Sarah Vaughan (1924-1990)
低音がすごくセクシーなサラ・ヴォーン(又はサラ・ボーン)は日本では”Misty(ミスティ)”や”Lover’s Concerto(ラヴァーズ・コンチェルト)”などのヒット曲でお馴染みのジャズ歌手です。 1947年にの”It’s Magic”が初ヒット以降ずっと活躍してきたサラ・ヴォーンは歌唱力に加えてステージ上でのおちゃめぶりやトークが大変楽しく、円熟期のサラはサラに素晴らしい! Misty(ミスティ)やStormy Weather(ストーミー・ウエザー)と共に私が好きなTenderly(テンダリー)も又サラ・ヴォーンの代表曲です。
ヘレン・メリルとの共演盤でも有名なトランペッターのClifford Brown(クリフォード・ブラウン)がサラと録音している他、キャノンボール・アダレイ、カウント・ベイシーなどの有名なジャズメンの数々が偉大なサラ・ヴォーンのバックを務めたり、クインシー・ジョーンズがアルバムの編曲指揮を担当したりしています。
☆ 私の好きなテンダリーはサラ・ヴォーンの歌唱ですが、Rosemary Clooney(ローズマリー・クルーニー)のバージョンも甲乙付け難いほどの素晴らしさです。 他にもBillie Holiday(ビリー・ホリディ)、Ella Fitzgerald(エラ・フィッツジェラルド)の女性ヴォーカルやChet Baker(チェット・ベイカー)ヤBert Kaempfert(ベルト・ケンプフェルト)楽団やBarney Kessel(バーニー・ケセル)などの演奏もあります。
二人の心がどんなにときめいたか
忘れることは出来ない・・・とサラヴォーンが歌います。
1946年にWalter Gross(ウォルター・グロス)作曲、Jack Lawrence(ジャック・ローレンス)が作詞したテンダリーの歌詞はTenderly Lyrics – Genius.com
アルバム・タイトル曲のMistyをはじめMy Coloring BookやDays of Wine and Rosesなどを収録したサラ・ヴォーンの”Misty”というアルバムCDについてはAudio-Visual Trivia内のErroll Garner(エロール・ガーナー)でも紹介しています。
Sarah Vaughan – Misty (1969) – YouTube
1949年の”Black Coffee”や”I Cried For You”など初期のサラ・ヴォーンが聴けるSarah Vaughan – Jazz On Line.com(Sarah Vaughanで検索して曲名をクリック)
※サラ・ヴォーンのWhatever Lola Wants (Lola Gets)はトニー賞を受賞したJerry Ross(ジェリー・ロス)とRichard Adler(リチャード・アドラー)コンビが1955年のブロードウエイのミュージカル”Damn Yankees”のためにに書いた曲だそうです。
Peter Gunn、Black Coffee、Body And Soul などサラ・ヴォーンの歌詞があるTodd’s Sarah Vaughan Lyrics Page
(Stardustの歌詞はSarah Vaughan/Star-Dust/lyrics – Music.yahoo.com)
Sarah Vaughan -Apollo 1985 with Billy eckstine – YouTube
Sarah Vaughan – Don’t Blame Me (’50) – YouTube
Sarah Vaughan with Clifford Brown
クリフォード・ブラウンがソロも聞かせるサラ・ヴォーンのオリジナルは1954年録音の名盤で1999年リリースのアルバムです。 Chris Connor(クリス・コナー)が歌って日本では人気のLullaby of Birdland(バードランドの子守唄)の他、Embraceable YouやSeptember Songなどを収録しています。(サックスのハービー・マンやドラムのロイ・ヘインズも参加)
Sarah Vaughan with Clifford Brown
国内盤では「サラ・ヴォーン・ウィズ・クリフォード・ブラウン+1」という2005年リリースのアルバムがあります。
Sarah Vaughan with Clifford Brown “Lullabies of Birdland” – YouTube
Tenderly: Sarah Vaughan / Discovery
ジャズ・ボーカリスト「サラ・ヴォーン」のCDですが現在は入手困難となり、試聴のできるMP3アルバム(ASIN: B00CJC8AWC)があります。
Tenderly
収録曲目はTenderly、Body and Soul、I’m Through With Love、I Don’t Stand a Ghost of a Chance With You、September Song、Time After Time、It’s Magic、I Get a Kick Out of You(君にこそ心ときめく)など珠玉全13曲
