リタ・ヘイワース ギルダ Rita Hayworth in Gilda (1946)

Playboy Presents Rita (Documentary DVD 1937)  Gilda [VHS]

ギルダ (1946年)
Charles Vidor(チャールズ・ヴィダー)が監督するフィルム・ノワール調の映画「ギルダ」ではノワール映画で必須の悪女役としてRita Hayworth(リタ・ヘイワース)が主演します。 男を破滅させる魔性の女をフランス語でファム・ファタルというそうですが、古くは聖書に記述のあるサロメやエジプトのクレオパトラ、オペラのカルメンから女スパイのマタハリまでと歴史上や文学に登場しています。 ちなみに1953年の「Salomé (情炎の女サロメ)」でファムファタルのサロメを演じたリタは魅惑的で完璧な集大成的なダンス「Dance of the Seven Veils(七つのヴェールの踊り)」を舞ってヘロデ王をヘロヘロに惑わしました。
ノワール映画でファムファタルを演じた有名な女優には「The Postman Always Rings Twice(郵便配達は二度ベルを鳴らす)」のLana Turner(ラナ・ターナー)、「The Paradine Case(パラダイン夫人の恋)」のAlida Valli(アリダ・ヴァリ)、「Mildred Pierce」のAnn Blyth(アン・ブリス)、The Big Sleep(三つ数えろ)のLauren Bacall(ローレン・バコール)、「The Killers(殺人者)」のAva Gardner(エヴァ・ガードナー)、「The Strange Love of Martha Ivers(呪いの血)」のBarbara Stanwyck(バーバラ・スタンウィック)、「The Revolt of Mamie Stover(流転の女)」のJane Russell(ジェーン・ラッセル)などたくさんいますが踊れる美女といえばリタ・ヘイワースです。 「Don’t Bother to Knock(ノックは無用)」のMarilyn Monroe(マリリン・モンロー)が現れる前にはハリウッドのセックス・シンボルと言われたリタ・ヘイワースが「The Fastest Gun Alive(必殺の一弾)」や1960年の「Cimarron(シマロン)」のGlenn Ford(グレン・フォード)と共演した大ヒット作品なのです。 ハンサムというよりは苦虫を噛み潰したような表情が多い渋いグレン・フォードとはウマが合ったか会社の方針か不明ですがこの後、1948年の「The Loves of Carmen(カルメン)」や1952年の「Affair in Trinidad(醜聞(スキャンダル)殺人事件)」と1965年の「The Money Trap(銭の罠)」と計4本も共演しています。 「カルメン」でのリタ・ヘイワースのフラメンコも素晴らしいですが、カルメンはハスッパなジプシー役だったのでやはり「ギルダ」でのナイトクラブ・ダンスが一番素敵! それにしても「ギルダ」や二番煎じ的な「醜聞殺人事件」などリタ・ヘイワースが演じる奔放なファムファタルに翻弄されるグレン・フォードが演じる真面目男というシチュエイションが多いコンビです。 国内はもとよりフランスのブリジット・バルドーなどほとんどの共演した女優たちと浮き名を流したグレン・フォードは断続的ではありますがリタ・ヘイワースと長期に渡り交際したそうです。

Hate is a very exciting emotion. Haven’t you noticed?
“私の愛しい人”という意味のラテン曲のAmado mio(アマド・ミオ)がオープニングに流れる「ギルダ」の舞台はエキゾチックな南米のブエノス・アイレスです。 ナレーションも務めるグレン・フォードが演じる流れ者のサイコロ賭博師のジョニーは自分を引き立ててくれた違法博打場の経営者である万度損の妻がかっての自分の恋人だと知ることになります。 ギルダはジョニーのファムファタルだったのです。 仁義か色恋か迷うところです。 マンドソンが新妻のギルダを紹介する時に流れた音楽は”Put Blame On Mame”ですがこの曲と”Amado mio”は映画の中で何度も使用されています。 この2曲は1940年代にThe Ink Spots、Billie Holiday、The Andrews Sistersなどに曲を提供したAllan Roberts(アラン・ロバーツ)がDoris Fisher(ドリス・フィッシャー)と共同で作りましたが、1948年にはLester Lee(レスター・リー)と組んで「Ladies of the Chorus」で歌も踊りも初々しいマリリン・モンローがバーレスクショーで歌った”Anyone Can See I Love You”や”Every Baby Needs a Da Da Daddy”など5曲を作りました。(クレジットされてないので確かではないが振付は「ギルダ」のPeter Fordが担当か?)
さて、正体不明のドイツ人を撃った上に二人の関係を知ったマンドソンは高飛びしたのですが飛行機が空中爆発しジョニーには経営者は死亡したように思えました。 かっての恋人だった二人は経営者亡き後すぐに結婚したのですが、それは愛のためではなかったのでした。 一般に愛憎とよくいいますが極度の憎しみは激しい愛情の裏返しなのでしょう。 終盤のナイトクラブのシーンでAmado mio(アマド・ミオ)を歌って踊るギルダが観られますが、ジョニーのもとに連れ戻されたギルダが博打場のクラブに現れてヘベレケで歌い踊る”Put Blame On Mame”が圧巻なのです。 最後のどんでん返しもスリリングです。

