le sabre(日本刀)”やドラマチックな”Commanches(インディアン)”など12曲を収録しています。
モーリス・ジャールが手掛けた映画音楽は1959年のアリダ・バリが出演した「Les Yeux sans visage(顔のない眼)」、1965年の「コレクター」、1968年の「Isadora(裸足のイサドラ)」、1990年の「ゴースト/ニューヨークの幻」など話題作品が続きますが、日本では1965年の大作「Doctor Zhivago(ドクトル・ジバゴ)」でジャールがアカデミー賞の作曲賞を受賞し、ヒットパレードでもよく流れた”Lara’s Theme(ララのテーマ)”が知られています。
Soleil Rouge:Maurice Jarreが試聴できるレッド・サン 【DSDリマスタリング】
オリジナルが1972年のモーリス・ジャル音楽の「レッド・サン」サウンドトラックは何種類もリリースされていますがこちらは2008年発売のサントラです。
Soleil Rouge ( Red Sun ) [Soundtrack]
新渡戸稲造の「武士道」を読んでみます?(英語版ペーパーバック)
Bushido: The Soul of Japan
上記の他にも2004年発売の英語版「Bushido: Samurai Ethics and the Soul of Japan (ペーパーバック) 」や、2007年発売のドイツ語版の「Bushido. Der Ehrenkodex der Samurai (ハードカバー) 」もあり。
☆同じ「サン」でも「レッド・サン」は「ライジング・サン」とは違って、大変安心して観られる日本観です。 最後の唖然とするシーンで電線にぶる下がった「天下の宝刀」の扱い以外は!
Charles Bronson (1921 – 2003)
同じ「西部劇」でもブロンソンが主演した1968年の「C’era una volta il West(ウエスタン)」は男が惚れるマカロニウエスタンでした。 映画の華は一輪、Claudia Cardinale(クラウディア・カルディナーレ)で、同年にMaurice Jarre(モーリス・ジャルが音楽を担当した「裸足のイサドラ」に出演した舞台出身のJason Robards(ジェイソン・ロバーズ)がカルディナーレが演じる開拓女を助ける珈琲好きのCheyenne(シャイアン)を演じます。 1959年に「刑事」でメジャー・デビューしたクラウディア・カルディナーレは王女さまを演じた1963年の「ピンクの豹」あたりから垢抜けて綺麗ですが、ショーン・コネリーが探検家のRoald Amundsen(アムンゼン)を演じてカルディナーレが看護婦を演じた1970年の「Krasnaya palatka(La tenda rossa)」邦題が「SOS北極 赤いテント」でも超綺麗。 ジェイソン・ロバーズはBogie(ハンフリー・ボガート)そっくりの俳優とはいえボギーほどハードボイルドな男ではありませんが、ボギーの死後1960年代にハンフリー・ボガート未亡人のLauren Bacall(ローレン・バコール)と結婚したこともあります。 「ウエスタン」ではチャールズ・ブロンソンがキーパーソンの”Harmonica(ハモニカ)”という赤シャツを着た謎の男を演じます。 果たしてハモニカ男の正体は。
ラストシーンで無理強いにハーモニカを銜えさせられた幼い弟の面影を偲んでブロンソンが吹く哀愁のハーモニカが涙を誘います。(L’uomo dell’ armonica、Man With A Harmonica、復讐のバラード) 決闘の末生き絶える殺し屋フランク(ヘンリー・フォンダ)の口に自分の首からもぎ取ったハモニカを咥えさせるのです。
1964年の「Per un pugno di dollari(荒野の用心棒)」や1965年の「Per qualche dollaro in più(夕陽のガンマン)」は言うに及ばず1984年の「Once Upon a Time in America(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ)」を監督したSergio Leone(セルジオ・レオーネ)の大作で、余韻の残る音楽はマカロニウエスタンのサウンドトラックを数多く手掛けているEnnio Morricone(エンニオ・モリコーネ)です。 モリコーネは1974年にHenry Fonda(ヘンリー・フォンダ)が主演した「Il mio nome è Nessuno(ミスター・ノーボディ)」の音楽も手掛けています
