街角 桃色の店 The Shop Around The Corner (1940)

The Shop Around the Corner (1940) DVD
The Shop Around the Corner
Margaret Sullavan and James Stewart
街角-桃色の店(1940年)

Ernst Lubitsch(エルンスト・ルビッチ)監督のクリスマスにちなんだ純愛物語である「街角/桃色の店」は1940年に制作されて、戦後の1947年に公開されました。 主演はJames Stewart(ジェームズ・スチュワート)で、ジミーのお相手はMargaret Sullavan(マーガレット・サラバンもしくはマーガレット・サラヴァン)です。 「桃色(ピンク)の店」は、ハンガリーの首都ブダペストの雑貨店を舞台にユーモアと毒舌の応酬が広げられる物語で、チェコの劇作家Nikolaus Laszlo(Miklos Laszlo ニコラウス・ラズロ)の戯曲が原作だそうです。 脚本は1952年のThe Jazz Singerの原案を書いたSamson Rafaelson(サムソン・ラファエルソン)が手掛けています。
ちなみに当時すでに人気女優だった才色兼備のマーガレット・サラヴァンは大学アマチュア俳優時代の仲間のジミーを共演者に推奨してくれてたのでジミーは熱愛していたのですがマーガレットは同じ仲間だったヘンリー・フォンダと結婚しました。 ですがフォンダとは即別居し、2年後に完全に離婚しました。(フォンダとジミーはご同類かとも) すでに何人かの大物監督の作品に出演していたサラヴァンはさらに1935年の「The Good Fairy(お人好しの仙女)」に出演し監督のWilliam Wyler(ウィリアム・ワイラー)と結婚するのですがこちらも2年で離婚したのです。 「桃色の店」のジェームズ・スチュワートとは他にも3本の映画で共演していますが一時不倫関係にあったMarlene Dietrich(マレーネ・ディートリッヒ)とは違ったようです。

「街角」の別題が「桃色(ピンク)の店」、邦題の”桃色の店”は”ピンクの店”と読むそうですがワケがわかりません。 映画自体がモノクロで、映画の中でピンクらしいものは、主人公の店員が受け取るピンク・スリップ(解雇通知)位しかありませんが、心温まるお店ってことでしょうか。幸せをイメージしたのかな。 ブダペストの「街角」を舞台にした恋愛ストーリーです。 雑貨店の店員であるジミーとオサリバンは、職場でいつも目の前にいて口喧嘩する相手とはゼンゼン違う性格の、まだ見ぬ文通相手に思いを寄せていたがとうとう実際に逢うことになります。 ところが、どうしたことか、社長の妻の浮気相手と間違えられて怒りをかっていたジミーは、この初デートのためにと早引けを申し出たために即刻クビになってしまったのでした。 デート場所には行ったものの失業のことを思うと打ち明けられなかったジミーでした。

さてクリスマス・イブのこと、店主の妻の浮気の相手がやっと判明し、誤解が解けてマネージャーに昇格・復職した店員スチュワートと従業員達は浮気のショックで寝込んでいた店主へのプレゼントにクリスマス・セールを開催し、28年以来の高売上を記録します。

そのイブの晩、例の二人はどうなったでしょう。
ジミーが事実を話してハッピーエンド! ジミーはO脚でない証拠にズボンを上げて足を見せてオサリバンに結婚を承諾させました。 この映画でも言及していたように、やはりあちらでも「ビール腹、禿げ、オー脚」はもてない男の代名詞なんでしょうかね。(これらの言葉は差別用語?)
※ちなみに映画のタイトルになっている「Shop Around The Corner」とはイギリスでは「高望みしないで適当なところで手を打つ」なんていう意味があるとか。 近くは見え難い灯台元暗し。 ちなみにハンガリーの街角が舞台ですがオリジナルがハンガリーの芝居だったので脚本を書いたサムソン・ラファエルソンがそのままにしたらしいです。

videoトレーラーはThe Shop Around The Corner Trailer – Imdb.com
Frank Morgan(フランク・モーガン)演ずる街角の雑貨屋店主”マチェック氏”による自己紹介及び登場人物の紹介ですが、なんと!葉巻をくわえたルビッチ監督も登場します。

The Shop Around The Corner Soundtrack
映画の音楽は1939年にグレタ・ガルボが主演した「ニノチカ」を手掛けたWerner R. Heymann(ヴェルナー・リヒャルト・ハイマン)でオープニングでは”Ochi Chyornye(オチチョニア)”をアレンジしたテーマ曲が流れます。 映画の中では店主が薦める掘り出し物のたばこ入れのオルゴールや喫茶店で邦題が”黒い瞳”という17世紀のロシアの民謡、もしくはジプシー音楽といわれる”Ochi Chyornye (Dark Eyes)”が流れました。
下記のリンクは映画の中では使用されていませんが、ジプシーギタリストのDjango Reinhardt(ジャンゴ)が演奏する”Ochi Chyornye”です。
Django Reinhardt – Les yeux noirs – YouTube

ページトップの画像は”The Shop Around The Corner”の手書きカバー画像の言語版DVDですが、こちらは国内で発売された「街角 桃色の店」の2006年販売の日本語字幕のDVDです。
The Shop Around The Corner VHS世界名作映画全集131 街角桃色の店
注! 上の画像は日本でリリースされたVHSビデオですが2000年販売の”ASIN ‏ : ‎ B000021Y6M”とも別で1987年販売のビデオです。悪しからず

