The King of Swing: Count Basie (1904-1984)
“スイング王”と呼ばれたカウント・ベイシーは本名をWilliam Basie(ウィリアム・ベイシー)といい、ジャズにオルガンを導入したことで知られるピアニストでマルチ・エンターテイナーのFats Waller(ファッツ・ウォーラー)に師事、最初は南部を旅するボードビル一座に加わりピアノでブルース(ブルーズ)を弾いていたそうです。 黄金のスイングジャズ(スウィング・ジャズ)時代にはGlenn Miller(グレン・ミラー)、Benny Goodman(ベニー・グッドマン又はベニイ・グッドマン)、Tommy Dorsey(トミー・ドーシー)、Artie Shaw(アーティ・ショー)、Harry James(ハリー・ジェームス)、Duke Ellington(デューク・エリントン)、Cab Calloway(キャブ・キャロウェイ)などといったスイング王と呼ばれたミュージシャン達と活躍した代表的なジャズミュージシャンです。
一般的にはスイング王と呼ばれていたのはベニー・グッドマンでしたが、そのベニー・グッドマンがカウント・ベイシーをスイングの王だと称賛したのだとか。
アメリカで禁酒法がしかれた1920年代当時にはシカゴを越えるほどに超型破りな町であった「Kansas City(カンザス・シティ)」でウィリアム・ベイシーは音楽活動を始めました。 ベイシーはジャンプブルース・シンガーのJimmy Rushing(James Rushing /ジミー・ラッシング)に出会ってジミーが在籍していたWalter Page(ウォルター・ペイジ)が結成したスウィング・バンド「Blue Devils」に参加するも、1929年には二人共「Bennie Moten and His Kansas City Orchestra(ベニー・モーテン・カンザスシティ楽団)」に移りました。 ”Moten Swing”(1942年?)などを吹き込んだベニー・モーテン楽団は当時カンサス・シテイで人気のスイングバンドでしたが後にCharlie Parker(チャーリー・パーカー)もお世話になっています。 1930年代末にはシカゴからニューヨークに移り伝統的なカンザス・シティ・ジャズ(ラグタイム)を受け継ぐビッグバンド「Count Basie’s Orchestra(カウントベイシー楽団)」を結成しました。 カンサスシティ・ジャズとはジャズのルーツであるニューオリンズ・ジャズやハーレム(ニューヨーク)ジャズと並ぶ黒人3大ジャズの一つといわれますが一番定義し難い形式だそうです。 有名な元祖ビバップのアルトサックス奏者のチャーリー・パーカーの出身地がカンサスシティだそうで、Queen of Kansas Clubs(Club Reno)で演奏するカウント・ベイシー楽団のレスター・ヤングをそのチャーリー・パーカーが聴いていたそうです。
ちなみにテキサステナーのBuddy Tate(バディ・テイト 1913年-2001年)はサキソフォンやクラリネットを演奏するジャズ・ミュージシャンですが特にテナー・サックス奏者としてはスイング時代には人気で、カウント・ベイシー楽団には29歳という若さで急死したテキサス・テナーのHerschel “Tex” Evans(ハーシャル・エヴァンス)の代わりとして入団し1939年から1948年まで在籍しました。 後期の1990年代にはライオネル・ハンプトン楽団とも演奏したそうです。
バディ・テイトはトロンボーンのVic Dickenson(ヴィック・ディッケンソン)などをフィーチャーして1995年のコンピレーション・アルバム「The Count Basie Alumni」(ASIN: B000001JEX)、もしくは「Count Basie Alumni Sessions」とか「Count Basie Alumni by Tate & Dickenson (1999-12-25)」に参加しています。
カウント・ベイシーはカウントベイシー楽団での名前をWilliam “Count” Basie(カウント・ベイシー)と変えていますが、お仲間のDuke Ellington(デューク・エリントン)が公爵だからカウント・ベイシーは伯爵というステージネームにしたのでしょうか。 同じスイングといっても優雅で洗練されたエリントン対するハードにスイングしまくるベイシーの二人は60年代初めに”Battle Royale”という曲を共同作曲しています。 Count Basie – Duke Ellington – Battle RoyalやTo Youは1961年のオリジナル録音の1991年盤にはリハーサル風景や未発表も含む「First Time: The Count Meets the Duke」に収録されています。(”Battle Royal”はオリジナルが1961年のアルバム「First Time! The Count Meets the Duke」などにも収録。こちらも第三トランペットとして有名なsonny cohn /ソニーコーンが参加)
Walter Page
ミズリー州出身のウォルター・ペイジはカンサス大学で音楽を学んでいた頃にベニー・モーテンなどと演奏していたそうです。 1925年にはオクラホマでThe Blue Devilsを結成しましたが、ウォルター・ペイジのベース(バス)を始めそれまでの楽団ではリズムセクションとして使用していなかったドラムやギターを取り入れたモダンな編成であると共に全てが民主的に運営されていたそうです。 吹き込みはKansas City(カンザス・シティ)だけでした。 在籍していたジミー・ラッシングを追って参加したカウント・ベイシーがベニー・モーテン楽団に次々と引き抜かれた後、とうとうウォルター・ペイジも参加したそうです。
Atomic Mr. Basie!
