Bebop pianists
ファンキーなモダンジャズが流行っているからと私もジャズ喫茶なんぞに行った1960年代中頃から後期にかけてのジャズピアニストは誰といっても数え切れません。 ここでいうところのジャズ喫茶とは大きなスピーカーでジャズのレコードをかけている珈琲ハウスのことです。 それ以前の1950年代後期にはロカビリーの生演奏を聴かせるスポットもジャズ喫茶と呼んでいました。 ビバップのピアニストならThelonious Monk(セロニアス・モンク)、Duke Jordan(デューク・ジョーダン)やAl Haig(アル・ヘイグ)、Hank Jones(ハンク・ジョーンズ)、Ray Bryant(レイ・ブライアント)やWynton Kelly(ウィントン・ケリー)だって、そうそうOscar Peterson(オスカー・ピーターソン)も忘れちゃいけない、Nat King Cole(ナット・キング・コール)はどうでしょうか。 Duke Ellington(デューク・エリントン)だってビバップをやったのです。 そのなかでもモダンジャズの創始者の一人と云われるホレス・シルヴァーや、ホレスが影響を受けたというBud Powell(バド・パウエル)も当然50年代のジャズ喫茶で頻繁にレコードがかけられていました。 バド・パウエルだとたいていは1947年に作曲した”Cleopatra’s Dream(クレオパトラの夢)”でした。(試聴はザ・シーン・チェンジズ)
ファンキー・ジャズとかハードバップとかブルース色の強いソウル・ジャズとか呼び名は色々で線引きもややこしいですが、その頃はハードバップだろうとポストバップだろうとビバップなら何でも、フリー・ジャズもひっくるめてモダンジャズと呼んでいたようです。(少なくとも私は) 戦前戦後とラテンやシャンソンもひっくるめてジャズと称していたような時代もあったのですからちょっとはましだったでしょうか。
Horace Silver (1928 – 2014)
コネチカットで1928年に生まれたホレス・シルヴァーは80歳を越してもニューヨークなどで演奏していたファンキーなジャズピアニストでしたが老衰のため惜しくも85歳で亡くなりました。
地元のクラブでサックスを吹いていたところを1950年に白人テナーマンのStan Getz(スタン・ゲッツ)に見出されて1951年にニューヨークのBirdlandでStan Getz Quintetsとして録音したのがホレス・シルヴァーの初吹き込みだったそうです。(Penny、Split Kick、Potter’s Luck?) その後ホレス・シルヴァーは自己のトリオやクインテットなどの楽団を結成してブルースにラテン風味を加えた独特の演奏でソウルジャズの先駆けとなりました。 1952年からドラマーのArt Blakey(アート・ブレイキー)を招いてバンドを組み、トランペッターのClifford Brown(クリフォード・ブラウン)が参加したカルテットでバードランドで”Split Kick”などを吹き込んだ1954年の「A Night at Birdland」(ASIN: B000XAMERE)は有名です。(この盤についてはアート・ブレイキーの記事参照) 1956年にLee Morgan(リー・モーガン)名義のデビュー盤「Lee Morgan Indeed!」に参加したホレス・シルヴァーでしたが、「バードランドの夜」から4年後には楽団名の”ジャズメッセンジャーズ”をブレイキーに譲ってトランペットのDonald Byrd(ドナルド・バード)、テナーサックスのHank Mobley(ハンク・モブレー)、ベースのDoug Watkins(ダグ・ワトキンス)などのバンドメンバーと共に抜けて自己のクインテットを結成しました。 1940年代後期にイスラム教に改宗していたアート・ブレイキーとホレス・シルヴァーはソリが合わなかったのだとか。(日本のロックバンドのTHE BLUE HEARTSみたい?)