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手袋のストリップショーと呼ばれるセクシーな場面で有名な「Gilda(ギルダ)」のトレーラーが観られるGilda Trailer – VideoDetective
トレーラー他映画のクリップが色々観られるGilda Trailer and Clips – Turner Classic Movies
☆Put Blame On Mame(あの女のせいにしな)の歌詞はGILDA (1946) – Lyrics to “Put the Blame on Mame” and “Amado Mio”Put Blame On Mame Lyrics
☆ 映画「ギルダ」でのリタ・ヘイワースの歌は1946年の「The Loves of Carmen(カルメン)」での”The Love of a Gypsy (Amor di Gitano)”や、遊園地内鏡の部屋での夫婦相撃ちシーンが有名な1948年の「The Lady from Shanghai(上海から来た女)」でもとびっきりファムファタールな女を演じたリタが歌うセクシーな”Please Don’t Kiss Me”の吹き替えを担当したカナダ出身の歌手であるAnita Ellis(アニタ・エリス)だそうです。
吹き替えでないリタ・ヘイワースの生声、セクシー! 「ギルダ」の台詞が聴けるGilda Sound Clips – WavSource.com
Gilda – Rita Rayworth – Put the Blame on Mame – YouTube
Gilda – Rita Rayworth – Put the Blame on Mame (Guitar Version) – YouTube
Gilda – Rita Hayworth – Amado Mío – YouTube
ちなみにこの”Amado mio”は女性ボーカリストであるChina Forbes(チャイナ・フォーブス)がフランス語やスペイン語などの歌をカバーした1997年のPink Martini(ピンク・マティーニ)のデビューアルバム「Sympathique」に収録しています。 このアルバムで丸山明宏(美輪明宏)の” Song Of The Black Lizard(黒蜥蜴の唄)”を日本語でカバーしているので、これが2011年に由紀さおりをフィーチャーした「1969」のコラボに繋がったのでしょうか。

Gilda DVD

Gilda DVD
グレン・フォードと共演した「ギルダ」の2010年発売の国内版DVD
ギルダ
字幕版VHSビデオの「ギルダ GILDA」(ASIN: B00005GB9B)もあります。

Gilda Soundtrack

Gilda (1946 Film) Original Soundtrack
Gilda (1946 Film) (ASIN: B00017NVPS)
画像はギルダが歌うPut Blame on MameやAmado Mioなど全22曲を収録した輸入盤のサントラですが2000年発売のASIN: B00004U2YXや2006年発売のリマスター版共に現在は入手困難もしくは入手不可になっています。
Hugo Friedhofer(ヒューゴー・フリードホーファー)が音楽を手掛けた「ギルダ」のサウンドトラックの試聴はGilda Soundtrack – AllMusic.com
☆この他にも2006年リリースの「Music from Her Films」があるそうです。
妖艶、セクシーといえば「The Blue Angel(青い天使)」や「Morocco(モロッコ)」のMarlene Dietrich(マレーネ・ディートリッヒ)も外せません。 二人のディーヴァを競わせた2枚組アルバム「Divas: Gold Collection」(ASIN: B000006RHB)があります。

Rita Hayworth’s Gilda Poster in Mulholland Dr.
ギルダのポスターといえばGiuseppe Tornatore(ジュゼッペ・トルナトーレ)監督の1988年の「Nuovo Cinema Paradiso(ニュー・シネマ・パラダイス)」や2001年にDavid Lynch(デヴィッド・リンチ)が監督したミステリー映画の「マルホランドドライブ」でも使用されています。 名前を尋ねられた記憶喪失の女が室内に貼ってあった大きなギルダのポスターを見てとっさに「私の名はリタ。」と答えたのです。
☆詳しくはAudio-Visual Trivia内の「マルホランド・ドライブ Mulholland Dr.

Rita Hayworth (1918 – 1987)
リタ・ヘイワースの本名はMargarita Carmen Cansinoというそうですが、Carmen(カルメン)というミドルネームが示すようにブロードウエイのショーに出演していたマドリッドのスパニッシュ・ダンサーの父と同じくダンサーの母から手ほどきを受けたからか、僅か8歳で両親とともに舞台に立ち、13歳にしてティファナのナイトクラブなどで踊っていたそうです。 ハリウッドのプロデューサーがそんなリタ・ヘイワースを発掘して1935年にCharlie Chan in Egypt(ピラミッドの殺人)やSpencer Tracy(スペンサー・トレイシー)が主演した「Dante’s Inferno(ダンテの地獄篇)」ではRita Cansino(リタ・キャンシノ)名でデビューしました。 ダークヘアのまとめ髪のリタ・ヘイワースは豪華客船で踊る数分間の出演でした。 1937年にビジネスマンと結婚してからは芸名を改め、髪もダークブラウンからゴージャスな赤毛(イチゴブロンド)に染めたりと夫がマネージャーとなってコロンビア映画との長期契約を結んだのでした。 この辺りで顔付きも変ったみたいです。
上品というよりも妖艶な役どころが多いリタ・ヘイワースはなんといっても踊りまくった1940年代が一番輝いていたと思います。 「Separate Tables(旅路)」に出演した1950年代の後期までは辛うじてセクシー熟女でしたが1960年代は当たり前とはいえ「Circus World(サーカスの世界)」でのブランコ乗りの母親役はちょっと苦しいところです。

