ライオネル・ハンプトン スターダスト Lionel Hampton plays Stardust

Lionel Hampton in Swing Era
ライオネル・ハンプトン(1908 – 2002)はスウィングジャズ時代の1930年頃にヴィブラフォンを初めてジャズ界に持ち込んだといわれる数少ないVibraphone(ヴィブラフォン)奏者です。
ライオネル・ハンプトンが最初に手にした楽器は鼓笛隊の小太鼓といわれているように、ライオネル・ハンプトンはヴィブラフォン奏者であると共に演奏活動の初期からパーカッションも演奏します。 ライオネル・ハンプトンは自らをエンターテイナーと称し音楽は二の次と考えていたそうです。 最初のレコーディングはドラムの担当だったそうで、その後にヴィブラフォンを学んだライオネル・ハンプトンは1930年代にアルトサックス奏者の”Les Hite(レス・ハイト)”の楽団に参加していた時の録音でLouis Armstrong(ルイ・アームストロング)に乞われてヴァイブを演奏して以来評判となったそうです。 ちなみにレス・ハイト楽団には1940年代から1950年代にジャンプ・ブルースのT-Bone Walker(T・ボーン・ウォーカー)が参加していました。

ニューヨークのハーレムにあった有名なコットンクラブは大恐慌のため1936年に閉鎖されてしまい、ルイ・アームストロングがライオネル・ハンプトン迎えて演奏したのはロスアンジェルスに出来たNew Cotton Clubだそうで、そこで初めてヴィブラフォンのMemories Of Youを演奏したそうです。 この数年後にライオネル・ハンプトンはBillie Holiday(ビリー・ホリデー)やCount Basie(カウント・ベイシー)などを発掘したとして有名なプロデューサーのJohn H. Hammond(ジョン・ハモンド)のスカウトで1936年にBenny Goodman Orchestra(ベニー・グッドマン楽団)に参加し、専属歌手になったビリー・ホリデーのバックを勤めたそうです。 名士のジョン・ハモンド氏は1938年に初めてカーネギーホールでブルース(ブルーズ)やジャズのコンサートをプロデュースしました。ジャズのカウント・ベイシーやSidney Bechet(シドニー・ベシェ)などを紹介しました。 そして予定されていたブルースのRobert Johnson(ロバートジョンソン)が痴情のもつれで殺害されたため急遽Big Bill Broonzy(ビッグ・ビル・ブルーンジー)が出演した他、Big Joe Turner(ビッグ・ジョー・ターナー)などのブルースマンたちが出演したそうです。
ベニー・グッドマンは既に黒人ピアニストのTeddy Wilson(テディ・ウィルソン)とGene Krupa(ジーン・クルーパ)とで黒人混成バンドのベニー・グッドマン・トリオを組んでいましたが、ライオネル・ハンプトンが参加してThe Benny Goodman Quartet(カルテット)が結成されました。 白黒混成コンボはビッグバンド全盛のスイング(スウィング)時代には大変珍しい事例として注目を浴びたそうです。
ドラムセットの前のライオネル・ハンプトンの写真が見られるLionel Hampton – DRUMMERWORLD(ビデオの他、Jack the Bellboyや1937年のDrum StompやGerry Mulliganとの共演が聴けます)

Live at Carnegie Hall 1938
スイング王と呼ばれたベニー・グッドマンのビッグバンドとライオネル・ハンプトンを加えたカルテットで演奏したカーネギーホール始まって以来初のCarnegie Hall Jazz Concert(ジャズコンサート)を開催した1938年の2枚組み全49曲を収録した実況録音盤です。
ライヴ・アット・カーネギーホール1938 (完全版)
Live at Carnegie Hall 1938 - Benny Goodman and Lionel Hampton当時のジャズ界の精鋭陣、テディ・ウィルソンやCount Basie(カウント・ベイシー楽団)の面々、Duke Ellington(デューク・エリントン楽団)のJohnny Hodges(ジョニー・ホッジス)、Cootie Williams(クーティ・ウィリアムス)、Lester Young(レスター・ヤング)など超豪華な顔ぶれですが、音は手を加えていない当時の懐かしい音源です。
拍手で迎えられた中盤のライオネル・ハンプトン登場も録音されていますがその試聴だけがありません。
全曲試聴はLive at Carnegie Hall: 1938 Complete – CD Universe

