Jean-Louis Trintignant et Eleonora Rossi Drago dans Un été violent
激しい季節(1959年)
英語のタイトルが”Violent Summer”という「激しい季節」は監督及び脚本がイタリアのヌーヴェルバーグともわれるValerio Zurlini(ヴァレリオ・ズルリーニ)の白黒イタリア映画です。 当時新進監督だったヴァレリオ・ズルリーニは1954年の「Les Jeunes filles de San Frediano(サンフレディアーノの娘たち)」でデビューし、1957年の「Guendalina(芽ばえ)」の原案を書いてジャクリーヌ・ササールを見出したことでも知られています。
「激しい季節」の日本公開は1960年だそうですが、私が観たのはロードショーではなく暫くしてから2本立ての二流館でしたが、こんなにエロティックな映画はそれまで観たことがありませんでした。 主演はイタリア女優のEleonora Rossi-Drago(エレオノーラ・ロッシ・ドラーゴ又はエレオノラ・ロッシ=ドラゴ)が美貌の未亡人のRoberta(ロベルタ)で、エレオノラ・ロッシ=ドラゴの映画ではこの熟女が一番好きな役柄です。 伊ファシスト党の幹部を父を持つ青年のCarlo Caremoli(カルロ)はフランスの俳優のJean-Louis Trintignant(ジャン・ルイ・トランティニャン又はジャン=ルイ・トランティニャン)が演じていますが、トランティニャンの映画の中では現実逃避の青年役が一番好きです。 変わったキャストというと終盤に登場するカルロの父親を演じたEnrico Maria Salerno(エンリコ・マリア・サレルノ)で当時30歳代だったのでスキンヘッドで年齢のギャップを誤摩化したとか。
エレオノラ・ロッシ・ドラゴは「激しい季節」の演技で1960年のイタリア銀リボン最優秀女優賞を受賞しました。 日本未公開では1951年にMarcello Mastroianni(マルチェロ・マストロヤンニ)と共演した「Sensualità」に出演したドラゴは1962年にはFrancois Truffaut(フランソワ・トリュフォー)監督の「L’Amour A 20 Ans(二十歳の恋)」にも出演しています。 滅多に脱がないエレオノラ・ロッシ・ドラゴですが、「激しい季節」から10年後の1969年に、ポップアートとアシッドロックを取り入れたサイケデリックでお洒落なセックス映画といわれる”椿姫”のリメイク映画をRadley Metzger(Henry Paris/ヘンリー・パリス)が監督した日本未公開の「Camille 2000(カミーユ2000)」では黒いボブのカツラや美しいアップの髪型でPrudence Duvernoy(プルデンス)を演じたエレオノラ・ロッシ・ドラゴの他2女優もサドマゾ乱交パーティのシーンなどでヌードになったと聞いたのですが見つかりません。 ちなみに音楽はジャクリーヌ・ササールが主演した1957年の「芽ばえ」や1960年にカトリーヌ・スパークが主演した「I Dolci inganni(17才よさようなら)」などの映画音楽を担当したPiero Piccioni(ピエロ・ピッチオーニ)だそうです。 1970年にMassimo Dallamano(マッシモ・ダラマーノ)が監督したIl Dio Chiamato Dorian(Dorian Gray/ドリアン・グレイ/美しき肖像)を最後に銀幕から離れていたドラゴは惜しくも2007年12月82歳の時に脳出血で亡くなりました。 これだけの演技力と品格と美貌を備えながらなぜその後の映画出演に恵まれなかったかというと清廉潔白なドラゴが映画界のしきたり的な関係を拒んだためとも云われています。
「激しい季節」でカルロを演じたジャン・ルイ・トランティニャンを観たのはこの映画が最初で、魅せられましたが後の1966年に「男と女」で主演したジャン=ルイにはなぜか魅力を感じませんでした。 そんなジャン=ルイ・トランティニャンは63歳でIrene Jacob(イレーヌ・ジャコブ)が主演した「Trois couleurs: Rouge(トリコロール/赤の愛)」の老判事を演じ、82歳にしてMichael Haneke(ミヒャエル・ハネケ)が監督する2012年の「Amour(愛、アムール)」にIsabelle Huppert(イザベル・ユペール)と出演します。 そのイザベルがゲーム感覚で暴行犯人を追跡するビデオゲーム会社ボスのミシャルを演じた2016年のサイコスリラー「Elle(エル)」が期待できます。 監督は1992年の「Basic Instinct(氷の微笑)」の過激かつ残酷な描写で定評があるPaul Verhoeven(ポール・ヴァーホーヴェン)です。