ホレス・シルヴァーが傑出したジャズ・ミュージシャンであるのは、ブルーノートで1964年録音の「Song For My Father」などの多くの名盤を残したピアニストというだけでなく、1950年代や1960年代には数え切れないほどたくさんの魅惑的な異色作品を作曲して作曲家としても名高いということです。 ホレス・シルヴァーの作品にはVocalise(ヴォーカリーズ)の先達と云われるEddie Jefferson(エディ・ジェファーソン)のボーカル・バージョンでも有名な”Psychedelic Sally”や”The Jody Grind”、”Juicy Lucy”、”Opus de Funk”、”Nica’s Dream”、”Peace”、”Natives Are Restless Tonight”、”Calcutta Cutie、Que Pasa?”、”Lonely Woman”、”The Preacher(ザ・プリーチャー)”などたくさんありますが、やはり超ファンキーでポピュラーな”Senor Blues(セニョール・ブルース)”や”Sister Sadie(シスター・セイディー、又はシスター・サディー)”や”Song for My Father(ソング・フォー・マイ・ファーザー)”、そして”Doodlin’(ドゥードリン)”などが私が一番良く聴いた曲です。 ”Doodlin'”はまさに考え事をしている時、無意識にペンを走らせていたずら書きでもしているように身体もユラユラと揺れ動いてしまうほど心地よい曲です。 Last.fmのチャートでみてもやはりSong For My Fatherがダントツ1位となっています。 ホレス・シルヴァーのスタイルはバド・パウエルのように窒息しそうな緊張感で鬼気に迫る演奏というよりもビバップしていますが何かユーモアを感じさせるノリの良い演奏だと思いますが、後期には実験劇場みたいに自己啓発音楽だの哲学及び宗教的な音楽に傾倒したようです。 バッブ・ミュージシャンはほとばしる感情を表現するパワフルな即興(アドリブ)が命ですが、バド・パウエルとCharlie Parker(チャーリー・パーカー)を同時に聴いたらきっと窒息します。
ホレス・シルヴァーが一緒に仕事をしたミュージシャンも数多くいますが、アート・ブレイキーの他にはエキサイティングなトランペットのDonald Byrd(ドナルド・バード)、テナーサックスのHank Mobley(ハンク・モブリー)、Woody Shaw(ウッディ・ショウ)、Art Farmer(アート・ファーマー)、1964年から1966年のJoe Henderson(ジョー・ヘンダーソン)などが有名だそうです。
♪ Horace Silver & The Jazz Messengers – “Doodlin'” – (original 1955 & 1954 Blue Note 45rpm) – YouTube
Song for My Father
ソング・フォー・マイ・ファーザー
試聴ができる1999年発売の国内盤アルバムで、画像はホレス・シルヴァー自身ではなくアルバムのタイトルにあるようにホレスのパパであるJohn Tavares Silver(ジョン・シルヴァー)氏です。
ホレス・シルヴァーが作曲したボサノヴァ調の”Song for My Father”はホレス・シルヴァーが父親に捧げた曲で、その曲を収録したHorace Silver Quintet(クシンテット)のブルーノートのアルバムはオリジナル録音が1964年だそうです。 このCDはホレス・シルヴァーが作曲した代表曲の”Song for My Father”や”Sanctimonious Sam”など、Kicker以外はオリジナルの全6曲に4曲のボーナストラックが追加されたアルバムで、五重奏団のメンバーはピアノのホレス・シルヴァー、テナーサックスに”The Kicher”の作曲者であるジョー・ヘンダーソンが参加しています。 ドラムはRoger Humphries(ロジャー・ハンフリーズ)、トランペットがCarmell Jones(キャメル・ジョーンズ)、そしてベースがTeddy Smith(テディ・スミス)です。 ボーナストラックの3番と6番と10番ではトランペットのBlue Mitchell 、テナーにJunior Cook、ベースにEugene Taylor、ドラムにRoy Brooksだそうです。
Sister Sadie
Retrospective CD (ASIN: B00000JYZA) – Amazon.co.jp
4枚組みアルバムで、ホレス・シルヴァーのファンキーなピアノ演奏の”The Process Of Creation Suite”や”Nutville”などの他、ホレス・シルヴァーの代表曲といえる1956年の”Senor Blues”や1959年の”Sister Sadie”、そして”Nica’s Dream(ニカの夢)”や”Song For My Father”、”Doodlin'”、”Safari”、”Ecaroh”などレアな曲も含む全36曲を収録した4枚組アルバムで、Blue Noteの1952年ごろの録音らいしが4枚目は1960代後期から1970s年代初期の演奏だそうです。
試聴はRetrospective – Cd Universe
☆4部からなる”The Process Of Creation Suite”についてはHot’n Cool内の「ホレス・シルヴァー The Process Of Creation Suite from Retrospective」
