The Skeleton Key (2005年)
「スケルトン・キー」は黒魔術を題材としたスリラー映画ですが、単なるひと夏だけ用の納涼お化け映画では有りませんゾ~。 映画の公開当時には評論家には怖くない!とけなされたそうですが、とんでもない! 最後まで怖いのですゾ~!
Voodoo & Hoodoo
「スケルトン・キー」は事実かどうかはさておき、米国南部にまつわるブードゥー&フードゥー伝説を元にした怪奇映画なのです。(ゾンビゲームのテーマ曲のWho do you voodoo, Bitchではありませんゾー) アメリカ南部、特にルイジアナ州は南北戦争終結以前には沢山の黒人がプランテーション(農場)で奴隷として働かされていました。 彼ら黒人の故郷アフリカの土着宗教のひとつは西アフリカがルーツのVoodoo(ブードゥー教)です。 古代アフリカのBegin国が発祥のブードゥー教は黒人奴隷と共に当時仏領のHaiti(ハイチ島)などのカリブ諸島に持ち込まれ、その後アメリカ南部ニューオリンズの黒人達の間で形を変えた呪術(おまじない)Hoodoo(フードゥー)となりました。 フードゥーは彼らの音楽であるブルース(ブルーズ)にも数多く歌われています。 そういえば、ジャズもニューオリンズが発祥ですね。 ニューオリンズは他のどの地よりも彼らの宗教をを受け入れていた特殊な地域です。 なんたって1800年代にカトリック教会が市内でのブードゥー・フードゥー宗教活動を禁じるまでは、街中で儀式の太鼓の音が聞こえたんだそうですから。 このルイジアナ州というのはかってはフランス領で、ルイジアナという名も当時のフランス国王ルイ14世にちなんだものだとかいわれていますが、確かパリの発祥の地とされるセーヌ中洲の孤島「サン・ルイ島」の住人もルイジアンと呼ばれています。 この地を1800年頃、当時のジェファーソン大統領が買収したのです。 首府がニューオリンズというのは新オルレアンの意味で、かってはフランスの移民が住んでいたためにニューオリンズの中心街がフレンチ・クォーターというのも頷けますね。
南部ニューオリンズにあるブードゥー・グッズの店はVoodoo Authentica
アフリカのBegin国で思い出したのがCole Porter (コール・ポーター)作曲のBegin the Beguine(ビギン・ザ・ビギン)です。(注!すぐ音) 音楽スタイルの一種である”Beguine”は黒人の多いカリブ諸島(マルチニクやキューバ)発祥のスロー・ルンバだそうです。
「スケルトン・キー」は鈴木光司原作のアメリカ版「The Ring(ザ・リング)」シリーズでお馴染みの脚本家であるEhren Kruger(アーレン・クルーガー)と「K-Pax(光の旅人 K−PAX)」のIain Softley(イアン・ソフトリー)監督が、想像を絶する邪悪を仄めかし、ぶったまげる編集で、ある種ヘンタイ的(アブノーマル)娯楽を貴方にお贈りします。 この夏はエアコンが効かないくらい熱いのでこの映画で納涼といきますゾ〜!
信ずる者は救われない!
映画「スケルトン・キー」は米国は南部、ルイジアナ州のニューオリンズ郊外を舞台に物語が繰り広げられます。 この辺りは森が水没したようなSwamp(スワンプ)と呼ばれる湿地帯(沼地)で、アリゲーターも棲んでいるという淀んだBayou(バイユー、水路)が網状にあります。
The Skeleton Key Synopsis
「スケルトン・キー」のあらすじ
以下のストーリーには驚くべき結末が書かれていますから、これからビデオをご覧になる方は読まない方が楽しめます。
扉が、ギギー バッタン! 「きゃー!」、看護婦のキャロラインに扮したケイト・ハドソンが逃げ惑います。 果たしてブードゥーの呪縛から逃れられるのでしょうか? 次々と生身の人間が火あぶりになったフードゥ魔術師の手にかかる。 信じちゃ駄目ー! I Don’t Belieeeeve!
