Miles Davis (1926 – 1991)
ジャズ・トランペッターのマイルス・デイヴィス(マイルス・デビス)といえば、1940年代にCharlie Parker(チャーリー・パーカー)がホットでクールなアドリブ合戦のビバップでジャズ革命を起こした後に、アレンジを重視したクール・ジャズを誕生させた中心的ミュージシャンといわれます。
エリート家庭に生まれ育ったマイルス・デイヴィスはいわゆる黒人としての隷属的な労働の苦しみも虐げられたることもなく、ひどい差別の体験も又豊富ではないでしょう。 ニューヨークのジュリアード音楽院で音楽理論も古典も学びました。 ですがマイルス・デイヴィスはジャズをそしてブルース(ブルーズ)を演奏したのだそうです。
1945年からチャーリー・パーカーについて音楽活動を始めたマイルス・デイヴィスが1946年に初めて参加したBilly Eckstine(ビリー・エクスタイン)のビッグバンドでDizzy Gillespie(ディジー・ガレスピー)との出会いが有りました。(40年代後期にはディジー・ガレスピーは自分の楽団を結成しています) 1947年にはIllinois Jacquet Orch.(イリノイ・ジャケー楽団)やColeman Hawkins(コールマン・ホーキンス)などと演奏しています。
Birth of The Cool
チャーリー・パーカーに師事、腕を磨いたマイルス・デイヴィスは遂に羽ばたきます。
1950年にピアノのGil Evans(ギル・エバンス又はギル・エヴァンス)やJohn Lewis(ジョン・ルイス)、テナーサックスのLee Konitz(リー・コニッツ)、バリトンサックスのGerry Mulligan(ジェリー・マリガン)等の作曲及びアレンジにより、名盤の誉れも高い「Birth of The Cool」がブルーノートからリリースされました。 この盤ではアルトサックスはチャーリー・パーカー、トランペットがディジー・ガレスピー、ピアノがAl Haig(アル・ヘイグ)、ヴィヴラフォンがMilt Jackson(ミルト・ジャクソン aka BAGS)、ベースがRay Brown(レイ・ブラウン)やOscar Pettiford(オスカー・ペティフォード)、そして何と!ビリー・エクスタインがトランペットを演奏しています。
※チャーリー・パーカーが1941年にリリースしたビバップのアルバム「The Complete “Birth of the Bebop”」に対抗している命名でしょうか。
トランペットのDizzy Gillespie(ディジー・ガレスピー)、ベースのMilt Hinton(ミルト・ヒントン)、アルトサックスのCharlie Parker(チャーリー・パーカー)、ピアノのThelonious Monk(セロニアス・モンク)そしてドラムのKenny Clarke(ケニー・クラーク)による1941年のニューヨークのクラブでの演奏がBe-Bop(ビバップ)の誕生とされています。
Out of Nowhere: The Rise of Miles Davis (Savoy)
マイルス・デイヴィスがチャーリー・パーカーと初レコーディングした1940年代中期の録音を集めたSavoy Jazzレーベルの「The Rise of Miles Davis」にはJohnny GreenとEdward Heyman”が作曲した”Out of Nowhere”をはじめ全13曲が収録されています。(LPからのリマスター盤の試聴はOut of Nowhere: The Rise of Miles Davis – Amazon.com)
マイルス・デイヴィスは1950年代初期に麻薬問題もありましたが、1954年に「Bag’s Groove」(現在入手可能なCDはBag’s Groove [Original Recording Remastered] ASIN: B0014DM8OS)や「Walkin’」(ASIN: B000F8DTCS)をリリースしたり、1954年にはテナー・サックス奏者のJohn Coltrane(ジョン・コルトレーン)を呼んで「The Miles Davis Quintet(マイルス・デイヴィス・クインテット)」を結成し名コンビで数々の名演奏を残しています。 メンバーはピアノのRed Garland(レッド・ガーランド)、ベースのPaul Chambers(ポール・チェンバース)、ドラムはPhilly Joe Jones(フィリー・ジョー・ジョーンズ)のオールアメリカン・リズムセクションだそうです。(レッド・ガーランドの有名なアルバムは「The Quota(ザ・クォータ)」)