ヴォーカルはホレス・シルヴァーと長い付き合いのAndy Bey(アンディ・ベイ)やBill Henderson(ビル・ヘンダーソン)で、トランペットはKenny Dorham(ケニー・ドーハム)、Donald Byrd(ドナルド・バード)、Art Farmer(アート・ファーマー)、Blue Mitchell(ブルー・ミッチェル)、Woody Shaw(ウディ・ショウ)、ベースがBob Cranshaw(ボブ・クランショー)、Curley Russell(カーリー・ラッセル)、Percy Heath(パーシー・ヒース)、Doug Watkins(ダグ・ワトキンス)やRon Carter(ロン・カーター)など、ドラムがArt Blakey(アート・ブレイキー)やホレス・シルヴァーが発掘した新人のLouis Hayes(ルイ・ヘイズ)などだそうです。
※”Sister Sadie”は”The Baghdad Blues”など全8曲を収録した1959年のアルバム「Blowin’ the Blues Away」(ASIN: B00000I41H)にも収録されています。(アルバムのカバー画像がイラストデ後ろ姿のホレス・シルバー)
♪ アルバム「Blowin’ The Blues Away」からホレス・シルヴァーの”Sister Sadie”が聴けるPlaylist for Evan Muse – November 26, 2006(ページ中ほどのSister Sadieの欄で最後の1:28:18 (Real)をクリック)
Señor Blues
Senor Blues: 1955-1959 CD (ASIN: B0000060SE) – Amazon.co.jp
画像は1998年にリリースされたホレス・シルヴァーのベスト盤で、Señor Bluesをはじめ、Finger Poppin’やThe Preacherなど12曲を収録していますが現在は入手困難です。 他にSenor Bluesを収録しているアルバムはDoodlin’やSong for My Fatherなど8曲を収録した輸入ベスト盤の「The Very Best」(ASIN: B00094AT08)や「Live At Newport ’58」そして上記の「Retrospective」などです。 Bill Henderson(ビル・ヘンダーソン)が歌うSenor Bluesのボーカル・バージョンは「Blue Note Trip: Lookin’ Back / Movin’ On」(ASIN: B0007ZIZ1Y)や下記の「Six Pieces Of Silver」などに収録されています。
試聴はHorace Silver – Senor Blues: 1955-1959 – Cd Universe
“Senor Blues”はホレス・シルヴァー楽団以外にもカバーしているミュージシャンが多くGeorge Shearing (& Dakota Staton)、David Sanborn (& Phil Woods)、Herbie Mann(ハービー・マン)、そしてIke Turner(アイク・ターナー)やTaj Mahal(タジ・マハール)まで、又ボーカルではRay Charles(レイ・チャールズ)、Anita O’Day(アニタ・オデイ)やChris Connor(クリス・コナー)などがいます。
Horace Silver – Senor Blues (Newport 1959) – YouTube
Six Pieces Of Silver
6・ピーシズ・オブ・シルヴァー+3 CD
Jazz Messengers(ジャズ・メッセンジャーズ)をArt Blakey(ブレイキー)の手にゆだねた後の1956年の録音でホレス・シルヴァーのソリストとしての地盤固めとなったアルバムだそうで、1956年と1958年の録音を集めたHorace Silver Quintet(クィンテット)のBlue Noteアルバムです。 Bill Henderson(ビル・ヘンダーソン)のボーカル・バージョンを含め”Senor Blues”3バージョンの他、シルヴァーの作曲であるCool EyesやFor Heaven’s Sakeなど全10曲を収録しています。 メンバーはDonald Byrd,(ドナルド・バード)、Hank Mobley(ハンク・モブレイ)、Doug Watkins(ダグ・ワトキンス)、ドラムがLouis Hayes(ルイ、ヘイズ)です。
上記のリンクでも試聴できますが1995年発売の「6ピーシズ・オブ・シルヴァー [Original Recording Remastered] (ASIN: B0000252F2)でも試聴可
♪ Horace Silver with Blue Mitchell, Junior Cook, Gene Tailor and Louis Hayes – Cool Eyes (LIVE in 1958)- YouTube
Quicksilver
左の画像は日本のAmazon.co.jpで見つけた2枚組CD「Quicksilver」(Le Chant Du Mondeレーベル ASIN: B000V3SWUQ)という2枚組アルバムですが、ジャズの巨人のイラスト・シリーズでタイトル曲を収録した2枚組CD「Jazz Characters(Scoops – Jazz characters volume 39)」もしくは「Jazz Characters Vol 39 – Horace Silver ‘quicksilver’ 」のものらしいです。