もう一人の「スイング王」は”Swingin’ years”のパーソナリティであるChuck Cecil(チャック・セシル)です。
スイング音楽のラジオ番組 Chuck Cecil Swingin’ years

Other Vibraphone players at that time
ライオネル・ハンプトンのヴィブラフォン奏者としての対抗馬はモダンジャズ(バップ時代)のMilt Jackson(ミルト・ジャクソン)がいますが、ミルト・ジャクソンは1946年にDizzy Gillespie(ディジー・ガレスピー)の楽団に参加した後の1952年に結成したピアノのJohn Lewis(ジョン・ルイス)、ベースのPercy Heath(パーシー・ヒース)、ドラムのKenny Clarke(ケニー・クラーク)とのMJQ時代にはBags’ Grooveなど素晴らしい曲を残しています。(Bagsとは1962年のアルバム「Bags Meets Wes!」などがあるようにミルト・ジャクソンのニックネームです) 1950年代のラテンジャズではマンボでお馴染みのプエルトリコのTito Puente(ティト・プエンテ)がいてパーカッションの他に”Vibe Mambo”という曲でヴィブラフォンも演奏しました。
※この他にヴィブラフォンを演奏したのは、1920年代にPaul Whiteman Orchestra(ポール・ホワイトマン楽団)でxylophone(シロフォンは共鳴体のない立奏木琴)やマリンバを担当していたのはRed Norvo(レッド・ノーヴォ)で、1945年頃のビバップ時代にディジー・ガレスピーやCharlie Parker(チャーリー・パーカー)などと演奏したそうです。 この他、英国生まれのPeter Appleyard(ピーター・アップルヤード)というカナダ国籍のヴァイブ奏者は1951年にニューヨークでLionel Hampton Big Band(ライオネル・ハンプトン・ビッグバンド)を聴いて感動し、カナダでヴィブラフォン奏者となってBenny Goodman Sextet(ベニー・グッドマン六重奏)に招かれて世界中を公演したそうですが、ドラマーとしてOscar Peterson(オスカー・ピーターソン)とも演奏したそうです。 そして短命でしたが多彩なポップス歌手のBobby Darin(ボビー・ダーリン)も得意のドラムやハーモニカと共に木琴も演奏したとか。

Flying Home: Lionel Hampton Orchestra
各プレイヤーたちのソロを取り入れた”Flying Home”の長丁場の演奏は時には20分を越したそうですが、ライオネル・ハンプトンが初めて”Flying Home”を演奏したのはベニー・グッドマン・カルテットでの1939年だそうですが、曲のタイトルである”Flying Home(フライング・ホーム)”は文字通り公演先のロスアンジェルスからライオネル・ハンプトン初体験の飛行機でアトランティックに帰るということらしく、このノリノリの「フライング・ホーム」の演奏を聴いた男性客が大麻(マリファナ)の過剰摂取により飛べる!と勘違いして劇場2階のバルコニーから飛んだのだそうで、一時は再発を恐れた地元警察が演奏を禁止したという曰くつきの曲です。 良い子の皆さんは真似しないでください。

後に過激な黒人解放指導者として有名になったMalcolm X(マルコムX)がハーレムで薬の売人だった頃、ライオネル・ハンプトンも”Give Me Some Skin”なんて歌も歌っていますが、とにかくルイ・アームストロングなどの一部のミュージシャンたちも聴衆もマリファナ中毒のスウィング時代でした。 40年代のビバップ時代になるとチャーリー・パーカーのようにマリファナから静脈注射のヘロインへ、そしてコカインへと移行しました。 マルコムXの伝記映画「Malcolm X」のサウンドトラックでは同志のようなソウル歌手のSam Cooke(サム・クック)が人種差別について歌ったという”A Change is Gonna Come”の他に、デューク・エリントンやカウント・ベイシーとともにライオネル・ハンプトンの”Stardust”や”Flying Home”が使用され
ベニー・グッドマン楽団にフルタイムのメンバーとして在籍中にも単独で録音していたエネルギッシュなライオネル・ハンプトンですが、1940年には完全にベニー・グッドマンから独立して自分のバンドでR & Bとジャズの融合音楽を演奏して好評を博すようになり、40年代と50年代はライオネル・ハンプトンの黄金期といえます。
“Flying Home”はライオネル・ハンプトン自身のコンボで1940年にVictorで録音していますが、最たるは1942年にDeccaで録音したテキサス・テナーのIllinois Jacquet(イリノイ・ジャケー)をフィーチャーした”Flying Home”で、ピアニストで後のファンク・オルガンのパイオニアと呼ばれたMilt Buckner(ミルト・バックナー)がアレンジしています。

