ウディ・ハーマン Woody Herman

The Singing Clarinetist: Woody Herman
ミルウォーキー出身の白人ジャズマンであるウディ・ハーマン(ウッディ・ハーマン)は、スイング(スウィング)時代の1930年代からビッグバンドを率いてバンド・リーダーとしてスウィングジャズ界で活躍してきたHarry James(ハリー・ジェームス)と同じ時期に活躍し、初期には偉大なるデューク・エリントンよりも人気があったというミュージシャンでした。 40年代まではまるで映画俳優のような美男子だったウッディ・ハーマンが使用した楽器は主にクラリネットでしたが注目すべきは”ウッディ・ハーマン歌う”ということです。 このページトップにリンクがある”Blues in the Night(夜のブルース)”もそうですが、私が最初にウディ・ハーマンに注目したのもスイング時代の愉快なボーカルだったのです。 1940年ちょっと前頃には歌うと声が裏返るようなコミカルな歌唱法のウッディ・ハーマンの歌は聞いていると浮かれ出したくなります。 1940年代から1950年代にはビッグバンドとしてスウィングジャズを演奏して人気を誇っていたウッディ・ハーマンでしたが、その当時でも常に新しいものに挑戦して時代の波に乗ってきました。 多くのスイングバンドが大所帯ゆえの経営困難と音楽の流れの変化にその時代で終わっているのでウディ・ハーマンも同様と思いきや、おっとどっこい、ウッディ・ハーマン楽団はブルースからバップ調、ウエストコースト風のサックスセッションで見事に乗り切り、1960年代後期からはエレキサウンドを取り入れたロックビートにも挑戦し、その後はモダン・ビッグ・バンドとしてフュージョン(クロスオーバー)までを演奏したという戦前、戦中、戦後の時代を通して精力的に活動したご長寿バンドリーダーだったのです。

The Band That Plays The Blues: Woody Herman & His Orchestra aka Herman Herd
十代の頃より歌やサックス奏者としてショーに出演していたウッディ・ハーマンが30年代に入るちょっと前にボーカル兼テナーサックス奏者としてカリフォルニアのTom Gerun & His Orchestraに参加し、Smith Ballew(スミス・バリュー)と共に初吹き込みしたのが”Lonesome Me”と”My Heart’s At Ease”というボーカル入りの曲だったそうです。 その後にボーカルとして参加したIsham Jones(アイシャム・ジョーンズ)のバンドでウッディ・ハーマンはリーダーを取って代わり、1944年から1946年には白人スウィングバンドからDuke Ellington(デューク・エリントン)やCount Basie(カウント・ベイシー)などの黒人アーティストの影響を受けた新しいサウンドのウッディ・ハーマン楽団を結成して”First Herd”時代に突入します。 歌の方も美しい声の白人クルーナーからちょっとしゃがれたブルース調に声がわり。 「白人がブルースを演奏するバンド」、”First Herd”は1945年(1944)から1946年にかけて活動しましたがハーマンの家庭問題により解散しました。(いったい何?) ”First Herd(ファーストハード)”の演奏メンバーにはトランペッターでは1946年のラスト・アルバム「Woodchopper’s Holiday」(ASIN: B000050UMP)を残して麻薬のため21歳tという若さで亡くなったSaul “Sonny” Berman(ソニー・バーマン)やPete Candoli(ピート・カンドリ)といったバップ・トランペッター、ドラマーのDave Tough(デイヴ・タフ)の他にFlip Phillips(フリップ・フィリップス)、Billy Bauer(ビリー・バウアー)、Chubby Jackson(チャビー・ジャクソン)、Ralph Burns(ラルフ・バーンズ)などがいたそうです。 解散後ほどなく結成したのが”The Second Herd’(セカンドハード)”と呼ばれるウッディ・ハーマン楽団で1947年から1949年まで活動し、演奏メンバーには、麻薬克服の次に脊椎ガンを患い一時期は車椅子で演奏していたビバップのバリトンサックス奏者のSerge Chaloff(セルジュ・シャロフ又はサージ・チャロフ)やHerbie Steward(ハービィ・スチュアード)やトロンボーンのBill Harris(ビル・ハリス)と共にサックス・セクションの四人組み、マッチョ・サウンドの”The Four Brothers(フォア・ブラザース)”でソロをとっていたテナーサックス担当にはStan Getz(スタン・ゲッツ)やZoot Sims(ズート・シムズ)がいました。(ちなみにウッディ・ハーマン楽団のスタンダード曲である”Four Brothers”はJimmy Giuffreが1947年に作曲) その後は同じくテナーのAl Cohn(アル・コーン)、John LaPorta(ジョン・ラポルタ)、アルトにSam Markowitz(サム・マーコウィッツ)、ヴィブラフォンがMargie Hyams(マージー・ハイアムズ)などがおり、1949年にテナーサックス奏者のGene Ammons(ジーン・アモンズ)がソロをとったことがあったそうです。 この時代に録音した3テナー+1トロンボーンをフィーチャーしたアルバムの「Four Brothers 1945-1947」が「The Goof and I’」ともに大ヒットしたそうです。
Woody Herman and His Orchestra(ウッディ・ハーマン楽団)の”First Herd”は1947年にArthur Lubin(アーサー・ルービン)監督の「New Orleans」に出演して”Do You Know What It Means to Miss New Orleans”など音楽も手掛けました。 クラリネット奏者のBarney Bigard(バーニー・ビガード)も本人役で出演し、Shelley Winters(シェリー・ウィンタース)がカメオ出演する他、Sammy Davis Jr.(サミー・デイヴィス・ジュニア)やEthel Waters(エセル・ウォーターズ)もチラリと登場します。 この後の1953年に再度結成した楽団がThird Herd (サード・ハード)で1962年以降のウッディ・ハーマン楽団をFourth Herd (フォース・ハード)と呼ぶのだそうです。