☆右の画像はアルバム「Quicksilver CD」(Past Perfectレーベル ASIN: B00007BKBK)で、タイトル曲の”Quicksilver(クイック・シルヴァー)”の他に”Horoscope”や、アドリブにIt Don’t Mean A Thingのフレーズが聞える”Safari”など全14曲を収録しています。 ちなみにクィックシルヴァーとは水銀のことだとか。
アルバム(右)の試聴はQuicksilver – Muziekweb
この他に”Quicksilver”が収録されているアルバムは1952年の「Horace Silver Trio」などで、演奏メンバーはベースにGene Ramey(ジーン・ラミー)、Percy Heath(パーシー・ヒース)、Curly Russell(カーリー・ラッセル)でドラムがArt Blakey(アート・ブレイキー)です。 アルバム「Horace Silver Trio」や1952年の「Horace Silver Trio And Art Blakey-Sabu」にも収録されています。
ちなみに”Sabu(サブ)”とはラテン・パーカッション演奏者のSabu Martinez(サブー・マルティネス)のこと。
☆”Quicksilver”が試聴できる国内盤では「ホレス・シルヴァー・トリオ&アート・ブレイキー、サブー+4」
アルバムの「Quicksilver(クイックシルヴァー)」の試聴は「Horace Silver Trio And Art Blakey-Sabu」(Horace Silver Trio, Vol. 1: Spotlight On Drums – Amazon.com)
Doodlin’
A Proper Introduction to Horace Silver: Doodlin’ CD
Horace Silver And Art Blakey(ホレス・シルヴァー&アート・ブレイキー)の演奏で知られるホレス・シルヴァーが作曲した”Doodlin'”は私が好きなだけでなく、当時のミュージシャンにも人気のある曲でした。 ピアニストのレイ・ブライアント、トランペット奏者ではDizzy Gillespie(ディジー・ガレスピー)や白人バッパーのCandoli Brothers(カンドリ兄弟)やQuincy Jones(クインシー・ジョーンズ)、ギタリストのBarney Kessel(バーニー・ケッセル)が演奏した他、ボーカルではSarah Vaughan(サラ・ヴォーン)やRay Charles(レイ・チャールズ)やPeggy Lee(ペギー・リー)などのバージョンがあります。
試聴はHorace Silver Trio, Vol. 1: Spotlight On Drums – CD Universe
The Compositions of Horace Silver Riverside SR-3022
The Compositions Of Horace Silver – Amazon.co.jp (MP3 Download)
画像は私が所有しているLPレコード(33回転のLP盤)で”Doodlin'”や”Peace”などホレス・シルヴァーが作曲した作品を集めたSongbook(ソングブック)です。 Riverside SR-3022(オリジナルLPは多分Riverside 12″LP: RS 93509) 「The Compositions of Horace Silver」という33 1/3回転のLPのコンピレーション・アルバムで1960年前後のリリースだと思います。 レコードは以前eBay.comで中古で6000円位なのを見かけましたが、デジタル化したCDは見つかりませんが、2011年にMP3のアルバムとして販売されます。 名曲の名演奏を上記のMP3リンクで試聴できます。
A面にSister Sadie(Nat Adderley演奏)とHome Cookin’(Bobby Timmons演奏)、B面にはDoodlin’(”Stolen Moments”の作詞者のMark Murphyのヴォーカル)とFilthy McNasty(Junior Mance演奏)というレアな演奏を収録しています。
“Doodlin'”を収録しているアルバムにはオリジナル録音が1954年というホレス・シルヴァーがビバップしているアルバム「& Jazz Messengers」もしくは「Horace Silver and the Jazz Messengers」(ASIN: B0007M23AQ)があり、オープニングのRoom 608をはじめCreepin’ InやPreacherなど8曲を収録しています。
☆ナット・アダレイが演奏するホレス・シルヴァーの”Sister Sadie”はAudio-Visual Trivia 内の記事「Work Song – Nat Adderley」で聴けます。(ページの最後)
Nutville
ザ・ケープ・ヴァーディーン・ブルース CD