壮大なエンニオ・モリコーネのサウンドトラックはOnce Upon A Time In The West: The Original Soundtrack Recording(試聴の7番にブロンソンのハーモニカの片鱗が偲ばれます)
※この「ウエスタン」は英語のタイトルが”Once Upon a Time in the West”といいますが、なんと”Tenkrát na Západě”というチェコ語で検索が入って来て驚きました。 C’era una volta il West 多分東欧Czech(チェコ)のトラッシュメタルバンド「Asmodeus」の1991年のアルバム「Prosincová noc blíže neurčeného roku」に収録されている曲名と一緒のようです。(ハモニカをフィーチャーした曲)
雨の訪問者 サウンドトラック
1950年代から1970年代には毎年のように話題映画に出演したCharles Bronson(チャールズ・ブロンソン)が日本で注目されたのはやはり1960年の「The Magnificent Seven(荒野の七人)」や1963年の「The Great Escape(大脱走)」からでしょう。 その後、1965年の「The Sandpiper(いそしぎ)」や1965年の「This Property Is Condemned(雨のニューオリンズ)」などのロマンティックな映画にも出演しましたが、「レッド・サン」の前年の1970年はフランス映画の「De la part des copains(夜の訪問者)」とFrancis Lai(フランシス・レイ)のワルツのテーマ音楽で人気の「Le Passager de la pluie(雨の訪問者)」、Piero Piccioni(ピエロ・ピッチオーニ)のクールな音楽に男前のGiancarlo Giannini(ジャンカルロ・ジャンニーニ)が主演した「Travolti da un insolito destino nell’azzurro mare d’agosto(流されて… SWEPT AWAY)」の脚本及び監督のLina Wertmüller(リナ・ウェルトミューラー)が同じく脚本を手掛けたイタリア映画の「Città violenta(狼の挽歌)」などと5本のうち4本が欧州映画でブロンソン夫人のJill Ireland(ジル・アイアランド)と共演しています。 1962年の”Watermelon Man”が大ヒットしたジャズピアニストのHerbie Hancock(ハービー・ハンコック)が音楽を手掛けた1974年の「Death Wish(デスウィッシュ/狼よさらば)」は1982年の「Death Wish II(ロサンゼルス)」と1985年の「Death Wish 3(スーパー・マグナム)」とともにMichael Winner(マイケル・ウィナー)がBrian Garfield(ブライアン・ガーフィールド)の原作をもとにして監督しています。 「ロサンゼルス」と「スーパーマグナム」は音楽はブリティッシュ・ロックのJimmy Page(ジミー・ペイジ)でした。 ジャズピアニストのハービー・ハンコックは1986年の「Round Midnight(ラウンド・ミッドナイト)」や1966年の「Blow-Up(欲望)」などのサウンドトラックも手掛けています。
チャールズ・ブロンソンは「レッドサン」で共演したでアラン・ドロンとはOlga Georges-Picot(オルガ・ジョルジュ=ピコ)も出演した1968年の「Adieu L’ami(さらば友よ)」でも共演しました。
フランスのJean Herman(ジャン・エルマン)が脚本と監督を手がけた悪党どものバッディ・ムービーで「さらば友よ」には1951年の「Jeux interdits(禁じられた遊び)」で可愛いポーレットを演じて映画デビューしたBrigitte Fossey(ブリジット・フォッセー)も出演していました。 その後の1958年から1960年にかけて放映されたTVドラマ「Man with a Camera(カメラマン・コバック)」という白黒のテレビシリーズではフラッシュを焚いて写真撮影するフリーランス・カメラマンのMike Kovac(マイク・コヴァック)として29話に出演したそうです。 そういえば昔はエレクトリック・フラッシュのストロボより昔はカメラに閃光電球(フラッシュバルブ)というマグネシウム電球を1回づつ取り付けて写したのでした。