ニューオリンズの病院で介護士として勤務していた大学中退のKate Hudson(ケイト・ハドソン)が演じる25歳のCaroline(キャロライン)は担当していた黒人老人の死を見取った後、病院側の対応に納得できず捨てられなかったその患者の遺品を抱えて病院を後にしたのです。 あの死んだ患者の最期に読み聞かせていたRobert Louis Stevenson(スティーヴンスン)が書いた”Treasure Island(宝島)”に書かれていたような南部の奥、ルイジアナへ。 新聞の求人欄で見つけたホスピス・ケアテイカー(在宅看護)の仕事を得るために、やって来たのはディープピ・サウスのTerrebonne Parish(テレボン教区)の沼地。
あの宝島に描かれていたようスパニッシュ・モス(コケ)の垂れた古々しい糸杉の木々が生い茂る道をキャロラインは入って行きます。 かって奴隷達の労働により栄えた大農園の残骸のようなこの屋敷、如何にもとそれといわんばかりの古々しい屋敷に棲む老主人の介護のために若い住み込み看護婦として雇われたキャロラインは昨年実の父の死期を看取れなかったというトラウマを背負っているので、この寝たきり老人に父の面影を重ねます。 てっぺんには小さな屋根裏部屋がある屋敷、このような風景は米北部ニュージャージー出身のキャロラインには馴染みがなく「なんてところなの!」と恐る恐るドアをノックしますが誰も出て来ず、静寂な邸内に入り込むキャロラインでしたが裏庭に出るとやっと住人たちが現れます。 まずは求人広告を出したPeter Sarsgaard(ピーター・サースガード)が演じる弁護士のLuke Marshall(ルーク・マーシャル)、それからGena Rowlands(ジーナ・ローランズ)が演じるViolet Devereaux(バイオレット・デヴロー)、この屋敷の主であるJohn Hurt(ジョン・ハート)が演じるBen Devereaux(ベン・デヴロー)。 ちなみにヴァイオレットを演じたジーナ・ローランズは1980年の「Gloria(グロリア)」や1984年の「Love Streams(ラヴ・ストリームス)」を監督し、1989年に亡くなったJohn Cassavetes(ジョン・カサヴェテス)監督と結婚していました。 ジョン・カサヴェテスとジーナ・ローランズといえば共にアカデミー賞にノミネートされた1974年の「A Woman Under the Influence(こわれゆく女)」が有名でジーナが演じる神経症の妻の夫役は刑事コロンボ(COLUMBO)シリーズのPeter Falk(ピーター・フォーク)でしたが可愛いジーナに感情移入するどころか神経を消耗する映画でした。(”うちのカミさんが!”とこの映画でも怒鳴っていたピーター本人は晩年にアルツハイマー発症) ジョン監督の息子のNick Cassavetes(ニック・カサヴェテス)が2004年に監督した「The Notebook(きみに読む物語)」ではローランズが認知症になったアリーを演じていますが晩年の夫婦の情に私は久々に号泣した映画でした。 若い頃のアリー役はレイチェル・マクアダムス、若い夫役ノアは「LA LA LAND(ラ・ラ・ランド)」のRyan Gosling(ライアン・ゴズリング)でしたが晩年のアリーの夫はテレビ番組で人気だった「Maverick(マーベリック)」でギャンブラーを演じたJames Garner(ジェームズ・ガーナー)が演じています。 ロマンチックなシーンでJimmy Durante(ジミー・デュランテ)が歌う”I’ll Be Seeing You”が印象的。
さて、「スケルトン・キー」では屋敷のあるこの地が元フランス領だったからでしょうか、この土地は群ではなく教区となっていてこの家の苗字もDevereaux(デヴロー又はデヴォラ)です。 当然現地の人々には南部訛りがありますが、ガソリンスタンドのシーンに出てくるようにフランス語を話す黒人もいます。
