Serge Gainsbourg (1928 – 1991)
Serge Gainsbourg: Auteur, Compositeur, Acteur et Chanteur français
Discographie et Filmographie de Gainsbourg
フランスの歌手で俳優のセルジュ・ゲンズブール(1928 – 1991)はセルジュ・ゲンスブールとも表記され、日本では1965年にヒットしたFrance Gall(フランス・ギャル)のPoupée de cire, poupée de son(夢見るシャンソン人形)の作詞・作曲やゲンズブール夫婦ともに親しかったFrench ye-ye(イエイエ・ポップス)のFrançoise Hardy(フランソワーズ・アルディ)の代表作である”Comment te dire adieu(さよならを教えて)”の作詞を担当したことで知られています。 セルジュ・ゲンズブールは1959年に「Voulez-vous danser avec moi?(気分を出してもう一度)」で共演したBrigitte Bardot(ブリジッド・バルドー)と恋仲となって、バルドーのためにボニー&クライドとJe t’aime moi non plus(ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ)を作曲しました。
当時アツアツの二人が吹き込んだ「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」ですがB.B.は既婚だったため公表されずに幻のレコードとなっていました。 これは19年後にバルドーの承認を得てリリースされましたが、セルジュ・ゲンズブールはベベとの録音の2年後にまったく同じ歌を3度目に結婚したイギリス出身の女優のJane Birkin(ジェーン・バーキン)と吹き込んでいます。
Je t’aime(ジュ・テーム)とはフランス語でje(私)、t=tu(あんた)、aime=aimer(愛する)…つまり「私はアンタが好きよ」という意味です。 文法的には”moi non plus”は否定的な言葉を受けて「俺もそうではない。」となるのですが、歌詞においては「Je t’aime …moi non plus」だと「愛してるわ」「俺も、いや、どうかな、俺はそれほどでもないよ。」というそっけない感じで焦らせているのですかね。(文法的には不明ですがmoi non plusの前にくるJe t’aimeが嘘だったとしたら?) 相手が愛していない(Je ne T’aime pas)と言ってる場合にはmoi non plusは”俺も愛していない”でしょう。
しかし強烈なセックスアピールを持っているセルジュ・ゲンズブールは歌の言葉ひとつ一つがエロく聞こえてしまいます。 単にnous(我々)といってるのに”ヌー”…ヌー(ド)を想像し、vous(あなた)と言っているのに”ヴー”…ヴー(シュ)唇を想像させてしてしまうのです。
セルジュ・ゲンズブールとブリジッド・バルドーのBonnie & Clyde(ボニーとクライド)のビデオはSerge Gainsbourg & Brigitte Bardot – Bonie and Clyde(BBがフェイ・ダナウエイそっくりに扮装しています)
☆セルジュ・ゲンズブールとブリジッド・バルドーはボニーとクライド、バブルガム、ハーレークインなどゴダール監督の「勝手にしやがれ」みたいにアメリカへのオマージュのようなコミックソングをいっぱい吹き込みました。
ゴダールのオマージュについてはAudio-Visual Trivia内の「勝手にしやがれ」
後半は無精ヒゲまで蓄えたセルジュ・ゲンズブールは一見ブサイク(失礼!)で、実際の身長は179cmですから大柄とはいえませんが、なんのなんの、三島由紀夫のように自己愛の(ナルシスト)塊のようなタイプ。(ちなみに奥さんのジェーン・バーキンと娘のシャーロットの身長は共に173センチだとか) ゲンズブールが音楽も担当した1966年のミュージカル・コメディ「Anna(アンナ)」で共演した人気女優でゴダールと結婚していたAnna Karina(アンナ・カリーナ)などはゲンズブールを「王子さま ♪」と称したとか。 ナルちゃんのデカダンな雰囲気と女嫌いかとも取れるつれない素振りがよけい女心をそそるのか、いや、そのかっこよさに男も惚れるのかも。 その後も数々の美女と浮名を流し、1968年には映画「Slogan(スローガン)」で共演したジェーン・バーキンと結婚しましたが最愛のブリジット・バルドーから生涯心が離れることはなかったとか。 バーキンとゲンズブールの二人がまだ同棲中に共演した映画にCurd Jürgens(クルト・ユルゲンス)も麻薬組織のボスとして出演した1969年の「Cannabis(カナビス/ガラスの墓標)」があります。(ジェーン・バーキンが何度も全裸でベッドシーンを演じた映画のタイトル”カナビス”は大麻という意味。 