Naomi Watts as Betty & Diane, and Laura Harring as Rita & Camilla
マルホランドドライブ (2001年)
♪ Mulholland Drive – Angelo Badalamenti – YouTube
Surrealist: David Lynch
Roger William Corman(ロジャー・コーマン)並みに低予算映画「ブルーベルベット」を監督してカルトの帝王の異名をとるDavid Lynch(デヴィッド・リンチ)の難解といわれる「マルホランドドライブ」は妖しくも気味の悪いミステリー映画です。 デヴィッド・リンチ監督といえば1986年にも恐ろしく異常で幻想的な映画「Blue Velvet(ブルーベルベット)」が有名ですが、遡ること1980年に「The Elephant Man(エレファント・マン)」を監督して一躍脚光を浴び、1992年に映画化されたTVシリーズの「Twin Peaks(ツイン・ピークス)」は1990年から1991年に放映されていました。 学生時代から感想文が苦手な私はデヴィッド・リンチ監督の趣旨である「解説は不要、映画は感じること」が甚く気に入っています。 Salvador Dalí(サルヴァドール・ダリ)の”The Persistence of Memory(記憶の固執)”を見た時だって、文字で表現できる物書きとは違い感じたことを言葉で表せない私には言葉出ません。 うっ! 時を超越した悪夢か妄想か、この映画に解説を求めてはいけません。 デヴィッド・リンチ監督の映画にしては分り易いという人あり、百回観ても分らない人あり。
1988年に「Dangerous Beauty(娼婦ベロニカ)」で上流社会のお嬢さまのジュリア・ デ・レッツェを演じたNaomi Watts(ナオミ・ワッツ)が、「マルホランド・ドライブ」では女優志願の純朴なベティ・エルムスと殺したいほどの愛憎を秘めたダイアン・セルウィンの二役を演じます。 ラテン系美人のLaura Harring(ローラ・ハリング)は記憶喪失の女優のリタとカミーラを演じています。 カミーラを殺害したダイアンを探すハリー・マックナイト刑事を演じたのは「Jackie Brown (ジャッキー・ブラウン)」で保釈金融業のマックス・チェリー役でアカデミーの助演男優賞にノミネートされたRobert Forster(ロバート・フォスター)です。 そしてなんと音楽を担当したAngelo Badalamenti(アンジェロ・バダラメンティ)が映画の始めの方に映画界のドン的なLuigi Castigliani(ルイージ・カスティリアーニ)として出演した他、スタッフ数人もエキストラ出演しているそうです。
“Mulholland Dr.” is twisty all the way down.
オープニング・クレジットでは登場人物のみで配役は知らされません。 映画の冒頭はアンジェロ・バダラメンティの”Jitterbug”にあわせて若者たちの踊るジルバで始まります。 そして、闇夜の中を一台の車が行く。 ロサンゼルス北部の山を横断する実在の道”Mulholland Dr.(マルホランド・ドライブ)”、人生を表すかのように曲がりくねった道路のはるか下方にロスアンジェルスの華やかな灯りが見える。 車に乗っているのはローラ・エレナ・ハリングが演じる黒髪美女で、なぜか二人の男に殺されそうな雰囲気。 突然車が止まる、「ここじゃないでしょ」という女。 「降りろ」と銃で脅されて車から降ろされようとしている。 そこへパーティでハイになったのかスピードを楽しむ若者たちが乗った2台の車が激突。 しかし黒髪の女だけがほぼ無傷で車から出てきてヨロヨロと下の方に見える町の灯りに向かって道路を降りていく。 さて、ここから観客を迷路に誘うストーリーが始まります。 まるで瞬きするかのようにめまぐるしく代わるシーンの連続です。
マルホランド・ドライブのあらすじ
それでは、実況中継スタート!
以下のあらすじは大いにネタバレですからこれからビデオをご覧になる方は読まない方が楽しめます。
事故現場からサンセット通りまでヘトヘトになってたどり着いた黒髪美女は、とある家に入り込む。 後ほどこれが有名女優のルースの家と判明。
Winkie’s
場面代わって、殺し屋の手下の眉毛の濃い”ダン”がWinkie’s(ウィンキーズ)というダイナーに現れて張り込み刑事らしき男にこの場所の夢を見たと話している。 その刑事を従えてダンが外に出て行き、こわごわと階段を降りてブロックの壁を曲がろうとした途端、突然異様な風体の男が顔を出す。 私も驚いたが、ダンの驚きは半端ではないらしく卒倒してしまう。 もしかして事切れたのか。 Screamin’ Jay Hawkinsl(スクリーミン・ジェイ・ホーキンス)のように異様な風体の男は果してただの浮浪者か? それとも魔術師か?それとも化け物か?