家の敷居に魔よけの赤レンガ屑が撒いてあるのに気が付いたのはキャロラインがガソリンを入れに立ち寄った不気味なスタンドでした。 この薄気味悪さはほんの序の口。
さて屋敷に戻り荷物の整理、パパとのツーショット写真をテーブルに置き、バイオレット・デヴロー夫人を探しに行くとベンの部屋にたどり着いた。 「ブルースが好きなのね」と話しかけたキャロラインの腕をむんずと掴んだベンに驚いて振りほどこうとしたところにヴァイオレットが薬の時間だと入ってきた。 ここで蓄音機にかけられているレコードはRobert Johnson(ロバート・ジョンソン)のCome On In My Kitchen
この家は1920年代に銀行家のRobertson Thorpe(ロバートソン・ソープ氏)によって建てられたそうで二人の黒人召使と住んでいたそうです。 1960年代のソープ氏の死後は子供の兄のMartin(マーティン)と妹のGrace(グレース)が住んでいました。 ヴァイオレットが見せたその兄妹の写真立ての後ろからパラリと落ちた1枚の写真には黒人の男女と二人の白人の子供の写真が。 裏にはPapa JustifyとMama Cecileと記されています。
階段の上り下りはエレベーターがあるとはいえ、寝たきり老人のご主人さまを風呂に入れるだけでもキャロラインにとっては重労働、そんな折、用事を頼んだヴァイオレット夫人からどの部屋も開けられるスケルトン・キーをキャロラインに渡されたので探し物をしていると奥の方でなにやら音がしています。 不思議に思って進んでいくとガタンガタンと中からドアを開けようとしている様子。 何が出てくるのかという恐ろしさで見ている方も鳥肌ものです。 扉を開けたのですがなにもいませんでした。 しかしキャロラインが去ったあとにもバタンバタン。 その晩、キャロラインは物音で目が覚め気丈にも一人突き止めに行くとベンの姿がベッドから消えうせているのに気がつきます。 雨の降りしきるなか屋根を這っているベンを見つけたのです。 案の定、身体の不自由なベンは屋根から落ちてしまいます。 キャロラインがベンのベッドで見つけた「助けて!」という殴り書きをしたシーツは翌日弁護士のルーク・マーシャルに見せようとした時点では何も書いてありませんでした。 ヴァイオレットが庭で掃除をしている間に好奇心からキャロラインは再び屋根裏の探検を始めます。 だだっ広い屋敷の30近くある全ての部屋がスケルトン・キーで開けられますが、ただ一部屋だけは開かないのです。 自分の部屋ピンで鍵をこじ開けると、開いた! 「何、これ?」 おどろおどろしい品々のなかに見つけたのはあの写真、指輪、レコード、カバーをかけられた鏡、鏡。 そこに呼んでも来ないキャロラインを探しにヴァイオレットがやって来たので隠れてやり過ごす。
キャロラインは町に出ると友達の部屋で屋根裏部屋で見つけたレコードをかけてみる。 なにやら悪魔の家とかいう声が録音されている。 それを聞いた友達の顔は驚いたようだった、いやむしろ怖がっているようだ。 友達はブードゥーはアフリカの宗教だがフードゥーは魔術であると教えてくれた。
デヴロー宅に戻ったキャロラインは翌朝ヴァイオレットの恐ろしい剣幕で起こされた。 「鏡のことは言ったはずよ。」と9年前に遡って話を始めるヴァイオレット、ソープ家の召使のPapa Justifyはフードゥーの呪い師だったと話す。 Mama Cecileも同様。 そしてあの屋根裏部屋が彼らの部屋だったのだ。 名士を招いたあるパーテイの晩のこと、子供がいないと騒ぎになり探し回ったあげく屋根裏で儀式の最中の兄妹を見つけたソープ氏は召使の黒人を縛り首にしたのだった。 つまり裁きもなしの白人による黒人リンチである。 ヴァイオレットが言うには鏡に黒人の召使が映るのでしまってあるのだと言う。 あの隠された屋根裏部屋にはこんな恐ろしい秘密が潜んでいようとは!