1956年にはモダン・ジャズ史上有名なマラソンセッション4部作「Walkin’ Cookin’ Relaxin’ Workin’ Steamin’」(ASIN: B003PK9FOY)をPrestigeからリリースしました。 これは二日間通しで録音したセッションを4枚のアルバム「Relaxin’」、「Steamin’」、「Cookin’」、「Workin’(又はWalkin’)」に収録したものです。
同年マイルス・デイヴィスはルイ・マル監督の映画音楽の収録でマイルス・デイヴィスは渡仏しますが、帰国後は再びコルトレーンと組みました。1958年には新人のアルトサックス奏者のCannonball Adderley(キャノンボール・アダレイ)を加えたセクステットで「Milestones」をリリースしています。 麻薬禍といわれたコルトレーンは1960年にマイルス・デイヴィスのバンドから離れ自分のバンドを結成するもやはり酒と麻薬が原因らしく1967年にとうとう亡くなりました。・・・フリージャズが死んだ。
With John Coltrane – OLYMPIA 20 Mar ’60
オリジナル発売は1999年のでジョン・コルトレーンをフィチャーしたパリのオリンピア劇場でのライブ盤でパート11にはAll of You、So What、On Green Dolphin Streetの3曲を収録、パート2にはWalkin’、Bye Bye Blackbird、’Round About Midnight、Oleo、Themeの5曲を収録しています。
パート1の試聴はLive, Olympia 11 Octobre 1960 Part 1 – CD Universe
Miles Davis & Mode
フリージャズ⇔マイルスが開拓したモードスタイル
1964年にマイルス・デイヴィスは、フリー・ジャズ系のピアニストのHerbie Hancock(ハービー・ハンコック)、テナー・サキソフォニストのWayne Shorter(ウェイン・ショーター)、ベイシストのRon Carter(ロン・カーター)、ドラマーのTony Williams(トニー・ウィリアムス)と共に1960年代最強のバンドを結成し、テナーサックス奏者がウェイン・ショーターからSteve Grossman(スティーヴ・グロスマン)に代わった1969年には3日間のスタジオ収録のファンキーな「Bitches Brew」をリリースした後に長い休養に入りました。
MIles Davis – Bitches Brew LIVE 1969 – YouTube
♪ Miles Davis – Miles Runs the Voodoo Down (The Columbia Years 1955 – 1985)
バップのマイルスかクールのマイルスか、モードって何?
40年代から始まったジャズの変遷はチャーリー・パーカーのビ・バップからクール・ジャズの誕生、そしてハード・バップから60年代のジャズの主流といわれるモード・ジャズ、そして後期にはシンセを取り入れたエレクトリックまでと、時代に乗ってか時代を引っ張ってかのマイルス・デイヴィスの音楽の推移は目覚しいものがあります。 モードってコードを無視したアドリブオンリーに近いのでしょうかね。 私はアヴァンギャルドもフリージャズもモードも分かりません。コンテンポラリーとかフュージョンだかクロスオーバーだかすら分かりません。
ですが古いもの好きの私も1986年に「Tutu(ツツ)」を聴いた時は愕然としましたね。 暫く噂を聞かなかったマイルス・デイヴィスの音が変わった!と。
私は聴いたけど???になる1956年の”I Surrender, Dear”などが収録されているThelonious Monkのアルバム「Brilliant Corners」とかWayne Shorterの1965年のアルバム「Etcetera」の”Barracudas”はいかが?
