より真実のアフリカ版「シンドラーのリスト」
世界が見ないフリをした時、彼は手を差し伸べた!
ホテル・ルワンダ(2004年)
When the world closed its eyes, he opened his arms.
Terry George(テリー・ジョージ)監督による1994年のルワンダ虐殺事件が主題となった史実に基づくインディ映画です。 1994年にルワンダで、少数派のツチ族がフツ族大虐殺を行った人民戦争の際、数千人の命を救ったルワンダ・ホテルのマネージャーをDon Cheadle(ドン・チードル)が主演する他、そのルワンダホテルに滞在するジャーナリストJack DaglishをJoaquin Phoenix(ホアキン・フェニックス)が演じます。 土砂降りの中、ホテルから脱出する白人客に傘をさしかけて見送る支配人の映像は切ない。
日本の中高年向けスーツのブランドに名を貸すというJean Reno(ジャン・レノ)がSabena航空ホテルの社長役でカメオ出演しています。
多数派のフツ族によって少数派のツチ族やフツ族穏健派など大勢が虐殺されたこの事件は後の2012年にルワンダ国際刑事裁判所(ハーグ)1994年当時のルワンダの元閣僚に虐殺を扇動したとして約65人に有罪判決を下しています。
Joaquin Phoenix
☆「ホテル・ルワンダ」でジャーナリストのジャックを演じたプエルトリコ出身のホアキン・フェニックスは1995年のサスペンス映画「To Die For(誘う女)」でニコール・キッドマンの色香にのぼせる若者役、1999年のスナッフ・フィルムを追った「8mm」では真面目探偵転じて必殺仕置き人のニコラス・ケイジに協力するアングラポルノに詳しいアダルトショップの店員でキモ可愛いマックスなど多岐にわたる役を演じています。 2005年の「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」の後は歌手になるから引退するという噂があったのですが、歌手になりたくても映画界が放さないのかその後も次々と映画で主演しています。
アメリカでは2005年2月に全米公開したものの日本公開は未定でしたが、前例の無いSNSのmixiを中心とした署名運動によって公開が決定したそうです。
メディア・スーツの配給により、シアターN渋谷にて2006年1月14日公開です。
暴力シーンのため「PG-13」(13未満の年少者は親の同意が必要)指定です。
私が10年ほど前にこのルワンダ虐殺事件を知ったのは雑誌「TIME MAGAZINE」の特集記事からでした。 これって映画のセット?(作りもの)と思ったほど現実では有り得ない惨状でした。 仮にそれらが動物だとしても目を覆うでしょう。 それが生身の人間なのですから、吐き気を催す程の悲惨さでした。 この頃はコンピューターはありましたが、今でいえばコマンドプロンプトでgoto….で実行していたような時代で、インターネットが確か未だ無かったと記憶しています。 ですから世界のニュースはTimeなどの雑誌や新聞がその代わりでした。 英語が堪能ではない私は週刊誌一冊を月刊誌並のペースで読みました。 この事件はテレビでもあまり取り上げられていなかったからさほど知られてはいなかったようです。 悲しいことに、大虐殺を意味するMassacreとか人種の皆殺しのGenocide、凶器として用いられたMachet という単語を覚えてしまいました。
☆2006年発売の「ホテル・ルワンダ」DVD
ホテル・ルワンダ プレミアム・エディション
Hotel Rwanda Soundtrack
2005年1月リリースの「ホテル・ルワンダ」のサウンドトラックはワールド・ミュージックとポップスの融合ともいえる色々な音楽で構成されています。 脚本家でありプロデューサーのJimmy Jam(ジミー・ジャム)とTerry Lewis(テリー・ルイス)のコンビによる新曲”Nobody Cares”をDeborah Cox(デボラ・コックス)が歌い、MyselfのNe Me Laisse Pas Seule IciをTilly Key(ティリー・ケイ)が歌っています。 アフロフュージョンとしては南アフリカの歌手のYvonne Chaka Chaka(イヴォンヌ・チャカ・チャカ)やウガンダのBernard Kabanda(バーナード・カバンダ)などが収録されています。映画音楽作曲家のRupert Gregson-Williams(ルパート・グレグソン=ウィリアムズ)作曲の”Interhamwe Attack”やイタリアの作曲家のAndrea Guerra(アンドレア・グエッラ)は”Children Found”と”エンディングテーマ”などです。