Arnett Cobb
イリノイ・ジャケーが、Cab Calloway(キャブ・キャロウェイ)と組むためにライオネル・ハンプトン楽団を去った後の1944年には”Flying Home, Number Two(Flying Home, No. 2)”を1942年から1947年まで在籍したArnett Cobb(アーネット・コブ)のテナーをフィーチャーして録音しています。
※1930年代に音楽活動を始めたテキサス出身のテナーサックス奏者のアーネット・コブはライオネル・ハンプトン楽団を退団して自己バンドを結成するも不幸にも病魔と交通事故に襲われ生涯松葉杖に頼る身となりましたが1970年代にはソロ活動を始めるに至ったそうです。
アーネット・コブの”Smooth Sailing”を収録しているアルバムはA Proper Introduction to Arnett Cobb: The Wild Man From Texas

1940年代初期のJust Jazzジャムセッションのライヴ録音で演奏した”Stardust”が私の大好きなバージョンです。 この他、この時期にはイリノイ・ジャケーやディジー・ガレスピーをはじめ、ギターのWes Montgomery(ウエス・モンゴメリー)、ベースのCharles Mingus(チャーリー・ミンガス)、トランペットのKenny Dorham(ケニー・ドーハム)やOscar Peterson(オスカー・ピーターソン)のコンボと、又短期間でしたが1950年にはR & BテナーのKing Curtis(キング・カーティス)など蒼々たるメンバーと録音しています。 当時のジャズメン恒例の欧州ツアーは1953年にClifford Brown(クリフォード・ブラウン)、Art Farmer(アート・ファーマー)やアレンジャー&トランペッターのQuincy Jones(クインシー・ジョーンズ)などを同行しています。 30年代や40年代の音楽スタイルを保持したライオネル・ハンプトンは70年代以降の音楽シーンにはあまり登場しなかったとはいえ、1991年のパリでの心臓発作まで意欲的に録音及び公演活動を続けていました。 昨今のライオネル・ハンプトンの人気曲としてはテー曲ともなった”Flying Home “の他には1947年に録音したMorgan Lewis(モーガン・ルイス)作曲の”How High the Moon(ハウ・ハイ・ザ・ムーン)”が挙げられます。

今、私が聴いているインターネットラジオで流れているのは”September In The Rain”でライオネル・ハンプトンのパリ時代1953年録音のReal Crazy→More Crazy→More And More Crazy→Completely Crazyなアルバム”Lionel Hampton’s Paris All Stars“に収録されています。 この時のメンバーはヴィブラフォンのライオネル・ハンプトン、ドラムがHey Ba Ba Re Bopを作ったCurley Hammer(カーリー・ハマー)、テナーサックスはテキサス出身のブルース・テナー奏者のClifford Scott(クリフォード・スコット)とクラリネットも吹くAlix Combelle(アリックス・コンベル)、トランペットはWalter Williams(ウォルター・ウィリアムズ)、ピアノがクラシックも作曲するClaude Bolling(クロード・ボラン)、48年~50年はギターがWes Montgomery(ウェス・モンゴメリー)でしたが、44年から80年代までハンプトン楽団でギターを担当していたBilly Mackel (ビリー・マッケル)、クラリネットがシドニー・ベシェとも頻繁に録音したマリファナ売人のMezz Mezzrow(メズ・メズロウ)、ベースはFender(フェンダー)のエレキベースを1951年にジャズに取り入れたウェス・モンゴメリーの兄であるWilliam Monk Montgomery(ウィリアム・モンク・モンゴメリー)、トロンボーンがAl Hayes (アル・ヘイズ)などなどです。