1998年にTom Hanks(トム・ハンクス)とMeg Ryan(メグ・ライアン)が共演した「You’ve Got Mail(ユー・ガット・メール)」は手紙による文通を現代的にEメールに置き換えたリメイクです。 インターネット依存症というよりも現実の生活に物足りなさを感じたトムとメグがチャットルームで知り合いメール交換をするうちに親近感を覚えていくのですが。 トム・ハンクスがオープンさせるBarnes & Noble(バーンズ・アンド・ノーブル)のような大型書店で安売りするディスカウントショップの”フォックスブック”の脅威にさらされるメグ・ライアンの小さな本屋の名前がこの映画のタイトルと同じ「The Shop Around The Corner(街角の本屋さん)」なのです。(もっともフォックスブックも看板にこの文句を入れてますが) サントラでは私の好きな”Dream”がRoy Orbison(ロイ・オービソン)のバージョンで流れる他、Bobby Darin(ボビー・ダーリン)の”Splish Splash”、”Little Bitty Pretty One”の作者であるBobby Day(ボビー・デイ)の”Rockin’ Robin”、Louis Armstrong(サッチモ)の”Dummy Song”など懐かしい曲がいっぱいです。
メグ・ライアンといえば1989年にビリー・クリスタルと共演した「When Harry Met Sally… (恋人たちの予感)」での絶頂艶技が笑えます。
ユー・ガット・メールの2008年DVD(日本語字幕版)
You've Got Mail DVDユー・ガット・メール 特別版
videoユー・ガット・メールのトレーラーはYou’ve Got Mail Trailer – Imdb.com

Hungarian pengő
☆ところで、「街角 桃色の店」のなかでも出てくるHungary(ハンガリー)の通貨単位はPENGO(ペンゴ)だそうですね。
第二次世界大戦直後のハイパーインフレで歴史上最高額面の紙幣が発行されたそうで1,000,000,000,000,000,000,000ペンゴ紙幣(便宜上10億兆、1000兆ペンゴとか)で国内でも日本銀行貨幣博物館に所蔵されているとか。

Ernst Lubitsch
喜劇俳優から監督になったドイツ系ユダヤ人のエルンスト・ルビッチはコメディタッチの映画を1910年代からたくさん監督していてます。 「街角 桃色の店」の前には1924年の「The Marriage Circle(結婚哲学)」や1933年にGary Cooper(ゲイリー・クーパー)が笑わせる「Design for Living(生活の設計)」や1939年にGreta Garbo(グレタ・ガルボ)が笑った「Ninotchka(ニノチカ)」など30本以上もの有名な映画があります。 私の印象深い作品といえば1943年のファンタジー「Heaven Can Wait(天国は待ってくれる)」で従兄弟の婚約者を奪った挙句に浮気までして地獄にやってきた男が閻魔さまにこれまでの話をしたら、閻魔様のお沙汰は「アップ!」でした。 豪華だったのは1948年の「That Lady in Ermine(あのアーミン毛皮の貴婦人)」です。 白貂を着るのは1953年の「百万長者と結婚する方法」のBetty Grable(ベティ・グレイブル)でフランチェスカとアンジェリーナの二役を演じて自慢の脚線美をご披露します。 お相手の大佐役はDouglas Fairbanks Jr.(ダグラス・フェアバンクス・Jr)で「鉄仮面」や「ロビン・フッド」で名高いダグラス・フェアバンクスの息子です。

Audio-Visual Trivia内のジミー・スチュワート
の出演映画

1946年の素晴らしき哉、人生!
1952年の地上最大のショウ
1958年のめまい
1958年の媚薬

「Audio-Visual Trivia」内のクリスマス関連映画
ディケンズのクリスマス・キャロルはA Christmas Carol
1947年の三十四丁目の奇蹟はMiracle on 34th Street
1954年のホワイト・クリスマスはWhite Christmas
1964年のサンタ対火星人の宇宙大戦争はSanta Claus Conquers the Martians
1968年のクリスマス・ツリーはL’arbre de Noel
2004年の恋のクリスマス大作戦はSurviving Christmas
2004年のポーラー・エクスプレスはThe Polar Express
2006年のクリスマス大決戦!はSanta Clause 3: The Escape Clause
2007年のブラザーサンタはFred Claus
2008年のヴィンス・ヴォーンのフォー・クリスマスはFour Christmases

街角 桃色の店 The Shop Around The Corner (1940)」への5件のフィードバック

  1. 街角

    エルンスト・ルビッチ監督の「街角」は、もとは「桃色(ピンク)の店」という邦題でした。原題(The Shop Around the Corner)を直訳す…

  2. 「街角 桃色の店」と「ユー・ガット・メール」を比べると、文通とEメールという通信手段の変化に驚かされますね。それにもかかわらず、相手の通信に一喜一憂する人間は、60年の間にそれほど変わっていません。

  3. koukinobaaba より:

    「まいじょ」さん、トラックバックとコメントは設定で全てを非表示になってしまっているようです。
    この記事は「エルンスト・ルビッチ監督」と「ハンガリー通貨のペンゴ」の検索ワードでアクセスがあります。
    本当におっしゃる通りで、人間の悲喜こもごもは不変のようです。

  4. koukinobaaba さん
    トラックバック拒否設定はしていませんので、再度お試し下さい。
    手動で毎日何百というスパムを削除しているのですが
    それは大変ですね。一時ひどかったのですが、英数字のみのコメント・トラックバックを拒否の設定にしたら、ほとんどなくなりました。

  5. koukinobaaba より:

    「まいじょ」さん、ご丁寧にお知らせを有難うございます。それでは再度トラックバックを送ってみます。

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