♪ Ike Quebec – Blue Harlem (78 rpm on Blue Note, 1944) – YouTube
Ike Quebec (1918 – 1963)
ジャズのレーベルとして有名なブルーノートの録音所があったニュージャージー出身のアイク・ケベックは20歳ごろにピアニストからテナーサックス奏者に転向したそうです。 ジャズ界にあってとりわけ演奏が革新的とも重要な貢献をしたとかは云われていませんが、演奏されるブルース・テナーのその泥臭いようで洗練されたサウンドは小難しい理論なんて抜きにしてテナーサックス好きの私にとってはまるで真夜中にジャズバーにいるみたい! 超セクシー! ビロードのように艶やかで優しくかつ官能的なアイク・ケベックの演奏は絶対に聴き逃せません。 もちろんロマンティックなバラードだけでなく弾けたビバップやR&Bの演奏もしかり!
ちなみにテナーサックスのサックスとは19世紀初頭にサキソフォンを考案したベルギーの音楽家であるAdolphe Sax(アドルフ・サックス)の名前をとっているそうです。
Hank Mobley(ハンク・モブレー)とTina Brooks(ティナ・ブルックス)と共にブルーノートの3大テナーの一人であったアイク・ケベックの初録音は1940年のことだそうで、Roy Eldridge(ロイ・エルドリッジ)やColeman Hawkins(コールマン・ホーキンス)などとの共演を経て1940年代後期にはCab Calloway(キャブ・キャロウェイ)の楽団に参加したそうです。 とりわけ譜面の初見に長けていたアイク・ケベックはブルーノートでのセッションでは即興的なアレンジも手掛け、レコード会社(音楽業界)のArtists and Repertoire部門のA&R ManとしてThelonious Monk(セロニアス・モンク)やBud Powell(バド・パウエル)の推進者としても知られるなどマルチタレントぶりを発揮しました。 スウィングやバップなどのジャズ時代が去った1960年代になると麻薬のせいもあってあまりレコーディングをしていないとはいえ、初期のハードバップからボサノヴァやソウルなどジャズ界の変化の波には乗っていたようです。 1960年代初期に始まったブルーノートでのアイク・ケベックのカムバック・シリーズは肺ガンで亡くなったために惜しくも頓挫してしまったそうです。
♪ Listen to Ike Quebec’s Sophisticated Tenor Sound!!
アイク・ケベックがブルーノート・レーベルで録音した1962年のアルバム「Soul Samba」に収録されている”Lloro Tu Despedida”が聴けるwfmuラジオのプレイリストはPlaylist for John Allen alternating with (More Than a Few) Exciting Moments with Frank O’Toole – February 9, 2004(ike quebec lloro tu despedidaの欄の最後2:28:58 (Real) をクリック)
SavoyレーベルのSP盤78回転レコード「Complete Blue Note and Savoy Masters 1944」に収録された”Jim Dawgs”が聴けるwfmuラジオのプレイリストはPlaylist for Marc Grobman – June 2, 2002(Listen to this show: RealAudioをクリック、クリップポジションを21:43に移動)
「Bossa Nova/Soul Samba」から”Me ‘n You”が聴けるwfmuラジオのプレイリストはPlaylist for Gaylord Fields – November 7, 2004(Listen to this show: RealAudioをクリック、クリップポジションを1:42:12に移動)
Ike Quebec – Favela (Soul Samba) – YouTube
Ike Quebec – Blues for Charlie (Blue & Sentimental) – YouTube
Ike Quebec – Count Every Star (Blue & Sentimental) – YouTube
Ike Quebec – Acquitted – YouTube
Ike Quebec’s Albums
A Proper Introduction to Ike Quebec: Blue Harlem
ページトップの画像は2004年のベスト盤でタイトル曲の”Blue Harlem(ブルーハーレム)”や”I.Q. Blues”の他に1946年にMel Tormé(メル・トーメ)とRobert Wells(ロバート・ウエルズ)が作った私の好きな”Born To Be Blue”など22曲収録してあります。 演奏メンバーはテナーのアイク・ケベックの他、ピアノがRoger Ram Ramirez(ロジャー・ラミレス)、ギターがTiny Grimes(タイニー・グライムス)、ベースがMilt Hinton(ミルト・ヒントン)、ドラムがJ.C. Heard(JCハード)で1944年のシングルではTiny’s ExerciseがB面だったようです。 スウィングからバップやブルースと人気のあったドラマーのJCハードは1930年後期のTeddy WilsonからColeman HawkinsやRoy Eldridge、そしてCab Calloway、Charlie Parker、Dizzy Gillespie、Erroll Garnerなどと共演し80年代まで活躍しましたが、50年代後期に日本で若いジャズメンの指導にあたったとか。
アルバム「」の試聴はA Proper Introduction to Ike Quebec: Blue Harlem
Complete Blue Note and Savoy Masters 1944
Jazz Classics – Swing Hi – Swing Lo