Tutu (live) Miles Davis – YouTube
Miles Davis- Dig Watermelon Man 1991 – Youtube
マイルス・デイヴィスの後期の”Nefertiti”のように芸術的な演奏よりも耳を劈くようなミュートの効いたパリ時代、ビバップやハード・バップ時代(コルトレーンとのクインテット時代)あたりまでの私のノスタルジーを掻き立ててくれる演奏が好きです。
甦る思い出といえば懐かしい名画です。 1950年代から1960年代にかけてアメリカの音楽「ジャズ」を映画に取り入れたのはフランスのフィルム・ノワールやヌーベルヴァーグですが、マイルス・デイヴィスの映画音楽といえば先ずあげられるのがマイルスのサントラが有名な私の好きなフランス映画「Ascenseur pour L’echafaud(Lift To The Scaffold / 死刑台のエレベーター)」です。 映画の冒頭で突如耳を劈くようなトランペットの響きは心臓が止まりそう、息も止まりそう、初めてマイルス・デイヴィスを知った瞬間です。
とても即興とは思えないような全編を通した十曲の素晴らしいマイルス・デイヴィスの演奏で、「メイン・タイトル」、「エレベーターの中のジュリアン」、「夜警の巡回」そして「モテルの写真屋」などの曲がストーリーに沿ってシーンを盛り上げました。 マイルスのトランペットとルイマル監督の光と影の映像が相乗効果を生み出し観る者、聴く者を惹き付けます。
※Film noir(フィルム・ノワール)とはフランス語で”黒い映画”という意味ですが、1940年代後期から1950年代のハリウッド映画の中でも犯罪ものを指します。 1930年代のアメリカの恐慌時代に始まった道徳的にあいまいでセクシーな刺激を強調したハードボイルド映画に端を発しています。
1956年にそれまでの楽団を解散しフランス公演中のマイルス・デイヴィスは、「死刑台のエレベーター」をパリのスタジオで録音しました。 この収録のためにテナーサックス奏者のBarney Wilen(バルネ・ウイラン)率いるオクテット(八重奏団)から4名を選んで自分のクインテットを編成したそうです。 メンバーはトランペットのマイルス・デイヴィス、テナーサックスのバルネウイラン、ドラムのKenny Clarke(ケニー・クラークは元オリジナルMJQ)、フランスのバップピアニストのRene Urtreger(ルネ・ウルトルジェ)、50年代から60年代の米ジャズメン達が仏ツアーの際好んで共演したバップ・ベイシストのPierre Michelot(ピエール・ミシュロ)です。
1957年にルイマル監督の「死刑台のエレベーター」のサントラ収録で再びパリ来ていたマイルスを虜にしたのはシャンソン歌手のJuliette Gréco(ジュリエット・グレコ)で、1949年に最初に出会って以来マイルスの意中のひとだったとかでグレコを想いながらサントラのペットを吹いたそうです。 1940年代サンジェルマン・デ・プレに集うジャン・コクトーなどの芸術家達やサルトルやボーヴォアールといった哲学者達と交流があったグレコも又アヴァンギャルドなシャンソン歌手でした。 この時代に哲学者のサルトルに紹介されたチャーリー・パーカーがサルトルをミュージシャンだと思い込んで「楽器は何ですか?」と聞いたという逸話が残っているとか。 1947年にJacques Prevert(ジャック・プレヴェール)作詞、ハンガリー出身のJoseph Kosma(ジョセフ・コズマ)作曲によるAutumn Leaves(枯葉)はグレコも歌っているシャンソンのスタンダード曲ですが、マイルスのお気に入りとなり、Blue Noteからリリースした1958年のアルバム「Somethin’ Else」にキャノンボール・アダレイのアルトサックスをフィーチャーして収録されています。(Love For Saleも素晴らしい!)