一瞬、デヴィッド・リンチ監督の映画「ブルーベルベット」に出てきたあの耳か?と思ったら老人のアップだった。 なにやら関係者らしきお偉方が映画の配役について伝達し合っている様子。 この映画はハリウッドの映画制作に関する裏話がテーマなのか。
Betty meets Rita
場面変わってナオミ・ワッツが演じる爽やかな印象の金髪女性が嬉しそうにロスアンジェルスに降り立ちタクシーに荷物を積み、前途を祝福する親戚縁者のような老夫婦と別れて走り去る。(誰?) 前述の黒髪美女が見たと同じ、映画の都であるHOLLYWOOD Sign(ハリウッドの大看板)が聳えるリー山が見える。 金髪娘はこの高級住宅地にある一件の屋敷を訪ねるが、これが前述の黒髪美女が入り込んだ家。 1948年のミュージカル映画「Easter Parade(イースター・パレード)」でFred Astaire(フレッド・アステア)の元ダンス・パートナーを演じたAnn Miller(アン・ミラー)が演じるココが応対する。(ちなみにアン・ミラーはこの3年後に肺癌で死去) 後ほど分るが金髪娘の伯母であるルースが住むアパートの管理人であるココは映画監督のアダムの母親でもあるそうだ。 ルースはハリウッド女優で女優志願のルースにとっては強力なコネとなる人物、しかしなぜかベティの伯母のルースは全くといっていいほど姿を現さない。 ルースの姪である女優志願のベティは素敵な部屋に案内されて感激至極。 あちこち見て歩くベテイはバスルームに全裸の女がいるのを見つける。(シャワーを浴びているから当然) これがあの事故の黒髪美女。 事故のせいだろうか、記憶を失った黒髪美女は部屋にあった往年のセクシー女優のRita Hayworth(リタ・ヘイワース)が演じた「Gilda(ギルダ)」の映画ポスターに目をやり咄嗟に自分をリタと名乗る。
☆ベティが映画を通してずっと着ているのは人気ファッションブランドらしいピンクのスパングル付き五分袖カーデガン、これが素敵!
場面代わって映画制作関係らしきライアン・エンターティメントの会議室、そこには既に監督やマネージャーなど4人の男たちが議論している。 封筒から取り出したのは探していた主演女優の写真らしい(ベティの?) この会議の内容は先ほどの耳のアップがあった大物らしき老人に届く。 ジャスティン・セローが演じる新進監督のアダム・ケシャーは映画界に影響を持つイタリアンマフィアらしきCastigliane(ルイジ・カスティリアーニ)兄弟に押し付けられた主演女優がカミーラという決定には反対し激怒して出ていく。 アンジェロ・バダラメンティが演じる映画界の大物、Luigi Castigliani(ルイジ・カスティリアーニ)は小指を立ててイタリアン珈琲(エスプレッソ)を飲む。 口に含んだコーヒーをナフキンに吐き出す。(サルトルの嘔吐?) げぇーっ!
なぜか、まるで悪夢のようにことが進んでしまうアダムの凶暴ともいえる八つ当たり、映画関係者の会話、Scott Coffey(スコット・コーフィー)が演じるドジな殺し屋のウィルキンスなどのエピソードを挟んで、ベティとリタの場面に移る。 「自分が誰かわからない」と泣いているリタのバッグを手がかりを求めて開けてみばなんと!ゴムバンドで止めた古紙幣がいく束と奇妙な形をした青い鍵だけ。 (古い紙幣はよく犯罪に使用される) マルホランド・ドライブを思い出したリタの記憶を確認するため事故の有無を警察に電話してみるベティ。
先ほどの殺し屋ウィルキンスはウィンキーズの側のジェネクリンの清掃トラックにノーブラの売春婦と白髪の男と共に乗リ込む。
Diane at Winkie’s reminds Rita of something about her name.