Tuxeddo Junction
Listen☆私のお気に入りのスウィングジャズのサイト”Tuxeddo Junction”ではデューク・エリントン楽団の花形アルトサックス奏者のジョニー・ホッジスがテーマ曲としていた私の大好きな”On The Sunny Side Of The Street”をライオネル・ハンプトンのヴォーカルを入れた演奏や”After You’ve Gone”がPlaylist 1で、又とろけてしまいそうな演奏のLionel Hampton Just Jazz All Starsのバージョンの”Star Dust(スターダスト)”がPlaylist 2でフルで聴ける他、定番のFlying HomeやHey Ba-Ba-Re-Bop!をはじめ、レアなLouis Armstrong Cotton Club Orchestra(ルイ・アームストロング・コットン・クラブ・オーケストラ)時代の1945年のルイ・アームストロングのヴォーカルで”Memories Of You”、Hamp’s Boogie WoogieやMidnight Sunなどベニー・グッドマン時代からカルテットやオクテットの演奏が40余曲が流れます。(リンクをクリックすると自動的に順に演奏されます)
♪ Lionel Hampton – Stardust (Hamp: The Legendary Decca Recordings)
♪ The Original StarDust – Lionel Hampton – Pasadena 1947 – YouTube

Listen to Lionel Hampton’s Grooving “Vibraphone Blues”, “Jivin’ The Vibes” and so on
ライオネル・ハンプトンのベニーグッドマン時代の1936年からLionel Hampton & His Hamptones(R&BやBoogie Woogie)、そして”Lionel Hampton & His Orchestra”時代の1951年までの演奏は必聴。 1937年のライオネル・ハンプトンのヴォーカルが聴けるVibraphone BluesやFields-mchughとハンプトンの愉快な掛け合いで作詞のDorothy Fields(ドロシー・フィールズ)と作曲のJimmy McHugh(ジミー・マクヒュ)コンビの作った名曲の”On The Sunny Side Of The Street”、1938年のJohnny Hodges(ジョニー・ホッジス)のアルトサックスが面白いDon’t Be That Way、1940年のTempo and SwingやDinah Washingtonが歌う1945年のブルースの”Blow Top Blues”などたくさんあります。
☆1937年から1938年頃にかけてのLionel Hampton & His Orchestra ではリーダーのライオネル・ハンプトンがヴァイブやピアノやドラムを担当する他ヴォーカルもたくさん手掛けていますが、メンバーにはエリントン楽団の花形アルトサックス奏者のジョニー・ホッジスやトランペット奏者のクーティ・ウィリアムス、又ベニーグッドマン楽団のドラマーだったジーン・クルーパにトランペッターだったZiggy Elman(ジギー・エルマン)、スウィングからバップに移行する時期のピアニストであったClyde Hart(クライド・ハート)はチャーリー・パーカーの初吹き込みに参加していたとされていますが、主にスタジオミュージシャンとしてRoy Eldridge(ロイ・エルドリッジ)、Billy Eckstine(ビリー・エクスタイン)、Coleman Hawkins(コールマン・ホーキンス)などたくさんのアーティストとも録音したのですが結核で亡くなったそうです。
ちなみに1940年代にジャズ歌手になったコントラルト(女性のような高音)の歌声が特徴のLittle” Jimmy Scott(ジミー・スコット)はライオネル・ハンプトンが発掘したそうです。(名前にリトルと付いているのはカルマン症候群という疾患から若い時は身長が低ったからで1014年に88歳で亡くなりました)

Lionel Hampton sings On the Sunny Side of the Street
Listen上記のTuxeddo Junctionでも聴けたライオネル・ハンプトンの”On the Sunny Side of the Street”(V-Disc 78)が聴けるwfmuラジオのプレイリストはPlaylist for Marc Grobman – November 29, 2002(Listen to this show: RealAudioをクリック、クリップ・ポジション(再生バー)を 3:48:40に移動すればすぐ聴けます。番組の最初の方では上記のTito Puente(ティト・プエンテ)のVibe Mamboが聴けます。50:43に移動)
※ちなみにThe Andrews Sisters(ザ・アンドリュース・シスターズ)やJo Stafford(ジョー・スタッフォード)など戦時中にも活躍したミュージシャンなら必ず録音したというV-Disc RecordingsのV DISCとは、1942年から1949年の第二次世界大戦時に米軍特別慰労師団が戦地の兵士慰問のため製造した12インチの78回転(30cmのSPレコード)のシリーズで、パラシュートで蓄音器と一緒に落としたそうです。 1942年当時に起きたレコーディングストライキで職にあぶれた楽士を救済する目的もあったとか。 レコード録音により生演奏の楽団があぶれたというのは、今でいうと海賊盤やコピーにより正規のCDの売れ行きが思わしくなった著作権問題にもちょっと似ているでしょうか。