無名時代のカウントベイシーは1936年頃にカンサスのラジオ局の深夜放送に出演していましたが、番組の最後にこのカウント・ベイシー作曲の”One O’Clock Jump(ワン・オクロック・ジャンプ)”をエンディング・テーマ曲として演奏していたそうです。 それで曲名が”ワン・オクロック・ジャンプ”となったそうです。 その後カウントベイシーが1937年に初吹き込みした”ワン・オクロック・ジャンプ”や”Jumpin’ at the Woodside(ジャンピン・アット・ザ・ウッドサイド)”が人気を博して世界的に有名になります。 ベイシー楽団にはテナーサックスの天才といわれたLester Young(レスター・ヤング)、”Premier Bal(初恋のブルース)”などのヒット曲を残して上海に行ってしまったトランペット奏者のBuck Clayton(バック・クレイトン)、スイングのノリノリの貢献者で生涯伴奏ギター(四つ弾き)のFreddy Green(フレディ・グリーン)、ドラムのJo Jones(ジョー・ジョーンズ)などの他にHelen Humes(ヘレン・ヒュームズ)など素晴らしいブルース歌手たちが在籍していたため、他のどの楽団も太刀打ちできないほど素晴らしかったそうです。 第二次大戦後はスイングの衰退にと伴い一時小編成のバンドになったものの、クインシー・ジョーンズなどの素晴らしいアレンジャーを得てブルースどっぷりのカンザスシティ・スイングからもっとダイナミックでモダンな”Count Basie’s “New Testament” big band(ニュー・ベイシー・バンド)”となり再びビッグバンドを盛り返したのです。
1955年には、専属歌手のブルースシンガーのJoe Williams(ジョー・ウィリアムス)で吹き込んだ”Everyday I Have the Blues”がR & Bのチャートでシングルヒットに輝きました。 また、.50年代にはTV私立探偵シリーズが大流行で、それらの殆どがお洒落にジャズスタイルを取り入れたテーマ曲が魅力でした。 1957年から放映された「M Squad(シカゴ特捜隊M)」シリーズの音楽はデキシースタイルのトランペット奏者のStanley Wilson(スタンレー・ウィルソン)楽団が全編通して担当していましたが、テーマ曲の”Theme From M Squad”は1958年にカウント・ベイシーが作曲したそうです。 Peter Gunn、Mike Hammerや77 Sunset Stripなどと共に代表的なクライム・ジャズとして人気でした。 スタンレー・ウィルソン等とM Squad(シカゴ特捜隊M)の共同作曲者だったBenny Carter(ベニー・カーター)のソプラノサックスが聴けるとか。
M-Squad (Theme) – Stanley Wilsonは「M Squad; Mickey Spillane’s Mike」(試聴はマイク・ハマー Mike Hammer参照)
※カウント・ベイシーのシカゴ特捜隊M、リルダーリン、The Basie Twist、Jumpin’ At The Woodsideなどが、50年代の懐かしい曲を集めた「The Roulette Story」という3枚組みCDにも収録されています。
※「シカゴ特捜隊M」は1957年から1960年にかけて放映されたテレビの警察シリーズでLt. Frank Ballinger(フランク・バリンジャー警部)役でLee Marvin(リー・マービン)が主演した硬派の犯罪ドラマでした。私立探偵物語に登場するような美女も恋も抜きですが、音楽もハードボイルドで50年代のジャズスタイルを取り入れています。
Count Basie Live in Japan ’78