ベテイとリタは外で警察に電話した後、サンセット通りの喫茶店で新聞を見てみるが手がかりなし。 なんとそのダイナーはウィンキーズ、ウエイトレスの名札にダイアンと書かれているのを見てリタは何かを思い出す。 自分の名前は”ダイアン・セルウィン”なのかも? 電話帳で調べるとあった!たった1件。 さっそく電話してみると留守電だったがリタはその声に聞き覚えがあると言う。 もしかしてリタのルームメイトかも。
場面代わって今度は監督のアダムがプール付きの豪邸に帰宅するが、庭にはなぜか殺し屋のウィルキンスが乗っていたジェネクリンの清掃トラックが停車している。 アダムは妻の浮気現場を目撃して逆上し、宝石箱にピンクのペンキを流し込むという暴挙に出る。 タイムラグ。 このシーンでアダムの妻の不倫相手のGene Clean(ジーン)は、今や超アイドル歌手のMiley Ray Cyrus(マイリー・サイラス)の父親で1992年の”Achy Breaky Heart””がヒットしたカントリー歌手のBilly Ray Cyrus(ビリー・レイ・サイラス)が演じています。
バイオレンスのシーンにはブルースが使用されていて、ここで流れる曲がSonny Boy Williamson(サニー・ボーイ・ウィリアムソン)の”Bring It On Home”
なぜかマフィアに命を狙われて身を隠し自分が破産したことを知るアダムのシーンから一転、ベテイとリタがいる部屋に隣人の妙ちくりんなルイーズが現れて予言のような言葉を残していく。 「誰かがトラブルに巻き込まれている」
場面変わって、妻の宝石箱に流し込んだピンクのペンキが付着したままの衣服でアダムが車で夜道を走って、Georgia O’Keeffe(ジョージア・オキーフ)の絵にあるみたいな角だか動物の骸骨が掛けられた牧場の入り口に到着。 そこへ連絡のあった無表情なカウボーイが登場。 映画のオーディションでは「これだ!」とカミーラに決定しろと脅したようだ。(マフィアの仲間なのか?) メキシコを舞台にした昔の西部劇(例として「シェラマドレの決斗」)に出てくる動物の頭骸骨や角が飾られた門ではロープで吊るされるシーンがあった。
Betty managed at her casting auditions.
HOLLYWOOD(ハリウッド)の丘のショットに続き、オーディションの準備に余念のないベティ。 リタを相手にナイフを突きつけて「殺すわよ」と物騒なセリフが意味ありげ。 スタジオでのリハーサルでは熱演してまるで夢のような絶賛を浴びた後、Elizabeth Lackey(エリザベス・ラッケイ)が演じるキャロルがConnie Stevens(コニー・スティーヴンス)の”Sixteen Reasons(16 Reasons / シックスティーン・リーズン)”を歌っているスタジオに連れていかれる。 そこにはアダムがいた。 一瞬見つめあう二人。(気があるのか?) 次のオーディションはMelissa George(メリッサ・ジョージ)が演じるカミーラ・ローズ(リタ)、Linda Scott(リンダ・スコット)のヒット曲の”I’ve Told Every Little Star”を歌う。 言われたとおりに、「これだ!」と決定するアダム。 このシーンでは二人の髪の色が逆になり私には何が何やら全く訳がわからなくなる。(逆ならなんとなく関連付けられるが) このシーンでピンクのドレスを着たカミーラを演じたメリッサ・ジョージは2011年に「スティーヴン・キング 骨の袋」でピアース・ブロスナンと共演します。
Diane versus Camilla
♪ Diane – Sixteen Reasons – YouTube
Camilla – I’ve Told Every Little Star – YouTube
スタッフの誘いを断ってスタジオを後にしたベテイを待っていたのはタクシーに乗ったリタ。 二人で先ほどの電話で調べたダイアン・セルウィンの家を訪ねることになっていたのだ。 12号室に向かう。躊躇するリタを無視してベテイはドアを叩くと女が出てきてダイアンは17号室だと告げる。 なぜか部屋を取り替えたらしい。 ノックしても応答がないので窓から強引に侵入するダイアンをリタが手伝う。 とてつもなく臭い! 二人で奥の部屋に入るとベッドの上にはこの部屋の主であろう、ダイアン・セルウィンと思しき女の埃塊のような死体。
