パスカル・プティ Pascale Petit

Pascale Petit
une actrice mignonne et aussi sexy

Pascale Petit
1957年に映画デビューしたフランスの映画女優のパスカル・プティは1958年のMarcel Carne(マルセル・カルネ)監督の「Les Tricheurs(危険な曲り角)」でブレイクしました。 主だった出演作品が10本余と少ないながらも、60年代にはBrigitte Bardot(ブリジッド・バルドー)に次いで人気だったとされる生粋のパリジェンヌ女優です。
☆ 「Les tricheurs(危険な曲り角)」の写真が見られるPeccatori in blue jeans Photos – FILM.TV.IT(< or >で他の写真)
パスカル・プティは60年代以降はイタリアのエロティック・コメディ、ドイツ映画、ヨーロッパ各国のテレビなどに出演していましたが、1989年に「Sans défense」で映画にカムバックしました。

その名もちっちゃくて可愛いという意味のある「Petit(プティ)」ですが、この「プティ」というのはバレー界の大御所であるRoland Petit(ローラン・プチ)のようにフランスではよくある苗字だそうです。 現在はプティですが以前はパスカル・プチと表記されていました。

Pascale Petit
パスカル・プティの出演映画

1956年 Les sorcieres de salem(サレムの魔女)
1692年にアメリカのマサチューセッツ州にある古い町Salem(セーラム)であった魔女狩り裁判では19人が処刑されたという史実に基づき、アメリカの劇作家であるArthur Asher Miller(アーサー・ミラー)が書いた戯曲「The Crucible(るつぼ)」が映画化され、パスカル・プティは女中のメアリ役で映画デビューしました。 ヨーロッパで16世紀末から17世紀後半にかけて起きた魔女狩りがイギリスの植民地であったセーラムはにも影響を与えたようです。
「サレムの魔女」は女中役にMylene Demongeot(ミレーヌ・ドモンジョ)、農家の夫婦にYves Montand(イヴ・モンタン)とSimone Signoret(シモーヌ・シニョレ)夫妻が出演した魔女狩り物語です。 若い女中の誘惑に負けて妻を裏切っってしまったものの最後はまるでイエス・キリストのように見える農夫です。 欲望のゆえの狂態、集団ヒステリーの恐ろしさ、そして敬虔なる清教徒の信仰心が描かれた感動的な「サレムの魔女」は一観に値します。
1996年にNicholas Hytner(ニコラス・ハイトナー)監督によるアメリカ映画「The Crucible(クルーシブル)が公開されています。 ミレーヌ・ドモンジョが演じたアビゲイル役は「恋する人魚たち」のWinona Ryder(ウィノナ・ライダー)が演じました。

1958年 Les Tricheurs(危険な曲り角)
Les Tricheurs又のタイトルを”The Cheaters(意味は”詐欺師”)”という無軌道な若者達を描いたMarcel Carné(マルセル・カルネ)監督の「危険な曲り角」でMic(ミック)役を演じたパスカル・プティは一躍有名になりました。 「A Bout de Souffle(勝手にしやがれ)」でも触れましたが、当時ブリジッド・バルドーの恋人で後に結婚したJacques Charrier(ジャック・シャリエ)やJean Paul Belmondo(ジャン・ポール・ベルモンド)と共演しています。(いや、ベルモンドはまだちょい役でした)
パスカル・プティのキスシーンも見られるパリのいかれた若者たちの「危険な曲り角」でした。
トレーラーはBande-annonce de Les Tricheurs 1958 – Vodkaster.telerama.fr