マイルスが麻薬に手を染めたのはトランペットの師である”バード”ことチャーリー・パーカーの誘いに乗ったからとか、麻薬に溺れたのはグレコとの別れだったとか言われています。
ピアニストのBill Evans(ビル・エヴァンス又はビル・エバンス)とマイルス・デイヴィスのアルバム「Kind of Blue」からBlue in Greenはアルバム「Kind of Blue」に収録されています。
Miles Davis Quintet 1964のビデオクリップが観られるMiles Davis Quintet 1964 – TheJazzPage(リンク先はすぐ音なので左上の再生ボタンで止めてから、上のメニューからVideos>Single VideosでMiles Davis Quintet 1964をサイト内検索)
ビデオクリップは1964年のドイツでのTVコンサートで、クインテットのメンバーはトランペットのマイルス以下、Wayne Shorter、Herbie Hancock、Ron Carter、Tony Williamsと豪華メンバー。
マイルス・デイヴィスのアルバム
ページトップの画像はマイルス・デイヴィスのマニアでなくても知っているSo What、Freddie Freeloaderなどを収録した1959年のモード・ジャズの始まりともいうべきジャズ史上不滅の名盤「Kind of Blue」で、メンバーはジョン・コルトレーンとキャノンボール・アダレイのアルトサックス、Bill Evansのピアノ、Paul Chambersがベース、Jimmy Cobbがドラムですが、Freddie FreeloaderのピアノはWynton Kelly(ウイントン・ケリー)です。
Miles Davis & John Coltrane (1959) So What – YouTube
オリジナルが1949年録音というBirth of the Cool(クールジャズの誕生)は1950年代に全盛だったウェストコースト派に影響を与えたというアルバムです。
BIRTH OF THE COOL
※Gerry Mulligan(ジェリー・マリガン)が”Jeru”や”Venus de Miloなどを演奏しています。
上記のアルバム「Birth of the Cool」に1948年ニューヨークのRoyal Roostでの未発表の演奏を加えて全25曲が収録されている素晴らしいライヴ録音盤
Complete Birth of the Cool
The Complete Birth of the Cool
アルバム「Bags Groove」のオリジナルは1954年に録音された「1954 Xmas Eve session」らしいです。 マイルスは滅多にヴァイブとは演奏しなかったといいますが、このアルバムではタイトル曲の作曲者であるMJQのヴィヴラフォン奏者だったMilt Jackson(ミルト・ジャクソン)が参加しています。
ハードバップの”Oleo”と”Doxy”は Sonny Rollins(ソニー・ロリンズ)の曲ですが、But Not for Me はGeorge Gershwin(ジョージ・ガーシュウィン又はジョージ・ガーシュイン)作曲のスタンダード・ジャズです。
メンバーはトランペットがマイルス・デイビス、バイブがミルト・ジャクソン、ピアノがセロにアス・モンクとHorace Silver(ホレス・シルヴァー)、テナーサックスがソニー・ロリンズ、ベースがPercy Heath(パーシー・ヒース)でドラムがKenny Clarke(ケニー・クラーク)です。マイルスとモンクが共演している唯一のアルバムですがマイルス・デイビスのソロには大御所のモンクも遠慮しているようです。
オリジナル盤は1954年のアルバム 「Walkin’」
Walkin’
My Funny Valentine(マイ・ファニー・バレンタイン)はChet Baker(チェット・ベイカー)のオープンなペット演奏でも有名な曲ですが、1956年のThe Miles Davis Quintetのマラソンセッションの一枚「Cookin’」や「The Complete Columbia Recordings: 1955-1961」などに収録されているマイルス・デイビスのミュートのトランペットも素晴らしいです。
My Funny Valentine
Cookin’ With the Miles Davis Quintet
オリジナルが1958年録音のキャノンボール・アダレイが参加したセクステットが演奏による初アルバム
Milestones
マイルス、コルトレーンにキャノンボールが加わってスリーホーンのゴージャスな演奏。
名アルバムの「カインド・オブ・ブルー」、「マイルストーンズ」、「ポーギーとベス」などと同時代に録音されたAutumn Leaves(枯葉)など名演奏を収録しているキャノンボール・アダレイ名義のアルバムは「Somethin’ Else」
※マイルス・デイビスの恋人にゆかりのある名曲「枯葉」の演奏はマイルスのミュートやキャノンボール・アダレイのアルトサックスの他、ピアノがハンク・ジョーンズ、ベースがサム・ジョーンズ、ドラムがアート・ブレイキーです。
George Gershwin’s Porgy & BessのSummertimeが収録されているのはオリジナルが1957年録音の「Porgy and Bess」で、このアルバムで一番人気はやはりGil Evansの編曲のSummertimeです。 ギル・エヴァンスとの1959年のコラボといえばConcierto De Aranjuez(アランフェス協奏曲)を収録した1960年のLPアルバム「Sketches Of Spain」があります。(2枚組CDのSketches of Spain: 50th Anniversary Legacy EditionはASIN: B001W63DYQ)
マイルス・デイビスは1999年の映画「The Talented Mr. Ripley(リプリー)」のサントラではEden Ahbez(エデン・アーベ)が作った私の好きな”Nature Boy”を演奏しています。 その”Nature Boy”が収録されているオリジナルが1955年のアルバムの「Blue Moods」はクールというよりはメローなバラードの演奏で素敵な夜にぴったり!