クラブでマリリンモンロー似の歌手が歌った”I Want To Feel Crazy”はバーキンの歌) 殺し屋をテーマにしてフィルムノワールと銘打っていますが毛皮コートでセルジェ・モルガンを演じたセルジュ・ゲンズブールはジェーンを演じたジェーン・バーキンとのラブシーンに熱が入り究極のエロティック映画となりました。(音楽はゲンズブール) 若い方々にはLars von Trier(ラース・フォン・トリアー)が監督した2009年の「Antichrist(アンチクライスト)」などの過激な艶技が話題となった娘のCharlotte Gainsbourg(シャルロット・ゲンスブール)の方が有名でしょうか。 ちなみにジェーン・バーキンの最初の夫は007ジェーム・スボンドの音楽で有名なイギリス人音楽家のJohn Barry(ジョン・バリー)で次にゲンズブール、1980年に別れた後の1980年にバーキンが主演した「La Fille prodigue(放蕩娘)」や1984年の「La pirate(ラ・ピラート)」を監督したJacques Doillon(ジャック・ドワイヨン)と35歳で3度目の結婚をして、それぞれ子供を一人ずつ合計3人を産みました。 そして、なんとセルジュ・ゲンズブールは1969年にかってはB.B.と吹き込んだ「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」をジェーン・バーキンとも~っと熱くハードコア風に歌いました。 この喘ぎ声がエロティック過ぎるということで世界中で話題になり、イギリスのBBCはいうに及ばず、イタリアや日本でも放送禁止にしたほどです。 が、ヨーロッパではNo.1、アメリカでも50位くらいに入るという大ヒットを記録したのです。
そしてそしてなんと!1975年(1976年?)には同名のハードコアな映画も監督してしまいました。
アンナ・カリーナがSous Le Soleil ExactementやRoller GirlやPistolet Joを歌っている他セルジュ・ゲンズブールとのデュエットなどが収録された「アンナOSTサウンドトラック」(ASIN: B000NDFL0S)
♪ 試聴はAnna Soundtrack – Tower.jp
※Amazon.co.jpにあるVHSビデオは「スローガン 」(字幕版)です。
♪ Serge Gainsbourg – Valse De Melody – YouTube
Serge Gainsbourg et Jane Birkin – Je t’aime … moi non plus
セルジュ・ゲンズブールは1976年に妻のジェーン・バーキンを主役にして「Je t’aime moi non plus(ジュ・テーム…)」を監督しました。 肌もあらわな妻にあんなことやこんなこともさせてゲンズブールはサドマゾか。 ボーイッシュなショートヘアで中性的魅力のジェーン・バーキンがホモ・セクシャルの青年と恋に落ちるストーリーですが辛口評論のFrançois Truffaut(フランソワ・トリュフォー)監督が絶賛したそうです。
「ジュ・テーム・モア・ノン・プリュ」のトレーラーはJe t’aime moi non plus Trailer – YouTube
下記のリンク先でSerge GainsbourgとJane Birkinのお熱い「Je t’aime… moi non plus(ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ)」と英語ではdecadenceで意味は退廃とか堕落とか虚無の意味があり官能的な刺激に浸る「Decadanse(デカダンス)」の映像が観られますJe t’aime… moi non plus – YouTube
♪ Jane Birkin et Serge Gainsbourg – La Décadanse – YouTube
Jane Birkin (1946 – 2023)
17歳でデビューし、60年代を代表する奇人(鬼才)セルジュ・ゲンズブールとの出合いにより輝きを増したジェーン・バーキンはイギリス人の女優であるとともに素晴らしい歌手でもありました。 晩年は脳卒中で闘病生活を送りましたがまもなく亡くなりました。 その魅力的なジェーン・バーキンのために、スカーフでもお馴染みのエルメスの社長(ロベール・デュマ・エルメス)の息子で2010年5月1日に亡くなったJean-Louis Dumas(ジャン=ルイ・デュマ氏)がバックの女王といわれるモデルを作りました。 それが、ジェーン・バーキンが愛用したバッグのモデル”Birkin Bag(バーキン)”で、グレース・ケリーの「ケリーバッグ」と共に有名で入手困難と言われるほど人気です。 Hermes Birkin(エルメスのバーキン・バッグ)などのお値段は$15,000.00など高級車並み!
