愛についてのキンゼイ・レポート  Kinsey (2004)

Kinsey DVD
Kinsey DVD
Liam Neeson plays Dr. Alfred Kinsey
愛についてのキンゼイ・レポート(2004年)

脚本家でもあるBill Condon(ビル・コンドン)が監督する「愛についてのキンゼイ・レポート」は、アメリカの蜂の生態研究で注目された動物学者で、科学的にセックスを分析した性科学者のAlfred C. Kinsey(アルフレッド・キンゼイ博士)の伝記映画です。 アルフレッド・キンゼイ博士は♂キンゼイレポート♀(1948年「男性の性行動」、1953年「女性の性行動」)で世間を驚かせた性科学研究者であります。
ビル・コンドンは2002年にRob Marshall (ロブ・マーシャル)が監督したミュージカル映画「Chicago(シカゴ)」では脚本を手掛けていますが、2006年にはEddie Murphy(エディ・マーフィー)とJamie Foxx(ジェイミー・フォックス)が出演するミュージカル映画「Dreamgirls(ドリームガールズ)」で監督及び脚本を担当します。

Liam Neeson
アルフレッド・キンゼイを演じたリーアム・ニーソンは1993年の「Schindler’s List(シンドラーのリスト」の後、1998年にVictor Hugo(ヴィクトル・ユーゴー)の名作を映画化した「Les Misérables(レ・ミゼラブル)」でジャン・バルジャンを演じました。(警察署長ジャベールを演じたジェフリー・ラッシュがインパクトあり) リーアムが元秘密工作員ブライアン・ミルズを演じて拉致された娘の奪還に奔走するサスペンス映画でリュック・ベッソンが製作した2008年の「Taken(96時間)」に続く2シリーズが製作されてリーアムはすっかりアクションスターとなりました。 スティーヴン・セガールも真っ青かと思われるようなリーアムの闘いが息つく暇もなく続き思わずのけぞるほどのアクション続きで肩が凝ります。(リュック・ベンソン製作) 最近観たのは2014年に航空保安官を演じた「Non-Stop(フライト・ゲーム)」(これも肩が凝った!首も凝った!)と2012年の「The Dark Knight Rises(ダークナイト ライジング)」ですがバットマン・シリーズではヘンリー・デュカード(実はRa’s Al Ghul)を演じています。 キンゼイ博士と結婚する教え子のクララ・マクミレンを演じるのは1995年の「Congo(コンゴ)」でレーザー通信の核となるブルー・ダイヤモンドの鉱脈を探査中に消息不明となったフィアンセを探しにアフリカ奥地に行くカレン・ロス博士役で主演し、1998年の「The Truman Show(トゥルーマン・ショー)」でジム・キャリーの妻役を演じたLaura Linney(ローラ・リニー)です。 異色なのは「海と毒薬」などキリスト教文学で知られる遠藤周作の原作「沈黙」をMartin Scorsese(マーティン・スコセッシ)が監督する2016年の「Silence(沈黙 サイレンス)」で拷問(穴吊りの刑)に屈し信仰を放棄した後日本名を名乗って転びバテレンと共にキリシタン弾圧に協力したカトリック宣教師(イエズス会士)のクリストヴァン・フェレイラ(クリストファン・フェレイラ)を演じます。 アルフレッド・キンゼイの同性の恋人との共同執筆者ワーデル・ポメロイを演じたChris O’Donnell(クリス・オドネル)は1992年の「Scent of a Woman(セント・オブ・ウーマン/夢の香り)」で中佐(アル・パチーノ)の世話係りのバイトをする大学の奨学生チャーリー・シムズ役でした。(1995年に「バットマン フォーエヴァー」でバットマンの相棒ロビンを演じるなんて!) そして厳格なアルフレッドの父親アルフレッド・シークイン・キンゼイを演じたのは1982年の「(ガープの世界)」で性転換した元フットボール選手のロバータ・マルドゥーンを演じた193cmのJohn Lithgow(ジョン・リスゴー)でした。
☆ 博士とポール・ゲブハルト(演・ティモシー・ハットン)はじめ3人の助手が手がけたキンゼイレポートによれば約10人に1人が同性との性行為を経験しているんだとか。(日本ではどうでしょうかね) ちなみに「Q&A」のティモシー・ハットンは1960年に「地下街の住人」や「ボーイハント」などに出演したノッポのジム・ハットンの息子です。

videoKinsey(愛についてのキンゼイ・レポート)のトレーラーはKinsey Trailer – VideoDetective
アメリカでは2004年11月に公開で、日本では2005年8月公開ですが、テーマがテーマだけに「R」指定です。(R=Restricted 成人向け映画) といってもあからさまな性描写があるのではなく言葉や図解のことでしょう。

1999年のコメディ映画「マルコビッチの穴」などの映画音楽で知られるCarter Burwell(カーター・バーウェル)作曲でThe New York Philharmonic演奏のサウンドトラックには収録されていないですが、エンディングクレジットでキンゼイ研究所提供でハリネズミからトカゲまで色々な動物達の繁殖行動が映し出されるBGMとしてLittle Willie John(リトル・ウィリー・ジョン)の”Fever(フィーヴァー)”が流れます。 ”フィーヴァー”はR&B歌手のリトル・ウィリー・ジョンが1955年にヒットさせた曲ですが、後に Peggy Lee(ペギー・リー)が1958年にジャズ調に歌って大ヒットしたので、オリジナルだと思われていたようです。 リトル・ウィリー・ジョンの”フィーバー”は1987年の映画「Big Town(ビッグタウン)」でも使われています。
Fever (1956) – YouTube

2004年秋にブッシュ氏が勝利した大統領選挙でも隠れた争点となった「中絶問題」ですが、このところマイク・リーが監督した2004年の「ヴェラ・ドレイク」や2004年にジュード・ロウが主演した「アルフィー」などの映画でも題材になってます。 ブッシュの強力な支持組織の一つに”CWA”(Concerned Women for America アメリカを憂える婦人の会)がありますが、映画「愛についてのキンゼイ・レポート」に反対してキンゼイ博士のレポート作成手段の手落ちを突っ突いているとか。

インディアナ大学のKinsey Institute for Research in Sex, Gender and Reproduction(キンゼイ研究所)はKinsey Institute (現在は映画「愛についてのキンゼイ・レポート」についてのFAQは消滅)

ページトップの画像はFox Searchlight販売の英語版DVD(ASIN: B0007PALGG)ですが、こちらは2006年に発売された日本語字幕の初回限定版DVDです。
Kinsey愛についてのキンゼイ・レポート


19991年小学館発売の日本語の単行本「最新キンゼイ・リポート」は貴方の性の悩みに科学的にお答えします。
著者は元キンゼイ研究所副所長のルース・ビーズリーと現所長のジューン・マコーバー ライニッシュ、 翻訳は小曽戸明子と宮原忍両氏
kinseybook2.jpg最新キンゼイ・リポート 単行本


☆映画のサントラで”Fever”を歌ったリトル・ウィリー・ジョンについてはAudio-Visual Trivia内の「Fever by Little Willie John