マイルス・デイビスの他は”Alone Together'”をアレンジしたCharles Mingus(チャールス・ミンガス)がベース、Elvin Jones(エルヴィン・ジョーンズ)がドラム、Britt Woodman(ブリット・ウッドマン)のトロンボーン、Teddy Charles(テディ・チャールス)のヴァイブだそうです。
※1999年のマット・デイモンとジュード・ロウが共演した映画「リプリー」とそのサウンドトラックについては「リプリー」を参照。
そしてその1955年のオリジナル録音とされるのが「The New Miles Davis Quintet」で、マイルスディヴィスを筆頭にテナーサックスのJohn Coltrane(コルトレーン)、ピアノがRed Garland(レッド・ガーランド)、ベースがPaul Chambers(ポール・チェンバース)、ドラムがPhilly Joe Jones(フィリー・ジョー・ジョーンズ)の演奏です。
ですが、実はこちらの‘Round About Midnightが先だったとか。(CDは要SACD互換機) コロンビアレコードでの最初の録音でオリジナル録音はモノラルだそうです。 契約のことは分かりませんが音楽は素晴らしいから試聴して下さい。 お手軽価格のこちらも‘Round About Midnight
色々なミュージシャンと共演するマイルス・デイヴィスはKing Curtis(キング・カーティス)との共演で知られたギタリスト(テレキャスター)のCornell Dupree(コーネル・デュプリー)も呼んで1972年に”Red China Blue”などを演奏しています。(コーネル・デュプリーは肺気腫により68歳で2011年5月死去) オリジナルは2枚組みLP盤のMiles Davis Octet(マイルス・デイビス八重奏)の1972年録音のラテングルーヴアルバムですがスペース・エイジやメタ・ファンクなどの新しい音楽にも挑んだという珍しいLPは2000年にやっとCD化されました。 1974年に逝去したDuke Ellington(デューク・エリントン)にマイルス・デイビスが捧げた曲”He Loved Him Madly”や70年代初期のファンク・ロック時代には多大なる影響を受けたR&B歌手のBilly Preston(ビリー・プレストン)の名を冠した曲を含む全8曲をスタジオ収録したものです。 ここまで芸術的だとジャズのミーハーの私にはとうてい歯が立ちません。(真のマイルスのファンじゃないと) 参加したキーボード奏者はHerbie Hancock(ハービー・ハンコック)やKeith Jarrett(キース・ジャレット)、ドラムスはAl Foster(アル フォスター)、Bernard Purdie(バーナード・パーディ)、Billy Cobham(ビリー・コブハム)、そしてギターにCornell Dupree(コーネル・デュプリー)で、ブルースハープはWally Chambers(ワリー・チェンバース)です。
Get Up with It
試聴はGet Up with It – Amazon.com
※1962年の”Watermelon”が大ヒットしたハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、ロン・カーター、トニー・ウィリアムスとの共演盤には傑作と評判の高いコロンビア時代の1枚で1966年に吹き込まれた「Miles Smiles 」というアルバムもあり。
マイルス・デイビスのバップが好きな私は驚いた! マイルスの音が変わった! 当時若手のエレキベース奏者でプロデューサーのMarcus Miller(マーカス・ミラー)が音作りをしたというマイルス復帰第一弾、衝撃の”TuTu”が収録されているアルバムです。
Tutu
※TUTUとは南アフリカ 共和国(南ア)の反アパルトヘイト運動家で1984年のノーベル平和賞受賞者のDesmond Mpilo Tutu(元大司教デズモンド・ツツ氏)のことを指しています。
※ところでアルバム「TUTU」のジャケットに使用されているマイルスの顔写真は有名なアメリカのファッション写真家であるIrving Penn(アーヴィング・ペン)が撮影したものなのです。その写真でアカデミー賞衣装デザイン賞ノミネートとなった2012年の「Mirror Mirror(白雪姫と鏡の女王)」の衣装担当が遺作となった石岡瑛子がデザインし1987年のグラミー賞を受賞しました。
BLUE XMAS!