The Beauty and The Brain
リタ・ヘイワースは1940年代の「Citizen Kane(市民ケーン)」や「The Third Man(第三の男)」や「Touch of Evil(黒い罠)」などの名作で知られるOrson Welles(オーソン・ウェルズ)のラジオ番組にゲスト出演したことから、1943年にはオーソン・ウェルズと再婚して子供も持ちましたが数年で破局しています。 そのオーソン・ウェルズとの記念すべき作品はウェルズ脚本及び監督の1947年のフィルムノワール「The Lady From Shanghai(上海から来た女)」ですがこの映画の撮影中に離婚しています。 売れっ子のリタに対して制作費の調達に忙しいウェルズという経済問題や、頭脳明晰なウェルズに対して殆ど教育を受けていないリタとの問題点の他にも、元来生活態度も悪く性的にもルーズだったリタの父親から受けた幼少期の虐待のトラウマがあったりと精神的な問題があったのだとか。 おまけにリタ・ヘイワースの熱演にも関わらずトレードマークの赤毛を切ってをブロンドにしたせいか、制作側のフィルム編集で縮小されたせいか「上海から来た女」の興業成績は振るわなかったそうです。 それにしても船上で金髪のリタが”Please Don’t Kiss Me”を歌うシーンの美しいこと! ウェルズもリタとの関係を修復せんと精一杯美しく撮っています。
Rita Hayworth – Please Don’t Kiss Me – YouTube

Men go to bed with Gilda, but they wake up with me.
オーソン・ウェルズと別れた後、1957年には当時の超人気歌手のDick Haymes(ディック・ヘイムス)とも結婚しましたが数年で離婚、その後も5度の結婚離婚を繰り返しました。 ちなみに1949年から数年間結婚していたアリ・カーンとの間に生まれたヤスミンの息子(つまり孫)は2011年に25歳で急逝しました。 68歳で亡くなるまでに60本もの映画を撮ったリタ・ヘイワース曰く「男はみんな”ギルダ”と寝て私と目覚める」のだそうです。
リタ・ヘイワースとオーソン・ウェルズの共通の友人だった俳優のJoseph Cotten(ジョセフ・コットン)曰く、どんな映画であろうともリタ・ヘイワースが踊れば動いている自然の驚異の一つが見られるそうです。

The Love Goddess
マリリン・モンローは「キュート、可愛い、コケティッシュ」といった形容詞が似合いますが、リタ・ヘイワースには「カルメンのように妖艶で、毒婦、魔性の女、悪女つまりファム・ファタル」がぴったりです。 「ギルダ」を観た女はみんなリタ・ヘイワースになりたいと思い、男はみんなリタ・ヘイワースに恋焦がれ、そして世界第二次大戦時の兵士達はリタ・ヘイワースのピンアップ写真を手に入れようと躍起になったのでした。 ですが1946年のビキニ島での原爆実験に使用されたGilda Bomb(爆弾)にリタ・ヘイワースの顔写真が貼られていたのは迷惑だったでしょう。

Cover Girl
「ギルダ」で大ブレイクする前の1944年にブロードウエイを夢見るナイトクラブのコーラス・ガールのラスティ(チキン)を演じたリタ・ヘイワースが小さな劇場の舞台監督でダンスの師匠を演じたGene Kelly(ジーン・ケリー)と共演したミュージカル映画「カバーガール」がありました。 カバーガールは雑誌の表紙を飾る表紙モデル(主に有名人)であってピンナップガールとは違います。 スタイル抜群のリタ・ヘイワースが演じるカバーガール以外に当時の有名雑誌のカバーガールを多数動員したこの映画では、1945年の「Mildred Pierce(ミルドレッド・ピアース 深夜の銃声)」にアイダ役を演じたEve Arden(イヴ・アーデン)もコーネリア役で出演しています。 行きつけのJoe’s Place(ジョーの店)で生ガキを食べる時に「真珠よ出てこい!」というおまじないが愉快ですが終盤に本当に大粒の真珠が出てきました。 リタが演じるラスティがまさに結婚式を挙げようという時にその真珠を花婿の父である富豪から手渡されたのです。 その昔ラスティの祖母が結婚式の土壇場で本当に愛するピアニストの元に去ったという話を花婿となるはずだった当の富豪から聴かされたのです。(父と息子の女性の好みが同じとは) ちなみにカバーガールの審査会場で一人の志願者が呼ばれた時に他の女性たちにシームが曲がってないか聞くシーンがありますが、実際そのころのストッキングは後ろに縫い目があったのでこれがよじれているとみっともないのです。 シームレスのナイロンストッキングは1952年には生産されていたそうですが、日本で普及したのは1960年代になってからでした。 「カバーガール」での髪型やメイクアップからリタ・ヘイワースが「I Love Lucy(アイ・ラブ・ルーシー!)」のLucille Ball (ルシル・ボール)に似て見えました。
映画ではなく実際にリタ・ヘイワースがカバーガールとなった世界の雑誌の表紙画像が見られるMagazine Covers Archive – 1945 – Rita Hayworth(サイトでプルダウンメニューの年代を選ぶともっと画像が見られます)
映画の挿入曲で何曲かのジーン・ケリーとのデュエットではリタ・ヘイワースの歌声は美声のMartha Mears(マーサ・ミアーズ)が吹き替えたそうです。 The Show Must Go On、Sure Thing、Make Way for Tomorrow”、Long Ago (and Far Away)、Poor Johnがそうですが、1945年の「Tonight and Every Night(今宵よ永遠に)」でも吹き替えを担当しました。