カルロを慕う少女のRossana(ロサーナ)はジャクリーヌ・ササールが演じています。
☆白いササール・コートが日本でも流行った長いストレート・ヘアのジャクリーヌ・ササールについては写真集も見られるAudio-Visual Trivia内の「ジャクリーヌ・ササール Jacqueline Sassard」
「激しい季節」のあらすじ
「激しい季節」の背景はイタリアのファシスト政権が一夜にして崩壊し、新政府が誕生したのも束の間、9月8日にイタリア降伏にいたる激しい動乱の時期です。 第二次世界大戦末期の1943年の夏、アドリア海の高級別荘地を舞台にブルジョワ階級の生活が繰り広げられます。 第二次大戦中はフランスがドイツに占領されヴィシー政権下にあった時期です。 ヴィシーとはCasino de Vichy(カジノ・ドゥ・ヴィシー)で有名なフランスの温泉保養地のある町でしたが1940年から1944年の間フランス政権の首都とされました。
映画のオープニングはドラマティックな展開を想像させるマリオ・ナシンペーネの”Bombardamento”が流れるなか、桟橋に走って行く人びとを追うシーンです。 終戦間近、頃銃を構えた水兵に囲まれてボートに横たわる瀕死の女性が担架で救急車に運ばれていく時、救護らしき男性に手首の傷にとハンカチを渡すのはロサーナ(ササール)。 一方列車に揺られて南伊アドリア海沿いの高級避暑地リッチヨーネに向かっているのは兵役を逃れたファシスト党幹部の子息のカルロ・カレモーリ(トランティニヤン)、カルロがが手にする雑誌(Tempo)の表紙から内容までも戦時色濃厚。 リッチョーネでは遠くの戦火などなんのそのと上流階級の若者達がパーテイに興じる豪邸に到着したしたカルロは仲間に挨拶するがその中に足を負傷した中尉も居た。 そこに「さあ、腹ぺこのオオカミさんたち、餌の時間よ。」と料理を手にロサーナが現れる。 カルロはちょっと大人っぽくなったロサーノに久しぶりと挨拶してみんなとスパゲッティやシャンパンに群がる。 その時、ラジオから戦局を伝える放送を嫌ったロサーナはタンゴ曲を流す。 タンゴの次の音楽は物悲しい映画のテーマ曲「Estate Violenta(Canzone Di Rossana)」、異質な新参者のカルロにお嬢様のロサーナが惹かれていき、カルロにタバコを渡して自分も吸うと「タバコを二人で吸う意味知ってる?」と水を向けます。
そして或る日、カルロとロサーナと仲間たちは大勢の海水浴客に混じって青春を謳歌している時、ドイツ軍戦闘機の威嚇低空飛行に人々が怯えて避難する時、カルロはママを探して泣く幼女を見て駆け寄った。 間髪入れずに飛び込んで来たのがその幼女コロンバのママ、海軍将校の夫が戦死したばかりだというロベルタ・パルメザンでした。 カルロとロベルタの運命の出会いはこうして始まったのです。 熟女のロベルタに幼い頃に家を出たという美しい母親像をみたのでしょうか。 兵役を逃れているとロベルタに言うカルロは戦争はじきに終わると楽観的。
後日沖合で若者たちがボート遊びをしていた時に泳いでいたロベルタを船にあげてちやほやするのを心良く思わなかったロサーナは明らかに嫉妬、それが分かったロベルタが泳いで帰ると船を降りた時に一緒に行けば?とカルロに言ったほど。 一方カルロがファシスト父親とポンパドール夫人(ルイ15世の公妾)と呼ばれる母親の息子と知ったロベルタの母は会うことを禁止する。 カルロが言う本物の珈琲に魅せられたロベルタは二人でサンマリノに行き家に戻ると義妹のマッダレーナが戻っていた。 会えたのは嬉しいが夫の死で夫の実家に返されたことから戦局が悪化したのが分かる。 そんな時、カルロが本来の目的だったサンマリノの珈琲を持ってきたがロベルタはカルロは友達と遊ぶ方がふさわしいからと二人の関係を断ち切ろうとする。 後日カルロが友達と浜辺にいるとロベルタがひとりぼっちのマッダレーナを慰めようと同じ世代の若者と友達になるようにと連れてきた。 