1961年にマイルス・デイビスがクリスマスソングを依頼された時、アルバムの”Devil May Care”でマイルスの師匠のチャーリー・パーカーの”Yardbird Suite”を歌っていたことからVocalese(ヴォーカリス)のBob Dorough(ボブ・ドロー)にクリスマスソングを依頼し、そのジャズ・スタンダード曲集「Jingle Bell Jazz」に収録されたのがBlue Xmasだそうです。 マイルスの演奏(作曲)でボブ・ドロウのヴォーカルの”Blue Xmas”を収録したアルバムは「Jingle Bell Jazz」です。
Miles Davis with Bob Dorough – Blue Xmas – YouTube
マイルス・デイヴィスの”Blue Xmas”はクラシックR & Bクリスマスソング集の「Hipster’s Holiday: Vocal Jazz R & B Classics」にも収録されています。
ビバップからクールジャズのピアニストとして活躍していたそうですが、スキャットがすごいボブ・ドローは作詞、作曲、編曲、舞台監督やピアノの弾き語りなど音楽シーンに関わっているユニークなミュージシャンです。 1962年にBen Tucker(ベン・タッカー)が書いてHerbie Mann(ハービー・マン)がオリジナル演奏した大ヒット曲”Comin’ Home Baby(カミン・ホーム・ベイビー)”の録音時にはベースを弾いていたそうですがその”Comin’ Home Baby”の作詞者としても有名なんだそうです。 1956年にアルバムの「Devil May Care(デヴィル・メイ・ケア)」を初吹き込みをして以来色々と音楽関係で話題を提供しています。 なにしろマイルスのアルバムで歌っている最初で最後の人物ですから。 そのアルバムのタイトル曲である”デヴィル・メイ・ケア”は1962年にマイルスが録音しているそうです。
ストラヴィンスキーになりたかったボブ・ドローは2018年に94歳でなくなりました。(私の誕生日に)
Miles Davis At Fillmore(マイルス・デイヴィス・アット・フィルモア)のライブ盤では1970年にマイルスに招かれてキーボード(オルガン)を演奏しているのがジャズピアニストのKeith Jarrett(キース・ジャレット)です。 半ば立った状態でアフロヘアを振りながらノリノリで演奏しています。
At Fillmore: Live at the Fillmore East
マイルス・デイヴィス・アット・フィルモア(紙ジャケット仕様)
※ちなみにThe Fillmore(Fillmore Auditorium / フィルモア)とは1960年代中頃(1966年)から歴史的に重要なサイケデリック音楽の祭典が開催されたサンフランシスコの場所でFillmore Eastにありました。 1968年にはFillmore Westに移転しましたが、70年代のサイケデリック・ロック・りジェンドのJefferson Airplane(ジェファーソン・エアプレイン)、The Doors(ザ・ドアーズ)やJanis Joplin(ジャニス・ジョプリン)などもフィルモア・コンサートに出たそうです。 60年代後半~70年代初め当時、無料で参加者に配布されたサイケなフィルモア・コンサートのポスターは主にRick Griffin(リック・グリフィン)の手になる緻密なイラストでした。
Rick Griffin Posters – myraltis.co.uk
The Complete Jack Johnson Sessions
時代の先を行くジャズトランペット奏者のマイルス・デイヴィスが1970年にWynton Marsalis(ウィントン・マルサリス)と共演したフージョンアルバム”Complete Jack Johnson Sessions”は最近になって評価されているそうです。 このJack Johnson(ジャック・ジョンソン 1878年ー1946年)トリビュートアルバムはマイルスのお気に入りの初代黒人ヘヴィーウェイト級ボクサーで、教会批判とあらゆる人種差別の掟を破ったという反骨のテキサス男です。 1920年代にギャングに売却したジャック・ジョンソン所有のハーレムのナイトクラブというのが後の”Cotton Club(コットン・クラブ)”だそうです。(ギャングのオウニー・マドゥンが経営)
Miles Davis plays Willie Nelson