Affair in Trinidad … Tiky Tiky Boom, Tiky Boom!
「カルメン」に続くリタ・ヘイワースとグレン・フォードの共演作である1952年の「Affair in Trinidad(醜聞(スキャンダル)殺人事件)」はVincent Sherman(ヴィンセント・シャーマン)が監督及び制作したフィルム・ノワール調ミステリーです。 冒頭からリタ・ヘイワースの華麗なダンスに魅せられます。 当時流行りのトロピカルでエキゾチックな南米の英国領トリニダッドを舞台にスパイ絡みの謎の殺人事件にロマンスを織り込んだ「醜聞殺人事件」では、トリニダード・トバゴの首都で、海で死亡したアメリカ人画家の妻が”Cari-b club”の歌手で法廷で夫は過去に何度も自殺ほのめかしたと証言するが、夫の兄は警察の言うように他殺と信じているためになにかと反発し合うのです。 警察同様に妻と富豪との三角関係も疑っています。 夫が兄に送った何通もの手紙には自殺のじの字もなくとても幸せそうな内容だったのですが、その便せんには富豪の紋章が記されていたのです。 警察は夫のボートが機密情報の売買で財を成した富豪の所有地に停泊している証言もあり自殺に見せかけて殺されたとして夫の友人である富豪を疑っているのですが証拠がないため検挙できず、妻は当局の依頼で魅力を武器に富豪の秘密をさぐろうとするのです。 殺された夫の妻を演じたのはリタ・ヘイワースで死んだ夫の兄がグレン・フォードです。 この映画でナイトクラブで働いている妻を演じたリタ・ヘイワースが踊りながら歌う”Trinidad Lady”と”I’ve Been Kissed Before”の吹き替えは1953年の「Miss Sadie Thompson(雨に濡れた欲情)」や1957年の「Pal Joey(夜の豹)」でもリタの歌声を担当したハリウッド映画のゴースト・シンガーの一人でJo Ann Greer(ジョー・アン・グリーア)だそうです。 ダンスの振り付けは「ギルダ」に似ていますが「帰らざる河」のマリリン・モンローも振り付けたJack Cole(ジャック・コール)ではなく、「スキャンダル殺人事件」にドイツのロケット博士で富豪の仲間のヒューブリングの夫人役で出演している美人振り付け師のValerie Bettis(ヴァレリー・ベティス)で、ご愛嬌に映画のなかでダンスをチラっと見せています。 ジョー・アン・グリーアがSusan Kohner(スーザン・コーナー)の歌声を担当した映画「Imitation of Life(悲しみは空の彼方に)」にも出演したJuanita Moore(ファニタ・ムーア)が常に含蓄のある言動や先見の明がある女中のドミニク役です。 「ギルダ」から5年経過、よみがえれギルダ!
リタ・ヘイワースは静止画よし、歌って踊る動画はさらにさらによし、女の私でさえ思わず唇がほころんでしまうのです。 殿方なら悶絶してしまうこと間違いなし!
Rita Hayworth sings I’ve Been Kissed Before in Affair in Trinidad – YouTube
Chik-chikky-boom-boom-chik Rita Hayworth dances in Affair in Trinidad – YouTube

Blood and Sand
私が初めてとリタ・ヘイワース出合った映画がRouben Mamoulian(ルーベン・マムーリアン)監督がスペインのVicente Blasco Ibáñez(ビセンテ・ブラスコ・イバニェス又はヴィセンテ・ブラスコ・イバネス)が1908年に書いた小説「Sangre y Arena」を映画化した1941年の「Blood and Sand(血と砂)」です。 リタ・ヘイワースが気紛れな社交界の女王のDona Sol(ドニャ・ソール)を演じTyrone Power(タイロン・パワー)がマタドール(闘牛士)のJuan Gallardo(フワン・ガルアルド)を演じた映画「血と砂」は1941年の全米トップ10に入りました。 闘牛士のフワン同様にドニャの虜となるManola de Palma(マノラ・デ・パルマ)役は若き日のAnthony Quinn(アンソニー・クイン)で、酒場での二人の踊りは見事でした。 そしてフアンの母親役がなんと1922年に40歳の時「Salomé(サロメ)」で妖艶に踊ったロシア(ヤルタ)出身のAlla Nazimova(アラ・ナジモヴァ)です。
リタ・ヘイワースがフラメンコ・ギターの弾き語りで歌ったりしてもうメロメロ! その曲は映画の音楽を担当したスペインの有名ギタリストVicente Gomez(ビセンテ・ゴメス)の”Verde luna(緑の月、もしくは青い月)”です。 緑の月というのはスjペインでよく使われる言い回しだそうで、ジプシーの浅黒い肌とverdeをかけて表現した革命的グラナダ詩人のFederico Garcia Lorca(フェデリコ・ガルシア・ロルカ)の詩にも出てきます。 この素晴らしい弾き語りのシーンでは”Romance de amor(愛のロマンス)”でもヴィセンテ・ゴメスと共演したGraciela Párranga(グラシエラ・パランガ)というラテン歌手がリタ・ヘイワースの歌の吹き替えをしたそうですがリタ・ヘイワースとは全く違う声質で違和感があります。(Mercedes Ruffino説もあり)
Rita Hayworth (Graciela Párranga) – Verde luna – YouTube
Rita Hayworth & Linda Darnell in Blood and Sand (1941) – YouTube
ちなみにNarciso Yepes(ナルシソ・イエペス)の方が有名になったRomance des Jeux Interdits(禁じられた遊びのテーマ)の原曲ともいえるVicente Gómez(ヴィンセンテ・ゴメス)が作詞作曲した”Romance de amor”は闘牛士として故郷に帰ってきたタイロン・パワーが演じる主人公が幼馴染の恋人のカルメンとの再会に窓辺で楽団に歌わせたロマンティックな恋の歌で、BGMとして演奏のみも流れます。 映画の後半の酒場のシーンでヴィンセンテ・ゴメス自身がギタリストとして登場して演奏を聞かせますが、リタ・ヘイワースが”Verde luna”で演奏したのと同様にギターの胴板(ボデイ)も叩く奏法です。(映画主題歌を集めた「ハリウッド玉手箱」ASIN: B00005GSVQ にヴィンセンテ・ゴメスとグラシェラ・パラガの”愛のロマンス”が収録されています) 曲名はフラメンコのEl AlbaicínかGloria Toreraかが不明なのでご存知の方はぜひ教えて下さい。
カンツォーネのFlo Sandon’s(フロ・サンドンス)やMina Mazzini(ミーナ)、そしてシャンソンの”L’amour, C’est Pour Rien(恋心)”でお馴染みのEnrico Macias(エンリコ・マシアス)なども歌っていますが、1940年代にイタリアのフランク・シナトラと呼ばれた”Carlo Buti(カルロ・ブティ)”のBella Ragazza: Original Recordings 1934-1949という人気アルバム「Bella Ragazza(美しい娘)」(ASIN: B0001Z65D0)に収録されています。
Carlo Buti – Verde luna – YouTube
ルーベン・マムーリアンは1933年にGreta Garb(グレタ・ガルボ)主演で「クリスチナ女王」、1957年にガルボのニノチカのリメイクでCyd Charisse(シド・チャリースもしくはシド・チャリシー)主演の「Silk Stockings(絹の靴下)」を監督しています。