家に戻ってあまりのショックのため半狂乱になったリタは髪をバッサバッサと切り始める。 リタの心中を察したベテイが変身を手伝ってブロンドショートのリタが誕生。 このあとさらに愛が深まったベティとリタ。 これで二人とも同じブロンドになった。
Magic Theatre: the Club Silencio
ここからは「なぜか、なぜか」ばかり。 金髪になったリタの口から「Sil’encio」とスペイン語が発せられ、真夜中なのに「いますぐある所へ一緒に行って!」とベテイにせがむ。 タクシーを拾って町を走り、人っ子一人いないような侘しい裏通りにある古びた映画館のようなマジック劇場”Silencio(シレンシオ)”へ入っていく。 それを追うカメラはハンディなのか、なぜかひどい手ぶれ。 黄泉の国のように現実には有り得ない劇場ではなぜかスペイン語混じりで魔術師がイリュージョンを見せている。 「Silencio(静粛に)!」 雷! トランペッターが出てくる。(2001年12月に74歳で亡くなったConte Candoli(コンテ・カンドリ)が演ずるConti Condoli) ベテイが震えだす。 煙とともに男が消えた。 赤いタキシードを着た司会者らしき白ヒゲの男(アダムがマフィアから逃れて潜んでいたホテルの管理人みたい)が登場してスペイン語で何か言ってひっこむと、Rebekah Del Rio(レベッカ・デル・リオ)が演じる女性歌手が舞台に現れ、先に知らされたように伴奏もなく、マイクに向かい泣きながら”Llorando(Crying)”をスペイン語で歌う。(この曲はRoy Orbison(ロイ・オービソン)とJoe Melson(ジョー・メルソン)の作品) 感激したベティもリタも涙にむせぶ。 歌い終わった歌手は気絶する。 「全てはイリュージョンだ!」 ベテイが流れ出る涙を拭こうとバッグを開けると、マジック!なんと三角の鍵穴が付いた青い箱が入っている。 思い出した二人は家に持ち帰りリタのバッグをしまった帽子の箱を取り出す。 しかし、リタが鍵の入っているバッグを開けようとすると、あれっ!ベテイの姿が消えた。 リタ一人で鍵を三角の鍵穴に差し込んでみる。 こわごわ鍵を回して蓋をあけると、あっと驚く玉手箱! リタは暗闇に吸い込まれたかのように消えてしまう。 残るはベッドの下に転がった青い箱。
ここまでが妄想(?)、これからが本番、ダイアン・セルウィンの死体があったアパートにカーボーイやってくるが「こんちは、お嬢さん、起きる時間だよ」と何も変わったことがないように声をかけて帰る。 場面は変わるが同じシチュエーション。 ダイアンが起きたのか。 誰かがドアを叩く。 余りしつっこいので女(ダイアン)が出ていきドアを開けると、部屋を交代した女が荷物を取りに来たのだ。 まだ忘れ物がありはしないかと見渡す女。 テーブルの上にはリタのバッグに入っていたのと同じ青い鍵。
Love and Betrayal between Diane and Camilla
場面代わって、ダイアンの死体のあったと同じ部屋。 窓から外を覗いていたダイアン・セルウィン(ベテイ)が振り返って「ああ、カミーラ、帰ってきたのね」と嬉しそうに言うと、そこにはリタが、いやカミーラ・ローズか。 それが幻覚と分かりがっかりしてコーヒーを入れるダイアン。 コーヒーを持ってソファーに行くと、なんと!ダイアンが手にしていたコーヒーは酒に変わりそこに全裸のリタ(いや、カミーラ)が横たわっている。 ダイアンの求愛を邪険に拒絶する恋人が出来たリタ。 空しくも自らを慰めるダイアン。 愛は憎しみへと変わる。
アダムとリタが車の中でキスしているのを涙ながらに見つめるダイアン・セルウィン(ベテイ)から、アパートからカミーラ・ローズを締め出すダイアン・セルウィンへ、そして電話をとるドレスアップしたダイアンへと場面は変わる。 マルホランド・ドライブへ向かうダイアン。 「マルホランド・ドライブ」の冒頭のシーンと同じ夜道を走る車。 だが、後部座席に乗っているのはリタではなくダイアン。 突然車が止まる、「ここじゃないでしょ」というダイアン。 そこにカミーラ・ローズが現れて、「ついていらっっしゃい」 嬉しそうにカミーラに手を引かれてついて行くダイアン。 映画の都、ハリウッドか、アダムが飲み物を手にやって来る。 アダムの母のココの姿も見える。 冒頭のシーンではジルバ大会で優勝したダイアンが、ここでは”ジルバコンテストに出たかったわ”とか言ってる。 黒髪のカミーラとオーディションで”I’ve Told Every Little Star”を歌った金髪のカミーラとのキスを見て嫉妬して涙するダイアン。(カミーラとカミーラ?) 不倫妻と別れたらしいアダムとカミーラの二人が「私たちは結婚します」と言いかけた時、食器の割れるような音で場面展開。