ウッディ・ハーマンはクラリネット演奏やボーカルの他に作曲も手掛け、有名な”Apple Honey”や”At the Woodchoppers’ Ball”の他、”Blues on Parade”、”Goosey Gander”、”Northwest Passage”、”Music by the Moon”、”I Remember Duke”、”Misty Morning”、”Shanghai Lily”などもウッディ・ハーマンの作品だと云われていますが楽団のテーマ曲だったという”Blue Flame”、そして”River Bed Blues”、”Blowin’ Up a Storm”、”A Kiss Goodnight”、”Your Father’s Moustache”などは他のメンバーとの共同作品だそうです。 ”At the Woodchopper’s Ball”はを収録したCDに30年代からRecording Ban(録音禁止令)前の1942年までの録音を集めたボックスセットの「 At the Woodchoppers Ball」(ASIN: B0027LZ4A6)があります。 Four Brothers時代にはDon Lamond(ドン・ラモンド)がドラムを担当していたウッディ・ハーマン楽団の”First Herd”と”Second Herds”には作曲及び編曲者として名高いトランペット奏者のShorty Rodgers(ショーティ・ロジャース)が在籍しており、”Second Herds”ではテナーサックス奏者のStan Getz(スタン・ゲッツ)がソロをとっていました。
クセなんでしょうか、悪戯っぽく左肩を上げてクラリネットを吹き、コミカルに歌うウッディ・ハーマンの映像をご覧下さい。 Kick!
Woody Herman’s Second Herds – “Caledonia(Caldonia)” and “Northwest Passage” – YouTube
Woody Hermans First Herd with Frances Wayne – It Must Be Jelly (1944)- YouTube

Woodchopper’s Ball by Woody Herman and his Orchestra (1939) – YouTube
Woody Herman and his Orchestra with Stan Getz, Shorty Rogers、Al Cohn, and Zoot Sims – Early Autumn from “The Second Herd” (1948) – YouTube
Woody Herman and his Swingin’ Herd with Billy Hunt – Days of Wine and Roses (1964) – YouTube