Lionel hampton & His Orchestra(ライオネル・ハンプトン楽団)の演奏が、ベニーグッドマンのアルバム”The Complete Small Group Recordings”からRunnin’ WildとSweet Georgia Brown、アルバム”Yule B Swingin’ Too”から1949年から1955年までライオネル・ハンプトン楽団の専属歌手だったSonny “Blues” Parker(サニー・パーカー)が歌っているという1950年の”Boogie Woogie Santa Claus”が聴けるMySpace.com – Lionel Hampton
※クリスマスソングならライオネル・ハンプトン楽団でサニー・パーカーが歌う”Merry Christmas Baby”がルイ・アームストロングやMiles Davis(マイルス・デイヴィス)などと”Hipster’s Holiday: Vocal Jazz R & B Classics“に収録されています。

1962年頃、人気TVショーで紹介されてからアメリカではブラジル音楽のボサノヴァ旋風が吹き起こり、ジャズメンがこぞってボッサを演奏しました。 我がライオネル・ハンプトンも”Bossanova Jazz”を録音しました。 私の手持ちのLionel Hampton & His New York Octetの東芝の赤いEPレコードは裏面が”Gladys”ですがレコードの解説は高崎一郎氏です。

Founder of the Jazz Vibes: 1930-1944
ページトップの画像はライオネル・ハンプトンの1930-1944の演奏を集めたアルバムです。 なぜこの年代かというと、この時代には私が好きな曲がたくさん演奏されたからです。 ライオネル・ハンプトン楽団の代表曲であるFlying Homeはテキサス・テナーのIllinois Jacquet(イリノイ・ジャケー)のソロをフィーチャーしたバージョンと1942年から1947年まで在籍したArnett Cobb(アーネット・コブ)をフィーチャーしたFlying Home, No. 2を収録している他、ライオネル・ハンプトンの歌と演奏でベニー・グッドマンの定番曲の”Memories of You”やユニークなBoogie-Woogie(ブギウギ)の”Hamp’s Boogie Woogie”、そしてこれも私の大好きな”On the Sunny Side of the Street”など全21曲を収録しています。 ライオネル・ハンプトンの歌はMemories of You以外にもI’m Confessin’、Ring Dem Bells、Sweethearts on Paradeなどが聴けてライオネル・ハンプトンの歌が好きな私には嬉しいアルバムです。

Stardust
上記でライオネル・ハンプトンが演奏した究極の「スターダスト」について述べましたが、「スターダスト」という曲は1927年にピアニストのHoagy Carmichael(ホーギー・カーマイケル)が作曲した”Star Dust(スターダスト)”で、1929年にスローバラードとして書き直し、それにMitchell Parish(ミッチェル・パリッシュ)が歌詞を付けて以来1930年代には1931年に録音したLouis ArmstrongやGlenn Miller(グレン・ミラー)、1940年にArtie Shaw(アーティ・ショー)が録音したのをはじめ、Best of OdysseyのDizzy Gillespie(ディジー・ガレスピー)、All Star SessionsのDjango Reinhardt(ジャンゴ・ラインハルト)や1958年のStardust SessionにおけるJohn Coltrane(ジョン・コルトレーン)など、いくつものバージョンが演奏されてスタンダード曲となっています。
ルイ・アームストロング楽団が演奏するボーカルとトランペットの”スターダスト”はLouis Armstrong &His Orchestra – Star Dust – YouTube
なんと1950年代には日本のポップス・デュオのザ・ピーナッツ(The Peanuts)も歌ってヒットしましたが、天下のMisora Hibari(美空ひばり)も原語でスターダストを1965年に吹き込み絶賛されました。(16歳の時録音の”上海”と”アゲイン”などジャズとシャンソン16曲を収録したCDは美空ひばり 「ジャズ & スタンダード」)
ホーギー・カーマイケルはPaul Whiteman’s orchestra(ポール・ホワイトマン楽団)にピアニストとして在籍していた時期に専属歌手だったMildred Bailey(ミルドレッド・ベイリー)の代表曲となった1932年の”Rockin’ Chair”も作曲しています。 1945年には映画 To Have and Have Not(脱出)に出演しローレン・バコールと”How Little We Know”や”Am I Blue?”をデュエットしていますが、なんと1960年代には日本でも放映されたTV西部劇シリーズのLaramie(ララミー牧場)では1959年から1963年までJonesy(ジョンジー爺さん)を演じたのでした。

