Screamin’ Jay Hawkins from Merv Griffin Show 1966 – YouTube
スクリーミン・ジェイ・ホーキンスのI Put A Spell On You
Screamin’ Jay Hawkins (1929 – 2000)
50年代初期のR & Bフリークのカリスマと呼ばれるスクリーミン・ジェイ・ホーキンスは1956年の大ヒット曲である”I Put a Spell On You”をはじめ、”Little Demon”、”Frenzy”(アルバムはASIN: B002YSVZV4、ASIN: B000007ZET)、”Ashes”、”Constipation Blues”、”Heart Attack and Vine”、そして”On The Job”など、アルバムタイトルにも「Ass-master」や「At Home with Jay in The Wee Wee Hours」、「I Shake My Stick at You」、「Rated X (Sting S)」と意味深で気味の悪いタイトルのシングルをリリースしています。 ハイチが起源で米南部でも奴隷たちに信仰されたVoodoo(ブードゥー)にヒントを得て花火やマグネシウムを焚いた稲妻や雷鳴を演出し、棺桶で登場してドラキュラのように起き上がったり、蛇や頭骸骨(干し首)などでステージを飾り立て、そして煙草をプカリとやるとヘンリーと名付けたドクロ(髑髏もしくは頭蓋骨)のクチに突っ込んでそれを手に歌う奇をてらったショーを演じました。
Theatrical Rock(ロックショー)といえば大蛇を首に巻き付けたりするAlice Cooper(アリス・クーパー)といわれますが、元祖はスクリーミン・ジェイ・ホーキンスなのです。 ホーキンスは現在でもかなり奇異ですが、当時お上品なパット・ブーン好きなママ達からは当然物議をかもし出しました。
☆この怪奇なパーフォマンスで有名になった代表曲の”I Put A Spell On You(アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー)”は1956年にOkehレコードからリリースされました。
スクリーミン・ジェイ・ホーキンスがピアノを弾きながら歌うことが多いBooDoo Swamp Boogie(スワンプ・ブギ)の”I Put a Spell on You”とは「私は貴方に魔法をかける」という意味だそうです。 元々は単にスクリーミン・ジェイ・ホーキンスが去っていったガールフレンドに「帰ってきて!」という願いを込めた歌だったらしいですが、即刻放送禁止となって、恨みが積み重なってだんだん怪奇になっていったのかもしれません。 黒魔術の呪文なんかかけられちゃ大変! この曲を1950年代にスクリーミン・ジェイ・ホーキンスの故郷であるクリーブランドでDJをしていたAllan Freed(アラン・フリード)が取り上げたところ、これがなんと大当たり! アラン・フリードはROCK’N’ ROLL(ロックン・ロール)の名付け親といわれる反骨の士としても有名なDJです。 よってク、リーブランドがロックンロールの故郷であり、Rock and Roll Hall of Fame(ロックンロール殿堂)があるというわけです。
☆”I Put A Spell On You Because You’re mine”と歌われる歌詞はI Put A Spell On You – International Lyrics Playground (注!サイト内で選択及びクリックするとゲームのサイトに飛ばされるかも)
以前はモシャモシャの長い髪を振り乱し(ていたような)マントを羽織って骸骨の付いた杖を手にスモークの中で厳かに(?)”I Put A Spell On You”を歌う本当に不気味な雰囲気のスクリーミン・ジェイ・ホーキンスのビデオがあったのでリンクしたのですが削除されてしまい現在はこんなところ。
♪ Screamin’ Jay Hawkins – I Put A Spell On You (LIVE) 1960s – YouTube