その後も、ベンを風呂に入れている時に顔に水が撥ねたのを拭き取ろうとキャロラインが自分のコンパクトを出したところベンの視線が気になってそのコンパクトを開いて見せた途端、ベンが恐怖から猛烈に暴れだしたのでした。 コンパクトの鏡に何か見たのか。 町に出たキャロラインはこの前には怖気づいて止めてしまった「Quality Wash & Dry」と看板のかかった洗濯屋の奥へと入って行きます。 女術師からベンの呪いを解く品々を手に入れますがキャロラインの友達は「なによ、こんなもの。」と理解してくれませんでした。 デヴロー家に戻ったキャロラインはベンを前に呪いを解く品々を揃えてニワカ術師となり清めの儀式をはじめたのです。 すると突然雷鳴が轟き、ベンがしゃべろうとします。 「助けてくれ」 と言い始めた時、ヴァイオレットがドアを叩きます。 「今夜はもうよろしい。」と部屋を出されてしまいます。 キャロラインはその晩恐ろしい魘されようでラジオでも聞こうとコンパクトを動かした時、鏡に映ったのは誰かが覗いているドアでした。 幽霊め! ルーク・マーシャルに相談しても一笑に付されるだけ。 そのルーク・マーシャルと町の魔術師を訪ねた帰り道に例のガソリンスタンドに寄ってみた。 赤レンガの粉もちゃんと敷居に撒かれているその小屋の向こうで聞き覚えのある音楽が流れてきた。 そこにいた老婆いわく、「生き延びるためには誰かを犠牲にしなくてはならない。」!!!
デヴロー家に戻ってみるとキャロラインの荷物から呪いグッズが消えていた。 物置から赤レンガの粉を持ってくるとキャロラインは戸口に撒き、ヴァイレットを呼んだ。 もうちょっとで彼女を部屋に踏み込ませるところだったのに台所でお湯が沸いた音を聞いたヴァイオレットは台所に戻ってしまった。
BGMでにThe Dixie Cups(デキシー・カップス)のIko Iko(アイコ、アイコ)が流れるなか、ベンの薬を植木鉢に捨てるとなにやら調合を始めるキャロライン。 雷鳴轟く晩のこと、キャロラインとヴァイオレットはガンボの食事を前にして砂糖を入れる入れないと話していると電気が切れた。 ロウソクを取りに行った隙にヴァイオレットの飲み物に薬品を入れるキャロライン。 「私が作った特別なガンボを貴女はなぜ食べないの? ベンは私の夫なのよ!」と怒り出すヴァイオレット。 「ベンはこの家では安全じゃないわ!」 と言う間もなく薬が効いて倒れこむヴァイオレット。 倒れながらも切り取って持っていた魔よけの呪いを描こうとする。 それをひったくるとヴァイオレットの部屋を調べるキャロライン、すると「助けて!」とベンが書いたあのシーツもちゃんと見つかった。 それに呪いのために切り取ったキャロラインの髪の毛も。 ベンの車椅子を押すと、倒れたヴァイオレットを置き去りにして急いで家を出るキャロラインだが頑丈に巻かれた門の鎖が外れず、物置にベンを横たえると外に出て行きボートを漕いで沼地を進む。 起き上がったヴァイオレットは銃を取って家から出てくるとズドーン、ズドーンとぶっ放しながら探す。 ボートでキャロラインは沼地を渡って弁護士のルーク・マーシャルのところに助けを求めた。 ヴァイオレットが殺そうとしたと話して「助けて!」と書かれたベンのシーツを見せようとしているところにヴァイオレットから電話が入った。 ここでもIko Ikoが流れる。 回っているレコード盤を見て「変だ。」と思ったキャロライン。 ルーク・マーシャルの本の下にあったのは自分の写真、机の引き出しには。。。 そこで「おやすみ、ベイビー」の声を聞く。
くつわを嵌められたキャロラインはルーク・マーシャルの車で一路デヴロー宅へ。
この時に流れる曲はBlind Willie Johnson(ブラインド・ウィリー・ジョンソン)のGod Moves on the Water