Les Tricheurs DVD「危険な曲り角」の音楽は米国の名だたるジャズメンを集めたJATP(Jazz at the Philharmonic ジャズ・アット・ザ・フィルハーモニック)の豪華メンバーです。
1958年、パリで録音した「危険な曲り角」のサウンドトラック曲目はLionel Hampton(ライオネル・ハンプトン)が演奏する”Crazy Hamp(狂乱の追跡)”、Pete Rugolo(ピート・ルゴロ)の演奏で”Oscar & Pete’s Blues(オスカーとピートのブルース)”、「Les Tricheurs(危険な曲り角のテーマ)」などをオスカー・ピーターソン(p)、ロイ・エルドリッジ(tp)、コールマン・ホーキンス(ts)、ディジー・ガレスピー(tp)、ハーブ・エリス(g)、レイ・ブラウン(b)、ガス・ジョンソン(ds)、 スタン・ゲッツ(ts)が演奏しています。

殺られる / 危険な曲り角 ― オリジナル・サウンドトラック
Les Tricheurs / Des Femmes Disparaissent「危険な曲がり角」に加え、Art Blakey(アート・ブレイキー)の「殺られる」とBB(バルドー)の1961年の「Le Bride sur le cou(何がなんでも首ったけ)」まで抱き合わせた素晴らしい(?)編集ですが既に廃盤だそうです。(1番が危険な曲がり角、アート・ブレイキーが5番のGénérique(ジェネリーク) と21番の”殺られる”のテーマ
ちなみに1959年の「Des Femmes Disparaissent(殺られる)」についてはブログ内の記事「ロベール・オッセン」参照。
「危険な曲がり角」のサントラは2013年発売のCD「ジャズ&シネマ VOL.2
♪ 試聴はJazz In Paris – Jazz Et Cinéma volume 2 (Les Tricheurs / Des Femmes Disparaissent / La Bride sur le cou) – Mora.jp

1958年 Une vie(女の一生)
Maria Schell and Pascale Petit in “Une vie”
Une vie19世紀のフランスの作家で自然主義の代表的な小説家といわれる「Henri René Albert Guy de Maupassant(ギイ・ド・モーパッサン)」の有名な小説を映画化した文芸作品です。
フランスの名女優のMaria Schell(マリア・シェル)が、夫が浮気相手の女と事故死した後、自分の夫の子供を宿した女中と一緒に暮らす健気な女を演じました。 女中役をパスカル・プティが演じ、男臭プンプンのChristian Marquand(クリスチャン・マルカン)とセクシーなAntonella Lualdi(アントネラ・ルアルディ)が出演しています。
パスカル・プティの出番は少ないですが旦那のお手付きとなり奥様がどんな処分をするかと案じている住み込み女中の役です。 ヒロインの妻の質素な人柄が魅力がないのか夫は浮気三昧でこともあろうに女中にも手を出したのですが、夫亡き後、子供のなかったヒロインは夫の忘れ形見と共に生きていくことが定めと思ったのでしょう。 崖から馬車ごと落下して目を開けたまま死んだ夫と愛人のシーンが衝撃的です。 マリア・シェルは1960年にアメリカ映画の「Cimarron(シマロン)」でも良妻賢母を演じました。 夫婦で立ち向かってやっと難問が解決すると更なる冒険を求めて夫が旅立ってしまうストーリーです。
カラー画像で「女の一生」の映画ポスターと写真が見られるUne vie Poster and Photos – Cinema Francais.fr

1958年 Faibles Femmes(お嬢さん、お手やわらかに!)
Faibles Femmes当時人気のイタリア女優のJacqueline Sassard(ジャクリーヌ・ササール)、ミレーヌ・ドモンジョと共演した毒入りチョコ事件をめぐる他愛の無い青春コメディです。 パスカルプティはアラン・ドロンが演じるプレイボーイにふられて中年男と結婚しそうになる女の子の役です。 当時売り出し中の新人の アラン・ドロンが美味しい役どころで登場します。
2013年になって1970年台にテレビ放映された「お嬢さん、お手やわらかに」を録画したデジタルDVDが販売されています。(ASIN ‏ : ‎ B0CF1TCL56)字幕および吹き替えが日本語
「お嬢さん、お手やわらかに!」の音楽はPaul Misraki(ポール・ミスラキ)ですが、1959年に英語歌詞のテーマソング”It’s Really Love”を歌ったのはアメリカのポップス歌手のPaul Anka(ポール・アンカ)でした。
Paul Anka – It’s Really Love (Faibles Femmes) – YouTube
「お嬢さん、お手やわらかに!」の写真が見られるLe donne sono deboli – FILM.TV.IT
Faibles Femmes Pascal Petit et Alain Delon – YouTube