カウント・ベイシーは楽団を1952年に再編成してCount Basie And His Orchestra(カウント・ベイシー・オーケストラ)が1963年に初来日したそうですがその日本公演の記念盤はりリースされていないようです。 ギターの Freddie Greenが参加したカウント・ベイシーは楽団の5回目の来日の1978年の浜松ライヴはラジオ放送のために実況録音されたそうですが、1984年のカウント・ベイシー亡き後にNorman Granz(ノーマン・グランツ)がプロデュースしてポリドールLP盤アルバムの「Live in Japan」としてリリースされたそうです。 これが唯ひとつの日本公演の記念盤だそうですが、同時発売のCDにはボーナストラックとして2曲が追加されています。
Music of Neal Hefti & Benny Carter: Count Basie & His Orchestra
なぜか私が若かった頃にはちょっととっつきが悪かったカウント・ベイシーでしたが楽団が演奏する何曲かはお気に入りになっています。 60年代のTVドラマ・シリーズだった”77 Sunset Strip(サンセット77)”や”Surfside 6(サーフサイド6)”や”Hawaiian Eye(ハワイアンアイ)”などのテーマ曲を作曲したピアニストのJerry Livingston(ジェリー・リヴィングストン)とコンビを組んでいた作詞家のMack David(マック・デヴィッド)にカウント・ベイシーが加わって作り1938年に録音したという”Blue and Sentimental”などベーシー作曲の”ワン・オクロック・ジャンプ”や”ジャンピン・アット・ザ・ウッドサイド”は別にしても、ベイシー楽団のテナーサックス奏者だったレスター・ヤングが作曲した名曲「Lester Leaps In」、60年代から70年代に映画音楽で活躍したベーシー楽団のアレンジャーだったNeal Hefti(ニール・ヘフティ)作曲のLil’ Darlin’、100歳まで長生きのラグタイマーのEubie Blake(ユービー・ブレイク)作曲のMemories Of You、”I can’t get started”や”Taking A Chance On Love”なども作曲したロシア出身のVernon Duke(バーノン・デューク)によるApril in Parisなどのカウント・ベイシー楽団の演奏が好きです。
※ヘフティ編曲の1958年のアルバム”Basie Plays Hefti”は現在ではCD化されてないそうですが、カウント・ベイシー名義のアルバムで「Music of Neal Hefti & Benny Carter」(ASIN: B000NVSZJY)がリリースされています。(現在1万円以上のヴィンテージ価格) 1989年にリリースされたアルバムのカバー画像が見られるCount Basie & His Orchestra: The Music of Neil Hefti & Benny Carter – RateYourMusic.com
Lil’ darling – Count Basie – YouTube
1935年から1948年にはカウント・ベイシー楽団には専属としてカンサスで一緒だった”Mr. Five by Five”こと”ジミー・ラッシング”が在籍していました。 オクラホマ出身のブルースマンであるジミー・ラッシングはカウント・ベイシーと共同でGoin’ to Chicago Bluesを作曲し、1936年にBoogie Woogie、1939年にEvil Blues、I Can’t Believe That You’re in Love With Meなどを吹き込んでいます。
Kansas City Blues by Jimmy Rushing with Basie 1957- YouTube
カウント・ベイシーが1947年に録音した”Open The Door Richard“はボードヴィル・コメディアンのDusty Fletcher(ダスティ・フレッチャー)がオリジナルと主張していますが、Walter BrownとTiny Grimes Sextet(タイニー・グライム・セクステット)との共演盤など10人以上の歌手がレコーディングしていて、1946年にホンキング・テナーのJack McVea(ジャック・マクヴィ)も録音していました。