「夫はどこなの?」と詰め寄るヴァイオレットは物置に潜んでいたベンを見つける。 必死で逃げるキャロラインはドアというドアに赤レンガの粉を撒く。 後ろから現れてキャロラインの首を絞めようとしたヴァイオレットを2階から突き落とす。 携帯電話で警察と友達に緊急連絡をいれたが途中で切れてしまう。 追ってくるヴァイオレットから逃れようと屋根裏に行くと蝋燭で囲まれた魔術の儀式が整っている。 呪書の通りの品を揃えて灯の真ん中に座るキャロライン。 しかし足を折ったのにも関わらずその場に辿り着いたヴァイオレットは言う。 「信じなければ、効き目はないのよ。」 「I Don’t Belieeeeve!」と叫ぶキャロライン、鏡に映る兄妹の幽霊。 鏡が当たって気絶したキャロラインが目を覚ますと、奇妙なことに傍らに横たわっているヴァイオレットの煙草を取って火をつける。 そこに現れたのはルーク・マーシャル。 「セシル、大丈夫かい?」
キャロラインの急を聞いて駆けつけた友達は警察の車や救急車を見たがキャロラインの頼みで怪訝に思いながらも瀕死の重傷のデヴロー夫妻にに付き添って病院に行くことを承諾した。 救急車のベッドには白人のデヴロー夫妻、そして、キャロラインの友達は待ってましたの黒人。
だんだんと小さくなるデヴォー宅の俯瞰図でエンディング。 いや、ネヴァーエンディング・ストーリー。 ぞぞぞー。
曲はJohnny Farmer(ジョニー・ファーマー)のDeath Letter (limix)となぜかElvis Presley(エルヴィス・プレスリー)が熱唱する”If I Can Dream”
この得体の知れない邪悪に関係する三人組は、病床の老主人のベン、その妻ヴァイオレットに、この夫婦の財産管理をする地方検事のルーク・マーシャルなのです。 このなかでも殆どセリフがなかった名優のジョン・ハートは実在の人物を描いた伝記映画で米タイム誌が選んだ「カラー時代のモノクロ映画ベスト10」で第一位として定評のある1980年のThe Elephant Man(エレファント・マン)で主人公のジョン・メリックを演じて脚光を浴びた後、高級娼婦のChristine Keeler(クリスティーン・キーラー)が冷戦下のMata Hari(マタハリ)を演じたプロヒューモ事件(Profumo Affair)を扱った1989年の「Scandal(スキャンダル)」でトップレスのコーラスガールをマイフェア・レディにと試みたスティーブン・ワード博士(整骨医)を演じましたが、膵臓癌と闘病の2017年77歳の誕生日後に亡くなりました。 Nicole Kidman(ニコール・キッドマン)が主演した2003年のDogvill(ドッグヴィル)ではナレーターを担当した後にこの「スケルトン・キー」に出演しています。 Bobby Fuller(ボビー・フラー)の”A New Shade Of Blue”がサントラに使用された1999年の「Boys Don’t Cry(ボーイズ・ドント・クライ)」で性同一生涯のヒロインを殺害するJohn Lotter(ジョン)を演じた有望株のピーター・サースガードでしたが、2003年にShattered Glass(ニュースの天才)では捏造記事を書く若い記者をを追い詰める政治雑誌社の編集長の役 、2002年の「K-19」でもミハイル副艦長として艦長のリーアム・ニーソンと共演した2004年の「愛についてのキンゼイ・レポート」ではクライド・マーティン役で出演した後、2005年には「Flightplan(フライトプラン)」で私欲のために無実の人を殺し子供を誘拐する連邦航空保安官のカーソンとして航空機設計士のカイルを演じたジョディ・フォスターと共演しています。 この後も2006年から2010年と続けざまに出演し2011年も予定があるそうです。 なかでも日本では2010年4月公開の少女と中年男のロマンスを描いた2009年の映画「An Education(17歳の肖像)」が話題になっています。 なんと2011年にはDCコミックのスーパーヒーローをRyan Reynolds(ライアン・レイノルズ)が主演の「Green Lantern(グリーンランタン)」で悪役の”Hector Hammond(ヘクター・ハモンド)”を演じます。