☆1959年 Une Fille Pour L’ete(ひと夏の情事)
詳しくはAudio-Visual Trivia内の ひと夏の情事を参照して下さい。

1960年 L’affaire D’une Nuit(艶(いろ)ほくろ)
1955年の「Des Gens Sans Importance(ヘッドライト)」を監督したフランスの名匠
”Henri Verneuil(アンリ・ヴェルヌイユ)”が監督しました。 「艶ほくろ」はミシェルの語りとソラルの軽快な音楽で物語が進行します。 小鳥を買っての帰りにオープンカフェから旧友アントワーヌに呼び止められたブルジョワのミシェルは軍隊時代を懐かしむアントワーヌの魅力的な妻に紹介されるのです。 夫婦仲が拗れていると見ると妻帯者であるにも関わらずミシェルはブルネットの髪と目の下のほくろが魅力的なクリスティーヌと浮気しようと画策するというロマンチック・コメディです。 オープニングの小鳥と線画の鳥籠を組み合わせたアニメがお洒落です。 ゆとりと色気があるミシェルを演じたロジェ・アナンの妻Christine Gouze-Rénalが「艶ほくろ」やBBの映画のプロデユーサーだっだのでミシェルとクリスティーヌが行ったレストランの騒々しい客としてチェックのワンピース姿のブリジット・バルドーとジャック・シャリエのカップルや最初の方でダリオ・モレノ(ファンに囲まれてサイン攻め)がカメオ出演しています。
後から知ったのですが「艶」は”つや”ではなくて”いろ”と読ませるのだそうです。 「艶ほくろ」の軽快な音楽は「勝手にしやがれ」でもお馴染み、フランスのジャズ・ピアニストMartial Solal の「Martial Solal et son Orchestre(マーシャル・ソラル又はマルシャル・ソラール楽団)」で、主題曲は”Verneuillade(行進)”で「勝手にしやがれ」内でも記述のある1961年(ASIN: B000069LE7)のアルバム「Martial Solal – A Bout De Souffle」に収録されています。
♪ 試聴は勝手にしやがれ オリジナル・サウンドトラック – Tower.jp (「艶ほくろ」の”行進”は11番)
Martial Solal – Verneuillade (L’affaire D’une Nuit) – YouTube

Verneuillade by Martial Solal et son Orchestre
COLUMBIA LL-270
Verneuillade Soundtrack

なんと!私の手持ちの「艶(いろ)ほくろ」のサントラEP COLUMBIA LL-270はA面が1960年のハリウッドのホームドラマ映画「The Dark At The Top Of The Stairs(階段の上の暗闇)」のテーマ曲なのです。 マックス・スタイナーが音楽を手掛け知的なDorothy McGuire(ドロシー・マクガイア)がセールスマンの妻コーラ役で主演した「階段の上の暗闇」には夫婦喧嘩の元ともなる美容院の未亡人役で後に探偵おばさんミス・マープル(The Mirror Crack’d)やジェシカおばさん(Murder, She Wrote)ともなる当時35歳のAngela Lansbury(アンジェラ・ランズベリー)が出演しています。

☆1961年 Una Regina per Cesare(妖姫クレオパトラ)
有名な「全裸でカーペットに巻かれ貢物」としてシーザーにお目通りを目論んだラストシーンが呼び物だったパスカル・プティのCleopatra(クレオパトラ)の英語タイトルは”A Queen for Caesar”です。
パスカルプチのクレオパトラの写真集が見られるThe Ancient Egypt film site – Una Regina Per Cesare(サムネイルをクリックで拡大)
Pascale Petit dans Una regina per Cesare (1962) – YouTube