ウインキーズで殺し屋ウィルキンスとみすぼらしいなりのダイアンが会っている。 男にカミーラの写真を見せて「これが彼女よ」 そしてバッグの札束を見せる。 男が青い鍵を見せる。 そこにいたのは冒頭で気絶した眉毛男のダン。 ウエイトレスの名札は”ベティ” ダンが気絶した壁の向こうが写されるとそこには再び青い箱をいぶかしそうに手で弄んでいる浮浪者の姿が。 浮浪者は箱を袋にしまう。 幻想で老夫婦言い争っているシーン。
アパートでは精神に異常をきたしたようなダイアンが恐怖におののいたように青い鍵を凝視している。 そこへ突然ドアをノックする音、ノックが続くなか、ドアの下の隙間から小人のような幻想の老夫婦が入ってくる。 不気味な嬌声だか笑い声だかが入り混じって聞える。 老夫婦がダイアンに襲い掛かる。 悲鳴をあげるダイアン。 錯乱したダイアンは必死で引き出しから銃を取り出して夢中で自分を撃ったのか、青い煙が立ち込めて、ベテイとリタの幻影。
シレンシオ劇場のバルコニーでは夢見ているようでもある呆然とした顔付きの青い髪のお洒落狂女(Cori Glazer?)がただ独り。 「Silencio(静粛に)!」
謎は解けるどころか深い深い闇の中へ。 一緒に行かれずに取り残された私。 青い箱と青い鍵の謎さえ解ければ。 いや、シレンシオ!
四角い箱といえば解説書を見ながら夜っぴいてルービックキューブを完成させた思い出が蘇りました。 あの時はスッキリしたぜぃ。
エンディングロール、ここでやっと配役が明らかにされる。 エンディングのクレジットで流れたようにこの「マルホランド・ドライブ」は2001年に28歳にして自動車事故で亡くなったデヴィッド・リンチ監督の助手を務めていたJennifer Syme(ジェニファー・サイム)に捧げられているそうです。 中国系ハワイ人の血をひくカナダの俳優であるKeanu Reeves(キアヌ・リーヴス)の恋人だった死亡事故当時は1997年にジェニファー・サイムも麻薬中毒の女として出演していたデヴィッド・リンチ監督の「Lost Highway(ロスト・ハイウェイ)」でカメオでしたがポルノ男優として俳優デビューしたパンクのMarilyn Manson(マリリン・マンソン)とも交友があったとか。(ちなみに アンジェロ・バダラメンティ、マリリン・マンソン、デヴィッド・ボウイーなどのミステリアスなサントラ「ロスト・ハイウェイ」が評判、バダラメンティ作曲の”Red Bats With Teeth”がクール) この事故で最愛のジェニファーがキアヌの子供を死産したこともありその後キアヌは結婚に踏み切れないのだとか。(独身を通し続けるキアヌは後に「愛する人を失う時、人間は孤独になる」と言ったとか、まさに「ジョン・ウイック」) この他にも映画「ロスト・ハイウェイ」で白塗りのミステリー・マンを演じたRobert Blakeロバート・ブレイク)がこの後に起きた妻殺しの容疑者とされたことにより俳優生命は絶たれたそうです。 ブレイクは1967年の「冷血」で殺人犯のペリースミスを演じ1975年から始まったテレビドラマ「刑事バレッタ」ではトニー・バレッタ役で活躍していました。
Mulholland Drive – Trailer – YouTube
「マルホランド・ドライブ」の写真が見られるMulholland Drive Photos – FILM.TV.IT
ローラ・ハリングの写真が見られるLaura Elena Harring Official Website
Mulholland Dr. DVD
マルホランド・ドライブ
Mulholland Drive ( Soundtrack ) Import
「マルホランド・ドライブ」の音楽はアンジェロ・バダラメンティですが、サウンドトラックには監督のデヴィッド・リンチとJohn Neff(ジョン・ネフ)が書いて自らボーカルも担当した実験的なアルバム「Blue Bob」からMountains Falling、Go Get Some、Pretty 50’sが使用されています。 「ブルーベルベット」など多くのデヴィッド・リンチ監督作品に音楽を提供しているアンジェロ・バダラメンティですが1989年には「National Lampoon’s Christmas Vacation(ナショナル・ランプーン/クリスマス・バケーション)というコメディ映画でも音楽を担当しました。