ケイト・ハドソン
「スケルトン・キー」で主役のキャロラインを演じるKate Hudson(ケイト・ハドソン又はハドスン)はご存知Goldie Hawn(ゴールディ・ホーン)の娘です。 天使のようなピンキーなお顔のわりにはセクシーな金髪美人のケイト・ハドソンはニューオリンズ出身のPauley Perrette(ポーリー・ペレット)も出演した「Almost Famous(あの頃ペニー・レインと)」で2001年のゴールデン・グローブ賞助演女優賞と2000年の第73回にノミネートされるほどの演技力です。 2003年にJames Ivory(ジェームズ・アイヴォリー)監督の「Le Divorce(ル・ディヴォース/パリに恋して)でケリーバッグと引き換えに情婦契約を結ぶ現代的なパリのアメリカ娘を演じたケイト・ハドソンは、同年「恋するレシピ 理想のオトコの作り方」のマシュー・マコノヒーと共演した「How to Lose a Guy in 10 Days(10日間で男を上手にフル方法)」が大ヒットして、今やハリウッドのロマコメの女王の一人として人気があります。 ジェームズ・アイヴォリー監督といえば1985年の「A Room with a View(眺めのいい部屋)」や1993年の「The Remains of the Day(日の名残り)」などラブロマンスが定評あります。 「眺めのいい部屋」では二十世紀初頭の美しいイギリスとイタリアの郊外を舞台にジュリアン・サンズが演じるジョージ・エマソンとHelena Bonham-Carter(ヘレナ・ボナム=カーター)が演じるルーシー(ルチア)お嬢様が旅先でフィレンツェのペンションの部屋を交換する話です。 マギー・スミスがジュリアンの従姉でお目付役としてお供するシャーロットを好演しています。
サウンドトラックではGiacomo Puccini(ジャコモ・プッチーニ)が作曲したフィレンツェを舞台にした全1幕のオペラ「Gianni Schicchi(ジャンニ・スキッキ) 」からラウレッタが婚約者のリヌッチョとの結婚を願って、父親スキッキに承諾を乞うラウレッタが歌うアリア”O mio babbino caro(私のお父さん)”をKiri Te Kanawa(キリ・テ・カナワ)が歌い観客の涙を誘います。 ちなみにヘレナ・ボナム=カーターはTim Burton(ティム・バートン)監督とパートナー関係にあり2005年の「チャーリーとチョコレート工場」や「コープスブライド」などに出演しています。
「スケルトン・キー」の後ケイト・ハドソンは、マット・ディロンと新婚夫婦役で2006年の「You, Me and Dupree(トラブル・マリッジ カレと私とデュプリーの場合)」に出演し闖入者のランディ・デュプリーを演じたオーウェン・ウィルソンと私生活でちょっと交際しました。 2008年にも似たようなコメディですが下ネタ満載の「My Best Friend’s Girl(2日間で上手に彼女にナル方法)」がラジー賞ノミネート、そして再びマコノヒーとコンビを組む「Fool’s Gold(フールズ・ゴールド/カリブ海に沈んだ恋の宝石)」ではケイトがラジー賞のワースト主演女優賞になってしまいました。
Kate Hudson photos- YouTube
「スケルトン・キー」の怖いトレーラーはThe Skeleton Key Trailer – VideoDetective