Stardust by Lionel Hampton
ライオネル・ハンプトンのスターダストを聴かずしてジャズを聴いたと言うなかれ!
オリジナルは1944年と聞いていたのですが、スウィングジャズ界のスタープレイヤーを集めたライオネル・ハンプトン・オールスターズが演奏するライブバージョンの「スターダスト」は何十年も前にラジオで聴いて以来私が大好きだった曲です。 私が録音したテープはもう処分してしまったのでCDを探していたのですが違うバージョンばかりでようやく手にすることが出来ました。 まさか目的のアルバムのタイトルが日本語の「スターダスト」とは思いもよらず英語の”Stardust”で探していたのです。
「スターダスト」の出だしに心臓が止まりそうになるライオネル・ハンプトンのヴィブラフォンの他、トロけてしまいそうなHarry James(ハリー・ジェームス)楽団にも参加したWillie Smith(ウィリー・スミス)が演奏するアルト・サクソフォン、Charlie Shavers(チャーリー・シェイヴァース)のトランペット、ピアノのTommy Todd(トミー・トッド)、テナーサックスのCorky Corcoran(コーキー・コーコラン)、ギターのBarney Kessel(バーニー・ケッセル)、ユニークなブーンブンと弓で弾きながら唸るようにハミングするシンギング・ベースのSlam Stewart(スラム・スチュアート)。。。ともう夢ごこちです。 ちなみにスラム・スチュアートはピアニストのBeryl Booker(ベリル・ブッカー)とギタリストのJohn Collins(ジョン・コリンズ)とでトリオを組んだことがありますが、 Bulee “Slim” Gaillardとボーカル・ユニット”Slim & Slam”としてチャーリー・パーカーやベン・ウエブスターなどと演奏しました。私は”Boot-Ta-La-Za”がユニークで面白いと思いますが”Flat Foot Floogie (with a Floy Floy)”がヒットしました。
1947年のジャスト・ジャズ・コンサートはPasadena Civic Auditorium(パサディナ公会堂)での録音だそうですが、One O’Clock Jump以下3曲ではライオネル・ハンプトンは演奏していません。 One O’Clock Jumpはライオネル・ハンプトン抜きの上記のメンバーですが、The Man I LoveとOh Lady Be Goodではドラムがベニー・グッドマンやHarry James(ハリー・ジェームス)などウェストコースト・ジャズの白人ドラマーのJackie Mills(ジャッキー・ミルズ)だそうです。 ”The Man I Love(私の彼氏)”などのスラム・スチュアートの弓弾きベースにハミングはライオネル・ハンプトンが佳境に入った時に発する唸り声と共に大好きです。 歌うベーシストとして有名なスラム・スチュアートのSlam Stewart Quintetが1945年にヴィブラフォンのRed Norvo(レッド・ノーヴォ)等とのセッションを録音した”Dozin'”など全25曲アルバム「Continental」や、カルテットの演奏ではErroll Garner(エロール・ガーナー)のピアノが加わった1944年の「Bowin’ Singin’ Slam」が素晴らしい。
Stardust by Lionel Hamptonスターダスト
以前は試聴が出来たこちらの国内盤CDは1990年発売がオリジナルの2003年版が入手困難となったのでリンクは2011年発売の商品です。(同じ1990年発売のCDで2004年版の紙ジャケット仕様はヴィンテージ価格!)