上記のSavoyレーベルのSP盤78回転レコード「Complete Blue Note and Savoy Masters 1944」は1945年の録音でテナーサックスのアイク・ケベックがピアノのJohnny Guarnieri(ジョニー・ガルニエリ)、ギターのBill DeArango(ビル・デアランゴ)、ベースのMilt Hinton(ミルト・ヒントン)、ドラムのJ.C.Heard(J.C.ハード)などと演奏している”Jim Dawgs”と”I.Q. Blues”など22曲を収録したビバップ・アルバムで、SPレコードがCD化され2004年にベスト盤としてリリースされていますが入手困難になっているのか情報が少ない。
上記以外の曲目は1944年の演奏でドラムとベースは変わらずにピアノがRoger Ramirez(ロジャー・ラミレス)でギターがTiny Grimes(タイニー・グライムス)のTiny’s Exercise、She’s Funny That Way、Indiana、Blue Harlem
同じく1944年の録音でギターとピアノは変わらず トランペットがJonah Jones(ジョナ・ジョーンズ)、トロンボーンがTyree Glenn(タイリー・グレン)、ベースがOscar Pettiford(オスカーペティフォード)、ドラムのJ.C.Heard(J.C.ハード)が演奏するHard Tack、If I Had You、Mad About You、Facin’ the Face
1945年の録音でピアノがDave Rivera(デイヴ・リヴェラ)、ギターがNapoleon Allen(ナポレオン・アレン)、ベースがミルト・ヒントンでドラムをJ.C.ハードが演奏するDolores、Sweethearts On Parade
同じく1945年の録音でトランペットがBuck Clayton(バック クレイトン)、トロンボーンがKeg Johnson(ケッグ・ジョンソン)、ベースをGrachan Moncur III(グレシャン・モンカー3世)、ピアノをロジャー・ラミレスでギターがタイニー・グライムスでドラムをJ.C.ハードが演奏するI Found a New Baby(もしくはI’ve Found a New Baby いい娘を見つけた)、Surrender Dear、Topsy、Cup-Mute Clayton
1956年の録音でトランペットのShad Collins(シャド・コリンズ)、ギターがJohn Collins(ジョン・コリンズ)、トロンボーンがケッグ・ジョンソン、ピアノをロジャー・ラミレス、ベースがミルト・ヒントンでドラムをJ.C.ハードが演奏するMasquerade Is Over、Basically Blue、Someone To Watch Over Me、Zig Billionです。
Ike Quebec,Jimmy Hamilton,John Hardee,Benny Mortonが参加したブルーノート録音のオリジナルLP「Swing Hi Swing Lo」の試聴はなくなりました。(1999年に発売されたCDもありません)
♪ Ike Quebec – Topsy – YouTube
※アイク・ケベックが演奏する”She’s Funny That Way”はコールマン・ホーキンスやCharlie ParkerやJohnny HodgesやIllinois Jacquetなどのコンピレーション・アルバムの「The Art Of The Saxophone Ballad」にも収録されています。
Ike Quebec on Blue Note
アイク・ケベックがブルーノートで吹き込んだソウルジャズ・セッションのリーダーアルバムは1961年の「Heavy Soul」と「It May As Well Be Spring」、1962年には「Easy Living」、「Blue and Sentimental」、「Congo Lament」、「Soul Samba」がありますが、2005年に「Complete Blue Note 45 Sessions CDs」がリリースされたそうです。 その後はベスト盤が何枚もリリースされていますがその数はけして多いとはいえません。
Soul Samba & Bossa Nova Soul Samba
1962年にブルーノトで録音された「Soul Samba 」は1996年の「Soul Samba」と2007年の「Bossa Nova Soul Samba」としてリマスター盤がリリースされています。 ボサノバのはしりともいえる時期にアイク・ケベックがトライした抜けてないボサノバ・サウンドを聴くことができます。 上記で紹介した”Lloro Tu Despedida”や”Me ‘N You”をはじめバップ・ギタリストのKenny Burrell(ケニー・バレル)が作曲した”Loie(ロイエ)”や”Blue Samba“など12曲を収録しているアルバムの演奏者はテナーサックスのアイク・ケベック、ギターのケニー・バレル、ベースがWendell Marshall(ウェンデル・マーシャル)、ドラムはWillie Bobo(ウィリー・ボボ)、チェケレはGarvin Masseaux(ガーヴィン・マッソー)です。 ちなみにチェケレ(chekereもしくはShekere)とは西アフリカのヨルバ族のオリジナル楽器が奴隷を介してキューバに伝わった瓢箪製の打楽器の一種です。
試聴はBossa Nova Soul Samba – Amazon.com
Blue and Sentimental