☆1968年 I Dolci Vizi… della Casta Susanna
イタリア語のタイトルが「スザンナの甘い悪徳」という意味のFranz Antel(フランツ・アンテル)が監督したドイツ製エロティク・コメディです。 原題であるドイツ語のタイトルは「Frau Wirtin hat auch einen Grafen」だそうです。
Pascale Petit dans Frau Wirtin hat auch einen Grafen – YouTube
Key Witness(四人の恐迫者)」で主演したJeffrey Hunter(ジェフリー・ハンター)がイタリア人のドンファン伯爵を演じたこの歴史パロディでパスカル・プティが演じた事情を知る公爵夫人はドイツ人の召使に扮してお色気でナポレオンの暗殺を阻止しようとします。 同じく未公開でしたがプティはハンターと翌年の1968年にもハンターがジョー・コリンズを演じた金鉱を巡るマカロニ・ウエスタン風の「Find a Place to Die」でも共演しています。
「Sexy Susan」と「Find a Place to Die」の音楽がエンニオ・モリコーネと並ぶマカロニ・ウェスタン音楽の巨匠で「Un dollaro bucato(荒野の1ドル銀貨)」の音楽を担当したGianni Ferrio(ジャンニ・フェリオ)なので、22曲収録の「Sexy Susan(I Dolci Vizi Della)」のサウンドトラックが取り上げられることがあります。 ジャンニ・フェロの「Find a Place to Die(Joe… cercati un posto per morire! )」のサントラに収録されているテーマ曲”Find A Place To Die”をギターの弾き語りで歌っているのはヒロインのリサを演じたパスカル・プティではなく「Sexy Susan」にも出演してコラリー役を演じ「Find A Place To Die」ではファニタを演じた1966年のミス・イタリアのDaniela Giordano(ダニエラ・ジョルダーノ)です。
パスカル・プティのレコード・ジャケット画像はI Dolci Vizi Della… Amazon.co.jp

Jean-Paul Belmondo and Pascale Petit
Jean-Paul Belmondo et Pascale Petit dans LA NOVICE (1960) “Peut-être”

パスカル・プティはジャン・ポール・ベルモンドと「危険な曲がり角」の他にも、1957年のGuendalina(芽ばえ)や1960年にCatherine Spaak(カトリーヌ・スパーク)がデビューした「十七歳よさようなら」のAlberto Lattuada(アルベルト・ラトゥアーダ)が監督した日本未公開映画「Lettere di una novizia(alias La Novice)」で共演しています。

パスカル・プティ Pascale Petit」への2件のフィードバック

  1. 田園調布のプレスリー より:

    元気だった頃の仏・伊映画ってこの頃どうなっちゃたんですかねー、淋しい限り。たまーにガーデンプレイス(恵比寿の)でやってるって聞きますが。
    東和は欧州映画輸入の先駆者だったはずなのに。
    私ちょっと色っぽいとこで、アネット・バディム(ストロイベルグ)が好きでした。
    フランス人でないのは確か。短命だったようですが「血とばら」(薔薇だったかバラだったかは忘れましたが)を当時ロード・ショーで3回観ちゃいました。目的はただ一つ。ここでは書けませんもの(笑)。
    それにしてもロジェ・バディムは好色だ。怒るよ。

  2. koukinobaaba より:

    東和映画社長と結婚した喜多かしこ女史がヨーロッパ映画の推進者でしたが、現在日本で毎年7月になるとあちこちで開催されるシャンソン音楽祭の巴里祭設立の貢献者としても知られていますね。
    やはり尽力あってのヨーロッパ映画最盛だったのでしょうかね。
    代わりにいかがですが?欧州映画推進!
    ラストシーンではカラーが白黒となる「血とバラ」に出演した美貌のアネット・ストロイベルグ(アネット・ヴァディム)なら1959年の「危険な関係」もお勧めですよ。

コメントは受け付けていません。