The Woody Herman Story
ページトップの画像はウッディ・ハーマン楽団の1939年から1949年の録音を集めて2001年にリリースされたベスト盤4枚組アルバムです。
“I Almost Lost My Mind”は入っていませんが、ウッディ・ハーマンの定番曲のAt the Woodchopper’s Ball、Blue Flame、Apple Honey、スタン・ゲッツのヒット曲のEarly Autumnなどをはじめ、ブルージーなCasbah Blues、Blue Prelude、Do Nothin’ Till You Hear from Meやカウント・ベイシーのBasie’s Basementなどのインスト曲までスウィンギーやジャージーからラテン風まで全91曲を収録しています。
アルバムの「At the Woodchopper’s Ball」にはボーカルとしてBing Crosby(ビング・クロスビー)や女性ボーカリストのMuriel Lane(ミュリエル・レーン)、トランペッターでもあるSteady Nelson(ステディ・ネルソン)なども参加していたので全部のボーカルがウッディ・ハーマンではありません。 ウッディ・ハーマンのコミカルなボーカルとして私は”Who Dat Up Dere?”や”Blues in the Night”などが好きですが、”I Almost Lost My Mind”が入っていると良かったと思っています。
2001年の「Pearl Harbor(パール・ハーバー)」はHans Zimmer(ハンス・ジマー)の音楽ですが、サウンドトラックにHarold Arlen(ハロルド・アレン)とJohnny Mercer(ジョニー・マーサー)作でウッディ・ハーマンの”Blues in the Night (My Mama Done Tol Me)”が収録されています。
アルバム「The Woody Herman Story」の女性ボーカルで、Big Wig in the Wigwam、Irresistible You、Happiness Is a Thing Called Joe、Gee, It’s Good to Hold You、Welcome to My Dream、Romance in the Darkなどを歌っているのは1939年にMary Ann McCall(メアリー・アン・マッコール)やThe Andrews Sisters(アンドリュース・シスターズ)などとウッディ・ハーマンの「Woody Herman & His Orchestra – 1939」に収録されているConnee Boswell(コニー・ボスウェル)だそうです。 ちなみに”Happiness Is a Thing Called Joe”は1938年の「オズの魔法使」で有名な”虹の彼方に”で知られるにHarold Arlen(ハロルド·アーレン)が1943年のミュージカル「Cabin in the Sky」のために書いた曲で1933年の”Stormy Weather”同様にエセル・ウォーターズが吹き込みました。 ウッディ・ハーマンは1948年のアルバム「Blowin’ Up a Storm」にFrances Wayne(フランシス・ウェイン)のボーカル(1946年)で収録しています。
「Four Brothers」に収録されたP. S. I Love You、I Got It Bad (And That Ain’t Good)、Detour Ahead、Jamaica Rhumba、More Than You Knowを歌ったのはCharlie Barnet(チャーリー・バーネット)楽団から移籍してきてウッディ・ハーマン楽団のトランペッターでアレンジャーのNeal Hefti(ニール・ヘフティ)と結婚したフランシス・ウェインです。
4枚組の「The Woody Herman Story」の試聴はWoody Herman Story (Mini Lp Sleeve) – AllMusic.com
※ウッディ・ハーマンが演奏する”Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!”はアルバム「Blowin’ Up A Storm: The Columbia Years 1945-1947」に収録されています。
”Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!”が収録されているアルバム「Blowin’ Up A Storm」の試聴はBlowin’ Up A Storm – Let It Snow! – Amazon.co.jp

Who Dat Up Dere?
作詞家でソングライターでボードビルの台本も手掛けたBob Russell(ボブ・ラッセル)とユダヤ系アメリカ人のWalter Kent(ウィルター・ケント)が作った”Who Dat Up Dere”という曲はウッディ・ハーマンが1943年に78rpmレコードのA面として吹き込んで以来、ウッディ・ハーマンボーカルの代表曲となっていますが、現在はCD化された「Golden Greats」(ASIN: B000068CUH)にも収録されています。
「Golden Greats」の試聴はGolden Greats – Let It Snow! – AllMusic.com
Listen to “Who Dat Up Dere?”
Woody Herman and his orchestra – Who Dat Up Dere – Archive.org
この”Who Dat Up Dere”はページトップのアルバム「The Woody Herman Story」にも収録されていますが、1994年にJim Carrey( ジム・キャリー)が主演した映画The Mask(マスク)に出演して”Hey, Pachuco”やCab Calloway(キャブ・キャロウェイ)の”Hi De Ho”を歌ったネオスイング・バンドのRoyal Crown Revue(ロイヤル・クラウン・リビュー)がDuke Ellington(デューク・エリントン)の”The Mooche”などを収録したアルバムの「Caught in the Act」で”Who Dat?”としてウッディ・ハーマンそっくりに歌っています。
※ちなみに1999年にリリースされたウッディ・ハーマンの「Woody Herman: Who Dat Up Dere?」(ASIN: B00000K498)というアルバムもありますが入手不可です。