夜に若者たちはサーカスに行こうとマッダレーナを誘いに来るが一人ではと渋るのでロベルタも同行することに。 映画でのサーカスの出し物には1964年の「Circus World(サーカスの世界)」にも登場したような小人の道化ショーがあり、それ終わった頃、戦時中なら日常茶飯事、空襲なのか明かりが消えた。 懐中電灯に浮かび上がるカルロの顔、次にロベルタの顔。 サーカスの帰りにカルロの豪奢な別荘に寄ることになる。 カルロの友達がすごいレコードがあるじゃないか、スイスで買ったというArtie Shaw(アーティ・ショー)演奏の”In the Mood”や”Begin The Beguine”、Temptation! 「ワーオ、それをかけて!」の声。
こうしてあの名場面のBGMが流れることになるのです。 この時カルロとロベルタは距離を置いて見つめ合っていますが、明かりが消えてカルロがドアを開けて明かりを入れるシーンでも硬直したようなロベルタ。 向こうの空の爆弾投下の光を若者たちは部屋から出て眺めるがすぐに室内のダンスに興じます。 最初は男の子の一人がマッダレーナを誘い、ロサーナがカルロを誘い、もう一組が踊り出すと、中でも大人しそうな青年が礼儀正しくロベルタを誘います。 カーディガンを脱いで応じるロベルタだが眼はロサーナと踊っているカルロを追います。 曲が終わってウィスキーが配られた後、次の曲は扇情的なテーマ曲「Estate Violenta(Canzone Di Rossana)」、ついにカルロはロベルタをダンスに誘います。 ロサーナの視線を感じてオドオドと踊っていたが次第に身を焦がし耐えきれずに身体を離して外にでるロベルタ、後を追ったカルロはロベルタと静かに唇を会わせるのですが、内に秘めた激しい慕情を表したこんなラブシーンは見たことがありません。 この情景をカルロを追ってきたロサーナに目撃されてしまいます。 二人に感情移入している私には可哀想であるはずのロサーナが邪魔者でしかありません。
このことがあってから、ロサーナはマッダレーナがどうとかでなく彼女の身内が気に入らないと冷たい態度を取り若者たちの間がしっくりしなくなります。 一方カルロはロベルタを呼出し波止場で会いますが、リッチヨーネは小さな町だから出会うことはあるでしょうが、昨夜のことはロサーナを傷つけたからこんなことはいけないとロベルタ。 「みんな私のせいだから昨夜のことは忘れて欲しい。」と言うロベルタにカルロは「僕は忘れない、本気で言ってるのではないでしょう。」と抱きすくめてキスをする。
画面は変わって「今夜、あなたは私を夢の世界に誘う・・・」とタンゴ曲を女性歌手が歌うカフェでマッダレーナと待ち合わせた青年は映画館に誘う。 上映の途中で明かりが着いたのでいつものことかと思ったら軍人が入って来て「全ての兵士は隊に戻るように!」と叫ぶ。 町に出るとラジオでムッソリーニが失脚し、バドリオ政権が樹立したと流れた。 これを聞いてファシスト政権に不満を抱いていた民衆はファシストの胸像は引きずり落とし、ファシスト党員を見つけては暴力を振るなど暴徒と化した。
情勢が変わりローマから別荘まで逃れて来たカルロの父親は銃を手に入って来る奴は誰でも撃つと言っていたのだが結局は国外へ逃亡し、またもやカルロは残された。(幼き日に母親が去った) パトロールの兵士の眼を避けるようにロベルタが家路に着くとカルロが待っていた。 激情にかられた二人はもつれ合うように浜辺に行き、ロベルタは何年も結婚したのに得られなかった喜びを初めて経験した。(このシーンは服装が同じことからつながっていると思われる) 尚も年上を気にするロベルタは夜が明けるからと帰ることに。 歩いてもすぐだから一人で帰る、貴方はここにいて。 「今夜、僕の家で」とカルロ。
ロベルタが家に戻るとマダレーナが娘のコロンバの部屋に居た。 「そんな眼で私を見ないで。」とロベルタは居直るようにマダレーナがどうして起きているのかをたずねる。 出て行きたいと泣き叫ぶマダレーナに母親が起きて来てマダレーナを非難するロベルタを「30歳の母親らしくしなさい!」と激しく叱責する。