R & BのFats Domino(ファッツ・ドミノ)、テキサステナーのIllinois Jacquet(イリノイ・ジャッケイ)、ジャンプ・ブルースのWynonie Harris(ワイノニー・ハリス)、スウィングジャズのCount Basie(カウント・ベイシー)とも共演したこともあるスクリーミン・ジェイ・ホーキンスは歌だけでなくピアノを弾いたりテナーサックスも演奏したそうです。 そんなスクリーミン・ジェイ・ホーキンスの最終目的はオペラだったといいます。 悲劇的な生い立ちの話しも色々ありますが、スクリーミン・ジェイ・ホーキンス曰く、「私はこの世に真っ裸で黒人で醜く産まれて来てそのまま死んでいく。 私は美男じゃないから人々は顔を背けるけど、そんなことはどうでもいい。 私が気にかけるのは人々の幸せなんだ。 だから、もし皆を笑わせることが出来れば私の役目は果たせたということ。」 謙虚であり、なんという博愛精神の持ち主なんでしょう! それで世界中を公演して回り、70歳にしてパリで2000年に亡くなるまでに6度結婚したスクリーミン・ジェイ・ホーキンス自身が知っているだけでも婚外の子供たちも合わせるとなんと57人の子供が世界中にいるとか。(6人の妻の内ひとりは日本人だそうです) 精力絶倫男のスクリーミン・ジェイ・ホーキンスが生前語っていたという「自分の全ての子供たちと連絡を取りたい」を成就するために、2000年に受けた腸閉塞の緊急手術後に亡くなったホーキンスの死後暫くの間、オフィシャルサイトで”ご落胤探し”をしていたそうです。
♪ Screamin’ Jay Hawkins – Heart Attack and Vine – YouTube
スクリーミン・ジェイ・ホーキンスの”アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー”は最近では2005年のReese Witherspoon(リース・ウィザースプーン)主演の「Just Like Heaven(恋人はゴースト/夢でなければ)」で使用されましたが、1984年のJim Jarmusch(ジム・ジャームッシュ)監督の「Stranger Than Paradise(ストレンジャー・ザン・パラダイス)」ではオープニングやとエンディングの他、劇中でハンガリー移民のJohn Lurie(ジョン・ルーリー)が演じるウィリーの従姉妹(いとこ)のエヴァが好きだとしてドライブのBGMとして使用されています。
オープニングとエンディング・クレジットに”Mystery Train”が使用された1989年の「Mystery Train(ミステリー・トレイン)」はジャームッシュが監督しエルビスとメンフィスのホテルにまつわる三話からなるコメディ映画で、1955年に録音したElvis Presley(エルヴィス・プレスリー)のバージョンとオリジナルの作曲者であるJunior Parkerの1953年録音のMystery Trainが使用されています。 劇中で流れるエルヴィスの曲は3話とも夜中に聴くなら絶対の”Blue Moon”(エコーたっぷり!)でした。 メンフィス駅でマッチを貸してと日本人カップルに声をかける老人は”The Memphis Train”を歌ったRufus Thomas(ルーファス・トーマス)でした。(映画の中で不良三人組がジュークボックスでかける曲が”メンフィストレイン”) 映画「ミステリー・トレイン」の最初のエピソード「Far from Yokohama」でメンフィスにやって来たエルビス聖地巡礼の日本人のカップルが泊まるホテルは三話とも同じでフロント(夜間受付係り)としてS.J.ホーキンスとサンク・リーが出演し、カップルの女(工藤夕貴)がベルボーイにチップ代わりにあげたスモモ(Japanese plum)を食べちゃいます。 3話とも部屋にエルヴィスの肖像画がかかりエルヴィスのお化けまで登場します。 夜中にラジオから流れるディスクジョッキーの声はなんとTom Waits(トム・ウェイツ)! ホテルのフロント・レセプショニストを演じるホーキンスとベルボーイ(スパイク・リー監督の弟のサンク・リー)の漫才が第3話まで続きます。 カップルの男を演じた永瀬正敏はこの27年後(2016年)にジム・ジャームッシュが監督する「Paterson(パターソン)」で日本人の詩人を演じていますが、その前の2005年に京極夏彦原作のミステリーを映画化した「姑獲鳥の夏」(こかくちょう→うぶめとり)でも妖怪(あやかし)に取り憑かれた作家を演じ堤真一が演じる古本屋京極堂の中禅寺秋彦(神主と陰陽師の顔も持つ)に相談します。 曼陀羅華…多重人格 (堤はデビュー当時の1992年「女殺油地獄」が衝撃的) そして2024年、永瀬正敏は安部公房が昭和48年に執筆した小説「箱男」の映画化で主演します。
ホーキンスはさらに2001年にジム・ジャームッシュ監督の「Screamin’ Jay Hawkins: I Put A Spell On Me(スクリーミン・ジェイ・ホーキンス伝説)」にも出演しています。
