Blues In The Night: The Movie (1941)
Blues in the Night DVD – Amazon.com
A bad woman in love with a bad man, who spurns her, can ruin the lives of others.
「Blues In The Night」は1941年にAnatole Litvak(アナトール・リトヴァク)監督のミュージカル映画で、悪党に横恋慕する悪女(Famme Fatalesファム・ファタル)が、他の人々の人生を破壊するというストーリーです。
※ ファム・ファタルとはフランス語で致命的な女を意味し、カルメンのように男の身を滅ぼすような女ですから、惚れてはいけません。
ジョー・スタッフォードが歌った「Blues In The Night (My Mama Done Tol’ Me) (夜のブルース)」は1941年の映画「Blues In The Night」 のテーマ曲でした。 Harold Arlen(ハロルド・アーレン)作曲でJohnny Mercer(ジョニー・マーサー)作詞のコンビによる「Blues In The Night」は同年の第14回Academy Awards(アカデミー賞)で歌曲賞を受賞しました。 映画「Blues In The Night」で、他に有名な曲はGeorge Gershwinの”I Got Rhythm”です。
ジョニー・マーサーについて書かれた歌をつくる人にまつわる話 Johnny Mercer
若いエリア・カザンも見られる映画「Blues In The Night」のトレーラーはBlues In The Night Trailer (1941) – Turner Classic Movies(開始までちょっと辛抱、又は画像右のtrailerをクリック)
Blues In The Night (1941) Trailer – VideoDetective
1941年の映画「Blues In The Night」では囚人役で出演の獄中のバリトン歌手が歌うオープニング・シーンからBGMなどとして全編通してテーマ曲の”Blues in the Night”が流れます。
「Blues In The Night」には、俳優としては1940年の「City for Conquest(栄光の都)」など5作品だけ出演したElia Kazan(エリア・カザン又はイリア・カザン)がバンド・メンバーのNickie役で出演しています。 エリア・カザンが監督した映画にはEast of Eden(エデンの東)やBaby Doll(ベビイドール)など名作がたくさんあります。
Blues In The Night by Jo and The
Blues In The NightはTommy Dorsey(トミー・ドーシー)楽団の男性ヴォーカル・グループのThe Pied Pipers(パイド・パイパーズ)をバックに歌う専属歌手だったJo Stafford(ジョー・スタッフォード)のヒット曲の一つです。 とはいえ、私が最初にジョー・スタッフォードの声の魅力に取り付かれた歌はI walked on London Bridge last nightと歌われた1956年にRay Connif(レイ・コニフ)編曲でThe Paul Weston Orchestra(ポール・ウェストン楽団)と録音し、日本では1957年に大ヒットした曲の”On London Bridge(霧のロンドンブリッジ、もしくは霧のロンドン)”でした。
♪ On London Bridge by Jo Stafford – YouTube
Blues In The Night Tommy Dorsey, Jo Stafford and The Pied Pipers
☆パイド・パイパーズは40年代にジョー・スタッフォードと共にトミー・ドーシー楽団の専属として活躍したグループで当初はアカペラだったそうですが、テナー・ヴォーカル2人、バス・ヴォーカル1人に女性シンガーが一人加わった4人で編成さたユニークなコーラス・グループでした。
The Best of the Pied Pipers
右上の画像は1997年にリリースされたジョー・スタッフォードとパイド・パイパーズのベスト盤の「The Best of the Pied Pipers Featuring Jo Stafford」(ASIN: B000007QG6)で私の好きな”Dream”が収録されています。 オリジナルは78回転レコードではリリースされなかったそうでラジオ放送から録音したそうです。 Capitol Recordsからリリースされた「Best Of The Pied Pipers」はジョー・スタッフォードがまだグループ(パイド・パイパーズ)のメンバーだった1943年から1944年の10曲(とろけそうな”Dream(ドリーム)”をはじめ愉快な”Pistol Packin’ Mama”や”I Didn’t Know About You”など)が収録されていCDです。 レコード・ジャケットの丸い写真にあるようにジョー・スタッフォードと交代した声がそっくりのJune Hutton(ジューン・ハットン)との1948年録音のIt’s Too Soon to Knowなど12曲も含む全25曲を収録しています。
☆詳しく英語で書かれたSingers.comの「The Pied Pipers – Singers.com」(パイパーズとジューン・ハットンとのアルバム「Good Deal MacNeal」から”There’s A Boat dat’s Leavin’ Soon For New York”がReal Playerで聴けます)