「血と砂」はサウンドトラックには収録されていないリタ・ヘイワースの”verde luna”のギターの弾き語りを聴くだけでも必見! 待てば海路の日和ありで2006年に出ました500円DVD!観ました! 色彩がぼけているのですがせめてリタ・ヘイワースがギターで弾き語る庭園のシーンだけでも鮮明ならな~と残念です。
血と砂 500円DVD

MOVIE TRAILER; – Blood And Sand with Rita Hayworth – Archive.org

タイロン・パワーと共演の(英語)海外版VHSビデオには「Blood & Sand (1941)
字幕版VHSビデオの「血と砂 BLOOD AND SAND」があります。

Blood & Sand OST

上記の画像は「血と砂」のサウンドトラックCDですが”Verde Luna”はリタ・ヘイワースの歌ではなく、Vicente Gomez Quintetのギター演奏です。
サントラの曲目リストが見られるBlood & Sand Original Soundtrack (ASIN: B000007OU7) – Amazon.co.jp

Shawshank Redemption (1994)
「ショーシャンクの空に」のちょっとあらすじ
ショーシャンク刑務所の冤罪で服役している中年男Andy(アンディ)の長い囚人生活の奇蹟を描いたStephen King(スティーヴン・キング)原作の1982年の短編「Rita Hayworth and Shawshank Redemption」(刑務所のリタ・ヘイワース)が1994年にフランス出身の脚本家だったFrank Darabont(フランク・ダラボン)により映画化されています。 「誰にも奪えない自分だけのもの、灰色じゃない世界を忘れない、”希望はいいものだ。」
映画ではギルダのリタ・ヘイワースなどのポスターがキーとなっていてラストで唖然とさせられます。 刑務所内で映画「ギルダ」が映写されるシーンではギルダが「私?」と振り返るジョニーとの出会いで、何度も観ているはずの囚人たちが歓声をあげます。(それを観ている私もキャー!ヒューヒュー!)
ロマンチックなThe Ink Spotsの歌”If I Didn’t Care”でオープニング・クレジットが始まる「ショーシャンクの空に」では1995年に「Dead Man Walking(デッドマン・ウォーキング)」でアカデミー賞の監督賞にノミネートされたTim Robbins(ティム・ロビンス)が「Mystic River(ミスティック・リバー)」でアカデミーの助演男優賞を獲得しました。 ロビンスは妻とその浮気相手を射殺したとして被害者二人分の終身刑二度を宣告されショーシャンク刑務所送りとなった銀行副頭取のアンディ・デュフレーンを演じています。 終身刑20年目で仮釈放を毎度のように却下された調達屋で映画の語り手をMorgan Freeman(モーガン・フリーマン)が演じ、「アリー・myラブ」でビリー役を演じる前のGil Bellows(ギル・ベローズ)が窃盗罪で送られてきたロックンロール好きの若者トミーを演じています。