カウント・ベイシーのピアノが素晴らしいのは言うまでもありませんが、私はオルガンも大好きです。中でもニール・ヘフティ作曲の”Lil’ Darlin'”はオルガンのJimmy Smith(ジミー・スミス)を始め、ギターのKenny Burrell(ケニー・バレル)やJoe Pass(ジョー・パス)、ヴァイブのMilt Jackson(ミルト・ジャクソン)、ピアノではTeddy Wilson(テディ・ウィルソン)やRed Garland(レッド・ガーランド)やRay Bryant(レイ・ブライアント)、トランペットのClark Terry(クラーク・テリー)やベースのRay Brown Trio(レイ・ブラウン・トリオ)まで多くのジャズメンのレパートリーに加えられています。
1979年にArnett Cobb(アーネット・コブ)などと参加して録音したLPレコード「Helen Humes And The Muse All Stars」にはThese Foolish Things、I’ve Got a Crush on You、Body and SoulなどA面B面で7曲を収録しています。(CDは「& Muse All-Stars」 ASIN: B000008RPE)
カウント・ベイシー楽団のアルバム
America’s #1 Band: The Columbia Years
ページトップの画像はスイングの全てが、そしてカウント・ベイシーの全てが聴けるといってもよい2003年にリリースされた4枚組CDです。
コロンビア時代はレーベルとの契約問題などで何かと議論の的になったカウント・ベイシーの歴史的コンピレーションです。
ディスク1とディスク2の半分は1936年から1957年のSmith-Jones quintetのセッションでレスターヤングやジミー・ラッシングとの録音です。Goin’ to Chicago BluesやLive and Love Tonightではカウント・ベイシーのオルガンが聴けます。レスターヤングのLester Leaps InのイントロとなったベイシーのKansas City Sevenを含め、1939年のこのセッション版は1951年に発表されたそうです。
ディスク:1 には名演のLester Leaps In、How Long Blues、スタンダードとなっているSt. Louis Blues
ディスク:2 I’m Confessin’ (That I Love You)、ベイシー楽団のテーマ曲として有名なOne O’Clock Jumpの他、私の好きな I Want a Little Girl(ちなみに私の購入した”I Want a Little Girl”はアルバムの「Count Basie and the Kansas City 7」でディスク:4 はライヴ盤でOne O’Clock JumpとJumpin’ at the Woodsideなどを収録しています。
※St. Louis Bluesは1982年盤のアルバム”Farmer’s Market Barbecue”にも収録されています。 他にもClark Terry & Oscar Peterson Trioのアルバム”Oscar Peterson Trio + One”(Oscar Peterson Trio Plus One)に収録されている”I Want a Little Girl”も購入しているのです。
※ ちなみに「Lester Leaps In」といえばレスター・ヤングをフィーチャーしたカウント・ベイシーのモノラル録音のアルバム「レスター・リープス・イン」(試聴が出来るCD ASIN: B00GXEXZH2)があり、1936年から1940年の録音を収録したEPICオリジナルLPは1955年リリースというそのCDカバー画像は1990年の「Shrek!(みにくいシュレック)」で知られるWilliam Steig(ウィリアム・スタイグ)によるイラストで”エピック・ネコ”とか”猫ジャケ・シリーズ”と呼ばれ大変お洒落です。 もちろんレスターの名演”レディ・ビー・グッド”も収録していますが、ノイズ音がシーシーと入り戦前のジャズの雰囲気が楽しめます。(?)