ジェーン・バーキンの写真が見られるDes Magiers Homepage(右のzur・kをクリック)
Gainsbourg, Vol. 5: Je T’Aime Moi Non Plus, 1969-1971
セクシーなデュエット「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」が収録されているセルジュ・ゲンズブールのCD
Gainsbourg, Vol. 5: Je T’Aime Moi Non Plus, 1969-1971
ジェーン・バーキンが主演した「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」の1998年リリースされたヴィンテージ価格の字幕版DVD
ジュ・テ-ム・モワ・ノン・プリュ
字幕版VHSもあり。
Gainsbourg By Gainsbourg:An Ie(ノーコメントbyゲンスブール)DVD (ASIN: B00FZQXKWO)
2013年に公開され2014年に販売されるPierre-Henri Salfati(ピエール=アンリ・サルファティ)が監督したフランス語版のドキュメンタリーDVDで、ゲンズブールが20歳から40歳までメディアに置ける発言の録音及び録画を収録したフィルムだそうです。(但し、入手困難)
L’eau A La Bouche per Serge Gainsbourg
セルジュ・ゲンズブール(ガンズブール)の映画音楽制作デビュー作品は1959年のL’eau à la bouche(唇によだれ)です。 映画<唇によだれ>の音楽指揮はAlain Goraguer(アラン・ゴラゲール)ですが、セルジュ・ゲンズブールの自作自演のテーマ曲が大変評判となりました。 オープニングに流れたゲンズブールのL’eau A La Boucheは、ビートニクなボンゴの響きで始まり、とても斬新な音楽です。 映画のエンディングではBlack March blues(黒のマーチ)が流れます。 最近のレビュではL’eau A La Boucheはサンバと書いてありますが、私の手持ちのレコードの説明書きではCha-Cha-Chaとなっています。 ゲンズブールはThelonious Monk(セロニアス・モンク)、マイルス・デイヴィス、ディジー・ガレスピーなどのファンでゲンズブールの作曲でもジャズを取り入れています。 この時期には、キューバのマンボやチャチャチャなどラテン(南米)のエスニック音楽をフランスに紹介する試みをしていて、ラテン・パーカッションをフランスで最初に取り入れたミュージシャンだそうです。 翌年1960年の映画「Les Loups Dans La Bergerie(山小舎の狼)」でもボンゴ入り「Cha-cha du loup(オオカミのチャチャチャ)」という曲も歌っています。 サンバもチャチャも共に4分の2拍子ですが、サンバはブラジルで主に打楽器で演奏されソロとコーラスが交互に歌われるそうですが、チャチャチャはキューバの音楽なんだそうですよ。
♪ Serge Gainsbourg – L’eau À la bouche (1960) – YouTube
Couleur Café
アルバム「Couleur Café(珈琲色)」は1958年~1964年にレコーディングされたセルジュ・ゲンズブールの<唇によだれ>が収録されている1997年リリースの輸入ベスト盤です。
Couleur Café
♪ 試聴はCouleur Café – CDandLP.jp
Gainsbourg…Forever
他にも<唇によだれ>と共にゲンズブールとバルドー、ジェーン・バーキンやカトリーヌ・ドヌーヴとのデュエット曲が収録されている2枚組CDは”Gainsbourg…Forever”
ゲンズブール・フォーエヴァー
♪ 試聴はGainsbourg…Forever – Bol.com(”唇によだれ”は2番、toon meer クリックで全曲表示)
Gainsbourg: A Heroic Life (2010)
ナチス占領下のパリに生まれ50年代から音楽活動を初めて60年代の最盛期から62歳で亡くなるまで、セルジュ・ゲンズブールの人生をかいま見ることができる「Vie héroïque(ゲンスブールと女たち)」を劇画家のJoann Sfar(ジョアン・スファール)が原作及び脚本も手掛けて伝記映画にしました。 セルジュ・ゲンズブールを演じるのはEric Elmosnino(エリック・エルモスニーノ)だそうですが、この映画の後、2010年に80歳で亡くなったClaude Chabrol(クロード・シャブロル)監督も音楽プロデューサーとして出演しています。 ジョアン・スファールが創作したゲンスブールの分身であるLa Gueuleをが演じます。(Sesame’s Count von Count(カウント伯爵)みたいなキャラクター) 26曲を収録した「ゲンスブールと女たち」のサントラ「Vie Heroique」(ASIN: B002XVZ1YO)もリリースされていますが、ゲンスブールは”Je T’Aime Moi Non Plus”のみで後は主役のエリック・エルモスニーノの歌です。
書籍
Mon propre rôle – tome 2
ページトップの画像は1991年にÉditions Gallimard(ガリマール)社から出版された英語版マスマーケット(ペーパーバック)シリーズ商品の「Mon propre rôle」です。 tome Iの続編でtome 2の内容はゲンズブール語録や歌詞を含むそうです。 原語はFRE(フランス語)となっています。(Le second volume s’ouvre sur les grands exercices formels de Gainsbourg. Plus que jamais, le mot, le rejet et la sonorité sont inextricables. Comme une musique cérébrale. Une esthétique autonome et singulière. Gainsbourg y signe de très grands textes, connus et inconnus, dont ceux de ses meilleures interprètes féminines.)
Audio-Visual Trivia内のセルジュ・ゲンズブールの関連映画は「唇によだれ」
ゲンズブールさん、超セクシーですな~
いやらしそうに見える男は「もてる男」か「いやらしそうにしかみえない男」かのどちらかに分類されますが、彼は前者なのでしょう。
アンナ・カリーナの写真、久しぶりに見ましたが、何かどことなくモニカ・ベルッチ嬢に似ているような・・そんな気がしました
anupamさん、実にゲンズブールはセックスアピールのカタマリで「いやらしい」です。そして魅力的でしかも不良です。 こんな人が日本にいるでしょうか。