翌日カルロの家に行くロベルタは異変に気づく。 カルロは別荘の持ち主は誰かと聞かれ、法的に一部屋が充てがわれるとか。 カルロにはもう帰る家はない、叔母の家に行くかそれとも地獄に堕ちるか。 投げやりになったカルロだが躊躇するのを欲情にかられたロベルタは家に入れる。 ☆公開当時映画館では見られたのにDVDではカットされた幻のベッドシーンはこの時でなければ、カルロがパトロール隊に兵役延期証明書の期限切れを指摘された晩だと思います。
ロベルタが家に戻ると母親が起きていて「よもやこんなことになろうとは、自分のしていることが分かっているの?こんなスキャンダル、少なくとも自分の子供や亡き夫を考えて。」 だが初めて恋をした小娘のようなロベルタは「夫が私と余りにも年が離れているとは思わなかった? 30年間我慢してきたのもお終い、醜聞でもなんでもない、愛する人を見つけただけよ。私は彼を離さない。」
駅で発車を待つマッダレーナ、母とロベルタとコロンバに泣きながら別れを告げる。 「マダレーナ、許してね。」と汽車を追いかけながら叫ぶロベルタ。
夜になって今やバンガロー住まいのカルロと逢ったロベルタは電話がかかってこなかったから心配したと言った後に、もう帰らねばとも言う。 カルロは何かあったのかと聞いた後、僕の部屋に行こうと鍵を見せて誘い、「奇麗だ、君が欲しい。」とキスする。 その時突然明かりが当てられて気まずい二人。 「日沈以降に海辺にいるのは禁止だと知らないのか?」とパトロールの兵士は身分証明書ではなく兵役延期証明書の呈示を求める。 それは期限が切れてボローニャの司令部に届け出なければいけなかったのだ。 IDカードを見せてロベルタを送って行きたいと申し出たカルロに「明日の朝、必ず出頭するように、戦争は終わってないから真面目にやれ。」と言って兵士たちが粋な計らいをした。 遅かれ早かれこうなると思っていたとカルロ、「僕の父親は知り合いを使ってこんなことを上手くやってたけれど、もし僕が父親だったら一番に自分の息子を入隊させるのに。変な話だ。」 ロベルタはもし出頭しないとどうなるの?と聞く。 夜を共に過ごした二人はこの先どうなるかを話し合う。 ロベルタは「今度の戦争にはかなりの犠牲を払ったから次は私の生活を守る権利があるはず。 あなたを失いたくない、出頭しないでベネト州ロヴィーゴにある私の別荘に行ってしまえば見つからないでしょう。 しかし、カルロはこれまでは孤立感を抱かないように人の考えにそって行動して来たが今は違った思考があると言った。
場面は変わって兵士たちが合唱している列車内のカルロとロベルタ。 カルロはロベルタに娘のコロンバには何と言ってきたのかを聞く。 誰にも何も言ってきてないからロヴィーゴから電話するとロベルタ。 その時、リッチョーネを離れてまもない列車が急ブレーキをかけて止まった。 ドイツ軍の空襲だ、我勝ちに飛び降りる乗客に押されて二人は離ればなれになってしまうが爆撃が納まってから再会できた。 抱え合うように別の列車に向かう途中、二人は死んだ少女を見つけて立ち止まる。 これがロベルタに置き去りにしてきた娘や家族を思い起こさせた。 カルロはリッチョーネは大丈夫とロベルタに言い聞かせ、ボローニャ行きもベニス行きも列車は全て運行停止だが、戻る列車はあるとアナウンスがあったので群がる人びとに紛れてロベルタを押し上げた。 列車に乗り込んでからカルロがいないことを知ったロベルタが窓を覗くとカルロが立っていてドアを閉めた。 「ロベルタ、僕は君と一緒に行かない。僕は恐ろしい虐殺のこの地にに留まって・・・」と兵役に就き戦場に向かう意思を表し、「僕を愛してくれるなら何も言わないで、こうするのはあなたが本当に望むことだ。そうしなければきっと僕を恨むことになるだろう。」 動き出す列車から身を乗り出してカルロの姿を涙で霞む目で見つめるロベルタ、列車は立ちこめる黒煙の彼方へと消えて行きます。 こうして二人は別々の道を行くことになったのです。 あぁ、哀しきさだめ。
幻のベッドシーン