1937年と1939年のデッカ時代の63曲を集めたThe Complete Decca RecordingsではLester Youngの優雅なテナーと対照的なブローしまくるHerschel Evansのテキサス・テナーの絶妙な演奏に加え、Buck Clayton(バック・クレイトン)のミュート・トランペットに、Freddie Green(フレディ・グリーン)のギターやJo Jones(ジョー・ジョーンズ)のドラム、そしてJimmy Rushing(ジミー・ラッシング)やHelen Humes(ヘレン・ヒュームズ)の歌が聴けます。
※ちなみにリズムセクションのギタリストのフレディ・グリーンが唯一リリースしたマスター盤は「Mr.Rhythm」です。 そして、バック・クレイトンが白人トランペッターのRuby Braffと共演した1945年頃のLP「Buck Meets Ruby」は見つかりませんが現在はMP3アルバムの「Three Classic Albums Plus (Songs For Swingers / Buck Meets Ruby / Harry Edison Swings Buck Clayton) (Digitally Remastered)」(ASIN: B005J10M6C)で”Just A Groove”などバック・クレイトンの演奏が試聴できます。(”Blue Boy”やクレイトンのオリジナル曲を収録した「Buck Clayton and Friends」(ASIN: B000M5AKW6)というCDもあり)
Count Basie Featuring Anita O’Day
カウント・ベイシーが1944年にケントン・ガールだったウエスト・コーストのアニタ・オデイ(1919 – 2006)とベイシー楽団のアレンジャーをつとめていたバップ・ピアニストのタッド・ダメロンのトリオをフィーチャーしたアルバムには「Count Basie Featuring Anita O’Day & the Tadd Dameron Trio (1945-1948)」があります。 オリジナルのリリースは1945年で、ジャズ・スタンダードの”What Is This Thing Called Love? “や”September in the Rain”の他に”Malaguena”などのラテン・ナンバーも収録しています。
オリジナルは編曲がニール・ヘフティの1958年のニュー・ベイシー・バンドの演奏を集めたアルバムでも尚フレディ・グリーンは健闘! テキサステナーのEddie “Lockjaw” Davis(エディ・ロックジョウ・デイビス)のマッチョなホンク「Kid from Red Bank」!私の好きなLil’ Darlin’!も収録されているアルバムは「The Complete Atomic Basie」です。
Lil’ Darlin’はDVD Audioの「Basie Swings」にも収録されています。
One O’Clock Jump、Topsyなどの他、私の好きなLi’l Darlin’を収録したアルバム
Count Basie’s Finest Hour
リル・ダーリンを収録している一番人気のアルバムは国内盤の「生誕100周年、没後20周年特別企画 ベリー・ベスト・オブ・カウント・ベイシー・ビッグ・バンド・アンド・フレンズ」です。
レスター・ヤング在籍のカウント・ベイシー楽団初期1936年-1938年の永遠の名演奏といわれるTime Out、Shoe shine boy、Lady be good、Topsyなど25曲を集めた初めての年代記的人気アルバムです。 ちなみに”Topsy”は1938年にKansas City Five sessionsで初めてエレクトリック・ギターの演奏を録音したEddie Durham(エディ・ダーハム)とキャブ・キャロウェイや Paul Whiteman(ポール・ホワイトマン)などに曲を提供したEdgar Battle(エドガー・バトル)との共同作曲だそうです。
1936-1938
(Time Out は試聴の19番)
アルバム「The Very Best of Count Basie & Duke Ellington」の全曲試聴はVery Best Of Count Basie & Duke Ellington – AllMusic.com(”Do Nothing Till You Hear from Me”はディスク:2の1番)
Count Basie – The Legend (1962) LP
カウント・ベイシーのファンには垂涎のRouletteからリリースされたという幻のLPアルバムがあるそうです。 アルトサックスのソロ演奏者としての1920年代から1990年代までジャズ界で活躍したバンドリーダーでもあり、Blues in My Heart、When Lights Are Low、Blue Star、Lonesome Nights、Doozy’、Symphony in Riffsなどの作曲及び編曲で知られるBenny Carter(ベニー・カーター)が作品を提供しました。 カウント・ベイシーのアルバムで1962年のステレオ盤「The Legend Count Basie: From The Pen Of Benny Carter」(1961年の秋のニューヨーク録音らしい)にベニー・カーター作曲のピアノ曲の”The Legend”はもちろんラテン調の”Amoroso”やスウィング曲の”The Trot”などを収録しています。(他はBenny Carterの作品でEasy Moneyをはじめ、Going On、The Swizzle、Who’s Blueでしょうか) 演奏はピアノのカウント・ベイシーとアルトサックスのベニー・カーターの他、ギターのFreddie Green(フレディ・グリーン)、トランペットにThad Jones(サド・ジョーンズ)、トロンボーンのAl Grey(アル・グレイ)などが参加したビッグバンドです。