試聴はSarah Vaughan – Tenderly – CD Universe
No Count Sarah
サラ・ヴォーンがカウント・ベイシー楽団をバックに歌う最も素晴らしいといわれているアルバム「ノー・カウント・サラ」にはNo Count Blues(ノー・カウント・ブルース)の他、Smoke Get in Your Eyes(煙が目にしみる)、Moonlight In Vermont(ヴァーモントの月)、Stardust(スターダスト)などが収録されています。(下記のリンクは2012年発売のCD)
No Count Sarah
Misty
サラ・ヴォーンのファンでなくても納得!クインシー・ジョーンズの編曲及び指揮のオーケストラをバックに感傷的かつロマンティックな名曲の数々を聴かせるオリジナルが1958年の録音のCDはテンダリーと甲乙つけ難い「ミスティ」が収録されています。
Misty
ミスティが収録されているサラヴォーンのCDはこの他に「Collection」や「Verve Jazz Masters 42 : Sarah Vaughan」などがあります。
Sarah Vaughan – Misty – Quincy Jones and His Orchestra (Mercury Records 1958)
Sophisticated Cissy
Sophisticated Cissy
国内盤の「Sophisticated Cissy」もあります。
17番のSrormy Weatherは希少価値!
☆Srormy Weatherの歌詞はSrormy Weather Lyrics – The Guitarguy’s Golden Classics
A Lover’s Concerto
サラの映画デビューは1960年の「Murder Inc(殺人会社)」でのナイトクラブシーンで歌った”The Awakening”(1954)でしたが、2005年頃テレビドラマの「不機嫌なジーン」や1997年にも韓国映画「The Contact(接続)」の挿入歌になったサラ・ヴォーンの1966年のヒット曲である”A Lover’s Concerto”(Bach Minuet)を収録したCD
ラヴァーズ・コンチェルト ~ポップス・オン・サラ・ヴォーン
2005年発売の「ラヴァーズ・コンチェルト~サラ・ヴォーン・ベスト」もあります。
☆サラ・ヴォーンのラヴァーズ・コンチェルトの歌詞はLover’s Concerto Lyrics – Genius.com
ラヴァースコンチェルトは1966年にR & B女性グループのThe Toys(トイズ)も歌ってヒットしています。
The Toys sing “A Lover’s Concerto” 1965 – YouTube
After Hours by Sarah Vaughan
サラ・ヴォーンが初めてピアニストのAvery Parrish(エイヴェリー・パリッシュ)が作曲したピアノのブルース曲”After Hours”をPaul Weston & CBS Orchestra(ポール・ウェストン楽団)をバックにコロンビアで吹き込んだのは1951年だそうです。 同年にテレビ界のWill Jason(ウィル・ジェイソン)が監督してサラ・ヴォーンが映画初出演した「Disk Jockey」はテレビの台頭に脅かされるディスク・ジョッキー(ラジオ・アナウンサー)を描いた作品だそうです。 映画の中でサラ・ヴォーンがピアニストのGeorge Shearing(ジョージ・シアリング)をバックに歌っているそうですが、本人として登場したのはビッグバンドのリーダーとしてTommy Dorsey(トミー・ドーシー)、コルネット奏者でもあるRed Nichols(レッド・ニコルズ)、映画で音楽監督もつとめたRuss Morgan(ラス・モーガン)、イタリア出身のテナーサックス奏者でもあるVido Musso(ヴィド・ムッソ)、ドラム奏者でもあるBen Pollack(ベン・ポラック)、Jack Fina(ジャック・フィナ)、ビブラフォン奏者のRed Norvo(レッド・ノーボ)、歌手でギター奏者のNick Lucas(ニック・ルーカス)、ジャズ・バイオリン奏者のJoe Venuti(ジョー・ヴェヌーティ)、カントリー歌手のFoy Willing(フォイ・ウィリング)などなどです。
♪ Sarah Vaughan – After Hours – YouTube
After Hours
