Dennis Quaid as President Staton in American Dreamz (2006)
American Dreamz
「アメリカン・ドリームズ」は「イン・グッド・カンパニー」(2004年)で主演したデニス・クエイドと「アバウト・ア・ボーイ」(2002年) のHugh Grant (ヒュー・グラント)とPaul Weitz(ポール・ワイツ)監督の同窓会的なメンバーで製作されたコメディです。 教訓的政治風刺、じゃなければ飽くなきスター願望の風刺から、もっと広げてその番組を観る我々視聴者へのポール・ワイツ監督のメッセージを込めたコメディです。 いや、コメディの名を借りて、恐ろしい現実をこれでもか!と「そんなにやっちゃっていいの?」って思う位、抉り出している映画でしょう。 英国紳士のヒュー・グラントと最もセクシーな男と呼ばれたこともあったデニス・クエイドという全く異なるキャラクターの二人が競演します。 ヒューグラントは「アメリカン・ドリームズ」に出演するための研究でテレビのリアリティショーを見まくってはまっちゃったそうです。 出てみたい! 「I’m A Celebrity… Get Me Out Of Here!」
出演はアメリカ大統領”President Staton(ステイトン)”にDennis Quaid(デニス・クエイド)、大統領のChief of Staff(首席補佐官)には2009年にLars von Trier(ラース・フォン・トリアー)監督の「Antichrist(アンチクライスト)」で夫を演じたWillem Dafoe(ウィレム・デフォー)です。 ニタニタ笑う冷徹なTV司会者のイギリス人”Martin Tweed (マーティン)”を英国訛りが魅力のヒュー・グラントが演じます。 視聴率稼ぎに血道を上げるマーティンが金太郎飴のようなアイドルはもうつまらないということで、発掘担当スタッフは今迄とは違う変わったアイドル候補を探しを始めます。 そしてその番組に出演する一人が、Mandy Moore(マンディ・ムーア)が演じる才能はイマイチだけどスターになりたい度100%の”Sally Kendoo(サリー)”です。
国民から浮き立って孤独だった偉大なるアメリカのステイトン大統領は再選を達成したのでよけい気落ちしてしまいます。 大統領はこの再選を機に過去4年間で初めて新聞や本を読むことに決め、ホワイトハウスの寝室に閉じこもりっきりの毎日となります。 メディアは大統領の状況を書き立て、支持率も低下してしました。 ファーストレディも大統領補佐官も神経衰弱気味の大統領の士気を高めることが出来ず、なんとか国民に大統領の職務能力をアピールしようと思い、考えついたアイディアというのが、大統領を人気の高いオーディション番組 「American Dreamz」のゲスト審査員に引っ張り出すこと。(大統領はこの番組の大ファン)
大統領のテレビ出演に「待ってました!」と潜伏していたテロリストもテレビ番組に参加してきます。 Sam Golzari(サム・ゴルザリ又はサム・ゴルザーリ)が演じるミュージカル好きのアラブ人テロリストのOmer(オメール)も勝ち抜いてしまったAmerican Dreamzの最終審査はどうなるでしょう。
2001年から放映されているスターになりたい一般視聴者が参加してワザを競うFOXテレビのコンテスト番組 「American Dreamz」はここ数年人気の高い国民的TV番組「American Idol (アメリカン・アイドル)」のパロディで、デニス・クエイドが演じるアメリカ大統領はブッシュ氏への政治風刺なんでしょうか。 ちなみに歌でなくてダンスのコンテスト番組だと同じFOXチャンネルの「So You Think You Can Dance(アメリカン・ダンスアイドル)」が2005年から放映されているとか。
ペルシャ系のサム・ゴルザリはロンドン出身でUCLAで演技を学んだ俳優だそうです。 2004年のAndre Malletteが監督した「Closer」というショートフィルム(学生映画?)にOrpheus(オルフェ)役で出演したのが映画デビューでアメリカン・ドリームズは4作目になるそうですが2007年には3本も出演が決まっているようです。
予告編はAmerican Dreamz Trailer – IMDb
日本では2006年発売になったDVDですが、2009年字幕版DVDが予約注文できます。
アメリカン・ドリームズ
American Dreamz Soundtrack
「アメリカン・ドリームズ」のサウンドトラックはStephen Trask(スティーヴン・トラスク)作曲の音楽です。 ニューヨークのオカマバーで音楽プロデューサーを兼ねてバンド演奏していたスティーヴン・トラスクは同じくポール・ワイツが監督した2004年の映画「In Good Company(イングッドカンパニー)」でも音楽を担当しましたが、最たるは「Hedwig and the Angry Inch(ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ)」のオフブロードウエイの舞台と映画の音楽でしょう。 映画ではバンドメンバーのSkszp(スキシプ)を演じています。
American Dreamz
♪ 試聴はAmerican Dreamz [Soundtrack] – Soundtrack.net