Happiness Is a Thing Called Joe
こちらも上記のアルバム「The Woody Herman Story」にも収録されている私の好きなドラマティックな曲の”Happiness Is a Thing Called Joe”で、”The Songs That Went To War”の「V-Disc – DISC 1」や「V-Disc Years 1 & 2: 1944-46」(ASIN: B000007S5Y)にも収録されていますが、ウッディ・ハーマンは歌っておらず白人女性ボーカリストのフランシス・ウェインのバージョンです。  “Happiness Is a Thing Called Joe”は1940年の「Cabin in the Sky」というブロードウエイ・ミュージカルのためにHarold Arlen(ハロルド・アレン)が作曲しYip Harburg(イップ・ハーバーグ)が作詞した曲で酒場の喧嘩がもとで死んでいくジョーに悼んで歌った切ない曲です。 1943年の「Cabin in the Sky」ではEthel Waters(エセル・ウォーターズ)がタイトル曲を歌っていますが、Lena Horne(リナ・ホーン又はレナ・ホーン)、Louis Armstrong(ルイ・アームストロング)、デューク・エリントン楽団などオール黒人キャストでVincente Minnelli(ヴィンセント・ミネリ)監督により映画化されました。
”Happiness Is a Thing Called Joe”の試聴はThe V-Disc Recordings – AllMusic.com

Four Brothers 1945-1947
ウッディ・ハーマン楽団の代表的な全25曲を集めて2009年に発売されたベスト盤です。
Four BrothersFour Brothers 1945-1947
1945-1947年に録音されたアルバム「Four Brothers」の演奏メンバーはトランペットが高校卒業と同時に入団したConte Candoli(コンテ・カンドリ)とPete Candoli(ピート・カンドリ)のカンドリ兄弟、作曲及び編曲もしたShorty Rogers(ショーティ・ロジャース)やニール・ヘフティ、ヴィブラフォンがRed Norvo(レッド・ノーヴォ)、ドラムがBuddy Rich(バディ・リッチ)などで、女性ボーカルはフランシス・ウェインです。
※同時期の録音で「Thundering Herds 1945-1947」という16曲収録の輸入盤アルバムもありますが、Laura、I Wonder、Yeah Man (Amen) 、I’ve Got the World on a String、Put That Ring on My Finger、Gee, It’s Good to Hold You、Lazy Lullaby、I’ve Got News for You、Keen and Peachyは収録されていません。 ※”Thundering Herd”は主に1959年から1987年にかけて活動したようです。

First Herd
私の好きな”Happiness Is a Thing Called Joe”、”Mean to Me”、”She’s Funny That Way”の他定番曲の”Apple Honey”やジャンプブルースのLouis Jordan(ルイ・ジョーダン)が1945年に録音した”Caldonia (What Makes Your Big Head So Hard? キャルドニア)”など全23曲を収録したオリジナル録音が1945年のアルバムですが現在は入手困難です。
First Herd by Woody HermanFirst Herd
1946年録音のVerve VSP LPレコードには「Woody Herman’s Woodchoppers and the First Herd Live At Carnegie Hall」があります。
ウッディ・ハーマンの”Happiness Is a Thing Called Joe”はやはり入手困難ですが「The Best of the Big Bands」や「This Is Jazz, Vol. 24」にBijou (Rhumba a la Jazz)やEarly Autumnなどと共に収録されています。(ASIN: B000002AFP)

