Infamous(2006年)
グウィネス・パルトロウがペギー・リー!
“悪名高き男”という意味の映画「Infamous(インファマス)」が撮影を開始した当時はGwyneth Paltrow(グウィネス・パルトロウ)がペギー・リーを演じるということで早く公開されないかなとメイキングから追っかけていた私でしたがなかなか進展せずにその間に映画の題名が3度も変更になったほどです。(かなり話題になったパルトロウがペギーリーというのは今思うと前宣伝だったのかも。あるいは著作権の問題でもありか) 2005年2月からずっと製作中という状態だった映画「Infamous(aka Have You Heard? / Every Word Is True)は俳優でもあるDouglas McGrath(ダグラス・マクグラス)監督のWarner Independent Pictures(ワーナー・インディ映画)です。 ダグラス・マクグラスは1996年にグウィネス・パルトロー主演で御伽話のように美しい映画「Emma(エマ)」を監督しています。
製作中の仮タイトルは「Every Word Is Tru」→「Have You Heard?」→「Infamous」(「悪名」という意味)となりました。
☆「Infamous」はGeorge Plimpton(ジョージ・プリンプトン)が15年程前に書いた作家でセレブで道楽者だったカポーティの伝記物語「Truman Capote(トルーマン・カポーティ)」を元に映画化されています。
1961年にAudrey Hepburn(オードリー・ヘプバーン)が主演したBreakfast at Tiffany’s(ティファニーで朝食を)の原作者であるTruman Capote(トルーマン・カポーティ)の伝記映画ですが、撮影予定がどんどん延びてタイトルも何度も変わりました。 Bennett Miller(ベネット・ミラー)監督が同じテーマでオスカー受賞の噂も高い作品を早撮りしたことを聞いてダグラス・マクグラス監督は模倣作品とみなされないように手直しをしたのかもしれません。(余談ですがベネット・ミラー監督の弟はアンミカの夫) 先に公開された2005年に「Capote(カポーティ)」と比べるとどこがどう違うのか興味のあるところでしょう。 1967年にカポーティの本を元に一家惨殺事件のペリー・スミス等殺人犯人を描いたRichard Brooks(リチャード・ブルックス)監督の「In Cold Blood(冷血)」もしかり。(サントラはQuincy Jonesでクールなベース演奏はRay Brown) 下記にPhilip Seymour Hoffman(フィリップ・シーモア・ホフマン)がカポーテを演じたベネット・ミラー監督の作品についても述べています。 ベネット・ミラーは実在した球団マネージャーであるビリー・ビーンを描いた2011年の「Moneyball(マネーゲーム)」でもフィリップ・シーモア・ホフマンを起用しています。 カポーティを演じたホフマンは2004年の「Finding Neverland(ネバーランド)」では太っちょでシマシマシャツを着た海賊スミーを演じていました。
アメリカでは2006年の10月に公開の「Infamous」の予告編ではグウィネス・パルトロウが演じるペギー・リーじゃなくて歌手のKitty Dean(キティ)もチラリと見られます。
Infamous Trailer – YouTube
Toby Jones and Daniel Craig
カポーティ役は2004年にLadies in Lavender(ラヴェンダーの咲く庭で)に父親のFreddie Jones(フレディ・ジョーンズ)と共に出演しHedley(ヘドリー)役で日本で映画デビューをしたイギリス俳優のToby Jones(トビー・ジョーンズ)がTruman Capote(トルーマン・カポーティ)、カポーティの親友で作家のNelle Harper Lee(ハーパー・リー)役に「クラッシュ」のSandra Bullock(サンドラ・ブロック)です。(この頃にハーパー・リーは”To Kill a Mockingbird(マネシツグミを殺すために)”を発表したばかりだったとか)
そして「ブルーベルベット」でセクシーなヒロインを演じたイザベラ・ロッセリーニがGloria Guinness(グロリア)役で出演している他にもSigourney Weaver(シガーニー・ウィーヴァー)や監督でもあるPeter Bogdanovich(ピーター・ボグダノヴィッチ)等がカポーティの友人役で出演という豪華キャストです。 ダニエル・クレイグのファンとカポーティのゲイ生活と人としての愛を描いた映画「Infamous」の呼び物はなんと父親のフレディ・ジョーンズ同様に風変わりな役を演じる身長165センチのトビー・ジョーンズが演じるカポーティと178cmのDaniel Craig(ダニエル・クレイグ)が演じる一家4人殺し犯のPerry Smith(ペリー・スミス)との男同士のキスシーンだそうです。