ムッソリーニからパドリオに政権が交代したため、ファシスト党のカルロの父も失墜し別荘すら没収されます。 その晩、激情にかられた二人は戦火にもまして激しい禁断の恋の炎を燃え上がらせるのです。 めったには脱がないエレオノラ・ロッシ・ドラゴの胸や脇毛が丸見えのこの激しいベッドシーンは当時としては傑出した映像で暗がりといえどもその濃厚な描写が話題を呼びました。 胸以外にもドラゴの上腕の大きな疱瘡の跡がなぜか印象的でしたが、当時このシーンを観た人々は目を剥いて椅子から飛び上がったかもしれないほどの衝撃でした。 当時これほどの露出度の高いラヴシーンはなかったと記憶しています。 ところが後述の「消えたベッドシーンの怪」というか、DVDではまったくカットされているのです。 その理由は出演者か監督からの削除依頼なのかDVD製作時のカットなのか不明でしたが、2017年に発売された国際版DVDでは当時の倫理規定でドラゴの幻のシーンがでは差し替えられたのだそうですが、特典映像としてカットされたその2分ほどのベッドシーンが観られるそうです。(ストーリーの流れがないとそこだけ切り取られた映像では白けるかも) それは「激しい季節 HDリマスター [Blu-ray]」です。 サントラにそのシーンが使用されていることから本当にその場面は存在した証拠ですが、これまでは恐らく公開当時、私のように劇場で鑑賞した人だけが観た幻のお宝映像となっていました。
ところで話題となったエレオノラ・ロッシ・ドラゴの脇毛ですが、脇毛といえば1949年の「Riso amaro(苦い米)」で衝撃的なデビューをしたSilvana Mangano(シルバーナ・マンガーノ)が有名とはいえ、イタリアのグラマー女優だけでなく「Il Portiere di notte(愛の嵐)」や「Addio, fratello crudele(さらば美しき人)」などで知られたイギリス女優のCharlotte Rampling(シャーロット・ランプリング)やフランス女優のFrançoise Arnoul(フランソワーズ・アルヌール)やDominique Sanda(ドミニク・サンダ)なども見せています。 ハリウッド女優は映画の中で見せたことないようです。 とはいえ「ノッティングヒルの恋人」のジュリア・ロバーツや、1989年にJim Jarmusch(ジム・ジャームッシュ)が監督した「ミステリートレイン」の第2話”ア・ゴースト”編に出演したイタリア人役のElizabeth Bracco(エリザベス・ブラッコ)の脇毛が尋常じゃない毛量でした。
「激しい季節」の写真が見られるイタリアの映画サイトEstate Violenta Photos – FILM.TV.IT
Eleonora Rossi-Drago(エレオノラ・ロッシ・ドラゴ)の写真集が見られるEleonora Rossi-Drago Photos – FILM.TV.IT
なんとエレオノラ・ロッシ=ドラゴはGina Lollobrigida(ジーナ・ロロブリジーダ)と並びミスイタリア出場者だったとか。 他にもミスコンに出場したことがあるイタリア女優にはシルヴァーナ・マンガーノがいます。
Miss Italia Story: La mostra di Dino Villani – Photosこちらがその1947年の写真らしいですがどれがエレオノラ・ロッシ・ドラゴか分かりませんが、優勝者はLucia Bosèさんだったそうです。
余談ですが、ヴァレリオ・ズルリーニ監督はフランスの美男俳優のJacques Perrin(ジャック・ペラン)に惚れこんで1960年の「La Ragazza con La Valigia(鞄を持った女)」に起用します。
Jacques Perrin and Claudia Cardinale in Girl with a suitcase (l cielo in una stanza by Gino Paoli) – YouTube
Jacques Perrin and Claudia Cardinale in Girl with a suitcase (Just That Same Old Line By Nico Fidenco) – YouTube
その後もジャック・ペランが主演したヴァレリオ・ズルリーニ監督の映画は1962年の「家族日誌」や1976年にはジャック・ペラン がジュリアーノ・ジェンマ、ヴィットリオ・ガスマン、フィリップ・ノワレなどが共演した「Il deserto dei tartari(タタール人の砂漠)」など3本もあります。 短命だった完璧主義のヴァレリオ・ズルリーニ監督が手掛けた映画は短編を含めても10本にも満たないほど少なかったようです。
1963年に音楽をフスコが担当したMauro Bolognini(マウロ・ボロニーニ)監督の「La corruzion(堕落)」にも出演したジャック・ペランにふれているAudio-Visual Trivia内の関連記事はジャン・ポール・ベルモンドとヴァレリー・カプリスキー