2004年の映画「A Dirty Shame(ダーティ・シェイム)」では自作自演の”Moanin'”が使用されたそうです。(A Dirty Shame Soundtrack)
ちなみにホーキング作の”I Put A Spell On You”はNina Simone(ニーナ・シモン)のような女性シンガーから、薬物や酒の中毒に悩んだ時期もあったイギリスのブルースロック歌手のJoe Cocker(ジョー・コッカー)やサザンロックのパイオニア的存在のCreedence Clearwater Revival(CCR クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)、果てはMarilyn Manson(マリリン・マンソン)までもと多数のアーティストがカバーしています。 私のお気に入りは1998年にパリにおけるミュージカル「ノートルダム・ド・パリ」のカジモド役で登場したカナダのブルースロック歌手のGarou(ガルー)のバージョンです。
the best of Screamin’ Jay Hawkins VOODOO JIVE
ページトップの画像はのベスト盤で1956年から1969年までの録音でI Put a Spell on Youを含む全17曲を収録してあり、50年代から60年代のスクリーミン・ジェイ・ホーキンスを知る入門編ともいえる1990年のCDです。 ボーカルとキーボードをスクリーミン・ジェイ・ホーキンスが担当していますが、なんとムードテナーのSam “The Man” Taylor(サム・テイラー)も参加しているのです。
試聴はVoodoo Jive: Best Of Screamin’ Jay Hawkins – AllMusic.com
I Put A Spell On Me DVD
2005年発売のスクリーミン・ジェイ・ホーキンスのドキュメンタリー(Screamin’ Jay Hawkins: I Put a Spell on Me)DVD
スクリーミン・ジェイ・ホーキンス伝説~I Put A Spell On Me~
2013年には吸血鬼映画の「Only Lovers Left Alive(オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ)」の血液アイスが話題のジム・ジャームッシュが監督する一連の映画で奇跡のリバイバルを果たしたスクリーミン・ジェイ・ホーキンスは来日して1990年に九段会館で棺桶ライブをしています。
☆アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー~東京棺桶ライヴ1990 DVD
☆Screamin’ Jay Hawkins(写真付き英語の訃報記事)
Screamin’ Jay Hawkins – “I Don’t Know”
“I Put A Spell On You”とは全く違うスクリーミン・ジェイ・ホーキンスの”Even Though”が聴けるwfmuラジオのプレイリスト 「Give the Drummer Some」(Hear this showをクリックしてプレーヤーのクリップ・ポジション(再生バー)を1:39:50に移動)
Bing Crosby(ビング・クロスビー)が1933年に映画「Going Hollywood(虹の都へ)」で歌った甘い歌声で有名な”Temptation(誘惑)”もスクリーミン・ジェイ・ホーキンスが歌うとこんな……いや、かなり正統派。 ”I Put a Spell on You”はもちろん、コール・ポーターの”I Love Paris”や”Ol’ Man River”などを収録した1958年の30センチLPレコードのアルバム「At Home with Screamin’ Jay Hawkins」の他、「Cow Fingers &Mosquito Pie」にも収録されています。
♪ Screamin´ Jay Hawkins – Temptation – YouTube
がはっは~!
出ましたね、スクリ~ミン・ジェイ!
お馬鹿さん加減がサイコーですよね。
「I Put A Spell On You」と言えば、ぼくの場合CCRが初なんですよね~。でも、この人はやっぱオリジナル、最高に笑えます・・・??
「ken-sann」さん、ツッコミ有難うございます。
Creedence Clearwater Revival・・・とはマニアックな! 普通は知らないでしょう。 リース・ウィザースプーンの映画のサントラに収録されていたのを記事から切り離したのですよ。 この曲はよくハロウィーン特集のアルバムなんかに収録されていますね。