オリジナル録音はブルーノートの1955年という1997年の輸入盤アルバム「After Hours」ではMundell Lowe(マンデル・ロウ)のギターとGeorge Duvivier(ジョージ・デュヴィヴィエ)のベースをバックにサラ・ヴォーンが歌うバラード曲を収録していて人気のあるアルバムですが、この画像のアルバム(ASIN: B000005H8P)ではトラックリストの1番目にAfter Hoursが記載されて全12曲となっています。 通常この画像の「After Hours」はアルバムのタイトルであり国内盤の「アフター・アワーズ」同様にトラックに”After Hours”はなく”My Favourite Things”がトップにきて全11曲収録となっています。 同じくオリジナルが1955年という「After Hours」というアルバム(ASIN: B000005D8Z)にもトップに”After Hours”がリストアップされていますが試聴がないので確認できませんが、投稿レビューによるとやはり”My Favourite Things”で始まると書かれています。 ちなみに「After Hours」に収録されているCole Porter(コール・ポーター)作曲の”Ev’ry Time We Say Goodbye”はジャズのコンピレーション・アルバム「Pure: Easy」のDisc: 3にも収録されています。 アルバムの「After Hours」は色々ありますがコロンビアからリリースされたのがはじめらしいです。 そのColumbia Special Productsとして1991年にリリースされたアルバム「After Hours」(ASIN: B00000I7AY)にはBert KalmarとHarry Rubyが1927年にミュージカルのために作りサラ・ボーンが1950年にコロンビアで吹き込んだ”Thinking of You(シンキング・オブ・ユー)”が収録されています。
“After Hours”は主に50年代コロンビアの録音を集めたという「Supreme Jazz」にも収録されています。
☆After HoursについてはRay Bryant(レイ・ブライアント)
Live in Japan
試聴は見つかりませんが、オリジナルは1973年の日本公演ライブアルバムの「Live in Japan」には’Round Midnight、Willow Weep for Me、Over the Rainbowなどが収録されていますが、私が最も素晴らしいと思う”Round Midnight”は1996年のアルバム「Embraceable You」に収録されたバージョンです。 このアルバムには”Round Midnight”の他にはタイトル曲の”Embraceable You(君を抱いて)”をはじめ、MistyやLover Man、そしてAlfieまで収録されています。 廉価なCDなのに内容は豪華でサラ・ヴォーン・マニアでなければ大満足します。
試聴はEmbraceable You – AllMusic.com
Dreamsville, Bye, Bye (Peter Gunn Theme)
サラ・ヴォーンが歌っている”ピーター・ガン”は TVの”ピーターガン”シリーズを映画化した1967年の”Gunn”のサウンドトラックに収録された新曲の”Bye-Bye”のために急遽ヘンシー・マンシーニの曲にJay LivingstonとRay Evansにが歌詞をつけて”Dreamsville, Bye, Bye (Peter Gunn Theme)”として使用されたとNo Loss for Words: Lyrics to Great Space Age Pop Instrumentalsに書いてありました。 それをサラ・ヴォーンがカバーしたそうです。 サラ・ヴォーンの”ピーター・ガン”は2006年頃からHONDA(ホンダ)のTVコマーシャルで使用されていますが、アメリカでも2005年あたりにChevrolet Impala(シボレー インパラ)のCMに使用されたそうです。 Every night your line is busy…I’m going bye, bye…と歌われるサラの歌詞はアメリカでもなかなか見つからないそうです。
Sarah Vaughan/Peter Gunn
2006年のHONDA ストリームのTVCMではサラ・ヴォーンのVerveレコードの音源をDJがプロデュースした”Max Sedgley Remix(リミックス)のSarah Vaughan/PETER GUNN”です。
サラ・ヴォーンのピーターガン・リミックスを収録したアルバムはVerve Remixed, Vol. 3
Verve Remixed, Vol. 3
試聴はVerve Remixed, Vol. 3 – Amazon.com
(”Peter Gunn”ミックスは8番)
CDではなく30cmLPレコード3枚組みの「Verve Remixed 3 [12 inch Analog] [Compilation, Import, From UK]」(ASIN: B0007RO52U)や2005年発売の「Complete Verve Remixed Deluxe Box [Box Set, Import, From US]」(ASIN: B000BEZPVO)というアルバムもあります。
試聴はThe Complete Verve Remixed – Amazon.com(Disc 3 – 8がピーターガン)