Eté violent DVD
日本はもとより世界でも入手困難になっているヴァレリオ・ズルリーニ監督の”Estate Violenta”のDVD化を心待ちにしています。
「激しい季節」のVHSビデオがあるのはフランスのAmazon.frの「L’Ete Violent」(ASIN: B00F567ANE フォーマットは PAL)だけです。
Estate Violenta DVD
日本では「激しい季節」のDVDは見当たりませんが、アメリカで2006年5月にリリースされたヴァレリオ・ズルリーニ監督の「激しい季節」と「鞄を持った女」との2枚組ボックスセット(イタリア語に英語字幕でアメリカとカナダ向けのリージョン1)があります。
The Valerio Zurlini Box Set: The Early Masterpieces (1961)
上記のDVD購入経験者からの「このページトップにあるような肝心なドラゴとトランティニャンのラヴシーンがカットされている」ことについてのクレーム!
クレーム① 2007年5月26日の上記のDVDをアメリカで購入した「マツマエ」さんによりますと、『Amazon.comで売られているものと同じ「鞄を持った女」との2枚組です。パッケージにはちゃんと主演の二人が寝ているシーンがイラストでのっているのに、「詐欺」そのとおりですよ。』
クレーム② 2007年12月13日の「イーストキン」さんのコメントによりますと、やはり『肝心のベッドシーンは見事に他のシーン(前後の脈絡のない浜辺での主役二人のからみ)に入れ替えられており、(中略)絶対にお勧めできない商品です。』とあります。 この件に関した情報がコメント欄にたくさん寄せられていますが、私のおぼろげな記憶ではカルロが屋敷の外を歩く兵士たちを避けるようにロベルタを抱え込んだシーンの後が激しいベッドシーンだと思ったのですが、ロベルタの洋服が同じことから上記に記した浜辺のシーンは繋がっているのではないかと思うようになりました。 では、あのベッドシーンはどこだったのか? 別れがたいロベルタが無理矢理にカルロを自分の家に連れ込んだ時かもしれません。 真っ暗に近いほど暗い映像ですが二人の恋人の情熱的なこのシーンは「激しい季節」には不可欠と思われるのにカットした理由は何でしょう。 その答えはずっと後で判明しました。
Temptation in Estate Violenta
灯火管制下の不気味な夜、両親の留守注に別荘でパーティが開かれます。 その時に蓄音機でかけられるレコードがジャズ・スタンダードの名曲「Temptation(テンプテーション)」で、続いてテーマ曲の「Estate Violenta(Canzone Di Rossana)」です。 暗がりで踊っていたカルロとロベルタがやるせない感情にかられて庭に出て行きます。 よって室内でかかっていたテンプテーションが遠くに聞こえるようになります。 これが映画では非情に効果的でした。
私が一番好きなシーンはパーティでテンプテーションのレコードをかけて踊った後に「激しい季節」のテーマ曲がかかると、トランティニャンが「Fai ballare? (踊りましょう)」と誘い、エレオノラ・ロッシ・ドラゴが待ってたのよとばかりに「Sì, grazie. (ええ、ありがとう)」というくだりです。 こんなにセクシーなシーンは滅多に見たことがありません。
Temptation – Estate violenta – YouTube
「激しい季節」の美しい音楽はMario Nascimbene(マリオ・ナシンペーネ)で、ロマンティックな音楽に1943年を象徴する当時の流行った曲を織りまぜて重要な意味を持たせました。
テンプテイションの他には、海のタンゴ、タブーなどのエモーショナルな曲の数々を取り入れていますが、特にテーマ曲「Estate Violenta – Canzone Di Rossano」はバッハのブランデンブルグ協奏曲第二番を編曲したムードのあるものにしています。 この映画音楽によりマリオ・ナシンペーネは1960年のイタリア銀リボン最優秀音楽賞を受賞しています。