♪ Count Basie – Easy Money – Amazon.co.jp (MP3 Download)
国内盤としてはルーレット原盤が日本コロンビアからステレオ盤「The Legend」としてリリースされたそうです。 このLPレコードがVogueでCD化されているらしいですが、試聴は見つかりません。 「Kansas City Suite/The Legend」もしくは、Roulette BirdlandレーベルからCD化された「LP plus CD backup of 1950s Kansas City Suite , the Music of Benny Carter by Count Basie and His Orchestra」などもあるらしいです。
LP盤の画像が見られるCount Basie And His Orchestra: From The Pen Of Benny Carter – Amazon.com
Have a Nice Day 1971
幻のLPレコードとなった1971年リリースの「Have a Nice Day」は4年ほどベイシーに曲を提供していたピアニストのSammy Nestico(サミー・ネスティコ)の曲を集めたDaybreakレーベルのLPアルバム(ASIN: B008RH6KXO)でネスティコ自身が編曲及び指揮を担当しました。 Have a Nice DayをはじめDoin’ Basie’s ThingやFeelin’ Freeなど全11曲を収録してあります。 オリジナルは入手できませんが輸入盤としてLPと同じジャケットのドイツ製CDが米Amazon.com(ASIN: B0006GRVC8)で販売されているようです。
私が最近聴いたカウント・ベイシー
ベイシーのオルガンとOscar Peterson(オスカー・ピーターソン)のピアノで”S & J Blues” from 「Count Basie Encounters Oscar Peterson」 又は同じくベイシー&ピーターソンのアルバムには「Satch & Josh」があります。
Count Basie & Oscar Peterson共演の”S & J Blues”の試聴はSatch and Josh – AllMusic.com(10番)
She’s Funny That Way from 「Basie Jam: Montreux ’77」(オリジナルは1975年ライブ盤でトランペッターのHarry “Sweets” Edison( ハリー・エディソン)、トロンボーン奏者のJ.J. Johnson(JJジョンソン)やテナーサックス奏者のZoot Sims(ズート・シムズ)などが参加)
ズート・シムズなら1976年のアルバム「Basie & Zoot」のCaptain Blighを試聴。 1976年にはカウント・ベイシーのジャムセッションでブルース曲の”Kansas City Line”を収録した「Basie Jam 2」がリリースされ、トロンボーンにAl Grey、アルトにBenny Carter、ギターがJoe PassでトランペットにClark Terryが参加しています。(”Basie Jam 2″は最初の「Basie Jam」に続き4曲を収録したセカンドアルバム)
ノリノリのTrio Blues from 「Montreux ’77」(Jumpin’ at the Woodside、One O’Clock Jump、Li’l Darlin’なども収録のライヴ盤)とか、Hoagy Carmichael(ホーギーカーマイケル)に捧げたAl Cohn(アル・コーン)とのセッション盤は「Hoagy Carmichael Sessions and More」
ベイシー楽団専属のジョー・ウィリアムスに影響を受けてジャズ歌手活動をしていたが77年に憧れのベイシー楽団に参加できて夢の年月を過ごしたDennis Rowland(デニス・ローランド)のボーカルで”Nat Adderley(ナット・アダレイ)オリジナルの”Work Song”が収録されている最初のアルバムリリースは1979年だった輸入盤の「On the Road」です。 デニス・ローランドは2006年のショートフィルム「Real Gone Cat」で古老のジャズシンガーJimmy Bakerを演じたそうです。(未見)
最後にレイ・ブラウンとルイ・ベルソンが参加している2Count Basie Trio”のお勧めのアルバム「For the First Time」ではカウント・ベイシーのオルガン演奏が聴けます。
そして私の好きなアルバムの1枚はスイングとバップの融合を感じるThe Gifted Ones
カウント・ベーシーのピアノとDizzy Gillespie(ディジー・ガレスピー)のトランペットにベースがRay Brown(レイ・ブラウン)でドラムがMickey Roker(ミッキー・ローカー)のカルテットのジョイントです。 特に素晴らしいのがSt. James Infirmary(聖ジェームズ病院)!