2005年の映画「Shall we ダンス?」のサントラに収録されているサラ・ヴォーンの”Whatever Lola Wants”リミックス(Gotan Project Remix)は「Verve Remixed, Vol. 2」(ASIN: B0000ACAO3)に収録されています。 Billie HolidayやJames BrownなどをリミックスしたVerve Remixed, Vol. 4」もあり。 サラが1955年に吹き込んだ”Whatever Lola Wants”は1953年にRaymond Taylor(レイモンド・テイラー)とLester Judson(レスター・ジャドソン)がミュージカル「Damn Yankees(くたばれ!ヤンキース)」のために作った曲ですが、2005年の映画「(キンキーブーツ)」の中でChiwetel Ejiofor(キウェテル・イジョフォー)が演じるドラッグ・クィーンのローラが舞台で歌いました。
☆サラ・ヴォーンのピーターガンを収録したオリジナルは2003年リリースのアルバムで国内盤は試聴ができる「ザ・ベスト・オブ・ヴァーヴ・リミックス」
Crazy and Mixed Up
オリジナル録音は1982年というPabloレーベルのサラ・ヴォーン後期のアルバムで、コンボをバックに歌うThat’s Allやスキャット唱法のAutumn Leavesといったスタンダードとレアな曲全8曲を収録してまさにクレイジー!
試聴できる国内盤は「枯葉(紙ジャケット仕様)」
Sarah Vaughan Sings
今なら見られるかも!1957年にリリースされた”Sarah Vaughan Sings(Masterseal – MS-55)”の手書きのLPレコードジャケット画像はSarah Vaughan Sings – eil.com
(Red Norvo(レッド・ノーヴォ)のシロフォンをフィーチャー、収録曲目はMean To Me、Take It On Back、What More Can A Woman Do、Signing Off、No Smokes Blues、East Of The Sun、Bell For Norvo、I’d Rather Have A Memory Than A Dream、Look Here、Interlude)
アール・ハインズ楽団で一緒だったBilly Eckstine(ビリー・エクスタイン)の楽団にも参加していたサラ・ヴォーンは、1957年にビリー・エクスタインとの感動的なデュエットで’Passing Strangers’を吹き込んでいます。
アルバムのVerve Jazz Masters 22 : Billy Eckstineで試聴出来ます。
“All of Me”や”Black Coffee”などを収録したサラ・ヴォーンとPaul Weston(ポール・ウエストン)のアルバムは「Live at Newport and More」、Sarah VaughanのTenderlyは「Young Sasy」
Let’s Call The Whole Thing Off
“Let’s Call The Whole Thing Off”という曲をサラ・ヴォーンは「Sarah Vaughan Sings George Gershwin」や「The George Gershwin Songbook Vol.1」など何枚ものアルバムに収録していますが、この曲はGeorge GershwinとIra Gershwin(ジョージ・ガーシュウィンとアイラ・ガーシュウィン)が1937年の映画「Shall We Dance?(踊らん哉)」のために作った曲でFred Astaire(フレッド・アステア)と
Ginger Rogers(ジンジャー・ロジャース)のコンビが公園のシーンでローラースケートをはいて踊っています。 フレッド・アステアはJohnny Green & His Orchestra(ジョニー・グリーン楽団)をバックに歌った”Let’s Call The Whole Thing Off”はサラ・ヴォーン以外にもビリー・ホリディやエラ・フィッツジェラルドとLouis Armstrong songs(ルイ・アームストロング)などが歌っています。 ブルックリン育ちのガーシュイン兄弟が階級の発音の違いや地方の方言を取り入れて作った言葉遊びのような”Let’s Call The Whole Thing Off(すべてを忘れよう)”の歌詞には「So, I say Ursta, you say Oyster」もしくは「So if you go for Oysters and I go for Ersters」という下りがあります。 この”Ersters”は”Oysters”の間違いかと思ったのですがどうやらニューヨークなどの東部訛りでOysters(牡蠣)のことらしいです。だから、「貴方が牡蠣が好きなら私も」
♪ Sarah Vaughan – Let’s Call The Whole Thing Off
多くのジャズファンを魅了してきたサラ・ヴォーンは肺癌により1990年に66歳で亡くなりました。