なぜかヴィンテージ価格ではない「スターダスト」のアナログLPレコードは「スター・ダスト [12 inch Analog]」(ASIN: B00005I3R3)
これのCDを偶然に「アンクルポップのジャズ名選」で見つけて、嬉しさのあまりそちらのアマゾン商品リンクでそく購入しました。 1年の計は元旦にありのごとく2008年は幸先が良いようです。 ライオネル・ハンプトンの演奏が1曲なのに名義がライオネル・ハンプトンというのは日本ならではの編集でしょうか。 もっともこのライブ録音がどういうわけか3レーベルに分けてリリースされたのだそうです。 出来ることなら全曲がライオネル・ハンプトンの演奏だったら最高のアルバムだったのにとも思いますが、何といっても私の欲しかったスターダストが聴けて嬉しいの一言です。 このライオネル・ハンプトン不在の曲については説明書きにあるように1948年のミュージカル映画「A Song Is Born(ヒット・パレード)」に出演の予定があったので早く帰ったのだそうです。
上記で述べたのと同じライヴ盤の”スターダスト”はフランスのMasters Of Jazzレーベルから2000年にリリースされた2枚組アルバムの「Cabu Collection」にも収録されていますが入手は困難です。
ちなみにスターダストのライブ演奏のオリジナルは”Flying Home”から”Hey! Ba-Ba-Re-Bop”など全36曲を収録した2枚組CDの「Hamp: The Legendary Decca Recordings」(ASIN: B000003N4C)に収録されています。

気になるライオネル・ハンプトンのアルバム
Hey Ba Ba Re Bop: Original Recordings 1941-1951 by Lionel Hampton
1947年頃にCharles Mingus(チャーリー・ミンガス)がベースを演奏していたLionel Hampton And His Sextet時代がありましたが、Lionel Hampton And His Orchestra時代の1945年にドラマーのCurley Hammer(カーリー・ハマー)とライオネル・ハンプトンが作ったというR & Bの名曲”Hey Ba Ba Re Bop”のアルバムで、”How High the Moon”も収録してあります。
Hey Ba Ba Re Bop: Original Recordings 1941-1951 by Lionel HamptonHey Ba Ba Re Bop
情報が見つからないと思っていたら、素晴らしいナクソス・ミュージック・ライブラリーという試聴が出来るサイトを見つけました!
「ナクソス」は素敵なサービスですが月額1,890円(税込)はちょっと無理!
アルバムは聴いてみるとジャイヴありスウィングありバップ調ありとバラエティに富んだ素晴らしい選曲でライオネル・ハンプトンのヴォーカルもHey Ba-Ba-Re-Bopの他にChord-A-Re-BopやThe Pencil Brokeなどがあります。
Lionel Hampton ” Hey-Ba-Ba-Re-Bop ” (1945) – YouTube

On the Sunny Side of the Street
邦題が「表通りで」というライオネル・ハンプトンの24曲を収録したアルバム”On the Sunny Side of the Street”には情報がないので上記のwfmuラジオのプレイリストにある私の好きなバージョンのヴォーカルかどうかが分かりません。 このCDもしくはオリジナルのレコードをお持ちの方からのご一報をお待ちします。
On the Sunny Side of the Street by Lionel Hampton表通りで

Jivin’ The Vibes
ライオネル・ハンプトンの私の好きなヴォーカル入りのOn the Sunny Side of the Streetはアルバム”Jivin’ The Vibes”にも収録されていますが、このJivin’ The Vibesというアルバムはたくさんあって混同してしまいますが私がYahoo!music LaunchCastで聴いたのは日本ではこのA Jazz Hour WithレーベルのJivin’ The Vibesのようです。
lionel_junpin.jpgJivin’ the Vibes
ライオネル・ハンプトンのOn the Sunny Side of the Streetは日本のAmazon.co.jpでは、ジャケット画像が下記の”Hey Ba Ba Re Bop”と同じで情報が無いアルバムJivin’ The Vibes (Eclipse Music Group)にも収録されています。 一方、Amazon.comの「Jivin’ the Vibes」ではレーベルはEclipse Music Groupでも画像が別で情報が無しです。 「Jivin’ the Vibes」は「A Jazz Hour With Lionel Hampton: Jivin’ the Vibes」というアルバムタイトルなどいろいろあるので購入する時は収録曲目をよく見ないといけませsん。

Lionel Hampton Lullaby of the Leaves
ライオネル・ハンプトンが演奏する”Lullaby of the Leaves”、”Volare”、”Misty”、”Blues for Hamp”、”Ain’t Misbehaving”、”Hamp, Rich, Dido Blues”を収録したコンピレーション・アルバムは「Jazz Collection」ですがiTunes Storeで入手可能です。 ライオネル・ハンプトンの他、Benny Goodman、Woody Herman(ウッディ・ハーマン)、Lois Jordanの演奏を収録したアルバムの試聴は海外のためできませんがアルバム画像や曲目情報が見られるJazz Collection – Rhapsody Online