ある日、何人もの新入り受刑者たちがショーシャンクに到着した。 その中に長身ながらも吹けば飛ぶようなボンボンに見えたアンディがいた。 鎖を解かれると全裸で放水、殺虫剤噴霧、そして監房入り、いつも誰かがおかしくなるそうだ。 泣き出すのは誰かという賭けをして殺人罪で入獄したアンディにタバコ10本を賭けた調達屋のレッドは白豚野郎が泣き出して大損してしまった。 調達屋と知って一ヶ月経ってようやく話しかけてきたコールド・フィッシュのアンディから7ドル位の小さなロック・ハンマーや将棋盤やリタ・ヘイワースを依頼された時もレッドはお安い御用だった。(もっともギルダは調達するのに数週間かかった) ホモのボッグスに狙われているアンディはとうとう洗濯室で一味にやられ、それ以来2年間生傷が絶えない。 日常茶飯事に襲われるから。
銀行屋にしては心身共に逞しいアンディの転機は屋根のタール塗りの野外労働任務に志願したことで起こった。 投票をタバコで買収したレッドの仲間と一緒の仕事、そんなおり、アンディが鬼看守の遺産相続の税金対策を手伝うことで屋根の上の囚人たちに毎日冷えたビールがおごられた。 ある日、所内で映画が上映された時、アンディはレッドにリタ・ヘイワースを依頼するが、部屋から出たところでボッグス一味に捕まり半殺しの目にあって一ヶ月の入院を余儀なくされる。 一週間後に懲罰房から戻ったボッグスは看守たちから滅多打ちにされ特種病院送りとなり生涯自分で食事をすることは出来なくなった。 以前チェスの駒を彫るからと岩を頼んだアンディの退院祝いにレッドの仲間全員で大量の岩を集めることにする。 アンディが房に戻ると石と一緒にリタ・ヘイワースの特大ポスターが置かれていた。 署長と看守の突然の点検でもポスターは多めに見られた。 職場も洗濯室から図書室へと変えられ50年いるブルックスの助手となる。 ここで看守たちが税の申告の依頼や相談をするための税吏事務所。 そんな時、収容病になったブルックスが仮釈放を嫌ってレッドの仲間を刺そうとする事件が起こる。 結局出所して自害した。
図書室に予算や書籍を増やすように州議会に嘆願したアンディの願いが叶ったアンディは何を思ったかその中のレコードを取り出すと大ボリュームのスピーカーで所内に流して懲罰房行き。 曲はオペラLe nozze di Figaro(フィガロの結婚)から”Duettino – Sull’aria(そよ風に寄せる)” 
希望は危険だと言ったレッドは終身刑の30年目を迎え、「昔と違って危険人物じゃない。」と述べるも今回も仮釈放は却下。 その祝いにとアンディは昔は吹いていたというハープ(ハーモニカ)をプレゼントする。 お返しにレッドはアンディの入所10周年記念として新しい女を贈る。(地下鉄でスカートがまくれ上がる「七年目の浮気」のマリリン・モンロー) そうこうするうちにアンディは架空口座を開いて汚職で私腹を肥やす署長の裏金まで管理するようになった。(一種のマネー・ロンダリング) 以前は正直者だったアンディが刑務所で悪に目覚めた。
そんな時、ロックンロールが好きな揉み上げに革ジャンの若者トミーを乗せたバスが到着する。 13歳から刑務所を渡り歩いてきたトミーは押し込み強盗で2年の刑でショーシャンクに送られてきた。 幼い妻が女児を産んだせいかトミーは向学心に燃え始めてアンディが手ほどきをすることになるが成果はゼロ。(後に教育委員会からの知らせでは合格だった) トミーがアンディはどんな罪を犯したのかをレッドに訊いたので妻とその恋人のゴルファーを殺したと教えると、車の窃盗で4年前にいた刑務所で出会ったエルモという同房者がカントリークラブで働いていた時、カモの金持ち男の家に押し込んだら目を覚ましたので殺した。 エリート銀行員の亭主を持った女も一緒に。 これを聞いたアンディは署長に話すが取り合って貰えない。 わざと鈍いのかと言うアンディの言葉に怒った署長は懲罰房行きを命じる。 こうして穴蔵に一ヶ月閉じ込められたアンディだが、トミーは署長に呼出されあの話が本当かを確認すると見張り塔の看守長に合図して射殺させた。 アンディにはトミーが脱獄を企てて撃たれたと署長が話すと、アンディはもう終わりだ、手伝わないと言うが、署長は脅しをかける。 これでも鈍いかね? とさらに一ヶ月の穴蔵生活を課する署長。 ようやく独居房から出られたアンディは狂ってしまったのか、将来の夢を語る。 生きるのに励むか、死ぬのに励むか。 メキシコでホテルを開いてつり船に客を乗せるのだと。 調達屋が来てくれたらな。
署長に言いつかった靴磨きの後房に戻ったアンディの手には仲間から手に入れてもらった2メートルのロープ。(もしかしてブルックスの後追い?) 浅野点呼にアンディは房から出てこなかった。 署長は窓辺の石を部屋中に投げつけると壁の音が違う部分がある。 今はリタかラクエルに替わった壁のポスター。 署長が手を突っ込むと大きな穴が。 嵐の夜、ロープに一切合切を括り付けて500ヤードの下水管を通って脱走したのだ。 大捜査をしても署長の靴を履いたアンディは見つからなかった。 架空のスティーヴンス氏は37万ドルを受け取ると ショーシャンク署長の汚職や殺人を暴いた文書を報道関係に郵送してオープンカーで颯爽とメキシコの国境を超える。
それからレッドの40年間目の仮釈放の日がようやく訪れた。 承認! こうしてレッドは塀の外に出てかってブルックスが充てがわれた部屋に住み同じ店で働く。 だがブルックスの二の舞にはならない。 何か盗んで慣れた場所に戻ろうかとも考えた。 が、アンディとの約束を果たすべくヒッチハイクでバクストンの草原に行きアンディが教えた通りに黒い石を掘り起こす。 園下には小さな箱が埋めてあった。 封筒の中にはグリーンバックが詰まっておりアンディからの手紙も。 そこで人生二度目の犯罪を犯す。 仮釈放違反。 映画のラストには「In Memory of Allen Green」 (撮影中に亡くなったダラボン監督の友人を偲ぶ)

映画では「ギルダ」上映のシーンで”Put The Blame On Mame”や、トミーが刑務所に送られてくるシーンではJohnny Otisの”Willie and The Hand Jive”も流れますが、サントラにはオープニングのThe Ink Spotsの”If I Didn’t Care”やブルックス図書館が完成したシーンで流れたHank Williamsの”Lovesick Blues”の他は「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語 (2004)」や「ウォーリー (2008)」の音楽を手掛けたThomas Newman(トーマス・ニューマン)のスコアです。(試聴と曲目リストはhttp://www.allmusic.com/album/the-shawshank-redemption-mw0000121398)

作家のスティーヴン・キングといえばStanley Kubrick(スタンリー・キューブリック)が監督した最も恐怖を感じさせる映画という「The Shining(シャイニング)」がありますが、それよりもっと怖いのがキング自身が製作総指揮をとりMick Garris(ミック・ギャリス)が監督したテレビ版「シャイニング」です。 けっして一人では観ないで下さい。 でも最後は泣けます。 いやっ、やっぱり怖い! ネヴァーエンディングを想像させるラストが鳥肌もの。 キーコ、キーコ
それよりも怖いかもしれないホラー映画は2017年に公開の「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」 赤い風船?ピエロ? 子供だけ!