1961年から1962年にアイク・ケベックのカムバックアルバムとして録音した1962年のブルーノート録音のアルバムが2007年にCD化されたマスター盤「ブルー・アンド・センチメンタル+2」が2008年にも再リリースされています。(試聴あり!) タイトル曲の”Blue and Sentimental”同様にスモーキーな”Don’t Take Your Love From Me”に加え、ボーナストラックの”That Old Black Magic”など9曲を収録したアルバムのピアノレスのカルテット演奏メンバーはブルノートお馴染みのGrant Green(グラント・グリーン)のギターにPaul Chambers(ポール・チェンバース)のベース、Philly Joe Jones(フィリー・ジョー・ジョーンズ)のドラムなどでリラックッス・ムードに浸れる最高の演奏です。 ちょっとメランコリックでもあり、真夜中のナイトクラブにでもいるような雰囲気でもあります。 アイク・ケベックが叙情豊かなアレンジで演奏している ”Count Every Star(星をかぞえて)”は、1949年にBruno Coquatrix(ブルーノ・コカトリックス)とSam Gallop(サム・ギャロップ)が作ったという曲で このアルバムに収録された頃の1962年にLinda Scott(リンダ・スコット)が歌ってヒットしたポップスです。 Lester Young(レスター・ヤング)が一足お先に亡くなる前に吹き込んでいますが、その後Sonny Stitt(ソニー・スティット)がこのアルバムと同時期に録音しています。
アルバムのタイトル曲となっているの”Blue and Sentimental”はCount Basie(カウント・ベイシー)が共同で作曲して1938年に初めて吹き込んだそうです。
Ike Quebec – Blue and Sentimental – YouTube
Heavy Soul
1961年のブルーノートでのカムバック・アルバムの1枚でリマスター盤が1999年、2004年、2005年、2006年などと再リリースされている人気アルバムです。
2008年の盤はヘヴィー・ソウル+1
タイトル曲のHeavy Soulや名曲のAcquittedの他、I Want a Little GirlやNature BoyなどオリジナルLPから8曲を収録、ベースのMilt Hinton(ミルト・ヒントン)、ドラムのAl Harewood(アル・ヘアウッド)、ソウルには欠かせないオルガンのFreddie Roach(フレディ・ローチ)と共にえもいわれぬ美しい演奏を聴かせます。
とろけそう。 とろけた…♪
Jazz Sax Ever !
アイク・ケベックも仲間入りしているJAZZ EVERシリーズのコンピレーションアルバム「ジャズ・サックス・エヴァー! 」ではソニー・ロリンズ、ジョン・コルトレーン、Sonny Stitt(ソニー・スティット)、Johnny Griffin(ジョニー・グリフィン)などの超大物テナーマンに混じって、ディスク:1 には1962年のブルーノート・アルバム「Easy Living」に収録されている”I’ve Got a Crush On You(あなたに首ったけ)”とディスク:2には1961年のブルーノートアルバム「It Might as Well Be Spring: Ike Quebec」に収録されている”Lover Man”が収録されています。
通販のMosaic レコードから、Ike Quebec とJohn Hardee(テキサステナー!)を組合わせたボックスセットものやIke のBlue Note45回転シングルのみを集めたものが昔出たことがあります。
またブルーノートには珍しいボーカルのLP Dodo Greene の ”My Hour of Need”にもIkeは出ていますよ。最近は、Bosssa Nova Soul Samba に入っているリストの「愛の夢」が気に入っています。
ヒロヤスさん、情報をいつも有難うございます。
ヒロヤスさんお好きなLiebestraum(愛の夢)という曲はクラシックのFranz Liszt(リスト)が1937年に作曲した「Liebesträume( 愛の夢 第3番 変イ長調)がオリジナルだと思いますが、古くはTommy Dorsey & His Orchestra(トミー・ドーシー楽団)やNat “King” Cole(ナット・キング・コール)の演奏でも有名だそうです。
テナー(訂正)→アルトサックス奏者ではEarl Bostic(アール・ボスティック)も演奏していますね。
Earl Bostic はアルトですね。彼は、誰にもわかりやすいPop調に吹いて、多くのヒットを出したので(例えば Flamingo)、ジャズ界では不当に無視されていますが、本当のマスターです。あのコルトレーンも若いとき在籍しており、大きな影響を受けたと言っています。マリリンモンローも御気入りだったそうです!
お名前が匿名になっていますがヒロヤスさんですよね。「Earl Bostic はアルト」←有難う御座います。おかげさまで”Temptation”と”Harlem Nocturne”の記事も訂正できました。アールボスティックはハーレムノクターンで出会ったのですがその曲はテナー演奏が多いので勝手にテナーだと思い込みました。音が違うだろう?って、そうですよね。困ったもんです。
今後ともよろしくご指導下さい。
こんにちは。
昔のレイチャールス楽団にいた「夢のサックスセクション」の David Fathead Newman ts, Hank Crawford as, LeRoy Cooper bs の3人が、この1月、ほとんど時を同じくして相次いで亡くなったという記事を昨日見ました。(Rifftides という素晴しいサイトです。)皆74~80歳くらいでした。御大のレイもすでになく、
Fathead もHankももう見れないとは寂しい限りです。20年位前、河口湖のジャズフェスティヴァルにFathhead とJames Clay という夢のような2テナーが競演したことがあります。私の席は余りに舞台に遠くて顔はよく見えませんでしたが、二人のテキサステナーを生で見られたのはいい思い出です。
James Clay(超幻の名盤 Tenor Manの快演がすばらしい)も大分前に亡くなっています。
ヒロヤスさんご推奨のサイト”Rifftides”は実に素晴らしいですね、後でじっくりみてみます。有名ジャズメンの日本公演もご覧になっておられるとは羨ましいかぎりです。