(実際のペリーの幼少時の体験が似ているためカポーティが感情移入したとか) 2001年にLara Croft: Tomb Raider(トゥームレイダー)に出演した英国俳優のダニエル・クレイグは2006年にSF白黒アニメの「Renaissance(ルネッサンス)」でBarthélémy Karas(バーテレミー・カラス)の声を担当した後、年末に公開される「Casino Royale(007/カジノ・ロワイヤル)」でJames Bond(ジェームス・ボンド)を演じるそうです。 007の前に”チュー”? そうなんです。 ダニエル・クレイグとしてはジェームス・ボンドの予測不可能なキャラクターにゲイ風味も加味したい意向なんだそうです。 とはいえダニエルはゲイではなく、「Dream House(ドリームハウス)」で共演した子連れのRachel Weisz(レイチェル・ワイズ)と2011年に子連れ同士で再婚したとか。 これまでのボンド像を21世紀という時代に合ったヒーローに作り変えたと評判のダニエル・クレイグは2012年の最新作のボンド映画、マカオを舞台に、珍しくもMの「早く撃って!」でゼロゼロセブンが死ぬ。 さらにMI6(海外で活躍するスパイ組織SIS)の部長Mが情報安全委の委員長から首を宣言されるシーンから始まる「Skyfall(007 スカイフォール)」でお洒落なボンドとしては前代未聞の無精髭を生やして(死んでたから)登場する。(古株の再スタート、復活) 監督は1999年の「アメリカン・ビューティー」と同じくSam Mendes(サム・メンデス)ですが2015年の「007 スペクター」では”C”(MI5の新責任者)のオカゲでダブルオー(00)部門は閉鎖でボンドは職務停止の憂き目に。 「スカイフォール」で特筆すべきはテーマ曲として流れたAdele(アデル)のオリジナル”Skyfall”とこれまで白人が演じてきた長官Mの秘書であるイヴ(Miss Moneypenny)を「ブラック アンド ブルー」のNaomie Harris(ナオミ・ハリス)に代わったことです。
ちなみに日本のカウンターテナー歌手の米良美一にちょっと似ているトビー・ジョーンズは2004年の「Finding Neverland(ネバーランド)」でフック船長の右腕となる手下のスミー役を演じています。
作家のトルーマン・カポーティは1959年にカンザス州で実際に起きた押し込み強盗転じてショットガン殺人となった猟奇な事件に興味を持ちそれを小説にしようと一家を惨殺した犯人のプロファイルを作成します。 犯人のディックと違っておいそれとは取材に応じなかったもう一人の犯人のペリー・スミスに同病相哀れんだのかある種の愛情を感じたカポーティでしたが、敏腕弁護士を雇ってペリーを無罪にしようとしたことは世間の反感を買いました。 犯人は絞首台で処刑され、カポーティが執筆していた本「In Cold Blood(冷血)」は完成します。 ちなみに題名の冷血には二つの意味があるそうです。 一つはペリーの一家惨殺の残虐性、もう一つはそんなペリーを作り上げたアメリカ社会がペリーを裁く冷酷性なんだとか。
その出版によりカポーティは名声を手にしましたが愛を失いました。 それ以降カポーティは書く気力を失っていったそうです。
カポーティの「冷血」にヒントを得て1975年に佐木隆三が「Vengeance Is Mine(復讐するは我にあり)」を書き、今村昌平監督が映画化して殺人鬼を緒形拳が演じました。(あまりの凄さに身も凍る)
※カポーティが一家銃殺事件の取材中には死刑が確定した犯人のPerry SmithDick Hickock(ペリー)と奇妙な関係を持ったことを案じてペギー・リーが説得したとかいう逸話があります。 とはいうものの、ペギー・リーの自伝にはカポーティについての記述は全く無いそうですからペギー・リーのファンにはこの点に異論があるとか。 パルトローが演じた歌手の名前がペギー・リーではなくてキティになった所以なのかも。
話題だったGwyneth Paltrow(グウィネス・パルトロウ又はグイネス・パルトロー)がジャズ歌手のペギー・リー役というのは映画が公開されたらKitty Dean(キティ)という役名だったので「いったいどうなってるの?」という声も上がったようです。 グイネス・パルトローは伝説のジャズ歌手”ペギー・リー”役を熱望していたので最低額の出演料を申し出たそうですが、それでもなんと!噂では、映画の最初の方でペギー・リーの定番曲であったCole Porter(コール・ポーター)作曲の「This Thing Called Love(What Is This Thing Called Love?」を歌う1分ちょっとがおよそ4億円という高額ギャラだそうです。(もっとも昨今のハリウッドでは1本が30億とか40億という出演料を稼ぐ映画スターが多い) グイネス・パルトローはカメオ出演にしては破格ですね。 いや、公開された時点ではカメオではなくて役名がクレジットされています。 いや、歌の途中で情緒不安に陥るキティのシーンは映画のストーリーとしては何の脈絡も説明も無いからやはりカメオなのかも。 1959年と設定されたシーン、カポーティが出向いた洒落たクラブで歌うキティのこの苦悩の表情を”時には女性と間違えられるほど奇異な風貌のカポーティが直面するゲイ問題”の前振りであると見る向きもあるようです。 本作「Infamous」ではチラリでしたが、「Four Christmases(フォー・クリスマス)」のTim McGraw(ティム・マッグロウ)と共演する2010年の「Country Strong」ではカントリー歌手として映画のテーマ曲などたっぷりと歌うそうです。