☆2006年リリースのCount Basie Orchestra(カウント・ベイシー・オーケストラ)で歌うRay Charles(レイ・チャールス)の1973年の録音盤はレイ・チャールスが歌い、カウント・ベイシーがスイングするアルバムRay Sings, Basie Swings
2006年リリースのカウント・ベイシー・ビッグバンドの1977年コンサートのLP盤のDVD化はCount Basie Big Band 77 (Rmst Dol Dts)
Al Grey(アル・グレイ)のトロンボーンで始まる映像にはJumpin’ At The WoodsideやOne O’Clock Jump を始めLi’l Darlinも収録。
カウント・ベイシー楽団の女性ヴォーカリスト
カウント・ベイシーは1930年代中頃にバンド専属だったMildred Bailey(ミルドレッド・ベイリー)、1937年からのBillie Holiday(ビリー・ホリデー)、1957年頃のElla Fitzgerald(エラフィッツ・ジェラルド)のコラボ、 1957年のアルバムでSarah Vaughan(サラ・ボーン)、40年代に共演したCarmen McRae(カーメン・マクレエ)など数多くの女性歌手と組んでいます。 その中でも貫禄のあるブルース歌手というと十代にしてシンシナティのクラブで歌っているところをカウント・ベイシーに見出されたHelen Humes(ヘレン・ヒュームズ)」です。 当時専属歌手だったビリー・ホリディと交代したヘレン・ヒュームズはジミー・ラッシンの在籍していたベイシー・バンドで1938年から1941年まで専属歌手をつとめ40年代初めに作曲して吹き込んだ”Be-baba-leba”は大ヒットとなりました。 ヘレン・ヒュームズはブルース・フェスティバルのDVD「American Folk Blues Festival 1962-1969 Vol.3」にも収録されています。 ヘレンの母の死後はピアノもレコードも売り払い一度は音楽界から身を引いてしまったのですが、1973年に開催されたNewport Jazz Festivalにはカウント・ベイシー楽団と共演しました。
Helen Humes – American Folk Blues Festival 1962 – YouTube
☆ちなみに1939年にRube Bloom(ルーベ・ブルーム)が作曲しジョニー・マーサが作詞した人気スタンダード曲の”Day In, Day Out”をベイシー・オーケストラが1965年のLPアルバム「Count Basie」(US Metro)の30曲に収録しています。
Marilyn Monroe(マリリン・モンロー)やEartha Kitt(アーサー・キット)のセクシーバージョンで有名な”My Heart Belongs To Daddy”は1938年にヘレン・ヒュームズが吹き込んだそうです。
この時代に1968年からWoody Herman Orchestra(ウッディ・ハーマン・オーケストラ)に在籍していたカナダ出身のトロンボーン奏者”Russ Little(ラス・リトル)”が短期間ですがカウント・ベイシー楽団に参加していたそうですが、その後は作曲及び編曲&指揮者としてカナダTVを活動の場としたそうです。
Eugene “Snooky” Young
1945年頃のヘレン・ヒュームズの録音には50年代から活躍していたプランジャー・ミュートの達人と呼ばれたジャズトランペッッターのEugene “Snooky” Young(ユージン・スヌーキー・ヤング)が参加していました。 ”Little Darling”の名演奏でお馴染みのスヌーキー・ヤングはトランペッターのJonah Jones(ジョナ・ジョーンズ)も在籍していたことがあるJimmie Lunceford(ジミー・ランスフォード)楽団に1939年から1942年までに在籍していましたが、1942年頃からはカウント・ベイシー楽団(合計では10年)やLionel Hampton(ライオネル・ハンプトン)楽団に参加した後、1960年代にはRay Bryant Quintet(レイ・ブライアント・クインテット)の録音に参加し、その後ニューヨークのNBCスタジオのトランペッターとなってTonight Show Orchestraのメンバーとして70年代まで活躍しました。 ですが、自身名義のアルバムは1979年の「Horn of Plenty」など数枚だけだそうです。
クラーク・テリーのアルバム「Spanish Rice」(試聴可 ASIN: B00014AUS2)という1966年のラテンアルバムでトランペットを吹いているスヌーキー・ヤングの演奏が観られるWho, Me? – Snooky Young with Count Basie (1960) – YouTube.com(looped play)
スヌーキー・ヤングは70年代にはDuke Ellington(デューク・エリントン)、Clark Terry(クラーク・テリー)、Quincy Jones(クインシー・ジョーンズ)、ジャングル・トランペットのCootie Williams(クーティ・ウィリアムス)などと演奏しています。