Lionel Hampton Plays Love Songs
Stardustが上記のライヴバージョンではありませんがロマンチックな4曲入りのアルバムは現在は2007年から販売されているCD(ASIN: B000Q7ZBVK)が入手できます。オリジナルは1954年(1955年?)の録音というアルバムの収録曲目はLove for Sale、Stardust、Willow Weep for Me、I Can’t Get Started、☆試聴はhttp://www.cduniverse.com/productinfo.asp?pid=8725307&style=music

気になるライオネル・ハンプトンの映像
パーカッションも得意な”エンターテイナー”、ライオネル・ハンプトンのアクロバティックなバチ捌きをご覧下さい。
Drum Battle: Gene Krupa vs Lionel Hampton vs Chico Hamilton – YouTube
Lionel Hampton Tom Tom Solo – YouTube
Lionel Hampton – Bongo Interlude with Quicy Jones on trumpet 1950’s – YouTube

The Benny Goodman Story
ライオネル・ハンプトンの他、ジーン・クルーパやハリー・ジェームスなどが本人役で出演したValentine Davies(ヴァレンタイン・デイヴィス)監督の1955年の短篇ミュージカル映画の”The Benny Goodman Story”の詳細はテディ・ウィルソンの記事内にあります。

Lionel Hampton in “A Song Is Born”
前述のライオネル・ハンプトンが”Flying home”を演奏した1948年のHoward Hawks(ハワード・ホークス)監督のミュージカル映画”A Song Is Born(ヒット・パレード)”にはDanny Kaye(ダニー・ケイ)が主演しましたが、ミュージシャンとしてはルイ・アームストロング、ベニー・グッドマン、Charlie Barnet(チャーリー・バーネット)、Tommy Dorsey(トミー・ドーシー)といったスウィングのビッグバンド・リーダーたちや、ベニー・グッドマンのアレンジも手掛けたピアニストのMel Powell(メル・パウエル)や黒人ヴォーカル・グループのThe Golden Gate Quartette(ゴールデン・ゲイト・カルテット)などが出演しました。
Lionel Hampton in “A Song Is Born” (1958)- Trailer – YouTube

Lionel Hampton in “Rhythm and Blues Revue”
Joseph Kohn監督のR & Bのミュージカル映画にはライオネル・ハンプトンの他、カウント・ベイシー、ナット・キング・コール、キャブ・キャロウェイ、Sarah Vaughan(サラ・ヴォーン)、Delta Rhythm Boys(デルタ・リズム・ボーイズ)、Ruth Brown(ルース・ブラウン)、Big Joe Turner(ビッグ・ジョー・ターナー)などが出演しました。 Lionel Hampton and his BandのMilt Buckner(ミルト・バックナー)のソロも聴ける”Vibe Boogie”やライオネル・ハンプトンがヴァイブのバチをドラムスティックに持ち換えた”Bongo Interlude”を演奏する映像が観られます。 映画の詳細はキャブ・キャロウェイの記事内にあります。
FULL MOVIE: Lionel Hampton in “Rhythm and Blues Revue” (1955) – Archive.org

♪ Lionel Hampton – I Got Rhythm – Benny Goodmans Original Carnegie Hall Concert

ライオネル・ハンプトン スターダスト Lionel Hampton plays Stardust」への3件のフィードバック

  1. ジバゴ より:

    長大に詳細な事柄が書かれていらっしゃることに感服いたしました。
    読ませていただいてわかったのですが
    映画ベニーグッドマン物語ではライオネルハンプトンはベニーが立寄った食堂の店主役で出ていてそこでスカウトされたという設定になってましたがあれはフィクションだったみたいですね。

  2. koukinobaaba より:

    シバゴさん
    1936年頃、LAの”Paradise Cafe(パラダイス・カフェ)”というクラブで専属バンドだったライオネルハンプトンの演奏をベニー・グッドマンが見たそうですが、その時にテディとクルーパーが一緒でハンプトンとその場で演奏したとも聞きます。諸説ありで、正確な情報はどれなのか判断しかねますが、時期が1936年頃とハンプトンの演奏を聴いたグッドマンが気に入って契約したことは確かでしょう。

  3. アンクルポップ より:

    koukinobaabaさん
    小生のアンクルポップのJAZZ名選のスターダストの頁”http://upopjazz.com//stardust.html”にこの頁をリンクさせていただきました。よろしくお願いします。

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