試聴ができるこの国内盤「ザ・ケープ・ヴァーディーン・ブルース」のオリジナルは1965年のブルーノート録音のアルバム「The Cape Verdean Blues」です。 ホレス・シルヴァーの幼少期に父の故郷であるアフリカ西方沖合いにある”Cape Verdean(ベルデ岬諸島)”で出合った美しい旋律をブルースに取り込んでいるそうです。 ホレス・シルヴァーが作曲したラテン調の”Nutville”やカーニヴァルのサンバようにのりのりのタイトル曲”The Cape Verdean Blues”をはじめ、ルンバ曲の”Bonita”などオリジナル全6曲を収録したラテン風味のアルバムです。 ”Nutville”は上記の4枚組みアルバム「Retrospective」のディスク:3の4番目にも収録されています。 この”Nutville(ナットビル)”はジャズメッセンジャーズに在籍していたリー・モーガンも演奏していますがドラマーのBuddy Rich(バディー・リッチ)の代表的な演奏ともなっているそうです。 演奏メンバーはトロンボーンのJ.J. Johnson(JJジョンソン)、トランペットがWoody Shaw(ウディ・ショウ)、テナーがJoe Henderson(ジョー・ヘンダーソン)、ベースがBob Cranshaw(ボブ・クランショー)、ドラムがRoger Humphries(ロジャー・ハンフリーズ)です。 「The Cape Verdean Blues」(ASIN: B0001CLZP6)もあり。
※ちなみに”Nutville”はオリジナルが1978年というコンピレーションのVol. 18, Horace Silver: Eight Jazz Classics, For You To Play (Book & CD Set)にも収録されているそうです。(Nutville、Song for My Father、Preacher、Sister Sadieなど全9曲収録)
Horace Silver and Andy Bey: Total Responce
The United States of Mind CD (ASIN: B0002Y4TQ0) – Amazon.co.jp
1960年代にはSam Cooke(サム・クック)のお気に入りだったファンキーなボーカリストのアンディ・ベイは1970年代にはホレス・シルヴァー楽団の専属歌手としてツアーに参加しており、シルヴァーとアンディのコンビは90年代まで続いたそうです。 1970年にアンディ・ベイの姉であるSalome Bey(サロメ・ベイ)も一緒にホレス・シルヴァー楽団とレコーディングしました。 アンディ・ベイのボーカルをフィチャーしたHorace Silver Quintet(クィンテット)のグルービーなアルバムは1970年にブルーノートで録音したLPレコード「Horace Silver – Total Response」です。 ホレス・シルヴァーがエレクトリック・ピアノ(エレピ)を演奏しRichie Resnicoff(リッチー・レスニコフ)のワウワウ・ギターも導入したアルバムで”Won’t You Open Up Your Senses”や”I’ve Had A Little Talk”など素晴らしい喉をきかせています。
アンディ・ベイのボーカルで”Peace”が収録されている「The United States of Mind」のCDは現在入手困難となりましたが下記のMP3アルバム「The United States Of Minds」で試聴できます。
The United States Of Mind – Amazon.com (MP3 Download)
2009年に発売のCDは「トータル・レスポンス(ASIN: B001NDR6UK)」ですが、オリジナルLP「Total Responce」からAcid, Pot or Pills、Won’t You Open Up Your Senses、I’ve Had A Little Talk、Total Responseが試聴できるTotal Responce – アナログレコード再廃盤カタログ
上記のレコードは中古かオークションにしかないのですが、1970年から1972年のブルーノート録音をCD化した全28曲収録の2枚組みの「United States of Mind」というアルバムがリリースされています。 ホレス・シルヴァーが教祖さまにでもなったようなCD画像ですが、まさにその通りで聴く者に癒しを与えるスピリチュアルなアルバムです。 しかしイエスならぬホレス教祖の信者はさほど増えなかったようでこの後、ファンキー信徒のもとに戻りました。 フィーチャーされているボーカリストはアンディ・ベイと男性も顔負けするほどダイナミックで野太い声のサロメ・ベイ、そして「That Healin’ Feelin’」のボーカルはWoody Shaw(ウッディ・ショウ)ともレコーディングした1970年代のブルーノート女性ボーカリストのGail Nelson(ゲイリー・ネルソン)のようです。(”Lady Day at Emerson’s Bar & Grill”などのブロードウエイの舞台に出ていたらしい) サロメ・ベイはAcid, Pot or Pills、Permit Me To Introduce You To Yourself、Wipe Away The Evil 、There’s Much To Be Doneなどを歌っています。 オリジナルLPの収録曲はAcid, Pot or Pills、What Kind of Animal Am I?、Won’t You Open Up Your Senses、I’ve Had A Little Talk、Soul Searchin’、Big Business、I’m Aware Of The Animals Within Me、Old Mother Nature Calls、Total Responseの全9曲だそうです。 オリジナルのブルーノートLPは”人心連合シリーズの三部作”とか呼ばれる1970年の「That Healin’ Feelin」、1971年の「Total Responce」、そして1972年の「All」という3枚(3部作)です。