Canzone Di Rossana (From “Estate Violenta”) by Mario Nascimbene
今でも人気! 試聴が見つからないのが残念! 「激しい季節」に使用されたMario Nascimbene(マリオ・ナシンペーネ)の映画音楽を収録した1999年リリースのサウンドトラック集「La Ragazza Con La Valigia Soundtrack(鞄を持った女 (1960年作品) / 激しい季節 (1959年作品) 他) 」
Estate Violenta/La Ragazza Con La Valigia/Morte di un Amic
私が購入したデジタルの「Canzone Di Rossana(激しい季節のテーマ」)はアルバム「Award Winning Titles 2: Il Postino e I Drammi Psicologici」ですが、現在日本のiTunesでは「From Cam With Love – 20 Great Love Themes From Italian & French」や「Il Postino e I Drammi Psicologici」に収録されています。
Ost: Estate Violenta (2CD) Music by Mario Nascimbere (2016)
2016年発売の輸入盤オリジナル・サウンドトラック(ASIN: B01CO5DKOQ)はヴァレリオ・ズルリーニ監督とマリオ・ナシンペーネの映画、「激しい季節」とアラン・ドロンが主演した1972年の「La prima notte di quiete(高校教師)」からサントラを収録した二枚組のCDでサントラがメインのQuartet Records(カルテット・レコーズ)レーベルです。 ”テンプテーション”は聞けませんが試聴とディスクの詳細は販売元のカルテット・レコード
tracks on Estate Violenta Soundtrack
CDは入手困難ですが、1993年リリースの「Violent Summer (Estate Violenta)」のサウントラックの曲目リスト:
Titoli Di Testa
Primo incontro e scena d’amore
Tema di Maddalena
Canzone di Rossana
Sequenza finale
などです。
曲目の詳細はLa Raggazza con la Valigia/Estate Violenta/Morte di un Amico – Amazon.com
その他「Estate Violenta」のサウンドトラック画像が色々見られるEstate Violenta – SoundtrackCollector
映画のパーティのシーンでかけられたレコードの”Temptation(誘惑)”はちょっと扇情的なタンゴの曲です。 ”Temptation”は1933年にBing Crosby(ビング・クロスビー)がGoing Hollywood(虹の都へ)で歌ったのが最初でその後、1945年にPerry Como(ペリー・コモ)が歌っています。 当初はサウンドトラックのエピック盤にクレジットが見当たらないので1933年の録音とは違っているようでしたがビング・クロスビーのバージョンではないか思ったのですが、後にこれがイタリアの歌手が歌ったバージョンだと分かりました。 イタリアは映画の中でアメリカの歌手が歌っている持ち歌でもイタリア人に変えてしまう国ですからね。 RCA時代のTeddy Reno(テディ・レノ)というイタリアでは有名な歌手で、1958年頃に伊ジャズのピアニストであるLelio Luttazzi(レリオ・ルタツィ)の楽団をバックに英語バージョンの「Night and dayとTemptation」をA面とB面に収録した78回転SP盤をリリースしています。 映画のサウンドトラックで使用された時には「Estate Violenta」の伊盤サントラ「TEDDY RENO Temptation ESTATE VIOLENTA O.S.T.」として1959年に45回転盤の「Temptation / Canzone Di Rossana」がイタリアのRCAからリリースされたそうです。(ジャケットは黒と赤を基調としたラブシーンが使用されています) ちなみにテディ・レーノは「Der schönste Tag meines Lebens(野ばら)」のMichael Ande(ミヒャエル・アンデ)が主演した1959年の「Wenn die Glocken hell erklingen(ほがらかに鐘は鳴る)」に歌手役で登場します。