アルバム”The Complete Jack Johnson Sessions”のディスク1の10曲のうち6曲も”Willie Nelson”というタイトルがつけられています。 Willie Nelson(ウィリー・ネルソン)といえばアウトローのカントリー歌手ですがいったいどんなつながりがあるのか不思議に思いました。 マイルス・デイヴィスとウィリー・ネルソンのマネージャーが共通でレコード会社CBSが同じという他に、マイルスの師であるチャーリー・パーカーがカントリー音楽のファンであり、マイルスもネルソンも”語るアウトロー”という点、及びロマンティックということで共通するものがあるのだそうです。
音楽的には共にクールな演奏で観客を魅了したマイルス・デイビスとウィントン・マルサリスでしたが平素からソリが悪かったそうで、1986年のバンクーバーで行われたフェスティバルでのマルサリスの飛び入り演奏の件により関係はさらに悪化したんだとか。
“Willie Nelson”が収録されたアルバム「The Complete Jack Johnson Sessions」の試聴はThe Complete Jack Johnson Sessions – CD Universe
♪ Miles Davis – Willie Nelson/The Theme (Live) – Amazon.com (MP3 Download)
最近聴いたマイルスのアルバムは「Miles Davis: The Columbia Years 1955-1985」ですが、収録されているモノバージョンのGénérique(ジェネリーク/”死刑台のエレベーター”のテーマ)を購入しました。 フランス語のGénérique(ジェネリーク)の意味としては映画のメインテーマ、もしくはオープニングやエンディングのクレジットで流れるテーマ曲として使用されるらしく、英語だと”Credits”になるそうです。 「死刑台のエレベーター」以外にも”ジェネリーク”というタイトルの曲はあります。 このCDは問題あり説も聞かれますが5枚のLPをCD化した4枚ディスクBOXセットで、全部試聴が出来ます。
ディスク1:Generique、All Blues、Summertime、Straight, No Chaser他 ディスク2:My Funny Valentine他 ディスク3:So What他
Straight, No ChaserはMy Funny ValentineやOn Green Dolphin Streetなどを収録した1958年の2枚のセッション盤をCD化したMiles Davis Sextetのライヴ・アルバム「’58 Sessions」にもあります。
“Straight, No Chaser(ストレート、ノーチェイサー)”とは強い酒をストレートであおって喉焦け防止の追いかけ水はいらないっていう意味なんでしょうが、ステージのラストに流す曲を”chaser”と呼ぶのだとも。(次のステージにつなげる)
You’re Under Arrest
マイルス・ディヴィス最後のコロンビア録音というこの1985年のアルバムには終生必ずライヴで演奏したという”Time After Time”が収録されています。(Cassandra Wilsonも歌っている) このジャズのスタンダード曲は1947年にSammy CahnとJule StyneのコンビがFrank Sinatra(フランク・シナトラ)主演の映画「It Happened in Brooklyn」のために作ったものです。 この”Time After Time(過ぎ去りし想い)”はグラミー賞受賞歌手のCyndi Lauper(シンディ・ローパー)の2番目のシングルで1984年にリリースされました。 マイルス・デイヴィスの墓石には”Time After Time”のメロディーが刻まれているというからそうとうなお気に入りの曲だったのでしょう。 ちなみに同じくコロンビアからリリースされたオリジナルが1985年の「Mellow Miles(メロー・マイルス)」(ASIN: B0000087S4)には1956年から1985年の名録音を集めたイージーリスニング寄りのアルバムです。 試聴は CDUniverse(https://www.cduniverse.com/productinfo.asp?pid=8043439)
Don Cheadle will be Miles Davis!