Man with a CameraのDVD画像が見られるカメラマン・コバック DVD-BOX 1 – Amazon.co.jp
Man With a Camera VHSはAmazon.co.jpにあり。(ASIN: B00000DC9Y)
「さらば友よ」のDVDはAmazon.co.jpにあり。(ASIN: B001FR1NYY)
私が観たCharles Bronson(チャールズ・ブロンソン)の映画はほとんどが活劇か闘うストーリーでしたが、1966年にNatalie Wood(ナタリー・ウッド)とロバート・レッドフォードが共した「This Property Is Condemned(雨のニューオリンズ)」でヒロインの母の愛人”J.J. Nichols(ジェイジェイ)”役でした。
Charles Bronson: The 95 Films and the 156 Television Appearances (Book)
Charles Bronson: The 95 Films and the 156 Television Appearances
1970年に大林宣彦が監督したチャールズ・ブロンソン主演の男性化粧品「MANDOM」のCMでチャールズ・ブロンソンがアゴをなでて、「Hummmmm…Mandam!」と言いました。 嘘かまことか、それを観ていたテレビの前の女性達が失神したとか。
All the world loves a lover
All the world loves MANDOM
Grooming all the worlds great lovers
Man o man, thats MANDOM…
300 Hits in Japan 1965-1984, Vol. 5: 1971-72
コマーシャルのBGMの曲「Mandom-Lovers Of The Worldを歌ったJerry Wallace(ジェリー・ウォーレス)は60~70年代のカントリー歌手です。 ジェリー・ウォーレスの1968年のCMソング”Lovers of the World(マンダム~男の世界)”はLIBERTYレコードから日本で発売されました。 現在はアルバム「僕たちの洋楽ヒット Vol.3 1968~70」又は「THE 70’S-BEAUTIFUL DAYS」に収録されています。
☆Jerry WallaceのMandom – Lovers Of The Worldのバージョンではないですが、All the world loves lovers…と歌われる歌詞はLovers Of The World – Lyrics Depot
ジェリー・ウォーレスのアルバム「Primrose Lane: The Very Best of Jerry Wallace」(ASIN: B000009QJC)
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追記:
コメント欄の「みどり」さんからの情報のリンク先をご覧になると貴女は失神します。Hummmmm…Mandam!
コメントありがとうございました。
早速、再びお邪魔しちゃいました。わたしのはかたっくるしくて、つまんないですけど、こちらは楽しく読ませていただきました。しかし、寝る前にウルスラ・アンドレスの写真、ちょっと刺激が強すぎたようです。
では、また。
トム(Tom5k)さん、早速見て頂けたのですね♪
あっはー、甘いですな。ウルスラ・アンドレスよりエマニエル夫人は刺激的ですよ。眠りたくない夜にどうぞ!
YouTubeでこんなんみつけました。
http://www.youtube.com/watch?v=CV3gA7hNItY
「ミドリ」さん、貴重な映像の情報を有難うございます!皆さんも観てください!歌も聴ける日本語のCMです。最近はYouTubeさまさまですね。
思わず気絶しそうになりましたよ。Hummmmm…Mandam!
koukinobaabaさん、ほんとにほんとにご無沙汰していてすみません。
久しぶりに記事をアップしました。相変わらずドロンばっかりですが、三船&黒澤との関係の内容です(かなり以前に放映された『SMAP×SMAP 』の番組を参考にしてます)。
それにしても、チャ-ルズ・ブロンソンの「マンダム」のCMは、ほんとうに懐かしいです。
わたしは小学生2年生ころだったとおもいます?
では、また。
トムさん、コメントはお久しぶりですが「時代の情景」はリンクしてあるので時々読ませていただいております。相変わらず含蓄ふかい薀蓄、いや評論で真似しようにも私には出来ませんが大変参考になります。