“Temptation”はミュージカル映画の「Singing in the Rain(雨に唄えば)」を書いたコンビで知られるNacio Herb Brown(ナシオ・ハーブ・ブラウン)の作曲及びArthur Freed(アーサー・フリード)の作詞です。 Gene Kelly(ジーン・ケリー)主演の「雨に唄えば」のサウンドトラックにも”TANGO”としてThe M-G-M Studio Orchestra演奏の”Temptation”が収録されています。
You came, I was alone, I should have known you were temptation…と歌われるTemptationの歌詞はTemptation – Genius.com
E Se Domani
ファウスト・パペッティはEté Violent(激しい季節)がお好き。。。
イタリアの白人アルトサックス奏者であるFausto Papetti(ファウスト・パペッティ)の演奏でアルバムタイトル曲の”E se domani(もしも明日)”や”Estate Violenta(激しい夏)”が収録されているCDです。 オリジナル録音は1959年の”Estate violenta/Mio impossibile”らしいですが、ファウスト・パペッティが演奏した”Temptation”は1962年の”Together/Temptation”がオリジナル録音のようです。(タブーやスターダストなど全5曲を収録した”Temptation(テンプテーション)”という33回転EPレコードが日本でもリリースされた。GLOBE s-jet-261)
E Se Domani
収録曲はミーナでお馴染みのE Se Domani(もしも明日)
トリオ・ロス・ パンチョスの大ヒットでもあるHistoria de un Amor(ある恋の物語)
Estate Violenta(激しい季節のテーマ)
Valzer del Padrino(ゴッドファーザー・ワルツ)
Tema d’Amore {Del Film il Padtino}(愛のテーマ)
☆上記のCDに類似した「Scandalo Al Sole(夏の日の恋 避暑地の出来事)にもEstate Violentaが収録されています。 ちなみにオリジナル曲ではなく映画音楽やスタンダード曲のレパートリーが多いパペッティのサウンドは特徴がありませんが特徴があるのはLPレコードのジャケット画像でしょう。 魅惑敵なセクシー美女もしくはヌードが使用されています。 そんなパペッティのマウス・ピースといえば確証はありませんがイタリア製のSelmerとも云われていますがColletto説が有力かも。
☆Audio-Visual Trivia内でファウスト・パペッティの音楽に関連している「太陽はひとりぼっち」
私が持っている「激しい季節」のサウンドトラックはEPICのEP盤 NS-66です。
このサントラに収録されているTemptationはまさに映画からカットされたものなので、最初は青年に「Foi ballare? (踊りましょう)」と誘われたマッダレーナが2年も前だから上手く踊れないけどやってみるわと言います。 次に映画のテーマ曲が流れトランティニャンの「Foi ballare? (踊りましょう)」とドラゴの「Sì, grazie.(ええ、ありがとう)」というセリフ入りでパーティのシーンの雰囲気がグッと伝わってくる最高のサントラ盤です。
このEPレコードはもう販売されていませんが、中古レコード店では千円代から4000円位だそうです。
Audio-Visual Trivia内でエレオノラ・ロッシ・ドラゴの出演映画
「Un Maledetto Imbroglio 刑事」
Michelangelo Antonioni(ミケランジェロ・アントニオーニ)監督の「Le amiche(女ともだち)」
Francois Truffaut(フランソワ・トリュフォー)監督の「L’Amour à 20 ans(二十歳の恋)」