The Strawberry Blonde
リタ・ヘイワースの出演作品で「地と砂」と同じ位人気がある映画はリタ・ヘイワースが町一番の美人の”The Strawberry Blonde”役を演じた1941年のコメディ「The Strawberry Blonde(いちごブロンド)」です。 1935年に「A Midsummer Night’s Dream(真夏の夜の夢)」でライサンドロと恋をするエルミアを演じたOlivia De Havilland(オリヴィア・デ・ハヴィランド)や妖精パック役のMickey Rooney(ミッキー・ルーニー)も出演しています。 ”ストローベリー”というと鮮やかな赤ですが、”ストローベリーブロンド”とは赤みがかった金髪ですからまさしくリタ・ヘイワースの燃えるような赤毛のことですね。 1951年のヒッチコックの「Strangers on a Train(見知らぬ乗客)」でも使用された「The Band plays又はThe Band Played On(バンドは奏でる)」という曲がCharles B. Ward作曲でJohn Palmer作詞のテーマ「Casey Would Waltz with the Strawberry Blonde」となっていて映画を通して流れますが、ラストシーンでは歌詞のテロップが出るそうです。 この映画は後に西部劇を撮ったRaoul Walsh(ラオール・ウォルシュ)の監督で、James Cagney(ジェームズ・キャグニー)が演じる歯医者の理想の女がリタが演じる”Virginia”という映画では魅惑のOlivia de Havilland(オリビア・デ・ハビランド又はオリヴィア・デ・ハヴィランド)がお堅い看護婦役で出演しています。
「いちごブロンド」の歌詞はEELS LYRICS
「The Strawberry Blonde(いちごブロンド)」のテーマ曲が聴けるトレーラーはThe Strawberry Blonde Trailer – VideoDetective

The Green Glove (1952) by Rudolph Maté
ポーランド出身のルドルフ・マテは1920年代終わりからリタ・ヘイワースの「ギルダ」までは撮影担当でしたがこの後は監督に転じて1960年初期まで20本ほどの作品を手掛けました。 1949年の「D.O.A.(都会の牙)」、1950年の「Union Station(武装市街)」、1953年の「Forbidden(命を賭けて)」など日本で公開された映画が17作品ほどありますが未公開映画も何本も有ります。 そのうちの一作品で1952年にグレン・フォードが主演したミステリー映画の「The Green Glove」があります。 映画のタイトルとなったGlove(手袋)とは中世の騎士が身に付けたGauntlet(装甲手袋)のことで鎧の小手のことです。 南仏のある村の教会聖堂には昔にムーア人の侵略から村を守ったと云われる騎士の緑の手袋があったのですが、戦時中にナチに協力する美術品収集家が教会から手袋を盗み出したらしいのです。 映画の冒頭シーンではその教会の鐘が鳴り響き神父や村人が駆けつけて来ます。 なぜならこの鐘は緑の手袋が戻るまでは決して鳴らないはずだったから。 第二次世界戦時中にパラシュート部隊だったアメリカ空軍少佐のマイク・ブレイク役でグレン・フォードが主演していますが、「ギルダ」で賭博場のBallin Mundson(マンドソン)役を演じたGeorge Macready(ジョージ・マクレディ)も謎の人物であるポール伯として出演しています。 映画の音楽はハンガリー出身で多くのフランス映画の音楽を手掛けたJoseph Kosma(ジョゼフ・コズマ)の作曲した”L’Amour est parti”と”Romance”をJuliette Gréco(ジュリエット・グレコ)が歌いました。(伯爵夫人の蓄音機のレコードとレストランでのBGM) 主人公のブレイクは第二次世界大戦の終わりも近づく頃にノルマンディー上陸作戦でフランスに行き追撃されて南仏のこの村に着地したのですが、フランスで教会から緑の手袋を盗んだらしい自称骨董品屋でナチスの情報収集に強力するというドイツ人のPaul Rona(ポール伯爵)と遭遇しました。 爆撃でポールを取り逃がしたブレイクは終戦後にアメリカから古美術の盗品を探しにフランスに戻って来たのです。 ところがそのブレイクを待っていた人間がいたのです。 ブレイクの似顔絵を持って追ってきたその男がブレイクのホテルの部屋で死んでいたことから警察はブレイクの戦時中のフランスにおける行動を疑いますが、さらにブレイクが乗った汽車でも殺人が起こるのです。 ブレイクが爆撃された地下道で出会った時にポールが落としていったバッグをブレイクは助けられた伯爵夫人(ポールとは無関係)の執事がブレイクの所持品だと思って瓦礫の中から持ち帰ったのですがブレイクは受け取りませんでした。 ブレイクが伯爵夫人の家に置いてきたポール伯爵のバッグに入っていたあの高価な緑の手袋を巡って最初に盗んだポール伯爵と偶然それを知って聖堂に戻そうとするブレイクと殺人犯と疑ってブレイクを追う警察とのアクション物語です。 日本では劇場公開されなかった「The Green Glove」は相手役の女優やアクションがいまいち映えなくて迫力に欠ける映画でした。(終盤の教会に続く山羊の道と呼ばれる険しい断崖でポール伯爵とブレイクの岩壁登攀風追跡シーン以外は) ラストシーンで神父が村人に話す中で「鐘楼には誰もいなかった。 死体(死んだ男)以外は……」が笑える。