Blues In The NightはDinah Shore(ダイナ・ショア)が歌ってヒットしたという説もありますが、最初はBilly May(ビリー・メイ)のアレンジで黒人のジャズ歌手であるElla Fitzgerald(エラ・フィッツジェラルド)が歌ったようです。
「The Quota(ザ・クォータ)」というアルバムが有名なピアニストのRed Garland(レッド・ガーランド)はSam Jones(サム・ジョーンズ)のベースとArt Taylor(アート・テイラー)のベースのトリオでその名も「Blues In The Night」というレアなオルガン演奏も聴かせるブルージーなバップ・アルバムに収録していますし、アルバムの「The Cat」に収録されているJimmy Smith(ジミー・スミス)のバージョンもいいですが、「Jukebox Hits 1935-1947」や「1934-1942: An Introduction to Jimmie Lunceford」に収録されているJimmie Lunceford(ジミー・ランスフォード)やWoody Herman(ウッディ・ハーマン)のバージョンやCab Calloway and The Palmer(キャブ・キャロウェイ)愉快なヴォーカルバージョンの”Blues In The Night”も面白くて好きです。
☆演奏によっては「Blues Into The Night」となっていることもある”Blues In The Night”のご本家であるJohnny Mercer(ジョニー・マーサー)が歌う”Blues In The Night”は男性バージョンなので、’My Mama Done Tol’ Me…’と歌われるBlues In The Nightの歌詞は女性ヴォーカルでは「半ズボンをはいていた頃」が「ポニーテイルの頃」などに変わります
Blues In The Night Lyrics – Spiritofsinatra.com
G.I. Jo Sings the Hits
Blues In The Night(ブルース・イン・ザ・ナイト)が収録されているジョー・スタッフォードのアルバムには定番曲となった”Long Ago (and Far Away)”も収録されています。 この”Long Ago”という曲は1944年にRita Hayworth(リタ・ヘイワース)とGene Kelly(ジーン・ケリー)が出演した映画「Cover Girl(カバーガール)」の挿入歌でJerome Kern(ジェローム・カーン)が作曲しIra Gershwin(アイラ・ガーシュイン)が歌詞を書きました。 この曲はジョー・スタッフォードがCapitol Recordsからリリースしてビルボード入りし大ヒットとなりましたが、他にも女性歌手ではHelen Forrest(ヘレン・フォレスト)、男性歌手ではDick Haymes(ディック・ハイムス)、、Bing Crosby(ビング・クロスビー)、Perry Como(ペリー・コモ)なども吹き込んでいます。
G.I. Jo Sings the Hits
同名タイトルの国内盤もあります。
☆ちなみに”Over the Rainbow(虹の彼方に)”で知られるHarold Arlen(ハロルド·アーレン)が 1943年のミュージカル「Cabin in the Sky」のために書いた曲”Happiness Is Just a Thing Called Joe”は”Blues In The Night”同様に私が好きな曲でEthel Waters(エセル・ウォーターズ)が初めて録音しました。 1948年にWoody Herman(ウッディ・ハーマン)がアルバム「Blowin’ Up a Storm」に収録した他、Judy GarlandやPeggy Lee(ペギー・リー)などの女性ジャズ歌手たちがカバーしています。 私的に印象的なカバーとしては1955年のLillian Roth(リリアン・ロス)伝記映画「I’ll Cry Tomorrow」でSusan Hayward(スーザン・ヘイワード)が成人してもステージママに干渉され初恋の人が結核で死亡したせいかアルコール中毒となったミュージカル・スターを演じヘベレケで舞台で歌った”Happiness Is Just a Thing Called Joe”でした。 ジョー・スタッフォードのアルバムではオリジナルが1940年という4枚組輸入盤「Beyond the Stars: Key Recordings 1940-1959」(ASIN: B003MY6B04)のディスク:3に収録されています。
1944年に三姉妹の「The Stafford Sisters」としてラジオデビューしたジョー・スタッフォードは、スウィング・ジャズの全盛時代にはダイナ・ショアに次ぐ人気の女性歌手といわれ、時にはダイナを上回るほどのヒット曲も発表しました。 第二次世界大戦時の米軍お気に入りのミュージシャンの一人だったそうですから上記の「G.I. Jo Sings the Hits」などというタイトルのアルバムがリリースされたのでしょう。そして下記のV-Disc Recordingsシリーズのジョー・スタッフォードのアルバムも数少ないジョー・スタッフォードのCDとしては貴重かもしれません。 スタッフォード姉妹の写真
V-Disc RecordingsのV DISCSとは1942年から1949年の第二次世界大戦時に米軍特別慰労師団が戦地の兵士慰問のため製造したSPレコードのシリーズで、パラシュートで蓄音器と一緒に落としたこともあったそうです。