上記の国内盤のサントラは試聴できます。
♪ サウンドトラックの試聴はMulholland Drive: Original Motion Picture Score – CD Universe
映画のオーディション場面で使用されたコニー・スティーヴンスの”Sixteen Reasons”は版権問題のせいかサウンドトラックには収録されませんでしたが、新人オーディション・シーンでのブロンド・ガールの吹き替えとして1960年代のポップス歌手のLinda Scott(リンダ・スコット)のミリオンセラーである”星に語れば(I’ve Told Every Little Star)”は収録されています。
他の曲ではSonny Boy Williamson(サニー・ボーイ・ウィリアムソン)の”Bring It On Home”、Rebekah Del Rio(レベッカ・デル・リオ)の”Crying(クライング)”、そしてオルガン奏者のMilt Buckner(ミルト・ バックナー)が演奏するクールな”The Beast”など。
♪ Milt Buckner – The Beast – YouTube
Rebekah Del Rio – Llorando (Crying) – YouTube
Angelo Badalamenti/City of Prague Philharmonic – A Cidade dos Sonhos (Mulholland Drive)
Rabbits (2002)
「マルホランド・ドライブ」の翌年、2002年にデビッド・リンチは9シーンに分割された50分の実験的ショート・フィルムを監督しています。 うさぎが登場する喜劇的ファンタジー映画の出演者は「マルホランド・ドライブ」の同窓会のように、殺し屋を演じたスコット・コーフィー、ナオミ・ワッツ、ローラ・ハリング、レベッカ・デル・リオの他、音楽はもちろんアンジェロ・バダラメンティです。
Inland Empire
それから5年後、3人のウサギ人間たち(含むローラ・ハリング)が登場する2006年のミステリー映画「インランド・エンパイア」があり、 Jeremy Irons(ジェレミー・アイアンズ)と、「ブルーベルベット」や「Wild at Heart(ワイルド・アット・ハート)」にも出演したLaura Dern(ローラ・ダーン)とが出演しました。 選曲には定評のあるデビッド・リンチのサウンドトラックは監督が歌う”Ghost Of Love“をはじめ今回も素晴らしく、ポーランドの作曲家であるKrzysztof Penderecki(クシシュトフ・ペンデレツキ)の”Als Jakob Erwachte(The Awakening of Jakob/ヤコブ目覚めし時)”やDave Brubeck Quartet(デイヴ・ブルーベック・カルテット)の”Three To Get Ready”の他、Etta James(エタ・ジェームス)の”At Last”、Little Eva(リトル・エヴァ)の”The Loco-Motion”、Nina Simone(ニーナ・シモン)の”Sinner Man”などが使用されました。 サウンドトラックに定評があり、元々音響に興味がありギターも演奏するデビッド・リンチ監督は2011年にミステリアスなカバー画像のソロ・アルバム「Crazy Clown Time」(ASIN: B005N0C0C8)をリリースします。
The director turned singer-song writer David Lynch released 1st single “Good Day Today”
2005年には俳優として「Midnight Movies: From the Margin to the Mainstream(ミッドナイトムービー)」ではチリの異色監督として有名なAlejandro Jodorowsky(アレハンドロ・ホドロフスキー)と共演したデビッド・リンチですが、ついにミュージシャンに転向し、イギリスのインディ・レーベル”Sunday Best”から2011年1月に最初のエレクトロニック・ポップスのシングルをリリースするそうです。(iTunesで購入可)
♪ David Lynch – Good Day Today – YouTube
Naomi Watts in Funny Games U.S.