グウィネス・パルトロウは1995年にSe7en(セブン)でBrad Pitt(ブラッド・ピット)と共演して一躍脚光を浴びたLA出身のお嬢さま女優ですが、1998年にはShakespeare in Love(恋におちたシェイクスピア又は恋に落ちたシェークスピア)でアカデミー主演女優賞を受賞するようになります。
☆おまけ☆ 2001年に米ファッション雑誌「Harper’s Bazzar」に載った問題のグウィネス・パルトロウのヌード写真は当初見ましたがすぐに削除されました。
日本でもリージョン1の輸入版が発売されたことがありますが、現在はアメリカで発売の「Infamous」DVDだけです。
Infamous
Infamous Soundtrack
Infamous Soundtrack
2000年の「Chocolat (ショコラ)」の映画音楽でも有名なRachel Portman(レイチェル・ポートマン)が音楽を担当した「Infamous」のサウンドトラックには、呼び物だったグウィネス・パルトロウが歌う”What Is This Thing Called Love”をトップにSarah Vaughan(サラ・ヴォーン)のBroken Hearted Melody、Dusty Springfield(ダスティ・スプリングフィールド)のYesterday When I Was Youngの他、死刑囚のペリーを演じたDaniel Craig(ダニエル・クレイグ)がギターの弾き語りで聞かせた魅惑の”There’s a Goldmine in the Sky”などが収録されています。
Gwyneth Paltrow in Infamous – YouTube
今や絶版! 入荷待ちの単行本
トルーマン・カポーティ
Capote(カポーティ)(2005)
奇妙なことに同じ題材の映画が制作されました。 アメリカでは高い評価を受けているベネット・ミラー監督の36日間早撮り映画、社会派サスペンスのCapote(カポーティ)(2005年)の方が「Have You Heard?」より早い2005年9月30日のカポーティの誕生日に一部限定で公開されるそうですが日本公開は2006年秋の予定。 こちら「カポーティ」ではペギー・リーはお呼びではありません。 カポーティ役がフィリップ・シーモア・ホフマンでハーパー・リー役はCatherine Keener(キャサリン・キーナー)です。
☆Capoteのトレーラーはsonyclassics.com
追記: 2006年1月9日に全米映画批評家協会賞の最優秀作品賞を受賞決定、主演のフィリップ・シーモア・ホフマンはロサンゼルス映画批評家賞や全米映画俳優組合賞(SAG)の主演男優賞、全米映画批評家協会賞やナショナル・ボード・オブ・レビュー賞の最優秀男優賞確定!
☆アメリカでは2006年発売のDVDは「Capote (2005)」
イタリアの有名宝飾店「Damiani(ダミアーニ)」のイメージモデルはBrad Pitt(ブラッド・ピット)とJennifer Aniston(ジェニファー・アニストン)夫妻でしたが、2005年の春からグウィネス・パルトロウになります。 グウィネス・パルトロウは1995年の「Se7en(セブン)」でブラッド・ピットと共演した頃に交際していたとか。 ジェニファー・アニストンと別れたブラビはAngelina Jolie(アンジェリーナ・ジョリー)とパートナーとして生活しBrangelina(ブラッジョリーナ)になります。
DAMIANI(DAMIANIをクリックしてenglishをクリックすると今ならグウィネス・パルトロウが見られますが、もし見られなればメニューからCommunication>History of the communication>2004/2006 – Gwyneth Paltrow>1から4)
Audio-Visual Trivia内のグウィネス・パルトロウの出演映画
ダニエル・クレイグが夫を演じた2003年の「シルヴィア」
ホフマンがフレディ役で共演した1999年の「リプリー」
この映画は知りませんが、パルトローは、歌が結構上手だそうですね。
alex99さん、コメント有難うございます。 パルトローのペギー・リー・・・聴いてみたいです。