Brand New
ウッディ・ハーマン楽団が迫力満点に演奏したRay Bryant(レイ・ブライアント)の演奏で有名な”After Hours”や”Adam’s Apple”などとともに”I Almost Lost My Mind”を収録した1971年リリースのアルバムです。
Brand New Woody HermanBRAND NEW
“I Almost Lost My Mind”はIvory Joe Hunter(アイヴォリー・ジョー・ハンター)が作って1950年にビルボードのチャートで第一位に輝いたR&B曲ですがポップスのスタンダードとなりウッディ・ハーマンや1956年にPat Boone(パット・ブーン)がヒットさせた他、Eddie Cochran(エディ・コクラン)、Nat King Cole、Willie Nelson(ウィリー・ネルソン)など各ジャンルのミュージシャンが取り上げています。
♪アルバム「Roots and Rumours: The Roots of Elvis, Vol. 2」からアイヴォリー・ジョー・ハンターの”I Almost Lost My Mind”が聴けるwfmuラジオのプレイリストはPlaylist for This Is the Modern World with Trouble – June 14, 2007 (前の曲がちょっと残りますが、”I Almost Lost My Mind”の欄の最後にある”1:20:36 (Real) “をクリック)

Woody Herman Presents, Vol. 2: Four Others
ビバップ・ドラマーのTiny Kahn(タイニー・カーン)が作った”Tiny’s Blues”はテナー・ サックスを演奏したAl Cohn(アル・コーン)との共同作曲とされていますが、ウディ・ハーマン楽団が演奏しているのは1981年のアルバム「Woody Herman Presents, Vol. 2: Four Others」と2005年のアルバム「Rarest」です。
Woody Herman Presents, Vol. 2: Four OthersWoody Herman Presents, Vol. 2: Four Others
“Tiny’s Blues”を収録したアルバムの試聴はWoody Herman Presents, Vol. 2: Four Others – CD Universe
Tiny’s Bluesの他にLoose AberrationsやTenderlyを収録した「Woody Herman Presents, Vol. 2: Four Others」は3シリーズのうちの2番目のアルバムでウッディ・ハーマンのアルトサックスやアル・コーンなどのテナーサックスが最高です。 演奏者はアルバムに収録されている”Woody’s Lament”、”I Wanna Go Home”、”The Goof and I”の作曲者のテナーサックス奏者のAl Cohn(アル・コーン)、アレンジャーでもあったJimmy Giuffre(ジミー・ジョーフリー)、Stan Getz(スタン・ゲッツ)、Zoot Sims(ズート・シムズ)という”Four Brothers(Woody Herman & the Second Herd)”には入っていなかった”Four Others”です。 テナーサックス演奏者はアルバムに収録されている”Loose Aberrations”の作曲者のSal Nistico(サル・ニスティコ)、ウエストコースト派のサックス奏者のBill Perkins(ビル・パーキンス)とFlip Phillips(フリップ・フィリップス)で、ピアノがJohn Bunch(ジョン・バンチ)、ドラムがDon Lamond(ドン・ラモンド)、ベースがGeorge Duvivier(ジョージ・デュビビエ)という面々です。
Norman “Tiny” Kahn (1924-1953)
1950年代初期にStan Getz(スタン・ゲッツ)の”Storyville” Live盤に参加しているタイニー・カーンは1953年に29歳で病死した白人のビバップ・ドラマーでした。 ウッディ・ハーマン楽団の他にもCharlie Barnet(チャーリー・バーネット)楽団やChubby Jackson(チャビー・ジャクソン)バンドなどで編曲及び作曲を手掛けましたが、その名のごとく身体は小さかったそうです。
1949年のタイニー・カーンの写真が見られるThe Tiny Kahn Discography)(いづれも右端のドラマー)
※ちなみに2000年にジャズの選曲が素晴らしいサウンドトラックの映画「Joe Gould’s Secret」で”Tiny’s Blues”やCharlie Parker(チャーリー・パーカー)をフィチャーした”The Nearness of You”などのウッディ・ハーマンの演奏が使用されているそうです。(”The Nearness of You”はウッディ・ハーマンのアルバム「Featuring Tito Puente & Charlie Parker」というアルバムに収録されていますが、日本のAmazon.co.jpではウッディ・ハーマンのアルバム(ASIN: B00004TBXL)とエロール・ガーナーの「Penthouse Serenade」とが混同しているようです。(”The Nearness of You”と”Tito Meets Woody”が収録されているCD)