ニューオリンズ郊外にはスワンプという大木の生えた湿地帯がありますが、バイユーとはその湿地帯の入り江(水路)のことです。 予告編の冒頭でアメリカ南部の風景を象徴するSpanish Moss(スペイン苔)がみられますよ。(これだけでも怖い、まるで四谷怪談のお岩さんの髪の毛みたい) そこで予告編を見たら、ENTER SITEで入ってください、ここも怖〜い! 暗くて見にくいですが左のメニューにマウスをもっていくと、あらっ、蝋燭が灯りメニュが・・・こわっ! メニューの一番上がこの映画についてです。
さて、そのページでの説明です。 ①サークルに入れるアイテムは、上から、壷に入れたレンガの粉、熊の爪、抜けた親知らずの歯、鶏の足、アンゼリカの根、そして髪の毛の束の中から三つを選ぶ ②何を選んだかで呪文が決定、③さあ、出来たら友だちにEメールで送っちゃおう!(いらないって言われるよね) ☆一番下の右のBeginをクリックして始めます。
ちなみにこれには入っていないのですが、ブードゥーのお守りの一つに「黒猫の骨」というのも有り、これは思い通りにならない恋人に効き目があるそうです。
ブードゥー・フードゥーを歌った代表的ブルースにはその名もズバリJohn Lee Williamson(Sonny Boy 1)の”Hoodoo Hoodoo”や、多くのブルースマンに歌われたAnn Cole(アン・コール)の”Got My Mojo Working”、Junior WellsやBuddy Guyの”Hoodoo Man Blues”とか、Muddy Waters(マディ・ウォーターズ)の”(I’m Your) Hoochie Coochie Man”のようにいづれもルイジアナに行ってMOJOを手に入れて恋人を口説くような歌ですね。(Hootchie Kootchie Manは絶倫男らしいですが、Hoochieだけの意味は猥らなボデコン女だとか?) Screamin’ Jay Hawkins(スクリーミン・ジェイ・ホーキンス)の”I Put A Spell On You”もそうかも。 ちなみに”I Put a Spell on You”とは「私は貴方に魔法をかける」という意味だそうです。
公開当時のオフィシャルサイトでは私の占い結果は「幸運を素早く引き寄せるFast Luck」でした! 引き寄せる魅力の呪文は「精霊が私に愛する人を授け永遠に結びつける」ですと! これって白魔術? 私が何を混ぜ混ぜしたかって? それは、秘密。 ですが、同じアイテムを選んでも二度目は違う結果が出ました。
アメリカでは2005年8月12日に公開されましたが、暴力、ヌード、オカルト的映像によりPG13になりました。(たいしたことはないと思うがお子様にはどうでしょうか) 日本では未公開らしいです。
それにしてもこの映画のタイトルに使われているスケルトンキーとはどんな意味があるのでしょう。 この家のどの部屋も開けられるならマスターキー又は合鍵のことですね。 但し昔からこんなイディオムがありますよ。 ”family skeleton”とか”skeleton in the cupboard”又は”a skeleton in the closet”などはは「醜聞(スキャンダル)は秘密にしておく、他人に隠したい家庭内の秘密、世間に公表するのをはばかる一家の秘密のことだそうです。 原題を「Cakes and Ale(お菓子と麦酒)」というW. Somerset Maugham( サマセット・モーム)の1930年の小説も副題が「Skeleton in the Cupboard」といいます。 この本は実在の英国作家のThomas Hardy(トマス・ハーディ)(1840年-1928年)とSir Hugh Seymour Walpole(ヒュー・ウォルポール)を誹謗したとして問題となりました。
ページトップの画像は輸入の”The Skeleton Key”VHSビデオ(英語)ですが、こちらは2005年発売になった「スケルトン・キー」の日本語字幕版DVDです。
スケルトン・キー DVD
The Skeleton Key Soundtrack
この南部映画にピッタリのブルース!