「マルホランド」の後の2002年には日本でヒットしたホラー映画「リング」をリメイクした「The Ring(リング)」で謎を解明しようとする新聞記者を演じたナオミ・ワッツは事故死した夫の心臓を移植した男を愛し夫を殺したのに無実となった男に復習する女性を演じ一度は死んだ3人が絡む2003年の「21 Grams(21グラム)」や、ゴリラに惚れられる美女を演じた2005年の「King Kong(キング・コング)」の他、2007年の不条理暴力映画「Funny Games U.S.(ファニーゲーム U.S.A.)」に出演しますが、1997年の「Funny Games(ファニーゲーム)」を監督したドイツのMichael Haneke(ミヒャエル・ハネケ)が自らリメイクした作品だそうです。 ごく普通の家族が突然暴力に襲われるという問題となった不条理映画だそうで一瞬1973年のStanley Kubrick(スタンリー・キューブリック)が監督した暴力SF映画の「A Clockwork Orange(時計じかけのオレンジ)」の冒頭シーンが脳裏を横切りました。(卵は窓越しに渡すべし) ナオミ・ワッツの不甲斐ない夫役は「Liar (Deceiver)(ライアー)」に主演したTim Roth(ティム・ロス)が演じます。
ナオミ・ワッツは2009年には同じくミステリー映画で、「Lola rennt(ラン・ローラ・ラン)」のTom Tykwer(トム・ティクヴァ)が監督して「Closer(クローサー)」のClive Owen(クライヴ・オーウェン)が銀行の不正を調査するインターポールの捜査官役で出演する「The International(ザ・バンク 堕ちた巨像)」や、新しくは映画そのものよりもDaniel Craig(ダニエル・クレイグ)と、Rachel Weisz(レイチェル・ワイズ)が共演して結婚に至ったことが話題の2011年のサイコスリラー映画「Dream House(ドリームハウス)」に出演します。(間違えられて一家惨殺されるなんてギャーッ!) いつも体当たり演技で注目で2012年にもスマトラ沖地震の大津波をテーマにしたスペイン映画「Lo imposible(インポッシブル)」で2013年にはダイアナ元皇太子妃の悲劇の二年間を映像化したイギリス映画「Diana(ダイアナ)」で美しいダイアナ妃を演じます。
Hot ‘n CoolのHank CrawfordにコメントしようとしたらPasswordがないとダメとのことで、よくわかりませんのでこちらに書きます。(失礼!)
Hankはレイチャールス時代は、Bennie Crawfordという名前でバリトンサックスを吹いていました。
AtlamticのLPは勿論どれも好きです変わったところでは、オルガンのShirley Scottがリーダーでゲストのサックス陣が、King Curtis, David Newman, Hank Crawford という夢の共演盤もあります。
70年代には、CTI系のKuduというレーベルに移籍し、ここでも沢山のLPがあります。中でも、The Christmas Song や Winter Wonderland 等が入っているLPは最高ですよ。Hankの歌心、泣き節が豪華なオーケストラをバックに堪能できます。
80年代はJimmy McGriffとの共演が多く、このペアで来日公演(Blue Note東京)をしました。
このとき、Hankとそっくり同じ音色、フレーズで吹く日本人プレーヤーが現れて、アルトバトル!をしていましたが、その人の名前が分かりません。今でもどこかで演奏していれば是非聞きに行きたいですが、、、
Hot ‘n Coolでのパスワードとは自分が書いたコメントを後で自分が削除できるためのものですから、自分が覚えていられればどんなパスワードでもよいのです。個人情報を書き込んだ方が後で削除したりという時に便利です。
勝手ですが、こちらに頂いたコメントをコピーしてHot ‘n CoolのHank Crawfordのコメント欄に書き込んでおきますので後で確認して下さい。 ありがとうございました!
Hank Crawfordのアルバム「We Got a Good Thing Going」をチェックしてみます。
共演したHank Crawfordの音にそっくりな日本のアルトプレーヤーが阿部薫なんてことはないし、Maltaなら覚えているでしょうし。いったい誰なんでしょうね。
この作品は大好きです。って言ってもかなり忘れていますね。
リンチが見る者に与えてくれる自由・・「わかること」なんて意味ないよ・・みたいな在り方が好きですね。
もう一度見たくなりました~~
anupamさんのおっしゃる「リンチ監督が観る者に与えてくれる自由」とは映画を観る目的は分ることではなく自由に感じること、なんでしょうがね。悟りの境地になんて至るはずなんてないでしょうがね。 ス、スッキリしたい!