Woody Herman – ’58 Featuring The Preacher (ASIN: B000Y3529W)
ウッディ・ハーマンが1958年にVerveで録音したレア盤が「Featuring Preacher」としてCD化されました。 アルバム・タイトルとなっている”The Preacher”を作曲したHorace Silver(ホレス・シルヴァー)と活動していたジャズシンガーのAndy Bey(アンディ・ベイ)がウッディ・ハーマンと共演していると聞いたのですが、アンディ・ベイがホレス・シルヴァーが作曲した”Preacher”を歌っているかどうかは不明です。 この時のWoody Herman and His Orchestra(ウッディ・ハーマン楽団)の演奏メンバーはトランペットがJohn Coppla(ジョン・コッポラ)、Danny Stiles(ダニー・スタイルズ)、Bill Berry(ビル・ベリー)、Willie Dennis(ウィリー・デニス)、トロンボーンがBill Harris(ビル・ハリス)とBob Lamb(ボブ・ラム)、テナーサックッスがJay Migliori(ジェイ・ミッグリオーリ)とバリトンサックスがRoger Pemberton(ロジャー・ペンバートン)、ピアノがアレンジャーでもあるNat Pierce(ナット・ピアース)とJohn Bunch(ジョン・バンチ)とTadd Dameron(タッド・ダメロン)、ベースがJimmy Gannon(ジミー・ガノン)、ドラムがDon Michaels(ドン・マイケル)、アレンジャーはGene Roland(ジーン・ローランド)とサックスも吹いたのBill Holman(ビル・ホルマン)などだそうです。
試聴はFeaturing Preacher – 音楽配信 more
「Herman, Woody – 1958 – feat. The Preacher(’58 Featuring “The Preacher”)」や「Featuring Preacher」、又は2008年にリリースされた1963年のSarah vaughn & Woody hermanのライヴ盤「On the Radio: 1963 Live」「On The Radio: The 1963 ‘Live’ Guard Sessions」(ASIN: B004RCZNO0)又は、「On the Radio Sarah vaughn & Woody herman」(ASIN: B001A379BY)などに収録されたWoody Herman And His Orchestraが演奏する”The Preacher”(Sarah vaughn & Woody herman)の試聴は見つかりません。

Harlem Nocturne by Woody Herman
ウッディ・ハーマンが演奏するHarlem Nocturne(ハーレム・ノクターン)は1962年に”The Stripper(悲しきストリッパー)”が大ヒットしたDavid Rose & His Orchestra(デヴィッド・ローズ楽団)のアルバム「Holiday For Strings」(ASIN: B006U0C3YA)や、1995年のウッディ・ハーマンのベスト盤「Scene & Herd in 1952」(ASIN: B0000042OC)にも収録されています。
ウッディ・ハーマン楽団の”ハーレム・ノクターン”の試聴はScene & Herd in 1952 – Amazon.co.jp

Marakeesh on “Men From Mars”
ウッディ・ハーマンの1954年のVerve Records(ヴァーヴ)でのセッションLP盤は50年代にリリースされたShorty Rogers(ショーティ・ロジャース)のSF的タイトルのアルバムに答えるように吹き込んだそうです。 演奏メンバーはウディ・ハーマンの他に、テナーサックスがムード・テナーで名を馳せたSam Taylor(サム・テイラー)や後にクールジャズで知られたBill Perkins(ビル・パーキンス)、ピアノ(オルガン)が1951年から1955年にウディ・ハーマン楽団のアレンジャーとしても活躍したNat Pierce(ナット・ピアース)、トロンボーンが1950年頃からThundering Herd(ウディ・ハーマン楽団)でソロをとっていたUrbie Green(アービー・グリーン)、デンマーク出身の作曲家でJ. J. Johnson(JJジョンソン)とのコラボで有名なKai Winding(カイ・ウィンディング)、そして50年代半ばにはウディ・ハーマン楽団と仕事をし一時ハーマン楽団にアレンジャーとしても在籍していたGerry Mulligan(ジェリー・マリガン)と共に1958年の「I Want to Live(私は死にたくない)」に出演したビバップのFrank Rehak(フランク・リハク)などです。
収録曲は”Marakeesh”、”Four Others”、”Wooftie”、”Mambo The Most”、”Men From Mars”だそうですが見つかりません。 1952年がオリジナルという18曲入りベスト盤の「Early Autumn」にはFour Others、Mambo the Most、Men from Marsのみが収録されていますが肝心な”Marakeesh”はありません。