サウンドトラックにはエンディングで流れたElvis Presley(エルヴィス・プレスリー)の”If I Can Dream”は収録されていませんが、キャロラインが友達とバーに行って踊る時やキャロラインの運転中やエンディングで流れたJohnny Farmer & Organized Noise(ジョニー・ファーマー)のDeath Letterですがキャロラインの2度目のドライヴで流れた曲はBlackBud(ブラック・バッド)のDancing Barefootです。 鳥肌ものの「スケルトンキー」の音楽はイギリスの映画音楽の作曲家で、1999年の「クルーエル・インテンションズ」やRobin Williams(ロビン・ウィリアムズ)が主演した感動的な「Jakob the Liar(聖なる嘘つき/その名はジェイコブ)」でお馴染みのEdward Shearmur(エドワード・シェアマー又はエド・シアマー)の作曲による南部特有のCajun(ケイジャン又はケジャン音楽)、ニュー・オリンズ・ジャズとデルタ・ブルースを織り込んだ素晴らしいプロデュースです。
The King Of Delta Blues(キング・オブ・デルタ・ブルース)と呼ばれた伝説のブルース・シンガーのRobert Johnson(ロバート・ジョンソン)が歌う”Come on in My Kitchen”やBlind Willie Johnson(ブラインド・ウィリー・ジョンソン)の”God Moves on the Water”、そして可愛ゆい黒人3人娘のThe Dixie Cups(ディクシー・カップス)の1964年のヒットのIko Ikoなどを収録しています。
このCDカバーの「眼」がヒッチコックの「めまい」を思い出します。
The Skeleton Key
試聴はThe Skeleton Key [Original Motion Picture Soundtrack] – Recochoku.jp
♪ Robert Johnson – Cross Road Blues
幸運のお守りとして用いられるレンガの粉、熊の爪、アンゼリカの根、髪の毛、抜けた親知らずの歯のそれぞれが意味することは、レンガの粉は危害を加えようと部屋(家)に潜入する悪魔(敵)を防ぐお守りで、熊の爪は勝利と勇気を与えるもの、アンゼリカの根は無病息災と家内安全のため、そして呪う相手の髪の毛は昔から呪い効果を高めるものとされ呪い人形(藁人形)のなかに埋め込んだりします。 昔から子供の髪の毛同様に抜けた歯も魔女が呪いをかけるのに使うので隠してしまうのです。 それで抜けた歯の代わりにお金を置いていくという歯の妖精伝説が出来上がったのかもしれませんね。
The Conjuring (2013)
「貴方は信じますか?」
「スケルトンキー」より怖いかもしれない「Saw(ソウ)」のJames Wan(ジェームズ・ワン)が監督した2013年のホラー映画「The Conjuring(死霊館)」には「Insidious(インシディアス)」でも主演したPatrick Wilson(パトリック・ウィルソン)、Vera Farmiga(ヴェラ・ファーミガ)、Lili Taylor(リリ・テイラー)などが出演します。 この映画で使用されている曲はThe Zombies(ゾンビーズ)の”Time of the Season(二人のシーズン)”、Santo & Johnny(サント&ジョニー)が1959年に作詞作曲してヒットした”Sleep Walk”をBetsy Bryeのボーカルで、Dead Man’s Bones(デッド・マンズ・ボーンズ)の演奏で”In the Room Where You Sleep”、怖いですね、怖いですね。 ゾゾ〜!
ちなみに私の好きなゾンビーズの”二人のシーズン”は1990年の号泣映画「Awakenings(レナードの朝)」でもロバート・デ・ニーロがロビン・ウィリアムズと街をドライブするシーンで流れました。
☆スワンプ巡り(すぐ音楽が鳴ります)とNew Orleansの写真
Hoochie Coochie Man
本来の意味は扇情的なセクシーダンスや、魔術師の類、又はブードゥー教の治療師を指しますが、後のブルースの歌詞の意味からはブードゥー呪い師と同じ位強い精力を持つ男のことです。 他にはHootch(酒)とCootch(女)に執り付かれた男のことでもあるそうです。