「ナショナル・アンセム・ガール」のマンディ・ムーアが出演していますからマンディ・ムーアの歌う”Stars and Stripes”(アメリカ国歌)はモチロン収録されています。 米国歌は試聴の46番、”Mommy Don’t Drink Me to Bed Tonight”は25番です。 それにしても恐れ多い、サントラ画像が自由の女神がロッカーだなんて。
1814年に書かれた”The National Anthem”(アメリカ合衆国の国歌)「The Star-Spangled Banner」の歌詞はUSFlag.org
I Wanna Be With You
2004年の映画のタイトルにもありましたが、「The Girl Next Door(ご近所にいそうなごく庶民的な女の子)」と親しみをこめて呼ばれ、アメリカの少女たちのアイドルとなっているサリー役のマンディ・ムーアはワイツ監督たっての「アメリカン・ドリームズ」の譲れない人選だったそうです。 共演したイギリス人のヒュー・グラントにお熱だとコメントしているマンディ・ムーアはアメリカの国歌「Stars and Stripes Forever(星条旗よ永遠なれ)」を歌う「National Anthem Girl(ナショナル・アンセム・ガール)」として有名です。 2005年のスマトラ地震チャリティーコンサートのために来日したマンディ・ムーアは2000年のデビューアルバム「So Real」がミリオン・セラーを記録した翌年の2001年に映画「The Princess Diaries(プリティ・プリンセス)」に出演しています。 ムーアが主演した2002年の「A Walk to Remember (ウォーク・トゥ・リメンバー)」のサントラにはマンディ・ムーアの歌が3曲収録されています。 「ウォーク・トゥ・リメンバー」では不治の病に侵された高校生をマンディ・ムーアが演じて観る者の心を打ちます。 切ない純愛を描いた青春ものだが、父親役がなんと「赤い航路」のPeter Coyote(ピーター・コヨーテ)なので牧師には見えないが。
ヒュー・グラントは1992年にRoman Polanski(ロマン・ポランスキー)が監督した「赤い航路」で倒錯した世界の虜になる若い夫を演じましたが、Julia Roberts(ジュリア・ロバーツ)と共演した1999年の「Notting Hill(ノッティングヒルの恋人)」で日本でも広く知られるようになりました。 2003年のロマコメ「Love Actually(ラブ・アクチュアリー)」で英国首相を演じ、オーディション番組の司会者を演じた「アメリカン・ドリームズ」の後に日本で2007年4月に公開されるMusic And Lyrics(ラブソングができるまで)でDrew Barrymore(ドリュー・バリモア)と共演して落ち目の歌手を演じます。
マンディ・ムーアは日本未公開でしたが2003年に「How to Deal(ラブ・スクール)」に恋愛恐怖症の高校生役で主演しています。 2005年の「The Wedding Date」を監督したClare Kilner(クレア・キルナー)の作品です。 2007年9月に日本公開の映画は Diane Keaton(ダイアン・キートン)と共演する「Because I Said So(恋とスフレと娘とわたし)」で、マンディ・ムーアはダイアン・キートンが演じる支配的シングルマザーの娘役です。 1987年のWelcome to Heaven(ウェルカム・トゥ・ヘヴン)や2000年のHanging Up(電話で抱きしめて)では監督もしているダイアン・キートンはベテランの個性派女優です。 そんなダイアン・キートンのは見たくないけど3人娘のパンティ姿が予告編に登場! Woow!
日本未公開でしたがクールな1983年の「The Loveless(ラブレス)」で主役をはったWillem Dafoe(ウィレム・デフォー)は1992年には「Body of Evidence(BODY/ボディ)」でMadonna(マドンナ)に誘惑されていますが、映画の他に関与した作品といえば、Krista Nicoが参加した伝説のThe Velvet UndergroundのロッカーであるLou Reed(ルー・リード)がエドガー・アラン・ポーの詩をテーマにした2003年のCDアルバムは「The Raven」です。 このアルバムでは2001年にデヴィッド・ボーイ、オーネット・コールマンなどと共に舞台を経験したウィレム・デフォーが50年代のビートニクの詩人のようにジャズをBGMにポーの詩18編を朗読しているのです。(あのスパイダーマンの敵役のグリーンゴブリンが)
ルー・リードといえば2001年のProzac Nation(私は「うつ依存症」の女)に本人役で出演していたのでビックリしました。
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デニス・クエイドについてはビッグイージーとShame on You
※アメリカンアイドルについてはファンタジア・バリノ
ウィレム・デフォーがスキャンダル誌の編集長「Roland Sweet(ローランド・ スウィート)」役で出演した2004年のアビエイターと、ドイツ軍の副司令官「Klaus Daimler(クラウス ・ダイムラー)」を演じたライフ・アクアティック