Lil’ Darlin – Count Basie Orchestra & Snooky Young on the plunger mute trumpet 1960 – Youtube
ヘレン・ヒュームズのカウント・ベイシー楽団時代の歌を集めた3枚組みCD
Complete 1927-1950 Studio Recordings
試聴はComplete 1927-1950 Studio Recordings – CD Universe
40年代中頃のアルバム「Count Basie / Kansas Jump」や「Complete 1941-1951 Columbia Recordings」、「Count Basie & his Great Vocalists」などではAnn Moore(アン・ムーア)もジミー・ラッシングと共にカウント・ベイシー楽団で活躍しました。
1945年にカウント・ベイシー楽団をバックにAnn Moore(アン・ムーア)が歌う「Jivin’ Joe Jackson」が聴けるwfmuラジオのプレイリストPlaylist for Old Codger with Courtney T. Edison – January 16, 1991(Listen to this show (MP3 128K)をクリック)
一番人気のEvenin’やSent for You Yesterdayなどを収録した2006年リリースのジミー・ラッシングのアルバムは「Complete Goin’ to Chicago and Listen to the Blues」
全曲試聴はComplete Goin’ to Chicago and Listen to the Blues – CD Universe
Kansas City(1996)
製作、脚本、監督ともに Robert Altman(ロバート・アルトマン)というと1930年代のギャングとカンザスシティ・ジャズを描いた1996年の映画が有ります。 ノスタルジックなジャズ好きのアルトマン監督は日本では1957年にデニス・ホッパーも出演した「The James Dean Story(ジェイムス・ディーン物語)」で映画デビューしました。 Andie MacDowell(アンディ・マクダウェル)他有名俳優が多数出演した1994年の群衆劇「Short Cuts(ショート・カッツ)」ではハードバップ・ピアニストのHorace Silver(ホレス・シルヴァー)が作った”Nothing Can Stop Me Now”や、エンディングで使用されたPeggy Lee(ペギー・リー)とDuke Ellington(デューク・エリントン)の合作という”I’m Gonna Go Fishin'”が”Prisoner Of Life”も歌ったイギリスのジャズ歌手であるAnnie Ross & the Low Note Quintet(アニー・ロスとロウ・ノート・クインテット)のジャズ曲を収録したサウンドトラックが話題だったそうです。 ロバート・アルトマン監督の故郷でもあるカンザスシティでのジャズを題材にした映画「Kansas City」では、カリプソ歌手のHarry Belafonte(ハリー・ベラフォンテ)がナレータとジャズ狂のマフィアのボス役を演じる他、Steve Buscemi(スティーヴ・ブシェミ)や「Damage(ダメージ)」のMiranda Richardson(ミランダ・リチャードソン)の名演が観られます。 本人のアーカイブ映像の他にカウント・ベイシーやレスター・ヤングそしてフレディ・グリーンやジミー・ラッシンはもとより、Coleman Hawkins(コールマン・ホーキンス)、Ben Webster(ベン・ウェブスター)、Walter Page(ウォルター・ペイジ)などは本人ではなく俳優やミュージシャン達が演じています。 その映画「カンザス・シティ」の再現された”Hey Hey Club”でのジャズ・シーンを集めた「Robert Altmans Jazz 34: Remembrances of Kansas City Swing(ロバート・アルトマンのジャズ)」は劇場未公開ですがDVDはあるようです。
☆貴方をカウント・ベイシーが体験した「カンザスシティ」へ誘う予告編はKansas City Trailer – VideoDetective.com
「カンザスシティ」のOSTサウンドトラックのKansas City: A Robert Altman Film – Original Motion Picture Soundtrackはジャズとギャンブルの巣窟ともいえる黒人経営の”Hey Hey Club”での夜通しのジャムセッションが再現されています。
ジャズのライブにも久しく行っていません。ジャズだけでなく最近のライブというとフェスティバルなどの生バンドだけで…じっくりジャズの生演奏を楽しみたいものです。
そうそう、RSS成功しました!エキサイトの方にはできないと書いていましたが、以前貼っていたのがそのまま生きていたのです。ありがとうございました。
NOVAさん、ジャズライブは最高です。ニューオリンズでは本場のジャズが聴けますね。ハンバーガーも美味しいそうです。
RSSの件ですがHot’nCoolに書いたように四苦八苦してやっと追加に成功しました。ご迷惑をおかけしました!