エンディングに流れるFugees(フージーズ)のWyclef Jean(ワイクリフ・ジーン又はジョン)が歌いゴールデングローブにノミネートされた曲”Million Voices(ミリオン・ヴォイセス)”は必聴! そのハイチ生まれだが30年以上もアメリカ暮らしだったヒップホップ歌手のワイクリフ・ジーンは前年に大統領選挙に立候補したのですが41歳の2011年3月に至近距離で銃撃され負傷しました。
Rwanda, Rwanda, Yeah Rwanda, Rwanda…と歌われるMillion Voicesの歌詞はMillion Voices Lyrics – Genius.com
Nobody Cares by Deborah Coxの歌詞はNobody Cares Lyrics – deborah-cox.letras.terra.com
Hotel Rwanda Soundtrack
ワイクリフ・ジーンの”ミリオン・ヴォイセス”、Deborah Cox(デボラ・コックス)の”Nobody Cares( ノーバディ・ケアズ)”、美人歌手のTilly Key(ティリー・ケイ)が歌う”Ne Me Laisse Pas Seule Ici”の他、南アフリカの女性歌手達も収録されてアフリカ色の濃いサウンドです。
☆ルパート・グレグソン=ウィリアムズは2006年のアニメ「Over the Hedge(森のリトルギャング)」のサウンドトラックも手掛けています。
同年2004年にアカデミー受賞の「クラッシュ」と「オーシャンズ11、12、13」に出演した売れっ子俳優のDon Cheadle(ドン・チードル)は2008年1月に日本公開が決定しているMike Binder(マイク・バインダー)監督の「Reign Over Me(再会の街で)」で歯科医を演じてAdam Sandler(アダム・サンドラー)と共演します。 ニューヨークの同時多発テロ9.11の被害者二人が友情を新たにするまでを描いた話題の社会派ドラマでLiv Tyler(リヴ・タイラー)は精神科医の役で出演します。 イギリスバンドのThe Who(ザ・フー)のギタリストとして有名なPete Townshend(ピート・タウンゼント)が作曲したテーマ曲のLove, Reign O’er Meを歌っているのはアメリカのロックバンドのPearl Jam(パール・ジャム)です。(ピート・タウンゼントのフルネームはPeter Dennis Blandford “Pete” Townshend)
一方同年製作の映画で、2007年夏にアメリカで公開ですが日本公開は未定のKasi Lemmons(カシ・レモンズ)が監督するRalph Waldo “Petey” Greeneの実話「Talk to Me」ではDJ役で主演します。 1960年代から1980年代にかけて黒人社会で人気だったラジオDJで、とびっきりお洒落なPeteyは強盗罪で10年服役した前科者だったそうです。
まだ未定ですが、その後にドン・チードルは生誕80周年を迎える伝説のジャズトランペット奏者のマイルス・デイヴィスの伝記映画「Miles Ahead」でマイルス役の候補と言われていたのですが遂に2014年にチードル自ら監督し撮影が開始されたそうです。(音楽はHerbie Hancock)
Audio-Visual Trivia内のドン・チードル出演映画
1995年の青いドレスの女
1998年のラット・パック
2001年のソードフィッシュ
2004年のオーシャンズ11と12
2004年のクラッシュ
Audio-Visual Trivia内のホアキン・フェニックスの出演映画
2005年のウォーク・ザ・ライン 君につづく道
2004年の炎のメモリアル