☆1953年にグレン・フォードが主演したFritz Lang(フリッツ・ラング)監督の犯罪映画「The Big Heat(復讐は俺に任せろ)」ではバーのシーンでリタ・ヘイワースの”Put Blame On Mame”がアコーディオン演奏で使用されました。 その後の1955年に私が初めてグレン・フォードを観た「Blackboard Jungle(暴力教室)」で堅物のリチャード教師を演じたのです。 学生としてSidney Poitier(シドニー・ポワチエ)や後に映画監督になったPaul Mazursky(ポール・マザースキー)が出演していた「暴力教室」でテーマ曲に使用された”Rock Around The Clock”が空前のヒットとなりロックンロールの幕開けとなりました。 「暴力教室」では熱血英語教師の妻をホクロがチャーミングなAnne Francis(アン・フランシス)が演じた後、1965年から放映されたTVシリーズの「Honey West(ハニーにおまかせ)」でブルースという豹のようなオセロット猫をペットにした美人探偵役で主演しました。(膵臓癌が元で2011年1月に80歳で逝去) ちなみに「暴力教室」の原作はEvan Hunter(エヴァン・ハンター)名義で書いた探偵小説家のEd McBain(エド・マクベイン)だそうですが、1954年の「The Blackboard Jungle」やFrank Perry(フランク・ペリー)監督した1969年の「Last Summer(去年の夏)」や「Strangers When We Meet(逢う時はいつも他人)」の原作と共にエヴァン・ハンター名義だそうです。
最近の映画では、「5X2(ふたりの5つの分かれ路)」のFrancois Ozon(フランソワ・オゾン)が2002年に監督したフランス映画 「8 femmes(8人の女たち)」でCatherine Deneuve(カトリーヌ・ドヌーヴ)の夫の妹で情熱的なピエレット役をFanny Ardant(ファニー・アルダン)が演じ、リタ・ヘイワースのギルダそっくりに長手袋を脱ぎ捨ててKrishna Levy(クリシュナ・レヴィ)の演奏をバックに”A quoi sert de vivre libre(愛のすべて)”を歌っています。
ちなみにカトリーヌ・ドヌーヴの妹役をMichael Haneke(ハネケ)が2001年に監督した「La Pianiste(ピアニスト)」のIsabelle Huppert(イザベル・ユペール)が演じています。

Rita Hayworth and Victor Mature
リタ・ヘイワースは1940年代から1950年代に「Kiss of Death(死の接吻)」や「Samson and Delilah(サムソンとデリラ)」などの活劇で人気があったVictor Mature(ビクター・マチュア)とも共演しています。 オーソン・ウェルズと結婚する前にリタ・ヘイワースとビクター・マチュアは婚約していたことがあったそうですが、リタ・ヘイワースとのビクター・マチュアはその頃の1942年の雑誌「Movie Life」のカバーになりました。
二人は1942年に19世紀のインディアナ州の歌作曲家でゲイのソングライターとして知られるPaul Dresser(ポール・ドレッサー)の年代記である「My Gal Sal」で共演し、下記のアルバムの「Gilded Promises」にはビクターのピアノでデュエット(掛け合い)する”Oh, The Pity Of It All””や”Here You Are”が収録されています。(ただしリタはNan Wynn、ビクターはBen Gageの吹き替えだそうです)

Gilded Promises CD (ASIN: B000056P0B) – Amazon.co.jp

Rita Hayworth – Put Blame On Mame (Gilda) – Amazon.co.jp (MP3 Download)

Gilded Promises
上記の画像は映画「ギルダ」のサントラではなく、リタ・ヘイワースの2枚組アルバムで全32曲を収録したCDですが現在は入手困難です。 CDカバーに使用されているリタ・ヘイワースの写真は映画「Affair in Trinidad(醜聞殺人事件)」内で劇中の新聞記事にも使用されています。 「ギルダ」で歌われたPut The Blame On MameやAmado Mioの他に別の映画での曲とスタンダードのカバー曲を聴けます。 リタ・ヘイワースはダンスはモチロンのこと歌も上手なのに映画では吹き替えを使ったのはなぜでしょうか。(モチはモチ屋という当時の映画界での慣習でしょうか) リタ・ヘイワースは踊っている時が最高なので歌だけではもの足りない。
「Gilded Promises」の試聴はGilded Promises – CD Universe The Show Must Go On (CD) (ASIN: B000AV905U)

The Show Must Go On
上記の画像はリタ・ヘイワースの全42曲を収録した2枚組アルバムの「The Show Must Go On」です。 アルバムタイトル曲の他、I’ve Been Kissed BeforeやAmado Mioの他、スタンダードのカバーを歌った1942年の”You Were Never Lovelier(晴れて今宵は)”とか1944年の「Cover Girl(カバーガール)」でリタ・ヘイワースとジーン・ケリーがデュエットした”Long Ago (And Far Away)”など全32曲を収録しています。
♪ 「The Show Must Go On」の試聴はThe Show Must Go On – CD Universe

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