ホレス・シルヴァーが作曲した”Sister Sadie”、”Opus de Funk”、”Melancholy Mood”、”The Preacher”などをスウィングバンドのWoody Herman(ウッディ・ハーマン)が1957年や1960年に吹き込んだそうですがアンディ・ベイが歌っているのかは不明。 ウッディ・ハーマンが1957年にVerveで録音した「Woody Herman ’58 Featuring The Preacher」がCD化された「Featuring Preacher(1958 (Featuring The Preacher)又は”58′”)」の最初のトラックに”The Preacher”が収録されています。
上記のアルバムはテーマが難解だからかさほど受けませんでしたが、1993年にテナーサックスのBranford Marsalis(ブランフォード・マルサリス)とEddie Harris(エディ・ハリス)が参加してHorace Silver & The Silver Brass Ensemble(ホレス・シルヴァー・ブラス・アンサンブル)がリリースしたアンディ・ベイのボーカルをフィーチャーしたハードバップ・アルバムの「It’s Got to Be Funky」の方が人気だったとか。(Basically Blueのイントロはどうなんじゃろ) このアルバムのライナーノーツにはホレス・シルバー自身に加えてジャズマニアのClint Eastwood(クリント・イーストウッド)も一筆書いているそうです。
♪ Horace Silver Quintet & Andy Bey – Nica’s Dream – Lugano 1988 – YouTube
The Tokyo Blues CD (ASIN: B001PCNZDG) – Amazon.co.jp
ホレス・シルヴァーがアンディ・ベイを伴って1962年に来日した時、もてもてだったホレス・シルヴァーは日本が気に入ったらしく帰国してからラテン風な曲なのに日本風タイトルと着物の女性画像を載せた「The Tokyo Blues(ザ・トーキョー・ブルース)」というアルバムを作ったそうです。 ついつい飲みすぎちゃったのか”Too Much Sake”だとか”Sayonara Blues(さよならブルース)”とか”Ah! So(あぁ、そう!)”なんていう日本語を取り入れたタイトルの曲も収録されています。
試聴はHorace Silver – Tokyo Blues – Amazon.co.jp (MP3 Download)
Willow Weep For Me – Bohemia After Dark
ものはついでに、ホレス・シルヴァーが参加した1955年のCannonball Adderley(キャノンボール・アダレイ)デビューのSavoy(サヴォイ)レーベルのアルバム「Bohemia After Dark」(ASIN: B000087J7L)に収録された”Bohemia After Dark”はもとより、キャノンボールのソロが輝いている”Willow Weep For Me”が好きです。(ジャケットの画像の意図が謎) ”Willow Weep For Me”という曲は作詞l作曲ともに1932年にAnn Ronell(アン・ロネル)が作曲家のGeorge Gershwin(ジョージ・ガーシュウィン又はジョージ・ガーシュイン)に捧げた失恋の歌だそうです。 ホレス・シルヴァーが輝いてるのは”Chasm”や”Hear Me Talkin’ to Ya”同様キャノンボ-ルのオリジナルという”With Apologies to Oscar”でしょうか。 このアルバムにはピアノのホレス・シルヴァーの他、コルネットのNat Adderley(ナット・アダレイ)とアルトサックスのJulian “Cannonball” Adderley(キャノンボール・アダレイ)の兄弟、トランペットのDonald Byrd(ドナルド・バード)、ベースのPaul Chambers、リーダー各のドラムのKenny Clarke(ケニー・クラーク)が参加しています。(ケニー・クラーク名義のアルバムもあり) ”Willow Weep For Me”は他のキャノンボールのアルバム「CABU Jazz Masters – Une Anthologie 1955 – 1957」にも収録されています。
試聴はBohemia After Dark – Willow Weep For Me – Amazon.co.jp (MP3 Download)
Horoscope
ホレス・シルヴァーの最新国内盤には”ニカの夢”を含む全7曲が試聴ができる2008年に発売された「ホレス・スコープ」でストローリン、ホエア・ユー・アット?、ウィズアウト・ユー、ホレス・スコープ、ヤー!