You Belong to Me
ページトップの2枚組CDセット画像は人気アルバムの「You Belong to Me」です。Blues in the Nightをはじめ、September Song、In the Still of the Night、You Belong to Me、Jambalaya (On the Bayou)、Keep It a Secret、そしてジョー・スタッフォードが1945年に録音した”Walkin’ My Baby Back Home(歩いて)帰ろう”など1942年から1952年に吹き込んだ54曲を収録してあり、中にはGordon MacRae(ゴードン・マクレー)や Frankie Laine(フランキー・レイン)とのデュエットも含んでいます。
試聴はYou Belong to Me – CD Universe
Blues In The Nightは収録されていませんがジョー・スタッフォードの1940年代の懐かしい曲のCD化です。 スタンダード曲のBlue MoonなどのバックのトロンボーンはTommy Dorseyではないようですが。
V-Disc Recordings: A Musical Contribution by America’s Best for Our Armed Forces Overse
同名タイトルの国内盤もあります。
オリジナルは戦時中の1943年というスイング・アルバムには”Long Ago (And Far Away)”や”Temptation”などが収録されています。
Capitol Collectors Series
※1933年にBing Crosby(ビング・クロスビー)がGoing Hollywood(虹の都へ)で歌った”Temptation(誘惑)”は本来はロマンティックな曲ですが、ジョー・スタッフォードは”Cinderella G.Stump”という名でRed Ingle(レッド・イングル)と一緒にコミカルにカントリー調で歌って大ヒットしました。
Red Ingle & Cinderella G. Stump – Temptation – YouTube
オリジナルは1960年リリースのアルバムで私の好きなLove for Sale、Candy、Teach Me Tonightなどの他、78回転でリリースされたシングル盤のEarly AutumnとJambalayaが収録されています。
Big Band Sound
☆ちなみに収録曲の”Candy”は1944年にAlex Kramer(アレックス・クラマー)が作曲したポピュラーソングでジョニー・マーサーとパイドパイパーズがジョー・スタッフォーソをフィーチャーして吹き込み1945年のビルボードにチャートインしました。
ジョー・スタッフォードの1946年のSeptember Songが聴けるSeptember Song – Jan’s 78 RPM Record Warehouse(September Song (Weill, Anderson)でページ内検索、Recorded October 18, 1946.のレコード画像をクリック / http://www.radionostalgia.nl/september.htm)
Always True to You, Darling, in My Fashionが聴けるJo Stafford – Don Edrington’s Big Band & Swing Era Songs
Gordon MacRaeやJohnny Mercerとジョー・スタッフォードが聴けるJo Stafford – Jazz On Line.com(Jo Staffordで検索、曲名をクリック)
1960年代まで美しい声で活躍したジョー・スタッフォードは又、歌手だけでなく現代パロディ音楽の先駆者ともいわれ、1961年に二度目の夫のビッグバンド・リーダーのPaul Weston(ポール・ウエストン)と「Jonathan and Darlene Edwards in Paris」というアルバムでグラミー賞のBest Comedy Albumを受賞しているそうです。
クラリネットのBenny Goodman(ベニー・グッドマン又はベニイ・グッドマン)、トランペットのHarry James(ハリー・ジェームス)、Ella Fitzgerald(エラ・フィッツジェラルド)が歌う58年か60年頃のイギリスのTV番組で、ジョー・スタッフォードはHow Come You Do Me Like You DoとI Got It Bad And That Ain’t Goodを独唱、エラと一緒にSt. Louis Bluesを熱唱しています。ビブラフォンは当時ベニー・グッドマンと60年代に組んでいたRed Norvo(レッド・ノーヴォ)のようです。
Jo Stafford and Ella Fitzgerald – YouTube
Jo Stafford – The Gentleman Is A Dope – YouTube
Jo Stafford Autumn Leaves – YouTube
私はEtta JonesのBLUES IN THE NIGHT が印象に残っています。
alex99さん、コメント有難う御座います。私は”At Last”を歌った後輩のEtta Jamesと勘違いしてしまいましたが、Etta JonesはテナーサックスのGeorgie AuldやGene Ammonsなどとも共演したBllie Holidayのような歌手なんですね。