惜しくも65歳で1991年に亡くなったマイルス・デイヴィスは2006年に生誕80周年を迎えますが、2006年3月にクリーブランド市にあるロックの博物館「The Rock and Roll Hall of Fame」の殿堂入りを果たしました。
売れっ子俳優のDon Cheadle(ドン・チードル)は製作及び監督してマイルス・デイヴィス役を主演するMiles Davis Biopic(マイルスデビスの伝記映画)の「Miles Ahead」は2013年に製作開始されて2016年春に公開予定だそうです。 これまでのミュージシャンの伝記映画と違うところは焦点がマイルスがもう演奏しなかった70年代だということでしょうか。2017年のオスカー候補か? これとは別にマイルス・ディヴィスの長男のGregory Davis(グレゴリー・デイビス)が記した回顧録「Dark Magus: The Jekyll and Hyde Life of Miles Davis」(ISBN-10: 0879308753)を元にした伝記映画「Miles(仮題)」を2005年の「ロール・バウンス」を製作したGeorge Tillman Jr.(ジョージ・ティルマン・ジュニア)が監督するそうです。 ドン・チードルは過去にも1998年のThe Rat Pack(ラット・パック)で、シナトラ一家のSammy Davis Jr.(サミー・デイヴィス・ジュニア)をそっくりに演じた経歴があります。 ドン・チードルはこれまでオスカー賞はノミネートだけにとどまっていますが、もしこの映画出演が実現すればレイ・チャールズ伝記の「Ray(レイ)」やジョニー・キャッシュ伝記の「Walk the Line(ウォーク・ザ・ライン 君につづく道)」みたいにオスカー賞も夢ではないかも!
ドン・チードルは1995年に「Devil In A Blue Dress(青いドレスの女)」、2001年に「Swordfish(ソードフィッシュ)」、2004年に「Hotel Rwanda(ホテル・ルワンダ)」と「Crash(クラッシュ)」など数多くの話題作品に出演しています。 2001年から2007年に渡っては「Ocean’s Twelve(オーシャンズ11から13)」リシーズに出演していますが、最近では2010年の「アイアンマン2」に出演しています。(Iron Man 2008(アイアンマン))
マイルス命の相方の影響で聞き始めたマイルス初心者マークつきのanupamです。
情報がてんこ盛りで、まだ全部を読みきっていないのですが、毎度のことながら、すごい情報量ですな~~感心します。
ドン・チードルがマイルス役か~~彼はほんとに売れっ子ですね。
晩年近くマイルスは若手ミュージシャンのPVに出たりしてましたね(演奏なし)。ただ顔を出すだけでも迫力満点でした。
anupamさん、嬉しいですね・・・マイルス命!
私はちょっとばかりミュートの響きに魅せられた程度で楽典などは皆目分かりませんからその方にわらわれちゃいそうです。記述にミスがあると思いますので見つけたらご指摘下さいね。
うほっ!
マイルスですよ!いいですね~。
と言っても、たいして聞き込んではないんですけど・・・汗。
でも「Kind of Blue」は大好きなアルバムです。
コルトレーンとかビル・エバンス、メンツも最高ですしね!
よし、今日はコレを聞こう、そうします!
ken-sann、今夜は”Kind of Blue”でウヰスキーでも? それではワタクシは珈琲にしましょうかね。・・・なに勝手なこと言ってるんだか。