演奏はブルー・ミッチェル、ジュニア・クック、ジーン・テイラー、ロイ・ブルックスなどです。(曲名の番号をクリックして再生)
Live From the Umbria Jazz Festival 1976 DVD
ページトップの画像は 試聴できる1975年のブルーノートレーベルのアルバム「Silver ‘N Brass(シルヴァー・ン・ブラス)」(ASIN: B0097D0KRE)に続くトランキライザーの「Silver ‘N Wood(シルヴァー・ン・ウッド)」(ASIN: B0097D0LK0)やベースのRon Carter(ロン・カーター)も参加したコーラス入りの「Silver ‘n Voices(シルヴァー・ン・ヴォイシズ)」(ASIN: B0097D0KLA)と同じく、1976年にHorace Silver Quintet(ホレス・シルヴァー・クインテット)が参加したイタリアのウンブリア・ジャズ祭でのライブ映像を収録したDVD「Live From the Umbria Jazz Festival 1976」です。 演奏メンバーはピアノがホレス・シルヴァー、テナーサックスがBob Berg(ボブ・バーグ)、トランペットがTom Harrell(トム・ハレル)、ベースがSteve Beskronue(スティーヴ・ベスクロン)、ドラムがEddie Gladden(エディ・グラッデン)です。 収録曲目はAdjustment、Barbara、In Pursuit Of The 27th Man、Song For My Fatherの4曲ですが、上記のCD「Retrospective」のディスク:3に”Song For My Father”、ディスク:4に残りの3曲が収録されています。類似するカバー画像で同じく輸入盤DVDリージョン1の「Horace Silver Quintet」(ASIN: B0007ORE1M)が販売されています。
試聴はHorace Silver – Live at the Umbria Jazz Festival 1976 – AllMusic.com
♪ Horace Silver – Silver’s Blue (1956) (Silver’s Blue、To Beat Or Not To Beat、How Long Has This Been Going On?、I’ll Know、Shoutin’ Out、Hank’s Tune、The Night Has A Thousand Eyes)
アルバム「Silver’s Blue」に収録された曲のうち、ホレス・シルヴァーが演奏するなんて!という”How Long Has This Been Going On?(いつの頃からか)”は1927年のミュージカル「Funny Face」のためにGeorge Gershwin(ジョージ・ガーシュウィン)が作曲したのですが使用されずに1957年の映画「(パリの恋人)」でAudrey Hepburn(オードリー・ヘプバーン)が歌いました。 ロマンチックな”How Long Has This Been Going On”の美しいメロディはミュージシャンに気に入られColeman Hawkins(コールマン・ホーキンス)やBen Webster(ベン・ウエブスター)などのテナーサックス演奏やJudy Garland(ジュディ・ガーランド)、Ella Fitzgerald(エラ・フィッツジェラルド)、サラ・ヴォーン、ペギー・リー、June Christy(ジューン・クリスティ)、Carmen McRae(カーメン・マクレエ)などのボーカルカバーがたくさんあります。
♪ Horace Silver – Doctor Jazz (A Prescription For the Blues 1997) (Album includes Prescription for the Blues、Whenever Lester Plays the Blues、You Gotta Shake That Thing、Yodel Lady Blues、Brother John and Brother Gene、Free at Last、Walk On、and Sunrise in Malibu、Doctor Jazz)
♪ Click “Listen to the program (RealAudio)” away!
The Horace Silver Songbook – Night Lights Classic Jazz – WFIU Public Radio
(Blowin’ The Blues Away – Chick Corea, Nica’s Dream – Art Farmer, Opus de Funk – Art Pepper, Sister Sadie – Woody Herman, Melancholy Mood(7-7-7-bar pattern), Split Kick – Art Blakey, Psychedelic Sally – Eddie Jefferson, Senor Blues – Mark Murphy, Song for My Father – Ran Blake, and Peace – Chet Baker)